2021年02月17日

王冠へとつづく道 花組 「PRINCE OF ROSES-王冠に導かれし男-」


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宝塚歌劇団花組の聖乃あすかさん バウホール初主演作。
100期生のトップを切ってのバウ主演もなるほどと思わせるセンターに立つ華。
挑むは薔薇戦争です。


宝塚歌劇 花組公演
バウ・ミュージカル 「PRINCE OF ROSES-王冠に導かれし男-」
作・演出: 竹田悠一郎
作曲・編曲: 太田健  瓜生明希葉  多田里紗
振付: 御織ゆみ乃  平澤智   殺陣: 清家三彦
装置: 國包洋子   衣装: 加藤真美
出演: 聖乃あすか  高翔みず希  冴月瑠那  華雅りりか  羽立光来  優波慧  
春妃うらら  一之瀬航季  芹尚英  希波らいと  美羽愛  星空美咲/万里柚美 ほか

2021年2月2日(火) 11:30am 宝塚バウホール 3列下手
(上演時間: 2時間30分/休憩 25分)



物語の舞台は15世紀のングランド。
ランカスター家(赤薔薇)とヨーク家(白薔薇)が激しく王位を争った薔薇戦争の時代。
ランカスター家の血を引くヘンリー・テューダー(後のヘンリー7世/聖乃あすか)が若くしてヨーク家のエドワード4世(羽立光来)に国を追われながらも、イングランドに残った母の思いや、自分についてきた仲間たちに支えられ、王座奪還のため宿敵・グロスター公(後のリチャード3世/優波慧)に挑んでいく姿を描きます。


ヘンリー・テューダーといえば私にとって、「リチャード3世」の最後に出てくる“若いブロンドのイケメン正義のヒーロー”というイメージですが、そこに至るまでは前半生は謎に包まれた人物とされていて、そのあたりをフィクションを交えて描いた作品です。

ヘンリー・テューダーが叔父のジャスパー・テューダーに連れられ、ヘンリー6世(=ランカスター)と謁見して認められる場面から始まり、それも束の間、エドワード4世(=ヨーク)が国王に返り咲き、ヘンリーは隣国ブルターニュへと亡命して、以降はロンドンとブルターニュの2ヵ所で並行して物語が進みます。
ロンドンではグロスター公が権謀術数と暴虐の限りをつくして王座へとのし上がって行き、ブルターニュで機会を伺うヘンリーの前には、フランス国王の使いを名乗る謎の女性イザベル(星空美咲)が現れ・・・という展開。


「リチャード3世」大好物のワタクシといたしましては、ヘンリーに対してはふーんという思いだったのですが、彼なりに悩みも葛藤もあり、イングランドの平和を願っていたこと、そして何より「王冠に導かれし者」だということがよく理解できました。
ただ、彼の出自(ヘンリー6世とエドワード王太子暗殺後、ヘンリー・テューダーがランカスター家の唯一の王位継承者)や最初にヘンリー6世と謁見に至るまでの経緯などは描かれていないため、なぜ人々がひと目見ただけで彼こそが王冠を戴くべき男だと思うのか、また、ヘンリー・テューダー自身も何故に“イングランドのために”自分が立ち上がる志を持つに至るのかがいささか説得力不足かなとは感じます。

上演時間の関係もあってか、前段階の物語はかなり省略されていて、エドワード4世とその弟たちであるクラレンス公、グロスター公(リチャード3世)との確執、グロスター公の妃アンがヘンリー6世の世嗣エドワード王太子の未亡人、などの説明はほとんどない中、登場人物としては出てきて、特にアンやマーガレット(ヘンリー6世の妃)などは「リチャード3世」の物語同様、結構重要人物として描かれていますので(人物のニュアンスはかなり違っていましたが)、このあたりを知らないといささか混乱するかもしれないと思いました。まぁ、これは私が「リチャード3世」観過ぎ、というのもあるかもしれません。

とはいえ、それは脚本の問題で、聖乃あすかさん演じるヘンリー・テューダーのヒーロー譚としては気持ちよく楽しむことができました。

真っ直ぐ前を見据える眼差し。立ち姿が美しく、華も品もあるビジュアル。口跡よく、歌唱も力強く、中世騎士の衣装も似合って、本当に真ん中に立つのが似合うスターです。
聖乃あすかさんでこれまで印象に残った役は「花より男子」の花沢類と「はいからさんが通る」の藤枝蘭丸といったソフトな役が多くて、こんな芯のある男っぽい役もできるんだーとうれしい驚きでした。

強烈な印象を残したのはグロスター公の優波慧さん。
悪役フェチでリチャード3世好きの不肖スキップとしても大いに満足の悪役っぷりでした。
王座に上り詰めるまで憎々しいくらい尊大で傲慢で非情なのに、二幕で王冠を頭上に抱いてからは、常に自分の地位を脅かすものに怯え、歩き方まで何だか卑屈な感じになってしまう変化も上手かったです。
台詞も歌も声がよく通り、さすがの地力を発揮。メイクも左右の目を少し変えていて、グロスター公の歪んだ心を表しているようでした。

トマス・スタンリーの一之瀬航季さんもとてもよかったです。
ランカスター、ヨークどちらにも近づいて、味方なのかそれとも機を見るに敏な男なのかと思わせる芝居巧者ぶり。髭が似合って色っぽい大人のオトコでした。

フランス国王の使いを名乗る女性イザベルこと実はエドワード4世とエリザベス王妃の長女エリザベスの星空美咲さん。105期生の研2で、舞台で台詞を言うのも初めてというあっと驚く抜擢です。
音楽学校時代から「ちゃぴ(愛希れいか)似」と評判だった可憐な容姿。台詞も歌もまだまだ固さが残るものの、グロスター公の妻 アンを演じた104期の美羽愛さんとともに、将来有望なヒロイン候補誕生です。

赤い髪が印象的なヘンリー・スタッフォードの希波らいとさん、最期までグロスター公に従うケイツビーの峰果とわさん、スタンリー卿の“できる弟”ウィリアムの芹尚英さんと、若手の活躍もうれしいバウホール公演でした。


短いフィナーレもついていて、優波慧さん中心の男役ダンス→聖乃あすかさん+娘役入る→聖乃あすかさん・星空美咲さんデュエットダンス→聖乃あすかさん一人残ってダンス という流れだったかな。
やっぱりフィナーレあるとうれしいですね。


これが演出家デビュー作品となった竹田悠一郎先生はこれが演出家デビュー作品。
テーマは「生きること、信じること」なのだとか。
ヘンリーやイザベルの台詞にも「信じることの大切さ」が何度か出てきましたが、今世界がこんな時だからこそ、明日を信じて生きることの意味を託されたのかなとも思いました。



いや~、花組若手 まだまだ知らない人がたくさん のごくらく地獄度 (total 2216 vs 2218 )



posted by スキップ at 23:00
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