
市川右之助改め 二代目 市川齊入
市川右近改め 三代目 市川右團次 襲名披露
十月大歌舞伎 昼の部
2018年10月3日(水) 11:00am 松竹座 2階1列上手
一、三代猿之助四十八撰の内 華果西遊記
市川右團次 市川右近 宙乗り相勤め申し候
作: 三世河竹新七
脚本: 石川耕士
演出: 市川猿翁
出演: 市川右團次 市川右近 市川笑三郎
市川弘太郎 市川猿四郎 大谷廣松 中村米吉 ほか
(上演時間: 1時間5分)
これまでにも何度か拝見している楽しい演目ですが、今回は何と言っても、右近ちゃん(孫悟空の分身)でしょう。
姿形がとびきり可愛いのはもちろん、 松竹座の舞台に響く声、如意棒クルクル回したり見得したり、大人顔負けの技を繰り出すたびにどよめく客席。
宙乗りでも、右團次さん孫悟空と合わせて見得したり、高さに臆することなくジャンプするように觔斗雲をキュッと上げたり、度胸満点。
おばちゃんたちのハートを鷲づかみにして、やんややんやの拍手に送られて觔斗雲に乗って飛んでいきました。
もちろんご本家 右團次さん悟空は大活躍だし、、弘太郎さん猪八戒、猿四郎さん沙悟浄と三人の棒づくしの踊りは見ものだし、笑三郎さん西梁国の女王はいかにも魔性のオンナだし、米吉くん三蔵法師は清廉な美しさの中に品もあって色っぽいし、で見どころたっぷり、やはり楽しい演目でした。
そういえば、トンボ切る花四天(西遊記では蜘四天)さんのかつら取れたの初めて見たー。

カッコイイ祝幕は黒田征太郎さん画
天と地の間を。
あの世と。この世とを。
自由に自在にいったり、きたりする人達がいる
そんな人を 祝うとすれば
七つの色の 雲を呼ぶしかないだろう。
美の嵐をみたいです。
とメッセージが添えられていました。
二、二代目市川齊入 三代目市川右團次 襲名披露 口上
(上演時間: 20分)
坂田藤十郎さんの仕切りで上手から、中村雀右衛門さん・大谷友右衛門さん・市川海老蔵さん・藤十郎さん・市川齊入さん・市川右團次さん・市川右近さん・市川猿之助さん・中村鴈治郎さんという並びでした。
昼の部の演目には出演されていない猿之助さんは、「大阪ゆかりの大名跡がそろって復活すること、うれしくてなりません」と。七月の高麗屋さん襲名披露の時にも感じましたが、猿之助さんの口上はいつも笑わせ系のネタなしで折り目正しい。
逆に海老蔵さんは、「齊入さんは長年成田屋の一門として活躍してくださり、私にとっては父親代わりのような方です。右團次さんには、三代目猿之助さんゆかりの演目をお教えいただいたり、夜の”クラブ活動”もお教えいただいたり・・・」と(笑)。
右近ちゃんはここでもハキハキしっかり口上を述べてやんやの拍手。
そして、自分の番に気づかず、ビミョーな間の後に笑いをこらえながら名乗る鴈治郎さん。「まだ2日目でございましていろいろと・・・」とデレるとか、可愛すぎかw
三、神明恵和合取組 め組の喧嘩
品川島崎楼より神明末社裏まで
作: 竹柴其水
出演: 市川海老蔵 市川右團次 大谷友右衛門 市川男女蔵 市川寿治郎
市川寿猿 市川九團次 市川齊入 中村鴈治郎 中村雀右衛門 ほか
(上演時間: 1時間40分)
「め組の喧嘩」を舞台で観たのはこれまでにただ一度だけ。
2012年5月の平成中村座。
その前に1月国立劇場の菊五郎劇団の「め組の喧嘩」をテレビのオンエアで観ていましたが、平成中村座が私にとって初めてナマで観る「め組の喧嘩」で、そしてそれが舞台に立つ勘三郎さんを観た最後でした。
以前にも書きましたが、この時、勘三郎さんが客席の私に向かって手ぬぐいを投げてくださったこともあって、尋常ではない思い入れのある演目です。
もうだいじょうぶかな?と思ったのですが、全然だいじょうぶじゃなかった。
「め組の辰五郎」は私の中で勘三郎さんが余人を持って代え難いということを思い知りました。
あの時、勘三郎さん初役だったのに。
今これを書いていても、かわらけをバーァンと地面に投げつけて叩き割り、「いいかっ!やっつけろいっ!」と言い放つ勘三郎さん辰五郎の声が聞えてきそうです。
・・・という訳でまともな感想が書けず。
何を書いても比べてしまうので。
主役以外でひとつだけ。
鳶の藤松を中村座では勘九郎さんがやっていて、大詰の喧嘩場で、花道を走り出て来て、右手に纏を持ち、手もつかずに一気に屋根の上まで梯子を駆け昇る姿にどよめきが起こったものですが、今回の藤松さんがゆるゆると梯子を上るのを見て、勘九郎さんのあのスピードがどれほど驚異的なものだったのかを改めて知る思いでした。
め組の若い衆が屋根に上ろうとして上がれなかったたり、喧嘩場で転んだりしてたのはまぁご愛嬌として。
四、新作歌舞伎舞踊 玉屋清吉 團十郎花火
作: 今井豊茂
出演: 市川海老蔵 市川笑野 市川右若 市川猿紫 ほか
(上演時間: 20分)
江戸一の花火師の夢を追いかける玉屋清吉(海老蔵)が江戸の人々を喜ばせるために花火にさまざまな工夫をこらして・・・という新作舞踊。今回が初上演だとか。
「歌舞伎舞踊と映像のテクノロジーが魅せる」ということですが、映像は全然テクノロジーじゃなかった・・・。
単調な花火の映像が延々と続くだけで、プロジェクションマッピング全盛の今、これかーいという感じ。
舞踊そのものは、キレイどころもたくさん出てくるし、海老蔵さんの下駄タップもあるし、で結構盛りだくさんで楽しかったです。
ラストは筋隈で力紙をつけて荒事の拵えで登場(花火の精ということらしい)。
背景には火が吹いてキラキラバズーカテープ飛ぶというド派手な演出でした。
夜の部もチケット取ってたのに10月は腰痛ひどくて観に行けませんでした の地獄度


