2016年09月05日

たとえその命尽きるとも 星組 「桜華に舞え」 -SAMURAI The FINAL-


ouka.jpg昨日、東京宝塚劇場公演千秋楽をもって月組トップスター 龍真咲さんが宝塚を卒業されましたが、大劇場では星組トップコンビ 北翔海莉さん、妃海風さんのサヨナラ公演まっただ中。
時の流れって、本当に少しも待ってはくれません。


宝塚大劇場 星組公演
グランステージ
「桜華に舞え」 -SAMURAI The FINAL-
作・演出: 齋藤吉正
ロマンチック・レビュー
「ロマンス!! (Romance)」
作・演出: 岡田敬二
出演: 北翔海莉  妃海風  紅ゆずる  七海ひろき  壱城あずさ  
音波みのり  麻央侑希  礼真琴  綺咲愛里  万里柚美  美稀千種
/夏美よう  美城れん ほか

2016年8月27日(土) 11:00am 宝塚大劇場 1階29列上手



「桜華に舞え」 -SAMURAI The FINAL-


舞台は幕末から明治維新。
薩摩藩の貧しい城下士の家に生まれ、人並みはずれた度胸と剣の腕で明治維新の立役者の一人ともなった桐野利秋(北翔海莉)。
明治新政府では陸軍少将に任じられながらも、敬愛する西郷隆盛(美城れん)と共に下野し、西南戦争へと身を投じて行く生き様を、。会津藩の武家娘 大谷吹優(妃海風)との恋や、親友 衣波隼太郎(紅ゆずる)との友情や対立を交えて描きます。


私は戦国時代と同じくらい幕末ものが大好き。
そして「戊辰戦争」と「田原坂」にとてもヨワイ。
ずいぶん前に年末時代劇で「田原坂」を観て大いにハマって、関連した小説や資料をたくさん読みましたので、この時代にはやたら詳しい。
前後して「白虎隊」もオンエアされていて、これにもハマっていましたので戊辰戦争にも相当入れ込んだ経験あります。

その2つが出てくる宝塚歌劇・・・私がハマらない訳がありません。
後半、西郷隆盛が自ら意図した訳ではないにもかかわらず、周囲の状況に押されるように「こいもまた天命」と立つあたりから涙がとまらなくなりました。

物語としては、薩摩藩の田舎で暮らしていた若き日の中村半次郎(後の桐野利秋)から始まって、西郷隆盛と出会い心酔し、江戸に出て戊辰戦争で活躍、明治政府の要人となるも、方向性の違いから西郷とともに帰郷、西南戦争を戦い抜いて城山で命を落とすまで、と、これだけでも盛り沢山な上に、吹優との恋や会津藩士の生き残りで桐野を恨む八木永輝(礼真琴)まで登場させていますので、1時間35分の上演時間ではかなり急ぎ足の印象。

薩摩弁がかなりネイティブな上に、時系列が逆転して過去が挟み込まれる場面が2度ほどあったりもして、歴史的な背景を知らないと初見ではわかり難い部分もあるかもしれません。
それでも、桐野利秋の生き様を鮮やかに際立たせ、実在の人物の中に吹優や隼太郎といった架空の人物もうまく絡ませて、それぞれの人々の苦悩も描かれていて、さらにさよならテイストもバトンタッチ感もあって、と齋藤先生、やってくれます。

銀橋に武士たちがズラリと並んで「これが侍 男の生き様見せてやる!」と歌うオープニングからワクドキ


以下はストーリーと絡めて役の感想を。



中村半次郎→桐野利秋/北翔海莉
「人斬り半次郎」と畏れられていた剣の達人。
実直な心優しい熱血漢で、下の者からも慕われている人物。
西郷隆盛を心から敬愛していて、最期まで行動を共にます。

「この作品に出会うために宝塚に入ったと思える脚本。これが一番やりたかったもの」とおっしゃる北翔さん。
まさに適役で、剣を持てば怖いものなし、心温かく、吹優には包み込むようなやさしさを見せる半次郎は北翔さんそのもののように思えます。
歌はもちろん、ダンスもお得意ですので、殺陣の速さ上手さもピカ一。

半次郎の心情で一つだけ疑問だったのは、家同士が決めたとはいえ、ヒサという妻がありながら吹優に寄せる思いというのは、あれは愛情だったのかな。


衣波隼太郎/紅ゆずる
半次郎の幼なじみでともに西郷隆盛に師事して上京、明治政府の要職に就いて、下野した半次郎と袂を分かちます。
架空の人物ですが、西郷隆盛に対する大久保利通といった立ち位置です。

西郷のために大久保利通を斬ろうとした半次郎の前に割って入り、「お前はその男を守るのか!」と言われて「俺は明治政府を守るっ!」と言い放つ豪胆。
西郷隆盛こそが唯一無二の存在の故郷で、家族にまで裏切り者呼ばわりされてなお見せる笑顔の切なさ。
(ここ、お姉さんのタカさんを演じる音波みのりさんもとてもよかった。)
銃弾に倒れた半次郎になお襲いかかろうとする政府軍を制して抱きかかえる友情。
どの見せ場も鮮やか。

出仕する前を思い出し、「半次郎、あの頃は楽しかったな」と泣き笑いで言う言葉が切なすぎる。
そう、様々な物語で描かれていますが、「あの頃にとどまっていることができたらどんなに幸せだったか」と思うこと、人生でいっぱいあるよね(涙)


大谷吹優/妃海風
戊辰戦争で薩摩藩と対立した会津藩の武将 大谷隆俊の娘で自らも薙刀をとって戦う勇ましい女性。
父の隆俊を半次郎に殺され、自分自身は半次郎に命を救われたものの、戦火の中 記憶をなくし、半次郎を仇と知らず心触れ合うという役どころ。

この作品に限らず、本当なら殺したいほど恨んでいる人間を前に「記憶喪失」というのは脚本の逃げのようにいつも思います。そんな都合よく・・・的な。
それに加えて、半次郎のところでも書いたように妻がいながら吹優という女性に思いを寄せるのも男気・半次郎らしくないような気もして、妃海さんのせいではないけれどヒロインとしては少し中途半端だったかなぁ。

戦禍の経験を胸に看護婦となる芯の強さと娘らしい可愛らしさの両方を持った女性で、のびやかな美声は相変わらず耳にとても心地よいです。


八木永輝/礼真琴
若き会津藩士。
愛奈姫(真彩希帆)のそば近く仕え、会津藩を滅ぼした仇敵として薩摩藩、そして半次郎を憎み、明治維新にも逆らって文明開化の時代にも髷と着流しで通していましたが、半次郎を討つために政府軍に志願して西南戦争に参戦します。

終始鬱屈した暗い雰囲気でクールな礼真琴くん。初めて観る顔かも。
1人で銀橋渡りながら歌う場面もあり、異彩を放ってかなり目立つ役です。
半次郎を撃って、復讐は成し遂げられたけれど、彼の魂が救われたとは決して思えない最期が切ない。

歌声は響き渡り、憂いを含んだ瞳もとても魅力的ですが、ザンバラの髷に着流しスタイルは、男役としては若干小柄な面が強調されちゃったかなぁ。
ともあれ、また持ち役の幅を広げた礼真琴くん。次の大劇場公演「スカーレット ピンパーネル」では私が願った通りショーヴランに決定。楽しみです。


竹下ヒサ/綺咲愛里
隼太郎と相思相愛だったにもかかわらず家同士の縁談で半次郎の妻になる女性。

可愛らしいイメージの綺咲さんですが、自分の運命を受け容れて健気に尽くし、後半、隼太郎に「薩摩隊 隊長 桐野利秋の妻でごわすっ」とキリリと言い放つあたりのいかにも薩摩おごじょといった気丈さもしっかり。
次期トップ娘役に決まっている綺咲さん。紅さんとのバランスもよくていいカップルになりそう。
マルグリット役では歌、死ぬほどがんばっていただきたいです。


西郷隆盛/美城れん
今、西郷さんやらせたら宝塚でベストキャストでは?と思わせるハマり具合。
西郷隆盛という人物の器の大きさ、不器用さも余すところなく描き出していました。

美城さんもこれが退団公演。
専科に異動する2年前まではずっと在籍していた星組で後輩たちにも見送られ、同期の北翔さんと一緒に恵まれた役で・・・というのは幸せな退団と言えるのではないかしら。


犬養毅/麻央侑希
この物語の冒頭は、5.15事件で犬養毅暗殺のシーンから、犬養の回想の形で始まります。
席が遠くて、この役が麻央侑希さんだとはわからず、途中何度か出てきた新聞記者が麻央くんなのはわかったのですが、それが最後まで犬養毅と結びつきませんでした^^;
最後にもう一度犬養暗殺シーンが出てきて「あ!あの記者、犬養毅だったんじゃん!」と気づいた次第。
犬養毅が新聞記者だったこと知っていたのに・・・それだけ麻央くんの演じ分けが上手だったとも言えます。


さて、「田原坂」といえば有名な一節
「右手(めて)に血刀 左手(ゆんで)に手綱 馬上ゆたかな美少年」
と歌われた少年剣士は村田新八の息子 村田岩熊 (ドラマでは若き日の野村宏伸さん)。
プログラムにその役名があって、演じているのは天飛華音さんでした。
知らない子だーと思って調べてみたら102期生。今年初舞台踏んだばかり。
台詞もあって、大抜擢ですね。しかも鹿児島出身なのですって。


それから、天寿光希さんが演じた篠原国幹。
「緋色のマントを翻し、弾雨の中で低い姿勢もとらず先頭に立って全軍の士気を高めた」と史実にあるとおりの扮装で・・・ナミダ。


まだまだ書ききれませんが、お芝居の感想だけでかなり長文になってしまいました。
前楽のチケット持っているけれど、「それまで待ちきれない!」と急遽チケット買い足し。


image1.jpg幕間にはもちろん公演特別メニュー カクテル「桐野桜」 
いただきましたとも。
桐野利秋の名を冠した芋焼酎「薩摩 桐野」をベースに、
桜のシロップを加えてソーダで割ったもの。
ちょっと甘かったけどおいしかったです。



ほろ酔いで観たショーの感想は次回に のごくらく度 (total 1624 vs 1627 )



posted by スキップ at 23:31
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