
原作があっても読まないし、過去に上演されたものをレビューしたり、劇評や他の人の感想も避けて、Twitterのつぶやきもできる限りスルーするようにしています。
ですが、これは舞台を観た作品ですし、新感線の作品がどんなふうに歌舞伎に生まれ変わるのかを確かめるためにも、もう一度確認しておきたいと思って、今日観てみました。
新橋演舞場で上演されたのが2002年8月。
DVD発売は多分翌年なので2003年かな?
発売された時に買って喜んですぐ1回観たきりなので、12年ぶりです(笑)。
結構細かいところまで覚えている自分の記憶力に感心・・・というか、それだけ印象強い舞台だったということでしょう。
「アテルイ aterui」
作: 中島かずき
演出: いのうえひでのり
出演: 市川染五郎 堤真一 水野美紀 西牟田恵 植本潤 橋本じゅん 粟根まこと 金久美子 渡辺いっけい ほか
やっぱりおもしろかった!
もちろん結末も知っていますし、舞台を観た頃、阿弖流為がちょっとしたマイブームで、高橋克彦さんの「火怨」をはじめ阿弖流為関連の本をかなり読みましたので、歴史含めて知識も多少なりともあります。
それでも、観ている者の気持ちを高揚させる舞台です。
新感線の作品で史実を元にしているということで、昨年の「蒼の乱」といささか雰囲気が繋がるかなぁという印象も。
阿弖流為は非業の死を遂げますが、史実は別にして、鈴鹿が田村麻呂と結ばれることで、阿弖流為が守りたかった蝦夷の血が絶えることなくこの「日の本」に続くことになるという希望が感じられる結末もよくできてるなぁと改めて思いました。何といっても、市川染五郎さんの阿弖流為、堤真一さんの坂上田村麻呂という配役がハマり過ぎています。このキャスティングだけでこの舞台は成功したも同然。
一幕中盤の両花道で二人が互いに名乗り合う場面。
ほんと、どっちも観たい・・けど一度に両方は観られない、クラクラ目がまわりそうだったよね~

華麗で美しく、しかも重厚で迫力ある殺陣の凄味もこの二人なればこそ。
そして一幕終わりの阿弖流為、田村麻呂、鈴鹿、それぞれの台詞は、この後に続く3人の運命を思って舞台2回観て2回とも泣いた場面ですが、今日もまんまと涙こぼしてしまいました

西牟田恵さん立烏帽子のハスキーな声を懐かしみつつ、面差しが大空祐飛さんに似ているなと思ったのはあの頃気付かなかったことです(というか、あの頃祐飛さんのこと知らなかったし)。
植本潤さんの右大臣・紀布留部もさすがの存在感でいかにも食えない感じの都人。
そしてもう一人挙げるなら、やはり蛮甲の渡辺いっけいさん。
いっけいさん、この頃は映像でちょっと生活に疲れた感じのおじさん役やることが多くなっちゃったけど、そんないっけいさんしか知らない人たちにぜひあのギラギラした蛮甲を観ていただきたいです。
と書いていて、「あれ、今度の歌舞伎版では誰が蛮甲やるんだろ?」と思い立ち、そういえば主役の3人以外の配役を全くチェックしていなかった自分に気づいて(ま、いつもそんな感じなんだけど)、折角なので主な配役を比較してみることにしました。
阿弖流為 市川染五郎 市川染五郎
坂上田村麻呂 堤真一 中村勘九郎
鈴鹿・釼明丸 水野美紀 中村七之助
立烏帽子 西牟田恵 中村七之助
佐渡野黒縄 橋本じゅん 市村橘太郎
飛連通 粟根まこと 大谷廣太郎
翔連通 川原正嗣 中村鶴松
御霊御前 金久美子 市村萬次郎
紀布留部 植本潤
藤原稀継 坂東彌十郎
蛮甲 渡辺いっけい 片岡亀蔵
ということで蛮甲は亀蔵さんでした。ナルホド、裏切りそうだ(笑)。
坂東彌十郎さんの藤原稀継が右大臣ということですので紀布留部と同じ役回りかな。
そして、飛連通、翔連通が廣太郎くんと鶴松くんなの!?ガンバレ~。
歌舞伎NEXT「阿弖流為」 初日まであと2週間。楽しみ~



