2014年05月05日

円形劇場ならでは 「パン屋文六の思案」

panyabun.jpg2015年3月末で閉館が決まっている青山円形劇場。
ここで数々の名舞台を繰り広げてきたナイロン100℃の公演も今回が最後なのだとか。
私も大好きな劇場のひとつですが、この劇場で観るのもこれが最後かなぁ。

ナイロン100℃ 41st SESSION
「パン屋文六の思案~続・岸田國士一幕劇コレクション~」

作: 岸田國士 
構成・演出: ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演: みのすけ  松永玲子  村岡希美  長田奈麻  
新谷真弓  廣川三憲  藤田秀世  眼鏡太郎/
萩原聖人  緒川たまき  植本潤  小野ゆり子  
志賀廣太郎 ほか

2014年4月26日(土) 6:30pm 青山円形劇場 Fブロック1列



2007年に上演された「犬は鎖につなぐべからず」に続く岸田國士シリーズ第2弾。
前作は観ていなくて、今回初見でした。

「麺麭屋文六の思案」 「遂に『知らん』文六」 「ママ先生とその夫」 「かんしゃく玉」 「恋愛恐怖病」 「長閑なる反目」 「世帯休業」という7作品のコラージュ。
「ママ先生とその夫」 「麺麭屋文六の思案」 がメインストーリーとして流れて、寄宿学校を経営するしっかり者のママ先生(松永玲子)のダメ夫(萩原聖人)の浮気相手である若い女教師(小野ゆり子)が読む本の内容という設定で、その他の4編が綴られていくという構成。

そこに出てくるのは、生活力がなく何かとうまくいかない憂さ晴らしをかんしゃく玉でする夫婦(みのすけ・村岡希美)だったり、互いに思い合っているらしいのに本音を言わない男女(植本潤・緒川たまき)だったり、姉弟(長田奈麻・眼鏡太郎)と図々しい居候(みのすけ)だったり、契約で夫婦を休みにする男女(廣川三憲・緒川たまき)だったり。
どれも今ひとつパッとしなかったり、何だか問題を抱えたりしている人たちで、その日常や人間関係にシニカルな笑いをまぶして、だけどどことなくのどかで温かみを感じるのは昭和初期のレトロな雰囲気のせいでしょうか。その向こうに透けて見える形のない不安や虚無感。役者さんは皆、何役も兼ねていて、一見何のつながりもないような物語にも共通の登場人物が出てきたり。台詞はほぼ原作のままということですが、岸田國士さんの紡ぐ言葉が美しくて聴き惚れます。

その代表が「ママ先生」の松永玲子さんで、「よござんすよ」調の言葉遣いがとても耳に心地よく響いて、そのきりりとした佇まいとともにピタリとハマっていました。
そんな人が年下のダメ夫をつい甘やかして、「あなたの欠点という欠点に惹きつけられていくのはどうしたわけでしょう」なんておっしゃるのですから。

植本潤さんも際立って印象的だったな。
最初鬘つけて出て来た時には誰かと思いましたが(笑)。
植本さんと緒川たまきさん(ほんとにお美しい!)の「恋愛恐怖病」が物語の中では一番好きでした。
揺れる気持ちとか嫉妬とか、そんな感情を相手に悟らせまいと、いかにも余裕たっぷりな平静を装う感じ。
あと、あの赤鬼はね~(爆)。


ケラさんが「円形劇場はこう使うというお手本をお見せする」みたいなツイートをされていたのを以前お見かけしたのですが、まさしくお言葉通りで、劇中は元より、最後のカーテンコールに至るまで、円形劇場ならでは、というか、円形劇場のための演出といった趣きでした。円周を歩きながら話したり、客席に向って円周に立って踊ったり。もちろん座る席によって死角になる場面もあるけれど、それも含めての円形劇場。
映像は相変わらずスタイリッシュで、それでいて決して説明過多ではなく物語の邪魔にもなりません。

そして豆千代さん監修の衣装。
ベースは色鮮やかな着物なのですが、衿元にレースがあしらわれいたり、ブラウス着てたり、男性は着物の下にシャツ&ネクタイだったり、上からサスペンダーつけていたり。半襟や帯留めなんかも凝っていておしゃれでした。

nioisheet.jpg開演前、入口で「ニオイシート」が配られて、これを劇中「いろんな方法で」番号が告知されるとその番号をこすって匂いを嗅ぐ、という趣向。
そこで集中が途切れてしまわないかと少し心配でしたが、そんなこともなくなかなか楽しかったです。
「今日の食堂のお昼のメニューは・・」と言った時に2番の匂いを嗅いで、次の台詞より先に「あ、カレーだひらめき」とわかったのが個人的にはツボでした。



円形劇場の閉館、何とかならないのかなぁ の地獄度 ふらふら (total 1177 わーい(嬉しい顔) vs 1180 ふらふら)
posted by スキップ at 20:02
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