2014年03月17日

穴の向こうにいなきゃダメなんだよ   「のぞき穴、哀愁」

mononozo.jpg朝から ♪もっと素直にぼぉくの~ 愛を信じてほ~しい~ とひろみGOの「よろしく哀愁」が頭の中をぐるぐる回って、どうしたことだと思っていたのですが、会場に着いてポスター見てわかりました。何てタンジュンな脳なんだ(笑)。

MONO第41回公演 「のぞき穴、哀愁
作・演出: 土田英生
出演: 水沼健  奥村泰彦  尾方宣久  
金替康博  土田英生/
森谷ふみ  古藤望  高橋明日香  松永渚

2014年3月12日(水) 7:00pm HEP HALL A列センター


このところ年1回のペースで公演しているMONO。
前作「うぶな雲は空で迷う」はスケジュールが合わず観に行けなかったので、2年ぶりです。
当初はアフタートークつきの3/7のチケットを取っていたのですが、「五右衛門ロックⅢ」の試写会が当たったのでそれを手放して取り直し。同じ最前列ながら直前に取った今回の方がど真ん中だったという・・・。

とある会社の天井裏が舞台。
そこには他の社員の知らない部屋があって、諸々の理由で会社をリストラされた男性社員たちと社長の愛人?の女性が社長直属の「諜報課員」として天井から社内の様子を覗き、反対勢力の動きをi社長に報告していました。やがて彼らの存在は、覗かれている側の社員の知るところとなり・・・。会場に入るとHEP HALLの舞台上びっしりという感じの天井裏の舞台装置にまず圧倒されます。
これまでのABCホールと比べると小さな会場ですが、あれを見るとこの会場にした訳がわかったような気がしました。

人間の心の裏側を描いているのにドロドロせず、突拍子もない設定なのに妙にリアリティがあり、ギャクがある訳でもないのにケラケラ笑えて、気がつけば切ない・・・そんな土田ワールド真骨頂の舞台。
覗きながら下の世界の若い女の子に恋するおじさん二人・・鮫島(金替康博)と轟(奥村泰彦)がとにかくキモくて(笑)、おかしくて、だけど「おもろうて、やがて哀し」という風情で、ペーソスという言葉がしっくり来る・・・哀愁”ということですね。

自分たちの現在の境遇に決して満足している訳でもこのままでいいと思っている訳でもない“諜報課員たち”。
先代社長の息子であり、現社長の監視の対象となっている森村(尾方宣久)が野心もなく人も良さそうなのに社内で居場所がないことに同情し、彼を押し上げることで自分たちを利用している社長の鼻もあかしてやろうと嬉々として情報操作活動を始めます。
その様子は、ただ一方的に命令されるのではなく、自分たちの意志で、みんなで力を合わせて何かに取り組み、その成果が現れることは、これほど人を活き活きとさせるのかと、ビジネスは元より、人の生き方の根本を見せられた思いでした。
同時に、彼らの流す偽情報に踊らされ、混乱していく社内は、今も昔も変わらない社会の縮図のようでした。

人が良さそうに見える森村は、本当は策略家で彼らを利用しているのではないか、と感じたのですが、そのあたりの結論はちょっと曖昧だったかな。
最終的に森村は社長となり、彼らのほとんどは粛清されてしまう訳ですが、森村が自分の目的のために彼らを利用して捨てたのか、本当にいい人だったけれど社長という立場が森村を変えてしまったのか、という判断は、観る側に委ねられたといったところでしょうか。
ちなみに私は前者(笑)。どうもいい人過ぎて胡散臭いんだもん、森村さん。

珍獣マニアの泉ちゃんが好きな「センザンコウ」という動物が登場しますが、これは土田さんが仕掛けたメタファーでしょうか。
アルマジロに似ているけれどアルマジロみたいに防御だけではなく、鱗が刃物のように鋭くて攻撃もできる、というこの動物、自分を守るために人を傷つけるというあたりが、現代のネット社会とどこか重なって感じられました。

金替さん演じる鮫島のキモさとか、土田さん湯河原のKY感とか、役者さんたちは皆、「ほんとにこの人、こんな人なんじゃないの?」と思うくらいハマっています。
客演の女性陣によるオンナのバトルも見ものでした。
土田さんの、若い女性に対する羨望?と嫉妬と棘が入り交じった筆致が冴えます。
泉ちゃんが言うように「無意識に計算している」女にイラつくこと、女性なら誰だって思い当たると思います。
本多さんの言う
「天然な女なんてこの世にいない」
「女はね、仲良くなくたって仲良くできるのよ」
はけだし名言ですね。
若いOLさんを演じたお二人(高橋明日香・松永渚)は2010年の「空と私のあいだ」にも出ていらしたのだとか。


楓が森村と付き合っていることを知って焦然とする鮫島。
泉に気持ち悪いと言われてもどうすることもできない轟。
本多に告白らしきことをされても踏み出せない片山。
ずっと天井裏から覗いていた光の中。その世界とは別の世界で生きてきたから、自分の手からすべり落ちるものを掴みとめる術すらない。
片山(水沼健)が、「穴の向こうにいなきゃダメなんだよ」とつぶやき、光の射す穴を呆然と見つめる3人が切なかったです。 


会場でかずりんさんと遭遇。
ビールしながら、MONOをはじめイキウメ(生き埋めなのか?)やチケ取りのあれこれまで、終演後もさらに盛り上がった水曜日の夜でございました のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 1148 わーい(嬉しい顔) vs 1154 ふらふら)
posted by スキップ at 23:17
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