2009年06月07日

静と動の破綻

s-nylon33rd.jpg神様にお願い もしもちゃんといるなら
世の中に平和を もうちょっとください
神様よ いるなら
星も土地も命もあんたの血をひいた雑種と変種だ

今回のNYLON100℃の舞台は、2007年3月に発売されたケラ&ザ・シンセサイザーズのアルバム「15エレファンツ」に収録されたこの曲「神様とその他の変種」から構想されたものだとか。

NYLON100℃ 33rd SESSION
「神様とその他の変種」

作・演出: ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演: 犬山イヌコ みのすけ 峯村リエ 大倉孝二 水野美紀 山内圭哉 山崎一 ほか

5月24日(日) 1:00pm シアターBRAVA!  1階R列センター


ストーリー: 舞台は動物園の向かいにある古びた洋館。いじめられっ子でひきこもりの小学生のサトウケンタロウ(みのすけ)と、その両親(山内圭哉・峯村リエ、)と祖母(植木夏十)が住んでいます。ケンタロウの話し相手は、家の前にある動物園の動物たち。そのサトウ家へ、家庭教師としてやってくる記憶喪失の女性(水野美紀)、動物園の飼育係のユウチャン(大倉孝二)、ケンタロウの担任の先生(藤田秀世)、わが子がケンタロウに殴られたといって話し合いに来たスズキサチオの両親(山崎一、犬山イヌコ)、おしゃべり好きな隣家の主婦(長田奈麻)らが次々とやってきます・・・。

ケラリーノ・サンドロヴィッチの作品は“シリアス・コメディー”と形容され、普通なら不幸な悲劇ともいうべきシリアスな題材を、コメディとして笑ってしまうといった作風で、今回もその独特のシュールな感覚は存分に発揮されていました。もっとも、ケラさんによると、「毎度異なる肌合いの作品を上演するナイロン100℃の中でも、今回の作品はいつにも増して異色作」なのだそうですが。

サスペンスとナンセンス。極度の緊張から一気に弛緩するような緩急で、おそよ笑えないような状況の中で笑いを織り交ぜながら展開する会話劇。
日常の中、市井の人に潜む狂気を描き、心にザラリとしたものを残しつつ、そうなのだろうなという方向に展開していくと思いきや、予想を裏切る結末が用意されていたり。ケラさん、見事です。
ナイロンの劇団員はもちろん、客演の役者さんも全員がケラ・ワールドを体現していて、とてもクオリティの高い芝居を見せてくれました。

登場人物はみんなそれぞれ心に傷みを抱えていて、どこかバランスを崩しています。
ここに出てくる人たちを観ていると、人間の心ってなんて危うく脆いのだろうと切なくなってきます。私たちはいつだって、ケンタロウにも、ケンタロウの母親にも、サチオの母親にだってなるかもしれない。もしかしたら、舞台には現われないサチオにさえも。

わが子可愛さのあまり、ケンタロウを守るためなら人を傷つけることも厭わない母親-峯村リエの、確実に破綻したこの母親は怖かったです。静かで、一見とても常識的に見えるからなおさら。観ていて背筋がゾクッと寒くなるのを感じました。そんな妻を必死に不器用に守ろうとする少し情けない夫-山内圭哉もちょっとイメージと違う気弱な役がハマッていました。
ケンタロウの母が“静の破綻”だとすれば、“動の破綻”とでも言えそうなサチオの母・犬山イヌコ。
前半と後半ではまるで人が違ったように、見た目、声色、動き、すべてに破綻を感じさせます。
夫の浮気もからんで、山崎一との応酬は息をのむ凄まじさでした。そしてその後に、「ハッピー・バースデー」とイノセントな笑顔・・・ほんとにこの女優さんってば。

オープニングの映像の使い方は相変わらずとてもカッコイイ。
私が観ている中で、オープニングタイトルのスタイリッシュさはナイロンとフキコシが双璧です。
そういえば、会場でもらったフライヤーの中に、フキコシ・ソロ・アクト・ライブ「スペシャル」の告知がありました。今年もやるのね。大阪は10月7日、楽しみ~。

カーテンコールにはケラさん登場。
会場を隅々まで見渡して、「マスクしてるなぁ~」って、何かうれしそうなんですけど。
「どうでしたか?おもしろかったですね。」と勝手に自己完結して、「あまり長くやると役者が風邪ひいちゃうんで」ですって。-ラストの演出は、家の中なのに雨が降って、もちろん本水で、出演者は全員ずぶ濡れだったから。

位置情報 終演後には会場で偶然お目にかかったかずりんさまとお茶をご一緒させていただき、あれこれたっぷりお話しました。GWの大人数集合も楽しかったけれど、二人きりの濃密な(?)トークもまた格別でしたぴかぴか(新しい) ありがとうございました。


今さらだけど神よ気まぐれを 謝るなら許してやるぜと のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 497 わーい(嬉しい顔) vs 497 ふらふら)
posted by スキップ at 22:49
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