
その勘三郎さんをフジTVが10年以上密着取材して記録した7,000時間にも及ぶ映像を厳選・再構築して制作され、2013年12月に公開されたドキュメンタリー映画。
亡くなった後の特番やワイドショーなどを直視できずいつまでも保存したままの私が果たして観ることができるのか不安でしたが、せっかく大阪で公開されることでもあり、一歩進まねばと意を決して観に行きました。
「映画 中村勘三郎」
監督: 松木創
監修: 塚田圭一
2014年5月4日(日) 10:00am 第七藝術劇場
冒頭、出番を待つ団七の後ろ姿が映っただけで涙がじんわり溢れてきて、最初からこれでどうなることかと思いましたが、もちろん泣いたけど、涙流しながら時々笑ったりもして、何よりもスクリーンの中の勘三郎さんに引き込まれて、夢中で観ることができました。
その団七は2004年のニューヨーク公演の時のもので、映画はその2004年から時が流れていく形でその年々の勘三郎さんの姿が描き出されています。
勘三郎さんへのインタビューが何度か出てきますが、その中でもとりわけ印象的だったのは、「これから70歳まではがむしゃらにガンガンやりますよ。そして70歳になったら少し仕事を選んでね・・」とおっしゃっていた言葉。
ほんとなら今ごろはまだガンガンやっていた頃ですね。70歳どころか、60歳の勘三郎さんにも会えないなんて、考えてもみませんでした。勘三郎襲名の口上を聴いたのが2005年で、その10年後に勘三郎さんがこの世にいないなんて。
画面の右下に出るスーパーの文字が、2004年・2005年・・2008年と刻まれていき、「その年」が近づくにつれて、あの時に戻ってこのまま時を止めることができたらどんなにうれしいだろうと思いました。続きを読む