2021年07月23日

轟け 轟け 我が心 星組 「婆娑羅の玄孫」


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星組別箱3作目は専科の轟悠さん主演作にして最後の作品。
何となく、轟さんはずっと宝塚にいらっしゃるように思っていて、今年10月での退団が発表された時はとても驚きました。
この後、ディナーショーもありますが、私がナマ轟悠さんを観るのはこれが最後です。


宝塚歌劇 星組公演
戯作 「婆娑羅の玄孫」
作・演出: 植田紳爾
作曲・編曲: 𠮷田優子
振付: 山村友五郎  花柳壽輔
殺陣: 清家三彦   衣装: 河底美由紀  
出演: 轟 悠  汝鳥 伶/美稀千種  音波みのり  夢妃杏瑠  
ひろ香祐  紫 りら  天華えま  天希ほまれ  小桜ほのか  
極美 慎  咲城けい  瑠璃花夏  紘希柚葉  稀惺かずと ほか

2021年7月10日(土) 12:00pm シアター・ドラマシティ 15列上手
(上演時間: 2時間35分/休憩 30分)



物語の舞台は江戸の下町。
なめくじ長屋で子供たちに学問や剣術、さらには歌道や茶道を教えるよろず指南所を営む細石蔵之介(轟悠)は、正義感に溢れ腕も立ち、横暴な振る舞いをする旗本に一矢報いるなど長屋の人気者で、人々から「石先生」「石さん」と慕われ敬われていました。実は蔵之介は室町幕府設立の立役者であり、婆娑羅大名と呼ばれた佐々木道誉の子孫で、佐々木家当主の次男として生まれましたが、母の身分が低いため家名を名乗ることを許されずにいたのでした・・・。

轟悠さん退団公演のために植田紳爾先生が書き下ろした渾身の力作。
何てったって、主題歌が「轟く我が心」で、歌詞も ♪轟け 轟け 我が心 この命燃やし尽くすまで ですよ。
サヨナラ公演の香りに満ち満ちていながらも痛快娯楽時代劇といった趣き。
二幕構成で、一幕は長崎からやって来た清国人姉弟(小桜ほのか・稀惺かずと)の敵討ちを蔵之介が手助けして見事成就する物語、二幕は佐々木家の嫡男が急死し、お家断絶の危機を救うため国元に戻るよう請われた蔵之介が、悩んだ末にこれを了承し、住み慣れた江戸を離れて国元へ旅立つまでを描いています。

時代劇ドラマ二話分という感じでしょうか。

江戸の下町に暮らす市井の人々がイキイキと活写され、派手な立ち回りもあれば、勇壮でキレのいい鳶頭や艶っぽい芸妓さんたちの舞が楽しい神田祭、星空の下、七夕の情緒あふれる星祭り、満開の桜のお茶会では元禄花見踊りふうの群舞もあって、日本物レビューのような華やかなシーンがたくさん。
蔵之介の台詞の端々に轟さん自身の思い、後輩たちへの思いが重なり、明るく笑いを散りばめつつ最後はしんみり泣かせるストーリー展開はさすが植田先生お見事です。
幕前のお芝居がやたら多いのも「あー、植田先生だなぁ」と思いましたが💦


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2021年07月19日

たとえその先が破滅でも 星組 「マノン」


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星組別箱2作品目は愛月ひかるさん主演によるバウホール公演。
フランスの作家アベ・プレヴォ―の「マノン・レスコー」をもとに、物語の舞台を19世紀スペインに移してミュージカル化した作品で、2001年に瀬奈じゅんさん主演の花組で上演されて以来、20年ぶりの再演です。


宝塚歌劇 星組公演
ミュージカル・ロマン 「マノン」
原作: アベ・プレヴォー
脚本・演出: 中村暁
作曲・編曲: 西村耕次  鞍富真一  青木朝子
振付: 羽山紀代美  若央りさ
装置: 大橋泰弘   衣装監修: 任田幾英   衣装: 薄井香菜
出演: 愛月ひかる  有沙瞳  白妙なつ  大輝真琴  紫月音寧  漣レイラ  
朝水りょう  桃堂純  綺城ひか理遥斗勇帆  天飛華音  水乃ゆり ほか

2021年7月8日(木) 3:00pm 宝塚バウホール 6列下手
(上演時間: 2時間30分/休憩 25分)



物語: セビリヤの名門貴族の青年ロドリゴ(愛月ひかる)は、旅先でマノン(有沙瞳)と出会い恋に堕ち、約束された将来を捨て駆け落ちしますが、自由奔放で享楽的な生活を求めるマノンは、お金のために平然とロドリゴを裏切るような行為をします。それでも一途にマノンを愛し続けるロドリゴは、親からは勘当され、賭博に手を染め、親友を裏切り、破滅への道を突き進んで行くのでした・・・。


初見でした。
同じ原作をもとにした作品に「舞音」(2015年月組/植田景子演出 龍真咲・愛希れいか主演)がありましたが、こちらの「マノン」の方が原作により忠実な印象です。

ひと目で恋に落ちたマノンを一途に愛し抜く、というロドリゴですが、生き方の不器用さと世間知らずぶりが際立ちます。
出会ってすぐ、マノンの言うがままにマドリードへ出奔するってどーなん?
当時のスペインの身分制度に詳しくないのですが、マノンを家に連れて行ってきちんと紹介しても結婚は許してもらえないような身分の違いがあるのかな?(宝塚の衣装は豪華なのでマノンだってそれなりにいい家の令嬢に見えるけれども)。
とりあえず、親に当たって砕けてみて、ダメだったら・・・とは考えられないくらい”恋は盲目”だったのかとも思える、驚く親友のミゲル(綺城ひか理)を振り切ってマノンと行くロドリゴの笑顔の屈託のなさよ。

マドリードの暮らしでも、貴族の御曹司でそれまで働くことなんて考えなくていいご身分だったとはいえ、覚悟してそれを捨てたのだから、生きていくためには働くことが必須なのに・・・いくらレスコーにそそのかされたとはいえ、生きていくための糧を稼ぐ手段が賭博って何よ?とツッコミたくもなります。

ミゲルが「あの時 マノンにさえ出会わなければ」「マノンと行くのを止めてさえいれば」と後悔する台詞はとても切ない。
将来を約束されていた、自他ともに認めるエリート青年がたった一人の女のために、破滅へと転落していく人生。


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2021年07月17日

すべてことちゃんの声が塗り替えてくれた 星組 「VERDAD!!」


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この公演の情報が公開された時、「観たいのは山々だけど、ショーだけを観に舞浜くんだりまで行ってられない」と、同時期に星組別箱公演2作品が関西で上演されることもあって、きっと配信もあるだろうしと観に行くつもりはありませんでした。

ところが、7月2日に初日が開いて、ご覧になった皆さまのレポやセットリストを見て、「これは観ておかないと絶対後悔するやつでは?」となりまして、「やっぱ行こう」と決心したのが7月4日。その時点で行ける日は7月9日のみ(しかも仕事休んで(^^ゞ)。
まずはチケットを探し、行けるとなったらアクセス調べて新幹線手配完了したのが7月6日というバタバタぶりでした。

が、そうまでしても観に行って本当によかった。
この舞台を見逃さないでよかったと、心から思いました。


宝塚歌劇 星組公演
REY’S Special Show Time 「VERDAD!!」—真実の音—
作・演出: 藤井大介
作曲・編曲: 𠮷田優子  青木朝子  手島恭子
振付: 羽山紀代美  平澤智  SHUN  ASUKA  百花沙里  珠洲春希
装置: 新宮有紀   衣装: 加藤真美   映像: 桜葉銀次郎
出演: 礼真琴  舞空瞳  天寿光希  瀬央ゆりあ  音咲いつき  
夕渚りょう  湊璃飛  天路そら  蒼舞咲歩二條華  希沙薫  
碧海さりお  彩園ひな  紅咲梨乃  奏碧タケル  都優奈  
鳳真斗愛  侑蘭粋  星咲希  碧音斗和  綾音美蘭

2021年7月9日(金) 11:00am 舞浜アンフィシアター Bブロック7列/
3:30pm Lブロック15列/7月10日(土) 3:30pm 配信視聴
(上演時間: 2時間35分/休憩30分)



“VERDAD”(ヴェルダッド)とはスペイン語で“真実”を表す言葉。
REY’S Special Show Timeの“REY”は礼真琴の礼であるとともに、王という意味もあって、魂のこもった“真実”の歌・踊り・演技を追求し続け、常に前へと進んでいく礼真琴の魅力を詰め込んだ“REY(王)”のスペシャルショーということ。

二幕構成で、一幕では星組のこれまでのショー作品から名曲を散りばめたザ・タカラヅカなショー、二幕はポップスやロック、ディズニーやミュージカルナンバーとバラエティ豊かで盛だくさんのショーとなっていました。


何はともあれ、礼真琴のショースターぶりが際立った公演でした。

歌もダンスも抜群に上手いのは周知のことですが、キレッキレに踊りながら歌って声も音程もリズムも全くブレることなく、表現力豊かな歌唱、あふれる声量に加えて、曲ごとに声そのものがあんなに変わるなんて。
二幕の「The Phantom of the Opera」のファントムで低音響かせた直後に、続けてWickedの「Defying Gravity(自由を求めて)」を多分原曲キーの女性ヴォイスで歌うのを聴いた時は震えました。「え?ことちゃん、声帯いくつ持ってるの?」という感じ。

「ロミオとジュリエット」の感想でも書いたのですが、「エメ」や「僕は怖い」は私にとって柚希礼音さんの声でインプットされているように、好きな曲は初めて聴いた人や強く印象に残った人の声で脳内再生されます。
「セ・マニフィーク」や「セ・シャルマン」は鳳蘭さん、「アマール・アマール」は安奈淳さん、「ひとかけらの勇気」は安蘭けいさん、といった具合。
今回、それらの曲すべてを、礼真琴さんが、礼真琴さんの声で塗り替えてくれました。

それは宝塚の楽曲だけにとどまらず、二部で歌われた数々のナンバーも同様です。
「Let it Go(ありのままに)」なんてずっと松たか子さんの声だったし、「僕こそミュージック」はアッキーか芳雄くんの声だったのに・・・今は私の中ではことちゃんの声で再生されます。
本当にすばらしいというか、凄まじいほどの歌唱力。そして心地よい声。


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2021年06月28日

こんな贅沢ある? 「寺田瀧雄没後20年メモリアルコンサート」


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“宝塚のモーツァルト”と言われ、3,000曲を作曲された寺田瀧雄先生の没後20年メモリアルコンサート。
本当は昨年開催予定だったのがコロナ禍で1年延期となってやっと今年開催されました。

私が宝塚歌劇を観始めた子どもの頃は、作者や演出家、作曲者が誰なんてことは全く眼中にありませんでしたが、それでも寺田瀧雄先生の名前は覚えていて、あの頃観ていた作品ほとんど寺田先生の曲だったのではないかと思うくらい。

植田紳爾バージョン、柴田侑宏バージョンと、それをミックスしたALLバージョン(大阪初日と東京千秋楽のみ)があって、出演メンバーからいってもALLバージョン一択でしょう、と思っていたら皆さん考えは同じらしく、この日だけチケットは完売していました。
先行販売全滅ですっかり意気消沈してあきらめかけたのですが、いやいやジュンコさん(汀夏子さん:私のタカラヅカ初恋の人です)出るし、と思い直し、一般発売に参戦して何とかB席をもぎ取りました。梅芸3階のてっぺんからの観劇となりましたが、聞きしに勝る豪華キャストで「やっぱりあきらめずにチケット取ってよかった~」と思えた楽しく贅沢なコンサートでした。


寺田瀧雄没後20年メモリアルコンサート
All His Dreams "愛"

監修: 植田紳爾
構成・演出: 三木章雄
音楽・指揮: 𠮷田優子   振付: 御織ゆみ乃
出演: 榛名由梨  鳳 蘭  汀夏子  安奈淳  瀬戸内美八  
髙汐 巴  寿ひずる  平みち  剣 幸  日向薫  杜けあき  
安寿ミラ  涼風真世  麻路さき  真琴つばさ  白城あやか  
湖月わたる  月影瞳  朝海ひかる/轟 悠
コーラス・ダンス: 出雲綾  羽純るい  久路あかり  牧勢海  
舞城のどか  桜一花  彩海早矢  鶴美舞夕  妃白ゆあ

2021年6月26日(土) 5:00pm 梅田芸術劇場メインホール 3階7列上手
(上演時間: 2時間50分/休憩 30分)



かなり年齢層高めな梅田芸術劇場(私も人のことは言えんが💦)。
入場の列で目の前に尚すみれさんがいらっしゃってテンション上がる・・・そうそう、すみれちゃんもあの時代だったよねーとキレッキレのダンサーだった現役時代に思いを馳せました。


司会やMCはなく、鮮やかなフューシャピンクのスーツを着て登場して、いきなり「LOVE LOVE LOVE」を歌い踊る湖月わたるさん。
わたるさん、相変わらず現役感ハンパない。
そして、バックダンサーの中にやたら頭身バランスとダンスが綺麗な人がいると思ってオペラあげたら、何と朝海ひかるさん。
コムさんは今や舞台ではすっかり“女優さん”ですが、この日は髪も短く、現役時代のコムさんが帰ってきたようま雰囲気でした。


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2021年06月27日

胸を焦がして 時間を止めて 月組 「Dream Chaser」


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夢を追い求める人という意味の“Dream Chaser”。
夢を追うひたむきな情熱をテーマにしたショーです。
この公演から組子全員出演となって、群舞もロケットも「人数多いなぁ」という印象。
というか、これまで出演者減の中、華やかさを失わず、本当にがんばってきましたよね。

「桜嵐記」で散々泣いた後、「ショーだから大丈夫」と思っていたらラストに盛大な泣きポイントが・・・ということもありつつ、珠城さんの魅力をたっぷり詰め込んだ、楽しく明るいショーでした。


スーパー・ファンタジー 「Dream Chaser」
作・演出: 中村 暁
作曲・編曲: 手島恭子  青木朝子
振付: 羽山紀代美  御織ゆみ乃  若央りさ  平澤 智  ANJU  百花沙里
衣装監修: 任田幾英   衣装: 薄井香菜
出演: 珠城りょう  美園さくら  月城かなと  鳳月杏  暁千星 ほか
(上演時間: 55分)



その他の出演者、観劇日時は「桜嵐記」と同じ(こちら


大きな三日月の下、大階段に登場する珠城さん。
明るく華やかなプロローグから始まります。

珠城さん、美薗さくらさんが舞台で踊り、大階段では鳳月杏さん、月城かなとさん、暁千星さん、風間柚乃さんの4人が歌うという贅沢なシーン。こういうパターンは珍しいのではないかしら。
次期月組1・2・3・4と目される4人。全員歌うまで、月組安泰だな。


情熱(スパニッシュ)
最初に観たのは2階席からだったのですが、上手花道に登場したブルーのマタドール衣装の鳳月杏さんの脚の長さに思わずオペラあげて二度見しました。上から見下ろす形であれって、ほんとちなつさんの頭身バランスどうなってるの?

同じく脚長マタドールで野性的な雰囲気の暁千星さんと美園さくらさんとの三角関係という感じのダンスで、3人横並びで手拍子していたと思ったらいつの間にか鳳月さんとさくらちゃんは踊るのをやめて見つめ合っていて、「なんやお前ら」(とは言ってないけど)みたいな争いの後、悔し気な顔をして下手に走り去る暁千星さん。
ここ、「ありちゃんがナイフかピストル取りに行ったと思った」人続出だったみたいですが、私ももちろんそう思いました。

が、実際は「早替り室へ」だったらしく(笑)、治安のよい月組は誰一人死ぬことなくこの場面は終了。
ここ、曲(「冷静と情熱のあいだ」 by 葉加瀬太郎)もよかったです。


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2021年06月25日

残りの命、一人の女だけにやりたいんや 月組 「桜嵐記」 キャスト編


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物語についてはまだまだいつまでも語り続けたいところですが(あんなに長々書いたのに)、キャストについて書いておきたいと思います。


宝塚歌劇 月組公演
ロマン・トラジック 「桜嵐記」
作・演出: 上田久美子
出演: 珠城りょう  美園さくら  月城かなと  光月るう  夏月 都  ほか



本編感想はこちら


珠城りょう (楠木正行)
勇壮で根っからのもののふ。
父正成の遺志をそのまま受け継いだような生真面目さと信念を持ち、歌に出てくる“大きな楠”そのもののような度量。
冷静でいつも自分を抑えていて、苦悩しながらも一族の長としての立場、南朝を護り導く者としての強い覚悟が感じられます。
弁内侍に対してもあまり表情に表さないながら心から愛おしく思っているであろうことが感じられ、だからこそ、「とても世に ながらうべくもあろう身の 仮の契りをいかで結ばん」の歌が切なすぎる。
凛とした立ち姿、武者装束も弓を構える姿もこれ以上ないくらい美しくお似合いです。腰を落とした殺陣も迫力抜群。
「「じゃかあしい!しょうむないことをごちゃごちゃと!」 「残りの命、一人の女だけにやりたいんや」・・・本編の感想でも書きましたが、本音の部分で出てくる河内弁もとても魅力的。
もちろんあて書きではあるのですが、歴史上の人物がこれほどハマるとは驚きです。もう楠木正行といえば珠城りょうさん以外思い浮かばないもん。
「月雲の皇子」の木梨軽皇子以来、珠城さんが主演した役はどれも好きですが、最後にして最高の当たり役となったのではないでしょうか。
上田久美子先生の珠城さんの魅力を知りつくしてさらに高みへ導いたような筆致もすごい。


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