2022年04月27日

普通でなくても 「next to normal」


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2009年ブロードウェイで初演され、トニー賞主演女優賞・楽曲賞・編曲賞を受賞。2010年には「RENT」に次いで、ミュージカルとしては史上2番目にピューリッツアー賞を受賞したミュージカル。
日本初演は2013年。今回は日本オリジナル演出版での再演です。

「だいもん(望海風斗さん)が出るなら観てみようかな」ぐらいの軽い気持ちでチケット取ったのですが、とんでもなく心揺さぶられる作品でした。


next to normal」 (ネクスト・トゥ・ノーマル)
音楽:トム・キット
脚本・歌詞:ブライアン・ヨーキー   訳詞:小林 香
演出:上田一豪
音楽監督:小澤時史
振付:小㞍健太   美術:池宮城直美
照明:吉枝康幸   衣裳:及川千春
出演:望海風斗  甲斐翔真  渡辺大輔  屋比久知奈  大久保祥太郎  藤田玲
  (安蘭けい  海宝直人  岡田浩暉  昆 夏美     橋本良亮    新納慎也)

2022年4月21日(木) 1:00pm 兵庫県立芸術文化センター 
阪急中ホール 1階H列センター
(上演時間: 2時間35分/休憩 25分)



ストーリー: アメリカ郊外の町に暮らす、両親と息子、娘という普通の四人家族のグッドマン家。平穏な生活を送っているように見える一家ですが、実は母親のダイアナ(望海風斗)は長年双極性障害を患い、現実と幻想の間で生きていました。夫のダン (渡辺大輔)はそんな妻を献身的に支えながらも疲れ切っています。ダイアナは息子のゲイブ(甲斐翔真)に愛情を注いでおり、娘のナタリー(屋比久知奈)は母から愛されていないと感じています。ダイアナの症状がますます悪化したある日、ダンは新しい主治医ドクター・マッデン(藤田玲)のもとへ彼女を連れて行きます・・・。


ミュージカルなのですが、今まで観たどんなミュージカルとも違っていました。
何というか、とてもストプレなのだけれど、まるで話すように台詞を歌う、といった感じ。それも膨大な量の台詞を。
キャストが歌えなければ成立しない作品とも感じましたが、その点は主演の望海さんはもちろん、6人とも歌うまさん揃いで耳福。

濃淡のグレーで統一され、鉄骨の骨組みのような2階建てのセットが組まれた舞台。
分割された部屋が回転してダイアナ家のダイニングルームや、ナタリーの学校、ドクター・マッデンの治療室などになって物語は展開します。


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2022年04月20日

歌があるミステリー・・・なのか? 「奇蹟」


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シス・カンパニー公演で北村想さん作、寺十吾さん演出というと「日本文学シアター 」かしらと思いがちですが、今回は北村想さん書き下ろしの新作戯曲です。


シス・カンパニー公演 「奇蹟 miracle one-way ticket」
作:北村 想
演出:寺十 吾
美術:松井るみ   照明:服部 基
衣装:前田文子   音楽:坂本弘道
出演:井上芳雄  鈴木浩介  井上小百合  岩男海史  瀧内公美  大谷亮介

2022年4月14日(木) 2:00pm 森ノ宮ピロティホール G列(4列目)センター
(上演時間: 1時間50分)



開演すると舞台に一人立つ鈴井浩介さん。
「私の名は楯鉾寸心(たてほこすんしん)」と名乗り、笑いをまじえながらこれから始まる物語の状況説明をするうち、斜め後ろのベッドに横たわっている男が浮かび上がります。男の名は法水連太郎(のりみずれんたろう/井上芳雄)で、警視庁のコンサルタントも務める敏腕私立探偵ですが、何かの事件に巻き込まれて記憶喪失になっている様子。医師である楯鉾とは、シャーロック・ホームズとワトソンのような関係らしく、互いにそう呼び合っています。法水探偵は、誰かから何らかの依頼を受けてこの場所に来ていたらしいのですが依頼者も依頼内容も思い出せません。法水を助けて看病してくれた少女マリモ(井上小百合)の祖父で行方不明となっている竿頭寬斎(大谷亮介)が依頼者で、森に謎を解く鍵があると推理した法水は楯鉾とともに「迷いの森」を探索しに行きます・・・。


ミステリーなのだけどどこなく不条理劇の香り。
そして笑いと歌!がある。

井上芳雄さん扮する法水探偵が、「もしかして僕は歌が好きだったんじゃないかな」と言って突然歌い出したのには笑ってしまいました。
それが案の定いい声でね。
北村想さんといえば、「風博士」(2020年)でも、フーさん(中井貴一)が、「この作家はやたらと役者に歌を歌わせるんだ」とおっしゃっていましたが、歌わせるの好きなのかな?


ミステリー=謎解き については、よくわからなかったというのが正直なところです。
ルルドの泉から、修道女(瀧内公美)の話のくだりは、「あの秋田の聖痕のあれだよね」とすぐに思い至りました。
後で調べたらちゃんとWikiにもありました(こちら)。


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2022年04月16日

音楽はいつだって僕らのそばに 「夜来香ラプソディ」


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キューブ創立25周年記念作品。
第二次世界大戦末期の上海が舞台で、河原雅彦さん演出、本間昭光さんの音楽というところも同じだったキューブの20周年作品「魔都夜曲」(2017年)と連作ということになるでしょうか。
「魔都夜曲」で松下洸平さんは服部良一をモデルにした人物の役でしたし、壮一帆さんはどちらの作品でも同じ川島芳子役で出演されています。


cube 25th presents 音楽劇 「夜来香ラプソディ」
作:入江おろぱ
演出:河原雅彦 
音楽:本間昭光
音楽監督・歌唱指導:福井小百合   バンドマスター:立川智也
振付:青木美保   アクション指導:前田悟
美術:松井るみ   衣装:生澤美子
出演:松下洸平  白洲 迅  木下晴香  壮 一帆  上山竜治  
夢咲ねね  仙名彩世  前田悟  山内圭哉  山西 惇 ほか

2022年4月10日(日) 12:00pm サンケイホールブリーゼ 1階H列センター
(上演時間: 2時間55分/休憩 20分)



「魔都夜曲」の感想はこちら


物語の舞台は第二次世界大戦末期 1945年の上海。
欧米や日本など列強各国が租界(行政自治権や治外法権を持つ外国人居留地)を設け、外国人が多く住み、「魔都」と呼ばれる゙異国情緒が溢れる華やかな都市となっていたこの街に、陸軍報道班員として渡ってきた日本の人気作曲家・服部良一(松下洸平)は、「夜来香」を作曲した中国人作曲家・黎錦光(白洲迅)や人気女優で歌手の李香蘭(木下晴香)と友情を育みます。ついに、彼らを中心にした大規模な西洋式コンサートの開催計画が持ち上がりますが、実現にいたるには日本軍や中国本土の政治勢力、上海マフィアによる思惑や数々の困難を乗り越えなければなりませんでした・・・。


幕開けはコンサート「夜来香ラプソディ」の始まり。
燕尾服に身を包みタクトを振る服部良一こと松下洸平さん。
「このようなご時世の中、お越しいただき誠にありがとうございます。異様な状況下でも、ここに来ることを選んでくださった皆さんに感謝いたします」という口上で幕を開けます。
1945年 戦時下の上海と、新型コロナウイルス感染症の影響下にある現代社会ーその二つの世界をともに覆う閉塞感が重なります。


ここから時間を遡って、服部良一が上海にやって来た日からコンサート開催に至るまでの物語が、コンサートの場面を間に挟みながら描かれます。
このコンサートは実際に開催されたものだそうで、1945年6月 終戦2ヵ月前の上海でこんなコンサートが開催されたことにまずは驚き。
服部良一さんはじめ、黎錦光さん、李香蘭さん、川島芳子さん、そして山内圭哉さんが演じた山家亨陸軍報道班少佐も実在の人物です。

史実とフィクションを織り交ぜて、「終戦間際にもかかわらず、人種やイデオロギーの壁を乗り越え、コンサートを開催しようとした人々の葛藤や夢を描く物語」ということですが、何となく表層的というか、実際に起こった出来事をなぞることに終始していて、実際はもっと深刻であったであろう戦争の暗い影があまり感じられない印象でした・・・音楽劇だから?(否)


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2022年04月03日

愛を捨てたら そこが地獄さ 劇団☆新感線 「神州無頼街」


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劇団☆新感線40周年興行として2020年に上演を予定されていた作品。
コロナ禍で全公演中止となってしまいましたが、2年を経て上演される運びとなりました。
手元にある2年前のフライヤーと比べてみると、橋本じゅんさん以外は主要キャスト全員ステイ。

初日と千穐楽と、保険のために真ん中あたりで1公演申し込んだら全部当選してしまって、3回も観るハメにありがたき幸せとなりました。


2022年劇団☆新感線42周年興行・春公演 
いのうえ歌舞伎 「神州無頼街」(しんしゅうぶらいがい)
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
美術:池田ともゆき   照明:原田保   衣装:竹田団吾
音楽:岡崎司   作詞:森雪之丞   振付:川崎悦子
殺陣指導:田尻茂一  川原正嗣   アクション監督:川原正嗣
出演:福士蒼汰  松雪泰子  髙嶋政宏  粟根まこと  
木村 了  清水葉月  宮野真守
右近健一  河野まさと  逆木圭一郎  村木よし子  
インディ高橋  山本カナコ  磯野慎吾  𠮷田メタル  
中谷さとみ  保坂エマ  村木仁  川原正嗣  武田浩二 ほか

2022年3月17日(木) 5:30pm オリックス劇場 2階1列センター/
3月25日(金) 1:00pm 1階6列センター/3月29日(火) 5:30pm 1階12列上手
(上演時間: 3時間15分/休憩 20分)



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物語の舞台は幕末の駿河国の清水湊。
侠客・清水次郎長(川原正嗣)の快気祝いが催される料亭には名だたる博徒の親分衆が集まっていました。他人の事情に勝手に口を出しては銭にする“口出し屋“の草臥(そうが/宮野真守)が客人の親分たちを調子よく迎える中、次郎長のひどい傷を治した”命の恩人”の町医者・秋津永流(あきつながる/福士蒼汰)の姿が見当たらず探しに行きます。
一方、快気祝いの席へ、今売り出し中の侠客・身堂蛇蝎(みどうだかつ/髙嶋政宏)が、妻・麗波(うるは/松雪泰子)、息子・凶介(きょうすけ/木村了)、娘・揚羽(あげは/清水葉月)を引き連れて現れ、毒サソリを使って親分衆を皆殺しにして去って行きます。駆けつけた永流の治療で危うく一命をとりとめた次郎長から事情を聞いた永流は、蛇蝎の操る毒虫と自分の出自との因縁を感じ、身堂一家の謎を探るため、彼らの根城である富士の裾野の無頼の宿に向かいます。蛇蝎の息子・凶介がかつて幕府の御庭番を勤めていた自分の同僚とうり二つだった草臥もそれを確かめるため、永流とともに旅立つのでした・・・。


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2022年03月27日

観る前から敗北 「INTO THE WOODS-イントゥ・ザ・ウッズ-」


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スティーヴン・ソンドハイムが1986年に発表、翌年ブロードウェイで初演されトニー賞3部門受賞したミュージカル。
2014年には、メリル・ストリープやジョニー・デップなど豪華キャストでディズニーの実写映画化もされました。

日本でもこれまで4度上演されているそうですが、今回は新翻訳、新演出での上演。
そして何といっても話題を集めたのは、望海風斗さん宝塚歌劇団退団後初舞台(コンサート「SPERO」「エリザベートガラ」はあったけれど)。
情報公開されるや私の周りの熱いnozomistさんたち、グッと前のめりでした。


ミュージカル 「INTO THE WOODS-イントゥ・ザ・ウッズ-」
作詞・作曲:スティーヴン・ソンドハイム
脚本:ジェームズ・ラパイン
演出:熊林弘高
翻訳・訳詞:早船歌江子   音楽監督・指揮:小林恵子
美術:杉浦充   照明:笠原俊幸   衣装:原まさみ
出演:羽野晶紀  古川琴音  毬谷友子  湖月わたる  朝海ひかる  
廣瀬友祐  花王おさむ  福士誠治  あめくみちこ  鈴木玲奈  
渡辺大輔  福井貴一  渡辺大知  瀧内公美  望海風斗  麻実れい(声の出演) ほか

2022年2月11日(金) 1:00pm 梅田芸術劇場メインホール 1階10列下手
(上演時間: 3時間10分/休憩 20分)



むかしむかしの物語。
ある王国の村のパン屋夫婦(渡辺大知・瀧内公美)子どもが授かりません。というのも、魔女(望海風斗)の呪いがかけられていたから。
魔女は夫婦に、呪いを解いてほしければ森へ行き、①ミルキーな白い牛 ②血のような赤い頭巾 ③黄色いコーンの髪 ④きらめく金の靴 を3日後の真夜中の鐘が鳴るまでに取ってこいと言います。
森へ入ったパン屋夫妻が出会うのは、それぞれに充たされない人生の屈折を抱えたおとぎ話の主人公たち。赤ずきん(羽野晶紀)は思春期真っ只中、シンデレラ(古川琴音)は継母(鞠谷友子)や姉(湖月わたる・朝海ひかる)たちにいじめられながらも王国のフェスティバルへの出席を計画、『ジャックと豆の木』のジャック(福士誠治)は唯一の財産である雌牛を豆5粒と交換してしまったり。そして塔の上に住むラプンツェル(鈴木玲奈)は母である魔女の言いつけを守り、幽閉の孤独に耐えています・・・。


人は自分のため、家族のため、自分の大切な人のために必死に努力をして生きていますが、その影で知らない誰かの人生が犠牲になっている・・・お互いの犠牲亡くしては人間の世の中は成り立たない。本当の敵は誰もが自分だけの幸福を願うがゆえのジェラシー、妨害、嘘、策略、罠。
人が本質的、普遍的に持つ「人間の業」がテーマとなっています。

このテーマや作品が描き出す世界観は嫌いではありません。
子どもの頃に読んだ「赤ずきん」をはじめとする童話の主人公たちが「えっ!」というようなキャラクターだったりするのもおもしろく観ました。

ただ、この舞台については、”観る前の雑音”が多すぎた-これにつきます。


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2022年03月19日

安心して住める星がひとつぐらいあるはず 「マーキュリー・ファー」


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「生き延びよう」
「今の星で生きていけないなら別の星を探そう。優しくてあったかい星を探すんだ。宇宙に星はたくさんあるから、安心して住める星がひとつぐらいあるはずだ」

最後にダレンがエリオットに言ったこの言葉。
そこに重なる激しい爆撃音。
今思い出しても涙が出てきます(これ書きながらまた泣いている・・・)。


「マーキュリー・ファー Mercury Fur」
作:フィリップ・リドリー
演出:白井晃
翻訳: 小宮山智津子
美術: 松井るみ   照明:齋藤茂男  衣裳:太田雅公
出演:吉沢亮  北村匠海  加治将樹  宮崎秋  
小日向星一  山﨑光   水橋研二  大空ゆうひ

2022年2月26日(土) 12:00pm 兵庫県立芸術文化センター 
阪急中ホール 1階C列下手
(上演時間: 2時間15分)



イギリスの劇作家 フィリップ・リドリーが2005年に書き下ろした作品。
2015年に白井晃さん演出で日本初演され、過酷な状況下で生きる兄弟を演じたのは、今をトキメク高橋一生さんと瀬戸康史さん。
今回、吉沢亮さん、北村匠海さんという人気者の共演ということも相まってチケット戦線がとんでもないことになり、世田谷パブリックシアターが転売と確認されたチケットの入場不可宣言まで出す事態となりました。


荒れ果てた廃墟のような暗い部屋にエリオット(吉沢亮)とダレン(北村匠海)兄弟がやってきて、何やら”パーティ”の準備をするため、部屋を片付け始めるところから物語は始まります。
兄のエリオットは足が悪く片足を引きずって歩き、弟のダレンは障害があるらしく言葉をうまく理解できないところがあるようです。
二人の会話から、少しずつわかってくることは

・ここは近未来の、ディストピアと化したロンドン
・街は暴力、略奪、殺人で荒廃し、幻覚作用のある「バタフライ」という薬物が蔓延している
・エリオットはバタフライを売って日銭を稼ぎ、ダレンはバタフライ常用者で記憶が混濁している

そこに一人、また一人と加わる登場人物たち
・この部屋に迷い込んできてバタフライ欲しさに準備を手伝い、ダレンと意気投合するナズ(小日向星一)
・トランスジェンダーでエリオットの恋人?のローラ(宮崎秋人)
・彼らのリーダー格のスピンクス(加治将樹)と彼が連れてきた「姫」と呼ばれる盲目の女性(大空ゆうひ)
・”パーティプレゼント”と呼ばれる、薬物中毒でほぼ意識が飛んでいる様子の少年(山﨑光)
・そしてこの日のパーティゲスト(水橋研二)


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