2023年11月26日

「天號星」大千穐楽カーテンコール&その他のキャスト(と早乙女太一)編


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劇団☆新感線「天號星」 11月20日 大千穐楽。
昔の新感線は千穐楽といえば打ち上げも前日に終わって、ユルユルだった印象がありますが、最近はそんなことなくて、この日もビシッと締まった、より深化した舞台を見せてくれました。その代わり、千穐楽特有のスペシャル的なものもなかったかな(2回しか観ていないので、私が気づいていないだけかもしれませんが)。

そうそう、朝吉が入れ替わった銀次(中身は半兵衛)と最初に会った時、11月8日は(俺の知っている銀次は)「産卵するウミガメみたいな目はしてなかった」と言っていましたが、この日は「ある晴れた日に連れられて行く仔牛」と言っていました。
ウミガメは東京でも既出らしかったですが、ドナドナは初めてかな?(笑)


本編の感想はこちら



新感線の千穐楽恒例お煎餅まき、今回もエアでした。
最後にリアルでお煎餅まきに参加したのはいつだったかなと調べたら2019年10月21日の「けむりの軍団」大千穐楽以来でした。
あの作品も古田さんと太一くんの共演だったなぁ。


古田さんが「新感線の千穐楽と言えば煎餅まきですが、お客様とできるだけコミュニケーション取らないよう気を遣っていまして・・・その割には客席通路あんなに出入りして、っていうね」とおっしゃっていました。
そして、「特別にアーティストをお呼びしました」「知らない人は興味ないでしょうが、知ってる人も興味ないと思います」という紹介で「誰?だれ?」な雰囲気の中、紅い背負ったばってん不知火(池田成志)登場。
客席大歓声の中、「紅の✖」熱唱。
罰ゲームだった模様で、「罰ゲーム進行中」「稽古初日サボった罪」「東京舞台稽古遅刻の罪」と字幕流れました。
そういえば、あまりよく聞き取れませんでしたが、♪稽古サボッてチクられて・・・みたいな歌詞で歌っていらっしゃいました(笑)。
「バッテン!」のところで客席もバッテンジャンプして大盛り上がり。

お煎餅は古田さんが投げてくれたものをダイレクトキャッチ(エアだけど)。
というか、律儀にお煎餅まいていたのは古田さんぐらいで、太一くんたちはお煎餅のことは忘れて?ずっとノリノリで踊っていました。

ワタクシ、自慢ではないですが、新感線の罰ゲーム遭遇率高い方だと思っていますが(今年は春公演の「ミナト町純情オセロ~月がとっても慕情篇~」でも遭遇)、これまでの罰ゲームの中でもとびきり楽しい一つとなりました。



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WWホールロビーのスクリーンに映し出される「天號星」のプロモーション動画。
楽しくて何度も見ちゃうし撮っちゃう。


本編の感想で触れなかったキャストについても少し。

久保史緒里さん(みさき)と山本千尋さん(いぶき)。
両人とも半兵衛の娘(実の娘ではない)という設定で、誰かと恋模様がある訳でもありませんが、実質的なヒロインポジションかな。

「2人とも知らない人だー」と思っていたのですが、久保史緒里さんは「どうする家康」の五徳だと知って「あの乃木坂の子か!」となり、さらには、山本千尋さんは「鎌村殿の13人」のトウだと教えられて「あの中国武術の子だったのか!」となりました。

最初の立ち回りで太一くん銀次が「なかなかやるな」と言っていたとおり、山本千尋さんいぶきのアクションのキレが凄まじかったです。
あの長い棒?を振り回す剣舞のような殺陣も美しかったです。
久保史緒里さんはかわいらしいルックスそのままのアイドル担当で、歌も聴かせてくれました。
お2人ともそれぞれの持ち分はもちろん、台詞、お芝居もしっかりしていて感心。

女優陣ではやっぱり高田聖子さん。
弁天は聖子さんの役にしては少し軽いかなとも思えますが、天號の星やみさきの不思議なチカラをよく知り、入れ替わった半兵衛のことを誰よりも理解する唯一無二の女性を聖子さんならではの軽すぎず重すぎない存在感で。スーパーな神通力を持つ巫女ではなく、ちょっと胡散臭い占い師で、半兵衛と銀次が入れ替わったこともまた元に戻れるのかも「天號の星や雷やいろんなことが重なった結果だからどうなるかわからないよ」というのもよかったです。

そんな弁天の弟子のこくり(中谷さとみ)が最後の大一番という前に荷物まとめて出て行ってしまう・・・そうとは言わないけれど弁天もそれをわかっていて送り出してやる、という場面が印象的でした。あの場面、どういう意図で入れたのか一度中島かずきさんにお聞きしてみたい(そこ?)

村木よし子さんのお伊勢もとてもよかったです。
村木さん、劇団の女優さんの中で強い女性の役を振られることが多い気がしますが、中島さんやいのうえさんに信頼されているのだろうなと感じます。

そして、池田成志先輩です。
もう、ひと癖あるイヤな奴臭プンプンで、常にテンションMAXなのさすがとしか言いようがありません。
11月8日に観た時、太一くん半兵衛とのやり取りで太一くんがちょっとグダグダになっちゃって「お前、何か間違っただろ?」とマジで言ってたの笑っちゃいました。
なるし~と粟根まことさんの悪徳奉行側、悪人だけど小物感満載で、安定感ハンパなかったです。


ダイナミックで華やかな殺陣、勧善懲悪と人情話、シンプルだけど動きのある舞台装置、相変わらず涙出そうなくらい美しい原田保さんの照明、ポニーテールの早乙女太一(そこ?)。
ワタシの好きな新感線がギュッと詰まった舞台でした。


2009年「蛮幽鬼」の刀衣で初めて新感線の舞台に立つ太一くんを観てから14年7作品。
ずっと観てきて、最後に舞台の真ん中に立ってタイトルを背負う姿は胸熱。
本編の感想でも書きましたが、そのラストのキマリが震えるほどカッコよくて、その姿に毎回涙流す次第となりました。


2011年に「髑髏城の七人」で無界屋蘭兵衛を演じる太一くんを観た時、「次の次 2025年ぐらいだと太一くん34歳で、捨之介と天魔王やるのにぴったりの年齢ではないか。ぜひやってほしい」とツイートしたことがあるのですが、今回の二役演じ分けを観てますますその思いが強くなりました。
天魔王は2018年に回る劇場でやっちゃったけれど、2025年ドクロイヤー いかがでしょうか(誰に向かって言ってる?)




しばらくゲキ×シネからも遠ざかっているけれど、この作品は観に行きたいな のごくらく度 (total 2432 vs 2429 )



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2023年11月25日

死にたくなかったら道をあけやがれっ! 劇団☆新感線 「天號星」


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一幕ラスト。
早乙女太一(銀次・中身は半兵衛)と早乙女友貴(朝吉)-二人の刀がガシッとぶつかり合ったまさにその刹那、逆光のシルエットとなって浮かび上がる二人の後方にバァーンと現れる「天號星」のタイトルバック。
震えるほどカッコよくて「え!何今の?!もう1回見たい!」と客電ついても興奮覚めやらず。タイトルバックが出るの、新感線史上稀にみる遅さでしたが、そのカッコよさも突き抜けていました。


劇団☆新感線43周年興行・秋公演
いのうえ歌舞伎「天號星」
作:中島かずき 
演出:いのうえひでのり 
美術:池田ともゆき  照明:原田保  衣裳:竹田団吾 
音楽:岡崎司  作詞:森雪之丞  振付:川崎悦子
殺陣指導:田尻茂一   川原正嗣   アクション監督:川原正嗣
出演:古田新太  早乙女太一  早乙女友貴  
久保史緒里  高田聖子  粟根まこと  山本千尋  池田成志
右近健一  河野まさと  逆木圭一郎  村木よし子  インディ高橋  
山本カナコ  礒野慎吾  吉田メタル  中谷さとみ  保坂エマ  
村木仁  川原正嗣  武田浩二 ほか

2023年11月8日(水) 12:30pm COOL JAPAN PARK OSAKA
WWホール K列センター/
11月20日(月) 12:30pm D列下手
(上演時間: 3時間/休憩 25分)



物語の舞台は元禄時代の江戸の街。
口入屋・藤壺屋の主人 半兵衛(古田新太)の裏の顔は、悪党を始末する「引導屋」の元締め・・・ですが、実はコワモテを買われて婿に入った気弱で人の好い元大工の棟梁で、真の元締めは女房のお伊勢(村木よし子)でした。ある日藤壺屋の娘いぶき(山本千尋)が引導屋の仕事中、金と「人を斬ることそのものが好き」なはぐれ殺し屋・宵闇銀次(早乙女太一)が現れ仲間二人は殺されてしまいます。銀次への仇討ちを誓ったいぶきでしたが、偶然お堂の中で一緒に雷に打たれた半兵衛と銀次は中身が入れ替わってしまい・・・。

半兵衛と銀次を中心に、半兵衛の元妻で渡り占いの弁天(高田聖子)、その娘で半兵衛が自分の娘と思っている神降ろしの巫女みさき(久保史緒里)、長屋一帯の利権を目論む材木奉行の明神甲斐守忠則(粟根まこと)と明神に取り入る引導屋と同業者の白浜屋真砂郎(池田成志)、そしてかつて斬り合った決着をつけるべく銀次をつけ狙う人斬り朝吉(早乙女友貴)などが入り乱れて物語は繰り広げられます。


入れ替わりモノということだけ知っていて、他は配役含めて全く白紙で臨んだのですがとてもおもしろかったです。
キレッキレの殺陣たっぷり、悪代官が暗躍するお約束の時代劇風味に、引導屋や長屋の人たちの人情世話物感、親子の情愛も、因縁の対決も、とモリモリの内容ながらすっきり整理されてダレることなく、そして切なさもあって(←ここ大事!)。

半兵衛と銀次が入れ替わるのは、雷と天號の星と巫女(みさき)の不思議な力と身代り札と・・という様々な要素がそれこそ”奇跡的に”一時に重なった結果ですが、その入れ替わった時、そこに居たのが弁天と弟子のこくり(中谷さとみ)というのがまずよく出来ていて、天號の星のチカラをよく知っている弁天だからこそこの事態をすぐに飲み込めるし、半兵衛(外見は銀次)にも説明することができたのだと思います。

最初の登場から、出て来ればキレッキレな刀さばきで血も涙もなく人を斬るサイコパスな殺し屋・銀次こと早乙女太一くんを、ここで中身を半兵衛にしてヨワヨワにしておいて、困惑の中で葛藤し、愛する者たちを守るために自分が強くならねばと心身ともに強くなっていく姿を見せる(中身は実はオッサンであっても)胸熱なドラマに仕立てられていて、その過程で今まで観たことがないような早乙女太一くんに出会えるという、中島かずきさんの筆致が冴えわたっていました。


続きがあります
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2023年11月11日

やっぱり大好き! 「アナスタシア」


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1997年に公開されたアニメ映画「アナスタシア」に着想を得て2017年にブロードウェイで初演されたれたミュージカル。
ロシア革命で処刑されたロマノフ王朝の末娘アナスタシアが生きていたという「アナスタシア伝説」にもとづいたロマンティックな物語をすばらしい楽曲の数々で綴られた作品です。

2020年に宝塚歌劇 宙組で観て大好きで何度も通った舞台。
梅芸版は2020年の初演がコロナ禍のため大阪は全公演中止となったため、今回初めてでした。


ミュージカル 「アナスタシア」
オリジナルクリエイティブスタッフ
脚本:テレンス・マクナリー
音楽:ステファン・フラハティ
作詞:リン・アレンス
振付:ペギー・ヒッキー
演出:ダルコ・トレスニャク
美術:アレクサンダー・ドッジ   衣裳:リンダ・チョー   映像:アーロン・ライン   照明:ドナルド・ホルダー
翻訳・訳詞:高橋亜子   振付補:三井聡
出演:葵わかな  海宝直人  堂珍嘉邦  大澄賢也
朝海ひかる  麻実れい ほか

2023年10月20日(金) 6:00pm 梅田芸術劇場メインホール 2階5列センター
(上演時間: 2時間50分/休憩 25分)



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物語の舞台は20世紀初頭、帝政末期のロシア。
1906年 サンクトペテルブルクの王宮でロシア帝国皇帝ニコライ二世の末娘アナスタシアがパリへ旅立とうとしている祖母 マリア皇太后(麻実れい)からオルゴールを贈られる場面から始まり、美しく成長したアナスタシア(葵わかな)と両親、姉たちが舞踏会で踊る中、突然、銃声が響いてボリシェヴィキたちが乱入してくるロシア革命へと続きます。
そして、サンクトペテルブルクがレニングラードと名前を変えた1927年。街中ではアナスタシアが生きていると噂する声がまことしやかに広がり、パリに住むマリア皇太后は、アナスタシアを探すため多額の賞金を懸けます。それを知った詐欺師のディミトリ(海宝直人)とヴラド(大澄賢也)は、記憶喪失の少女アーニャ(葵わかな)をアナスタシアに仕立て上げ賞金をだまし取ろうと企て、アーニャに作法など様々なことを教え込んで三人でマリア皇太后の住むパリへと旅立ちます。一方、ボリシェビキの将官グレブ(堂珍嘉邦)もアナスタシア暗殺命令を負い、三人の後を追ってパリに向かいます。やがてアーニャは少しずつ昔の記憶を取り戻し・・・。


宝塚歌劇宙組(2020年)の感想はこちらこちら


宝塚で先に観て、同じ作品を外の舞台で観るとがっくし⤵となることが少なからずあるのですが(その最たるものは「ロミオとジュリエット」)、この舞台はとてもよかったです。

宝塚版はやっぱり男役のディミトリ主役の物語に改変していたことが今回オリジナル版を観てよくわかりました。もちろん宝塚版もとても上手く潤色されていたと思います(同様のパターンにトート主役のに「エリザベート」があります)。

楽曲がどれもいいのがまずあって、キャストも演出も、映像駆使した舞台美術も素敵でした。
あのプロジェクションマッピングの背景がとてもクオリティ高くて、2階席から観たこともあってか、本当に綺麗で精巧で遠近感もあれば壮大さもあって。銃撃でガラス割れる映像もすばらしかったし、写実的な部分ばかりでなく、パリへ向かう列車の背景が地図になっていたり、パリではエッフェル塔に上ったりムーラン・ルージュに飛んだする映像演出も楽しかったです。
舞台で映像使うのはあんまり・・派の不肖スキップですが、もうそんなこと言っていられない時代(と技術)になったんだなぁと実感しました。

とにかく楽曲がよい(二度目)のですが、いろんな場面でのリプライズの使い方も秀逸だと思います。
たとえば、オペラ座でアーニャとディミトリを見送ったヴラドが歌う♪ただ一つ計算外だったのは二人のロマンス 始まりはあの日のダ~ンス の部分が ♪The Countess And The Common Man 貴族とただの男 のメロディだったり。

訳詞や台詞が宝塚版とは少し違っていて、 Once Upon A December は "あの日の12月" ではなく "遠い日の12月"になっていました。
ラストのアレクサンドル三世橋でのアーニャの台詞は今回「大公女アナスタシアは意義を唱えます」でしたが、これは宝塚版の「大公女アナスタシアは許しませんよ」が断然好きでした(稲葉先生GJ!)
でもここで、二人の間にあるトランクの上に乗ってディミトリにキスするアーニャ、最高に可愛かったです(宝塚版にはなかった演出)。


今回、アーニャはじめ、プリンシパルキャストはマリア皇太后を除いてすべてダブルまたはトリプルキャスト。

アーニャ: 葵わかな・木下晴香
ディミトリ:海宝直人・相葉裕樹・内海啓貴
グレブ:  海宝直人・堂珍嘉邦・田代万里生
ヴラド:  大澄賢也・石川禅
リリー:  朝海ひかる・マルシア・堀内敬子
リトルアナスタシア:内夢華・鈴木蒼奈・戸張柚

まずディミトリの海宝直人さんありきで、リリーは朝海ひかるさんがいいなと選んで私がいける日(かつチケット取れた日)がこの日だけで、こういうキャストで拝見しました。


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葵わかなさんは私にとっては今でも「わろてんか」(2017年の朝ドラ)のてんちゃんなのですが、舞台を観るのは「パンドラの鐘」(2022年)以来2作目でした。
初演の「アナスタシア」も他のミュージカルでもよい評判を耳にしていていて、なるほどあんなに歌える女優さんだったのね、と感心(私が観た日は高音は少しつらそうでしたが)。
表情豊かで溌剌としていて、ダンスのレッスンでわざとディミトリの足を蹴ったりするおきゃんな感じもかわいかったです。ドレスもよくお似合いでした。
木下晴香さんのアーニャも観てみたかったな。

海宝直人さん何だかディミトリそのもののようでした。
"My Petersburg" 俺のペテルブルク は東京ではほぼ毎回ショーストップになっていたと聞きましたが、むべなるかな。
歌がうまいのはもちろんですが、あの1曲にディミトリのすべてが込められていて、これまで生きてきた道や人としての矜持を知る思い。ラストの ♪この街を~ のロングトーンも凄かったです。
悪役フェチとしてグレブ大好きなので、海宝さんのグレブも観てみたかったです。

そのグレブは堂珍嘉邦さん。
表情少なくて冷たい感じながら実はアーニャに惹かれていることも、父親から受け着いた革命の理念にがんじがらめになりながらもついに自分の意志で断ち切るに至る揺れがよく感じられました。歌はやっぱりお上手。

グレブでいうと、すごく怖かったらしい田代万里生さんグレブも観てみたかったなぁ。

ヴラドは大澄賢也さん。
イケイケでノリノリのイケオジでした。
ダンスがお上手なのは周知のことですが、歌もきっちりとこなしていらして、さすがたくさんのミュージカル作品に出演されているのは伊達ではありません。

楽しみにしていた朝海ひかるさんのリリー。
実は宝塚版の和希そらさんのリリーが好き過ぎて、どうだろうと思いながらでしたが、チリチリ頭(言い方)なのにコケティッシュで、元貴族の上品さは失わずにちゃんと笑いも取れる魅力的なリリーでした。
お得意のダンスは相変わらずステキでしたが、歌も思いがけず(失礼!)よく声が出ていて「あれ?コムちゃん歌うまくなった?」と感心したりも。

そして、麻実れいさんのマリア皇太后。
ひとたび現れると場を圧倒するような存在感、威厳と品。
マリア皇太后の気位の高さや気難しさの中に限りない孤独も滲ませていて、だから、ラストシーンで「それでも・・」と結んだ時の彼女の穏やかな微笑みに、そばにアナスタシアはいなくても心で繋がっていて、もう孤独ではないことが感じられて、こちらまで何とも言えない気穏やかな気持ちになりました。


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改めて「アナスタシア」大好きだ と感じた舞台。
他のキャストの日のチケット取っていなかったことをとても後悔しました のごくらく地獄度 (total 2427 vs 2426 )


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2023年11月09日

ディストピア世界のピュアラブ 「眠くなっちゃった」


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ケラリーノ・サンドロヴィッチさんと緒川たまきさんが主宰する演劇ユニット「ケムリ研究室」。
2020年に旗揚げ公演「ベイジルタウンの女神」、2021年は安部公房原作の「砂の女」を上演、今回が第三弾です。


ケムリ研究室no.3 「眠くなっちゃった」
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
振付:小野寺修二   映像:上田大樹   音楽:鈴木光介
美術:BOKETA   照明:関口裕二   衣裳:黒須はな子
出演:緒川たまき  北村有起哉  音尾琢真  奈緒  水野美紀
近藤公園  松永玲子  福田転球  平田敦子  永田崇人
小野寺修二  斉藤悠  藤田桃子  依田朋子
山内圭哉  野間口徹  犬山イヌコ  篠井英介  木野花

2023年10月28日(土) 12:00pm 兵庫県立芸術文化センター 
阪急中ホール 1階A列センター
(上演時間: 3時間25分/休憩 15分)



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気温までも政府に管理される近未来のどこかの国。
かつて様々な犯罪に手を染めていた娼婦のノーラ(緒川たまき)は夫のヨルコ(音尾琢真)と暮らしていますが、実はヨルコはすでに亡くなっていてこれは家庭用ロボット。ロボットの所持は禁止されており、政府の回収業者によりヨルコのロボットは回収されてしまいますが、泣きちゃくるノーラに新任の指導監視員リュリュ(北村有起哉)は同情以上のものを感じるようになります。ある日リュリュは、当局により山に廃棄された家庭用ロボットの音声テープ(ヨルコの声も入っている)を盗み、ノーラを連れて逃げますが、二人の逃避行は当局の知るところとなり・・・。

ノーラとリュリュを中心に、ノーラの娼婦仲間のシグネ(水野美紀)を無理やり情婦にしているゴーガ(山内圭哉)と従者のナンダ(野間口徹)、ゴーガのお気に入りの歌手で歌をつくるために人の記憶を吸うボルトーヴォリ(篠井英介)、ノーラが住むアパートの大家ウルスラ(犬山イヌコ)の一家、ウルスラの娘ナスカ(奈緒)の恋人アーチー(永田崇人)とその母親アルマ(平田敦子)など、彼らを取り巻く人々の物語が繰り広げられます。


近未来SFでディストピア
エロティックでバイオレント
退廃的で猥雑で残酷

だけど

ピュアラブストーリーでした。
笑わないリュリュのノーラへの不器用で一途な思いが切ない。


続きがあります
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2023年10月15日

この子の時代は幸せで自由 「ラグタイム」


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1996年にカナダで初演され、1998年にはブロードウェイで上演、トニー賞で最優秀脚本賞など4部門を受賞したミュージカルの日本初演。

20世紀初頭、アメリカの移民の約9割がやって来たと言われる激動の時代のニューヨークを舞台に、ユダヤ人、黒人、白人の3つの家族が、差別や偏見に満ちた世界を変えていこうとする群像劇。


ミュージカル 「RAGTIME」 ラグタイム
脚本:テレンス・マクナリ―
歌詞:リン・アレンズ
音楽:スティーヴン・フラハティ
翻訳:小田島恒志   訳詞:竜 真知子
演出:藤田俊太郎
振付:エイマン・フォーリー
音楽監督:江草啓太   美術:松井るみ   衣裳:前田文子
出演:石丸幹二  井上芳雄  安蘭けい
遥海  川口竜也  東 啓介  土井ケイト
綺咲愛里  舘形比呂一  畠中 洋  EXILE NESMITH ほか

2023年10月7日(土) 12:30pm 梅田芸術劇場メインホール 1階12列センター
(上演時間:3時間5分/休憩 25分)



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物語の舞台は20世紀初頭のニューヨーク。
娘の将来を思いラトビアから移民としてアメリカにやってきたユダヤ人のターテ(石丸幹二)。
流行の音楽“ラグタイム”を奏でる才能ある人気黒人ピアニスト コールハウス・ウォーカー・Jr.(井上芳雄)。
裕福な白人家庭になりながら偏見を持たず、正義感にあふれるマザー(安蘭けい)。
ある日、コールハウスに愛想をつかした恋人のサラ(遥海)が2人の間に生まれた赤ん坊をマザーの家の庭に置き去りにしたことから、3人と彼らを取り巻く人々の運命が交錯していきます。
ヘンリー・フォードや J.P.モルガン、エマ・ゴールドマン、ブッカー・T・ワシントンといった実在した実業家や政治家も登場して、アメリカの当時の歴史を描く叙事詩のような趣きです。


真ん中に白人のグループ、上手にユダヤ人、下手に黒人たちと色分けされた切り絵の幕。
まるでその絵が動き出すように白人グループから順に登場人物が出てくるオープニングがとても洒落ています。
やがて全員で「Raggime」のコーラスとなりますが、動きや歌い方がそれぞれの人種ごとに違っていて、衣裳の色の違いもキャッチーにくっきり際立たせていて、一気に物語世界へ引き込まれます。


続きがあります
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2023年10月09日

ナマの人間が見せてくれる奇跡 「ハリー・ポッターと呪いの子」


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「ハリー・ポッター」シリーズの原作者・J.K.ローリングが自ら脚本家のジャック・ソーン、演出家のジョン・ティファニーとともに創作したオリジナル・ストーリー。シリーズとしては8番目の物語となります。
2016年にロンドンで初演以降、ニューヨーク、サンフランシスコ、メルボルン、ハンブルク、トロントと上演されてきて東京公演が世界で7番目、アジアでは初の上演となるそうです。

赤坂ACTシアターが大規模改修工事を経て「ハリー・ポッターと呪いの子」専用劇場としてリニューアルオープンしたのが昨年6月16日。
特に「ハリー・ポッター」フリークという訳ではありませんが、ハリー役の豪華役替りもあって話題沸騰、興味シンシン。ただし観るならハリーは藤原竜也くん一択・・・と第1期のチケットにチャレンジしましたが、行きたい日に間違えてSプラス席(6歳~15歳)取ってしまったこともあってあえなく敗退。「もう竜也くんのハリーは観られないなぁ」と思っていたらまさかの再登板で、今度こそと張り切ってチケット取りまして、1年3ヵ月遅れの my 初日でした(そして多分千穐楽でもある)。


「ハリー・ポッターと呪いの子」
オリジナルストーリー:J.K.ローリング
脚本・オリジナルストーリー:ジャック・ソーン
演出・オリジナルストーリー:ジョン・ティファニー
振付・ステージング:スティーヴン・ホゲット
美術:クリスティーン・ジョーンズ   衣裳:カトリーナ・リンゼイ
音楽&編曲:イモージェン・ヒープ   照明:ニール・オースティン
イリュージョン&マジック:ジェイミー・ハリソン
出演:藤原竜也  笹本玲奈  迫田孝也  松田慎也  馬渕英里何  
福山康平  門田宗大  佐竹桃華  橋本菜摘  鈴木結里
木場允視  間宮啓行  高橋ひとみ/声の出演:吉田鋼太郎 ほか

2023年9月21日(木) 12:15pm 赤坂ACTシアター 1階C列センター
(上演時間: 3時間40分/休憩 20分)



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地下鉄の駅を降りて劇場へ向かうところからハリー・ポッターの世界。
もちろん劇場の中はカーペットも張り替えてハリー・ポッター一色。
始まる前からワクワクが止まりません。



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本棚の本がキャストボードになっているのも洒落ています。


続きがあります
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