2025年01月04日

アイはコロシアイ 「阿修羅城の瞳2003」


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2025年エンタメはじめはゲキ×シネから。


GEKI×CINE 20th Anniversary Project vol.2
GEKI×CINE 20th☆Tour
「阿修羅城の瞳 2003」

作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:市川染五郎(現 松本幸四郎) 天海祐希  夏木マリ  
高田聖子  橋本じゅん  小市慢太郎  近藤芳正  伊原剛志 ほか

2025年1月2日(木) 3:05pm Tジョイ梅田 スクリーン6
(上映時間:2時間55分)



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物語の舞台は文化文政時代の江戸。
一見平和そうに見えるその裏で、人と鬼との激しい戦いが繰り広げられ、江戸の闇から魔を祓うために特務機関「鬼御門(おにみかど)」が組織されていました。
病葉出門(わくらばいずも/市川染五郎)は、そこで“鬼殺し”と恐れられる魔事師でしたが、五年前のある事件を境にそれまでの一切を捨て、今では鶴屋南北(小市慢太郎)一座に弟子入りしていました。 そんな彼の前に謎の女盗賊つばき(天海祐希)が現れます・・・。


昨年から続いている GEKI×CINE 20th☆Tour 
観たい作品もたくさんあったのですが、ライブ活動(←)に忙しく、なかなかゲキ×シネまで手がまわらず・・・「阿修羅城の瞳」は、今年宝塚歌劇星組で上演されることもあって、復習と予習を兼ねて観てきました。

2003年に松竹座で観た舞台。
2000年に上演された舞台(つばきが富田靖子さん、邪空は古田新太さん)も観ています。
このゲキ×シネは2015年に制作、公開されたもので、その時にも観ましたので、10年ぶりです。

舞台観たのが22年前⁉️と眩暈しそうですが、今観ても全然古くないし、アグレッシブでとてもおもしろかったです。
新感線が大好きだったあの頃(今も大好きなことに変わりないけれど、あの頃の感覚とは微妙に違う)の血湧き肉踊る感覚を思い出しました。 染五郎さんも天海祐希さんも若くて美しくてギラギラしているけれど、観ている私も若かったんだな、と(≧▽≦)

そして、やはりあの頃の新感線が好きだったな、と改めて思いました。
映像や舞台装置など、今の新感線からは考えられないくらい荒削りですが、それが却っていい味出していたり。
出門とつばきの因果、阿修羅転生への三位一体、戻橋・・・一つひとつが細かく構築され張り巡らされてビシビシ決まっていく快感。
中島かずきさん全盛期と言えるのではないかしら。


続きがあります
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2024年08月11日

ニューファンドランドの奇跡 「カム フロム アウェイ」


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23年前の今日 8月11日 私はニューヨークにいました。
夏の休暇をワシントンとニューヨークで過ごした最後の夜で、最後にマンハッタンの夜景をビルの上から眺めようと、エンパイアステートビルとどちらにしようか迷って、ワールドトレードセンタービル(WTC)を選びました。
超高速エレベーターに乗って110階の展望台から眺めた夜景の美しさは今でもよく覚えています。

WTCビルに旅客機が激突し、2つのビルが跡形もなく崩壊してしまったのは、それからちょうど1ヵ月後 2001年9月11日のことでした。


この物語は、カナダのニューファンドランド島の小さな町を舞台に、あの911が起こった日から5日間の奇跡の物語。


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SkyシアターMBS オープニングシリーズ
ブロードウェイミュージカル「カム フロム アウェイ」 COME FROM AWAY
脚本・音楽・歌詞:アイリーン・サンコフ  デイビット・ハイン
演出:クリストファー・アシュリー
ミュージカルステージング:ケリー・ディヴァイン
翻訳:常田景子   訳詞:高橋亜子
音楽監督:甲斐正人   演出補:田中麻衣子   振付補:青木美保
美術補:石原 敬   照明:日下靖順   衣裳:阿部朱美
出演:安蘭けい  石川 禅  浦井健治  加藤和樹  咲妃みゆ
シルビア・グラブ  田代万里生  橋本さとし  濱田めぐみ
森 公美子  柚希礼音  吉原光夫 (五十音順)

2024年4月10日(水) 1:00pm SkyシアターMBS 1階M列センター/
4月14日(日) 12:00pm 1階F列センター
(上演時間:100分)



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物語は、ニューファンドランド島のガンダー空港がある街のカフェで人々ののどかな朝の様子から始まります。
カフェにいた市長に、普段なら1日に6便しか着陸しない空港に大量の飛行機が次々着陸し空港がいっぱいになっている情報がもたらされます。
ニューヨークでの同時多発テロ発生によって、アメリカ合衆国政府が一時的に上空を封鎖し、一切の飛行機の離着陸を禁止する措置を取ったため、旅客機はやむを得ずニューファンドランド島へ向かい、ガンダー空港は突然39機の飛行機と7000人、そして19匹を受け入れることになりました。
人口1万人の町が倍近い人間を、それも言葉も風習も異なる数多の人間を受け入れ、5日間を共に過ごして、乗客たちが無事に飛び立っていく、までの、実話に基づいた物語です。


12人のキャストが100近くの役を次々演じて、爆速で展開するノンストップの100分。
全員で歌う最初のナンバー ♪Welcome To the Rock から涙が溢れて、何度も込み上げるものが😭


報道があの事件一色だったころ、「ニューファンドランド島」という言葉をチラリと耳に挟んだような気もしますが、TVに映し出される衝撃的な映像に夢中で記憶から消し去っていったのかもしれません。
あの時間の影で、こんなことが起こっていたなんて、心を馳せる余裕すらありませんでした。

何よりもまず、ガンダーの人々が、学校などの施設に旅客を泊める準備をして、必要な物資を大量に集め、乗客たちの様々なリクエストにも応えようとするその”献身”に驚きました。見ず知らずの人々のために、人ってあんなに善意に満ちた行動がとれるものなんだ、と。
そんな中にあって、ムスリムの人への対応や、乗客の側にもトイレ掃除のボランティアに手を挙げる人がいなかったり、そりゃキレイゴトや美談ばかりじゃないよねと実感したりもします。
それでも、人が人として人のために(動物たちのためにも)できること、その強さ温かさ、そして希望に、胸がキュッとなりました。

印象に残っている場面はたくさんありますが、バスの運転手(浦井健司さん)が、アフリカ人の乗客に心配しないで、と伝えたいけれども言葉がわからない・・・「そうだ!聖書は違う言葉で書かれていても番号は同じはずだ」と”思い煩うことなかれ”という一節を指で示すシーン、とてもよかったです。
乗客の側のそれまでの警戒心が解かれたのと同時に、言葉や人種や違っても同じものを信じる同志とわかり合った瞬間でもあったのね。
このあたりは「信じる神を持つもの」の強さだなと少しうらやましくもありました。

財布を盗られるのをとても警戒していた男性(多分 加藤和樹さんだったかな)が他人の庭のBBQコンロを盗もうとしたら家主に見つかって「やるよ」と言われてかえって面食らうシーンも印象的。ガンダーの人たち、どんだけ人が好いんだ。


群像劇で、全員がガンダーの街の人だったり乗客だったり、あるいは乗員だったりもします。
上着を着たり脱いだり、帽子をかぶったりするだけで瞬時に乗客がガンダー市長になったり、街の人が機長になったりします。
目まぐるしく早替りしながら、役者さんたち自ら椅子を並べ替えて飛行機の機内になったり、避難所になったり。
ほぼ全員が動くこのフォーメーションもとても緻密につくられていて、一糸乱れぬとはまさにこのこと。
これを歌い踊りながらやる役者さんたちは本当に大変だったと思いますがお見事でした。



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力量あるキャスト揃いで12人全員が主役でプリンシパルでアンサンブル。
誰かを挙げてあれこれ言うのは野暮というものですが、印象に残った人たちを少し。

濱田めぐみさんが歌唱も存在感も抜きん出ていましたが、役の一つがAA航空初の女性機長というのも大きかったかな。
コーラス主体の作品でソロらしいソロはこのビバリーだけだったかと思いますが、”女だから”という抑圧に打ち勝って自分の居場所=空を得た喜びを高らかに歌い上げる姿に心打たれました。
他の女性キャストたちが立ち上がってビバリーに寄り添うように歌声を重ねるのもとてもよくて、彼女たちがそれぞれに様々なものと戦って勝ち得てきたものの尊さ、その強さを思い、改めてここに登場する一人ひとりに物語があることに思いを馳せました。


執拗な身体チェックを受けるモスリムの乗客とぶっ飛び面白キャラという振り幅の大きさ見せた田代万里生さんも印象的。

そしてもちろん柚希礼音さんも。
関西弁が隠し切れないビューラがよい意味でオーラを消していて、おしゃれな服を着るでもない田舎町のごく普通の中年女性で、明るくテキパキした働き者でした。
それでも、10周年のシーンで広いスタンスでリズム踏む柚希さんがまんまあの頃のちえちゃんで泣き笑いでした。
4月14日は大阪千穐楽で、最後だから「後で私のところへ来て」とビューラに言ってもらいたくて「ニューファンドランド語を喋りたい人〜」に元気よく手を挙げたわぁ←


ブロードウェイ版はスター俳優ではない人たちをオーディションで集め、登場人物の無名性を大事にした作品ということで、スターばかりを集めた日本版は真逆のスタンスですが、キャスト一人ひとりがその趣旨を十分に理解して実力を発揮していてすばらしかったです。
いつか再演されるかな・・・再演されるとしても今回のキャストが全員揃うことは多分あり得ないでしょうから、日本初演のこの「カム フロム アウェイ」を観たことを、舞台を愛する者の端くれとして、誇りにしたいと思います。



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こんなビアあるとつい飲んじゃうよねー



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開演前と終演後で空の色が違っていました


4ヵ月も前に観た舞台の感想いつ書くの 今日でしょ のごくらく地獄度 (total 2277 vs 2284 )



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2024年03月19日

僕たちの心は月だけが知っている 「ベートーヴェン」


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昨年1月に韓国で世界初演された、ミヒャエル・クンツェとシルヴェスター・リーヴァイによる新作ミュージカルの日本初演。
クラッシック音楽の世界で最も偉大な音楽家の一人であり「楽聖」とも称されるルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、聴力を失いながらも音楽への希求を続けた苦難の人生を、〝不滅の恋人〟と言われたアントニー・ブレンターノとの愛とともに描いた作品です。


ミュージカル 「ベートーヴェン」
脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
演出:ギル・メーメルト
翻訳:増渕裕子   訳詞:竜 真知子
音楽監督:甲斐正人
セット・映像デザインディレクター:オ・ピリョン
振付:ムン・ソンウ   照明:日下靖順   衣裳:生澤美子
出演:井上芳雄  花總まり  小野田龍之介  木下晴香
渡辺大輔  実咲凛音  吉野圭吾  佐藤隆紀 ほか

2024年1月20日(土) 5:00pm 兵庫県立芸術文化センター
KOBELCO大ホール 1階12列上手
(上演時間: 2時間50分/休憩 25分)



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物語はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(井上芳雄)の葬儀から始まり、後半生を遡る形で展開します。
19世紀オーストリア・ウィーン。
当代最高のピアニストであり作曲家として名声を博していたベートーヴェン(井上芳雄)ですが、幼少時に父から受けた虐待や弟カスパール(小野田龍之介)との確執、さらに聴覚障害・・・と苦難の中で愛や人を信じられないまま孤独に生きていました。ある日、ベートーヴェンは自分に無礼を働いた貴族たちに謝罪させようとパトロンであるキンスキー侯爵(吉野圭吾)を訪ねた際、窮地を救ってくれたアントニー・ブレンターノ(花總まり)に出会います。愛を信じないベートーヴェンと、夫があり裕福な家庭でありながら愛を感じたことがないトニは互いに心を寄せ合うようになります。しかし、彼らの道ならぬ恋は世間に暴かれることとなり、トニはわが子を守るため夫フランツ(佐藤隆紀)の要求を聞き入れ、ベートーヴェンとの関係を断ちます。愛するトニを失い、聴力も完全に失くしたベートーヴェンは・・・。


まず、最も印象的だったのが音楽。
リーヴァイさんのオリジナル曲はもちろん、場面場面を彩るベートーヴェンの楽曲のアレンジとクンツェさんの歌詞がすばらしい。
「悲愴」 「月光」 「英雄」 「運命」 「田園」 「皇帝」 「エリーゼのために」 そして「第九」。
クラシックにそれほど明るい方ではない私でも耳慣れた旋律がたくさん流れて、やはりベートーヴェンは偉大だなと改めて感じるとともに、これら名曲の数々が、ロック調やポップス調のアレンジで歌になりダンスになり、この曲をここで?の意外性もあって新鮮。楽曲だけでも本当に聴きごたえたっぷり。
もちろんそれらを歌いこなす実力派揃いのキャストの歌唱、コーラスにも拍手👏

「第九」の第三楽章が大好きなのですが、いくつかの場面に出てくるたびに編曲も歌詞も違っていて新鮮。
あの美しくも切ないメロディで、トニとの別れを前に、♪僕たちの心は月だけが知っている と歌うルートヴィヒに涙ぼとぼとこぼれました

舞台三方を壁で囲うというシンプルながら特徴的な装置。
場面によって移動する壁に映し出される映像も凝っていました。


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2024年02月22日

最後のワードは relax 「オデッサ」


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三谷幸喜さん 2020年の「大地」以来、3年半ぶりの新作書き下ろしの舞台。
アメリカ・テキサス州オデッサを舞台に、英語ができない日本人旅行客と日本語が理解できない警察官、語学留学中の日本人青年通訳の3人による会話劇です。


「オデッサ」
作・演出:三谷幸喜 
美術:松井るみ   照明:服部基   衣裳:前田文子
英語監修:宮澤エマ   鹿児島弁指導:迫田孝也
出演:柿澤勇人  宮澤エマ  迫田孝也
音楽・演奏:荻野清子
ナレーション:横田栄司

2024年2月7日(水)1:00pm 森ノ宮ピロティホール C列センター
(上演時間: 1時間45分)



1999年秋 アメリカ テキサス州の平凡な地方都市オデッサが舞台。
ある日本人旅行者(迫田孝也)が3日前にこの町で起きた殺人事件の重要参考人として事情聴取を受けますが、彼・児島勘太郎は英語が全く話せず、捜査にあたるオデッサ警察のカチンスキー警部(宮澤エマ)は日本語を理解できません。そのため、地元ホテルのジムでトレーナーとして働く日本人留学生のスティーブ日高(柿澤勇人)が通訳として駆り出され、彼の通訳で取り調べが始まります・・・。


”登場人物は三人。 言語は二つ。 真実は一つ。密室で繰り広げられる男と女と通訳の会話バトル。 ”
というフライヤーに書かれたコピーだけちらりと見ていて、あとは全く白紙の状態で観ましたが、いや~ おもしろかったです。
書き手としての三谷幸喜さんの力量を改めて思い知らされました。


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2024年02月13日

ルパンであってルパンでないような・・・「LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~」


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2月11日はこちらの公演も大千穐楽を迎えました。
昨年 11月9日の帝国劇場の初日から、名古屋、大阪、福岡、長野とこの状況下で3ヵ月間75公演完走できたこと、本当にすばらしいです👏

モーリス・ルブランの「怪盗ルパン」シリーズを下敷きに小池修一郎先生がドーヴ・アチアさんとタッグを組んで自由な発想で描き出した冒険活劇ロマン。
カリオストロ伯爵夫人役の希礼音さん、真風涼帆さんという宝塚歌劇団新旧トップスターのWキャストも話題になりました。しかも真風さんはこの作品が退団後初舞台。



ミュージカル・ピカレスク
「LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~」

脚本・歌詞・演出:小池修一郎
音楽:ドーヴ・アチア   共同作曲:ロッド・ジャノワ
音楽監督・編曲:太田健
振付:桜木涼介
美術:松井るみ   照明:笠原俊幸   衣裳:生澤美子
出演:出演古川雄大  真彩希帆  黒羽麻璃央/立石俊樹(Wキャスト)
加藤清史郎  勝矢  小西遼生  柚希礼音/真風涼帆(Wキャスト)
宮川 浩  章平 ほか

2023年12月30日(土) 5:00pm 梅田芸術劇場 1階4列目センター/
2024年1月10日(水) 12:00pm 2階1列センター/5:00pm 2階6列下手
(上演時間: 3時間10分/休憩 30分)



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柚希さんカリオストロ伯爵夫人を2回、真風さんで1回観ました。
ボーマニャン 黒羽麻璃央は東京公演のみでしたので実質シングルキャストですね。


物語は、テンプル騎士団の燭台にまつわる言い伝え・・・生命の樹メノラーから7本の枝が失われていて、その全てが燭台に戻った時、どんな望みも叶う(騎士団の莫大な隠し財宝の在りかがわかる)と、クラリス(真彩希帆)が歌いあげる場面から始まります。
この7本の枝、つまり財宝をわがものにしようと、怪盗ルパン(古川雄大)、謎の美女 カリオストロ伯爵夫人(柚希礼音/真風涼帆)、テンプル騎士団研究会会長でクラリスの父の借金の肩にクラリスとの結婚を目論むボーマニャン(立石俊樹)が虚々実々の駆け引きを展開。そこへ、ルパンを追うガニマール警部(勝矢)、イギリスからやって来たルパンの永遠のライバルでもある名探偵シャーロック・ホームズ(小西遼生)、さらにはルパンマニアの高校生探偵イジドール(加藤清史郎)たちも入り乱れて、財宝を巡る大騒動が繰り広げられます。


冒頭クラリスが歌う「願いが叶う日」をはじめ、ルパンの生い立ちやカリオストロ伯爵夫人の真実など、怒涛の説明台詞ならぬ説明歌詞の連続にどうなることかと思いましたが、ルブランの「カリオストロ伯爵夫人」も「奇巌城」も読んだことがなく、自分の目で観るまではネタバレをシャットアウトしてきましたので、ストーリーを知らず、展開を楽しく拝見。後半はもはや”ルパンの物語”ですらないなと思いながら(≧▽≦)

男装の女性が出てくるかと思えば、ルパンなので変装はもちろん男性の女装もあって、華やかなカンカンも殺陣もと娯楽性たっぷり。
女性の社会進出への活動や、身分や貧富の差といった階級社会への怒りなど、現代に通じる問題にも触れながら、まぁそこは小池先生ですからそれほど深く掘り下げず、勧善懲悪で悪は滅び、テンプル騎士団が思いを託した財宝は正しい使途となり、ルパンとクラリスはラブラブという絵に描いたようなハッピーエンド。観終わった後、何かよくわからないけど、ま、いっかという気分になります。

楽曲は全体的にキャッチーで耳馴染みがよかったのですが、なぜか、「太陽王」や「ロックオペラ モーツァルト」が何度も頭をよぎって、「あー、そうだ、音楽はドーヴ・アチアさんだった!と思い至った次第です。「1789」ではなく、この2作と曲調が似ていたのかな。
財宝が眠るらしき奇巌城を目指してキャストが歌いつなぐ「北斗七星の先に」よかったな。


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2024年01月03日

長かったなぁ 食べるまで 「お祝い」


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昨年山のように積み残した舞台の感想の中からまずはお正月らしいおめでたいタイトルのこちらを。
(ちょっと浮かれたお正月の気分でもなくなっていますが💦)


わかぎゑふさん主宰の玉造小劇店 20周年記念公演。
2000年に初演され、2001年、2004年、2009年と上演を重ね、14年ぶりの再演です。
わかぎさんが紡ぎ出す大阪芝居大好きな不肖スキップですが、残念ながらこの作品はこれまで観ていなくて、今回初見でした。


玉造小劇店配給芝居Vol.34
玉造小劇店創立20周年記念公演「お祝い」
作・演出:わかぎゑふ
舞台監督:武吉浩二  舞台美術:池田ともゆき
音響:宮崎孝幸   照明:千原悦子
衣裳:和工房ちどり・リリパットアーミーⅡ
出演:コング桑田  野田晋市  うえだひろし  長橋遼也  
松井千尋  澤田紗菜 わかぎゑふ(以上 リリパットアーミーⅡ)
植木歩生子  江戸川じゅん兵  小池裕之  是常祐美  
中村なる美  ボブ・マーサム

2023年12月3日(日) 1:00pm インディペンデントシアター2nd XA列センター
(上演時間:2時間)



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日本橋にある インディペンデントシアター2nd 初めての劇場でしたが
Google先生頼りに田戸あり着いたらコングさんが笑顔で出迎えてくださいました。


物語は昭和12年、大阪・北浜にある布団問屋の岡崎商店の店内から始まります。
本家の伯父からこの店を任されている店主の岡崎陽介(長橋遼也)は20歳。
ある日、陽介の妹・晴香(澤田紗菜)が学校で初潮を迎えた女中のお絹(是常祐美)が聞きつけて来て、陽介と店員たちがお赤飯や紅白饅頭の準備にてんてこ舞いの中、陽介の友人の島村優平(うえだひろし)が、晴香が交通事故に遭って亡くなったと知らせに飛び込んできました。
晴香の交通事故は、初潮になったことを男の子たちにからかわれ、道に飛び出したせいだったと知った陽介は、生理への偏見をなくすことを決意し、布団屋をたたんで生理用品の開発・販売、性教育の普及活動を手がける会社を興します。気色悪がられながらも女性に生理や使っている生理用品のことを尋ねたり、女装して女子便所に忍び込んで使用済み生理用品を収集する陽介たちは「変人倶楽部」と言われながらも研究・開発を進めていきます・・・。


晴香が亡くなった日からお赤飯を封印していた陽介が、時を経て自分の娘に初潮がきた日にお赤飯を食べるまでの物語。
「今日、晩ごはんお赤飯やよ」と妻の亜紀に告げられた陽介が「長かったなぁ。食べるまで」と言った言葉が印象的でした。


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