2022年05月25日

7年ぶり 南座「歌舞伎鑑賞教室」


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歌舞伎の魅力をより多くのお客様に知っていただこうと平成5(1993)年に始まった南座の歌舞伎鑑賞教室。
このフライヤーを見て、「あれ?何だか久しぶり」と思ったのですが、何と7年ぶりの開催だとか。

茂山逸平くんの解説に、千壽さん、吉太朗くんの「吉野山」だなんて、そりゃ観たいでしょ、と張り切ってチケット取りました。


南座 歌舞伎鑑賞教室
2022年5月15日(日) 1:00pm 南座 1階3列センター



一、歌舞伎のいろは
出演:茂山逸平
   片岡千太郎  片岡佑次郎  片岡富史弥  鈴木実
(上演時間: 40分)



茂山逸平さんが狂言の冠者の姿で舞台に現れて相変わらずよいお声で「これはこのあたりに住まいいたす者でござる」と狂言の名乗り。
「今度歌舞伎の解説とやらをすることになったが、歌舞伎のことはあまりよく知らない。そうだ!四条の南座で歌舞伎鑑賞教室なるものが開かれておるらしいので、拙者も行って学んで来よう」というようなことを言って一旦引っ込みます。

再び登場した逸平くんはお着物も紋付き袴にお召し替えされていて、いつもの話し口調。
ここから解説が始まります。
狂言もチラリと聴くことができて、始まりから何だかお得感満載(そもそも全席3,500円というチケット代が驚くほど安い)。

自分は狂言師だから、とまずは能舞台と松羽目について解説。
そして、能と狂言の始まりについて簡単に説明した後、出雲阿国から始まった歌舞伎がどのようにして今の男性だけで演じる形になったのかというお話に至りました。

片岡富史弥さんが加わって、まずは普通のおっさん(笑)がどのようにして女性になるか、の実演。
富史弥さん、拵えも顔もせず、素のままなのですが、肩を落として肩甲骨を狭めて足に手ぬぐい挟んで・・・と女形をしたら劇的に変わって、会場一瞬どよめきました。
教わったとおりにやってみた逸平くんはなかなか女性には見えなかったけれど(^^ゞ

片岡佑次郎さんが登場して見得の実演や、ツケや太鼓の音が何を表しているか、といった鑑賞教室お約束の解説もありつつ、今回特に楽しかったのは、歌舞伎と狂言の女形を対比して見せてくれたこと。


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2022年05月11日

「三月大歌舞伎」 第三部


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3月にはもう1本歌舞伎を観ました。
こちら。


三月大歌舞伎 第三部
2022年3月8日(火) 6:30pm 歌舞伎座 1階1列下手



一、信州川中島合戦 輝虎配膳
作:近松門左衛門
出演:中村芝翫  中村雀右衛門  松本幸四郎  片岡孝太郎  中村魁春 ほか
(上演時間:43分)



戦国時代。武田信玄の好敵手・長尾輝虎こと後の上杉謙信の物語。
武田の軍師 山本勘助を味方にしようと計略した輝虎(芝翫)は、家老の直江山城守(幸四郎)の妻 唐衣(孝太郎)が勘助の妹であることを利用し、勘助の母 越路(魁春)と妻 お勝(雀右衛門)を館に招待。小袖を進呈したり、自らお膳を供しますが・・・。


タイトルロールは輝虎ですが、2人の女形- 越路お勝のお芝居です。
これまで何度か観ていますが、初めて観た時の竹三郎さんの越路、秀太郎さんのお勝の印象がとても強く、特に秀太郎さんのお勝が絶品で、後に越路を演じられた時にも観ましたが、三つ子の魂何とやらで、私の中ではお勝=秀太郎さんで刷り込まれています。
音舌不自由のところを懸命に話す姿、越路を斬ろうとす輝虎を止めて侘びを述べながらつまびく琴の音色、すべて終わった後花道を引き上げる前に見せるほっとしたような笑顔・・・忘れられません。
調べたところ、2006年7月松竹座のの坂田藤十郎襲名披露興行だったらしく、その藤十郎さんも秀太郎さんももうこの世にいらっしゃらないなんて


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2022年05月08日

身分違いの恋の明暗 「三月花形歌舞伎 午前の部」


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5月に入ってゴールデンウィークもあっという間に去り、もはや1年の半分が終わったくらいの気分ですが、3月に観た舞台の感想ですよ💦

南座の三月は花形歌舞伎。
昨年(こちら)から始まりましたが、昨年の主要メンバーから尾上右近さんが抜けて、今年は坂東巳之助さんと中村隼人さんが加入。午前、午後の役替りで、若さあふれる力の入った舞台を見せてくれました。


三月花形歌舞伎 午前の部
2022年3月6日(日) 11:00am 南座 3階1列センター



ご挨拶
出演:中村米吉  中村橋之助
(上演時間: 10分)



ご挨拶は午前の部が米吉くんと橋之助くん、午後の部が壱太郎くんと隼人くんという振り分けでした。

米吉くんが「自分がしゃべりすぎると橋之助くんが頼り切ってしまってダメだから今日はしゃべりません」というようなことを冒頭に言って、橋之助くんが大汗かいて演目の説明などをしているのを黙って見ているという構図。
「ほんとにしゃべらないの?」と何度も米吉くんの方を見る橋之助くん。

当然のことながらトークはあまりおもしろくありません(笑)。
午前の部を選んだ理由の一つに米吉くんの軽妙なトークが聞きたかったこともあるのにちょっぴり残念。


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恒例の写真撮影タイムもありました。
この日は桟敷席に舞妓ちゃんたちが座っていて華やかで、米吉くんも橋之助くんも何だかうれしそうでした。
右の画像はインスタにポストするために橋之助くんの写真を撮る米吉くん。


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2022年04月02日

中村屋ファミリーが春と一緒にやってきた 「陽春特別公演2022」


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中村屋さんの春の公演は3月に全国16ヵ所で開催される「春暁特別公演」と3月30日から4月4日まで5ヵ所をまわる「陽春特別公演」があって、
どちらも関西に来てくださったのですが、勘九郎さん、七之助さんの「かさね」をまだ観たことがないし、勘太郎くん・長三郎くんも出るしということで「陽春」の方を選びました。

「『かさね』はパリで踊ったことあるけど日本で踊るのは今回初めて」と七之助さんがトークでおっしゃっていて、やっぱりこちらを選んで正解!となりました。


「中村勘九郎 中村七之助 中村勘太郎 中村長三郎 陽春特別公演2022」
2022年3月31日(木) 11:30am フェニーチェ堺 大ホール 1階9列センター



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会場に入って、中村屋さんのこの黒・白・柿色の定式幕と角切銀杏の揚幕を見たら何だか胸がいっぱいになりました。


一、玉兎 
出演:中村勘太郎  中村長三郎
  (上演時間: 18分)



丸い月の中にシルエットで浮かび上がるお餅つきをする月之助(勘太郎)、兎之助(長三郎)。
もうこの時点でかわいくて客席のあちこちから笑い声や「かわいい」という声があがっていたのですが、その満月の中から飛び出してくるようにリアル二人が現れた時は思わず私も「あー」と声が漏れてしまいました。

観ているだけで顔がほころんでしまうかわいらしさ。
少し見ない間に勘太郎くんがグンとお兄さんになっていて、イメージしていたより身長差のある二人になっていました。
4月から6年生になる勘太郎くんと3年生になる長三郎くん。差が出やすい時期ですね。 

月の中で兎が餅つきをしている説を題材にした舞踊で、本来は一人で踊るものですが今回は二人のためにつくられたもの。
途中には「カチカチ山」のうさぎと狸を思わせる振りもあって、楽しい舞踊となっていました。

二人とも教えられたことを日一つひとつきっちり丁寧に踊っている印象でしたが、勘太郎くんが一人で踊る時、小さい長三郎くんがきちんと正座して両手をひざに置いてじっと見ていて、自分の出番になるとすっと立って前へ出ていく姿がいじらしくて立派でウルウル。


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2022年03月30日

市川猿之助 藤間勘十郎 春秋座花形舞踊公演


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市川猿之助さんと藤間勘十郎による花形舞踊公演。
2020年10月に開催された第一弾が好評につき第二弾が開催される運びとなりました。
前回スケジュールが合わず観に行けませんでしたので、今度こそは!と心してチケット取りました。


大学開学30周年記念 劇場開場20周年記念公演
京都芸術劇場 春秋座 芸術監督プログラム
市川猿之助  藤間勘十郎 春秋座花形舞踊公演
2022年2月20日(日) 11:00am 春秋座 1階1列下手



一、乗合船恵方万歳
出演:市川猿之助  市川段一郎  中村蝶三郎  中村翫政  
市川翔乃亮  市川笑猿  藤間勘十郎
(上演時間: 30分)


隅田川の渡し場に居合わせた江戸の庶民を七福神に見立てて様々な生業を踊りで見せる華やかな一幕。
猿之助さん、勘十郎さんに澤瀉屋、播磨屋、成駒屋の5人のお弟子さんたちが加わった構成です。

猿之助さんの船頭と勘十郎さんの通人が幕開きでひとしきり踊った後、5人のお弟子さんたちが登場。
お弟子さんたちが踊っている間、お二人は後ろでそれを見物している設定でじっとご覧になっていました。

素踊りで拵えもされていないのですが、踊りについては全く素人目の私にも男女の踊り分けはもちろん、それそれのお役が見えるようで、すばらしいなと思いました。
勘十郎さんの手の表情が相変わらず美しくしなやかで見惚れました。


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2022年02月23日

受け継がれる魂 コクーン歌舞伎 「天日坊」


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再演が発表された時、「前に観たのって10年も前なの?!」ととても驚きました。
勘三郎さんが出演されない初めてのコクーン歌舞伎で、新しい時代への一歩を感じる舞台として、「コクーン歌舞伎 新機軸」と題して感想を書きました(こちら)。

あれから
勘三郎さんは二度とコクーン歌舞伎の舞台に戻ってくることはなかったけれど、その魂と情熱を受け継いだ者たちはこの10年の間に一回りも二回りも大きくなって、私たちの前に帰ってきました。


渋谷・コクーン歌舞伎 第十八弾 「天日坊」
原作:河竹黙阿弥 「五十三次天日坊」
演出・美術:串田和美
脚本:宮藤官九郎
照明:齋藤茂男
音楽:Dr.kyOn  平田直樹 
出演:中村勘九郎  中村七之助  中村獅童  市村萬次郎  片岡亀蔵  
中村虎之介  中村鶴松  小松和重  笹野高史  中村扇雀 ほか

2022年2月3日(木) 1:00pm シアターコクーン 1階 XB列(最前列)センター
(上演時間: 2時間55分/幕間 20分)



江戸時代の八代将軍徳川吉宗ご落胤騒動「天一坊事件」をモチーフに、鎌倉時代に舞台を移した物語。
法策(中村勘九郎)は孤児で、観音院(片岡亀蔵)という些か胡散臭い僧の下で下男の久助(中村扇雀)らとともに下働きをしながら修行中の僧見習い。ある日お三婆さん(笹野高史)から彼女の亡くなった孫が実は源頼朝のご落胤でお墨付きもある、しかもその孫は自分と同じ日の生まれという話を聞かされた時、法策の心に蒼い炎が芽生え、運命の歯車が回り始めます。お三婆さんを殺しお墨付きを奪いご落胤になりすまして鎌倉を目指す道中で、人丸お六(中村七之助)や盗賊地雷太郎(中村獅童)と出会い、法策こそ実は木曽義仲の子・清水冠者義高だという出自を知り、源氏の世を覆そうと鎌倉に向かいます・・・。


初演時、3時間25分だった上演時間を30分短縮、勘九郎さん法策が客席をずんずん分け入って来て私の目の前に立った平場席もありませんでした。
が、この作品の躍動感、激しさ熱さは少しも損なわれることなく、法策の生き様を通じて、人間の業、強さも弱さも脆さも切なさも、鮮烈に描き出してくれました。

舞台袖上手下手にバンドのブースが置かれ、生演奏が奏でられるのは初演と同じ。
下座音楽を一切使わず、トランペットやギター、パーカッションといった西洋楽器のみの演奏。特に、その時どきで法策の心象を表現するトランペットの音色が際立った印象を残します。

お三婆さんの家で、法策の心に「ご落胤になりすます」という悪魔の囁きが萌芽した瞬間のトランペットの響き。
自分自身の中に芽生えたその感情を「いやいや」と何度も自分で打ち消しても打ち消してももたげてくる思い。鳴り響くトランペットの高音とお三婆さんを絞め殺す法策の表情がシンクロして、緊迫感漲る場面。
そして一転、声も表情もガラリと変わる法策。
今回、幸運にも最前列だったこともあって、この場面の迫力に息が詰まる思いでした。

音楽でいえば、初演では幕切れの大立ち廻りで七人のトランペット隊が捕手と同じ黒装束で舞台奥にずらりと並んで演奏して、トランペットが奏でる哀愁あるメロディと、法策、お六、地雷太郎、の非業の最期が重なる場面が大好きだったのですが、今の状況下ではさすがにその演出は難しかったらしく、ブースでの演奏だったのはちょっぴり残念だったなー。


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