2023年02月11日

2023年 幸四郎さんはじめ 「花の集い」


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”日本の文化に親しむ”という趣旨で司馬遼太郎さんが提唱された公演。
40回目となる今回がファイナルだそうです。

1月 歌舞伎座の「初春大歌舞伎」を観に行きませんでしたので、これが2023年幸四郎さんはじめ。
あけましておめでとうございます (^^;)


日本の文化に親しむ 「花の集い」
構成・振付:藤間勘十郎
2023年2月8日(水) 2:00pm 国立文楽劇場 6列上手



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定式幕が引かれた文楽劇場。
最初に紋付袴姿の尾上右近くんが登場して、この公演の概要や今回がファイナル公演であることをご説明。
右近くん自身は、当初出演の予定ではなかったものの、急遽飛び入りで出演することになり「大変うれしい」とおっしゃっていました。
ハキハキと口跡よく要領もよいご挨拶。最後には忘れずに南座三月花形歌舞伎のPRも。


一、手打「七福神と花づくし」
出演:京都 祇園甲部芸妓 まめ鶴  小萬  その美  フク愛  豆千鶴
唄:小桃  恵美乃   三味線:恵美二  だん佑  福奈美  
笛:まめ鈴   太鼓:里美  カゲ太鼓:真咲 ほか
(上演時間: 15分)



「手打」は慶事のためのもので、普段お座敷でも観ることのできない貴重なものだそうです。

舞台上には、黒紋付の芸妓さんの正装に身を包み、畳んだ手ぬぐいを頭にのせた三味線や笛、太鼓の方々が並んでいます。
花道揚幕からかけ声がかかり、紫檀の拍子木を打ちながら、これも黒紋付で頭に手ぬぐいを乗せた芸妓さんが一人また一人と現れます。
全部で10人。一番後ろの芸妓さんだけが違うリズムを刻み(木頭と呼ばれているのだそう)、他の9人は同じ調子で木を打っていました。

ゆったりとしたテンポで花道を進み、舞台上に揃ったところで、木頭さんの音頭にあわせて何人かに分かれて踊りを披露。
厳かな中にも華やかな雰囲気。
後で調べたところ、頭に乗せたてぬぐいは笹りんどうの紋で手打の決まりごとなのだそうです。
いや~、よいものを見せていただきました。


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2022年09月11日

八月納涼歌舞伎 第三部 「東海道中膝栗毛 弥次喜多流離譚」


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2019年に「これが本当に最後」(2018年に『また会う日まで』と終わったはずだったのに)と上演された弥次喜多が、また帰ってきた・・・だけでもかなり笑ったのに、代役祭りになって、染五郎くん梵太郎の代役が猿弥さんと発表された時は、タイムライン爆笑で揺れたよね。


八月納涼歌舞伎 第三部
「東海道中膝栗毛 弥次喜多流離譚」(やじきたリターンズ)
 本水にて大滝の立廻りならびに宙乗り相勤め申し候

原作:十返舎一九
構成:杉原邦生
脚本:戸部和久
脚本・演出:市川猿之助
出演:松本幸四郎  坂東新悟  大谷廣太郎  中村隼人  市川男寅  
中村鷹之資  中村玉太郎  市川青虎  市川寿猿  澤村宗之助  
松本錦吾  市川笑三郎  市川笑也  市川猿弥  片岡亀蔵  
市川門之助  市川高麗蔵  市川猿之助 ほか

2022年8月25日(木) 6:15pm 歌舞伎座 1階1列センター
(上演時間: 2時間42分/幕間 30分)



代役は以下のとおり

伊月梵太郎: 市川猿弥  (本役/市川染五郎)
五代政之助: 中村隼人  (市川團子)
娘オリビア: 市川笑三郎 (市川染五郎)
娘お夏:   市川笑也  (市川團子)
芳沢綾人:  市川門之助 (中村隼人)

本来二役だった染五郎くん、團子くんの役を二人ずつで分け合う形ですが、それにしても1日だけの休演で再開できたの本当にすごいとしか言いようがありません。



東海道中膝栗毛 アーカイブス
2016年
2017年
2018年
2019年
2021年(図夢歌舞伎)


前作の終わりで伊勢神宮の花火で天高く打ち上げられた弥次郎兵衛と喜多八。
あれから3年。無人島に飛ばされて何とか生き延びていた二人は、あの手この手で長崎にやっと渡り着き、かつて大道具のアルバイトをしていた古巣の歌舞伎座の苦境を知り、何とかしようと歌舞伎座に戻るため新たな珍道中を繰り広げます・・・。


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2022年09月10日

八月納涼歌舞伎 第二部


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八月納涼歌舞伎 第二部は明治初期に実在した脱獄事件をもとに人間ドラマと、澤瀉十種の舞踊。

幸四郎さんが濃厚接触者となって出演できなかった2日間、猿之助さんが「浮世風呂」に出演しながら「安政奇聞佃夜嵐」で幸四郎さんの代役を勤めるというスーパーぶりを発揮されていましたが、私が観た日は幸四郎さん無事復帰されていました。


八月納涼歌舞伎 第二部
2022年8月25日(木) 3:00pm 歌舞伎座 1階2列上手



一、安政奇聞佃夜嵐(あんせいきぶんつくだのよあらし)
佃島寄場島抜けより甲州金鉱洞穴まで
原作:古河新水
脚色:巖谷槇一
補綴・演出:今井豊茂
出演:松本幸四郎  中村勘九郎  中村米吉  中村隼人
中村玉太郎  市川猿弥  澤村由次郎  市村萬次郎  坂東彌十郎 ほか
(上演時間: 1時間23分)



物語:安政5(1858)年、人足寄場で苦役の日々を過ごす青木貞次郎(幸四郎)と神谷玄蔵(勘九郎)。
元は甲州の侍であった貞次郎は、武田信玄の埋蔵金を巡り殺された両親の仇を捜しています。玄蔵に焚きつけられて二人は佃島から隅田川を渡って脱獄を果たします。故郷の甲府に向かった貞次郎が笛吹川の渡し守義兵衛(彌十郎)に舟を出して欲しいと頼むところに帰ってきた義兵衛の娘おさよ(米吉)は生き別れになった貞次郎の妻でした。そこへ木鼠清次(隼人)が現れ、貞次郎を殺そうとしますが、貞次郎の返り討ちにあい、今わの際に貞次郎の父を殺したのが玄蔵であることを告げます・・・。


明治の初めに実在した脱獄事件をもとに、大正3(1914)年に古河新水(十二世守田勘弥)が時代設定を世情不安定な安政期に改めて書き下ろした世話物。
35年ぶりの上演で、初演は六代目菊五郎と初代吉右衛門で、今回は二人の曾孫である幸四郎さんと勘九郎さんでの上演となるそうです。


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2022年09月03日

八月納涼歌舞伎 第一部


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休演を経て代役祭りとなった「八月納涼歌舞伎」。
猿之助さんがインスタグラムストーリーにポストされていた「続ける勇気」という言葉が本当に心に響きました。
歌舞伎役者さんの本気の底力を見せていただいた思い。


八月納涼歌舞伎 第一部
2022年8月25日(木) 11:00am 歌舞伎座 3階2列上手


一、新選組
原作:手塚治虫
脚本:日下部太郎
出演:中村勘九郎  中村七之助  中村橋之助  中村虎之介
中村鶴松  片岡亀蔵  片岡仁三郎  坂東彌十郎  中村扇雀 ほか
(上演時間: 1時間13分)



傷を負った侍を匿ったため、追ってきた庄内半蔵(仁三郎)に父を殺された深草丘十郎(七之助)は、父の仇を討つため新選組に入隊し、鎌切大作(勘九郎)と出会い、正反対の性格ながら気が合う2人は親友となります。そんな中、丘十郎は見事父の仇を討ちますが、討たれた半蔵にも娘の八重(鶴松)がいて、今度は自ら仇として狙われる立場になります。さらには、大作が長州の間者である事が発覚し・・・。


手塚治虫作品初めて歌舞伎化。
新選組好きとしては大いに興味あるところですが、この漫画は読んだことがなく・・・というか手塚治虫さんが「新選組」を書いていらしたことも存じ上げませんでした。

新選組の近藤勇、土方歳三、芹沢鴨、沖田総司、さらには坂本龍馬といった実在の人物に、深草丘十郎と鎌切大作という架空の人物を絡ませ、芹沢鴨の粛清、池田屋事件といった史実も織り交ぜて描きます。


物語の発端として「父親の仇討ち」があるのですが、丘十郎が親の仇を追ううち、自分も仇として追われる身となり、その連鎖の虚しさを知る・・・という”復讐の連鎖”が「新選組」の物語の中で描かれているところが、とても新鮮というか、手塚治虫さんが新選組の形を借りて描きたかったキモはここなのかなと思いました。
さらには、イメージ通りのキャラクターでもある坂本龍馬(中村扇雀)に「新選組を出ろ。国も捨てろ。広く世界を見て勉強して来い。そしてこの国の未来を築け」と言わせて丘十郎を送り出すラストも、この先の新選組の破滅的なイメージとは違って未来への希望が満ちていてすばらしく、原作が少年漫画であることを思えば、未来ある少年少女が読むものはこうでなければと感じた次第。

いやほんと、手塚治虫さんってやっぱりすごい。


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2022年07月30日

七月大歌舞伎 夜の部


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松竹座 七月大歌舞伎 夜の部はかぶりつきで堪能。
松竹座の1列って、やっぱりとても舞台が近い。
ご体調が悪くて初日から休演されていた仁左衛門さんも7月14日から復帰されて、めでたやなの観劇となりました。


関西・歌舞伎を愛する会 第三十回
七月大歌舞伎 夜の部
2022年7月18日(月) 4:30pm 松竹座 1階1列センター


一、堀川波の鼓
作:近松門左衛門
脚色:村井富男   演出:大場正昭
出演:片岡仁左衛門  片岡孝太郎  中村勘九郎  中村壱太郎
片岡千之助  中村寿治郎  片岡松十郎  中村亀鶴  中村扇雀 ほか
(上演時間: 1時間25分)



物語:主の小倉彦九郎(仁左衛門)が殿の参勤交代に従い隔年の江戸詰めを余儀なくされる中、妻お種(扇雀)は夫を恋しく思いながら家を守り、養子とした実の弟 文六(千之助)に鼓を習わせていました。ある夜、お種は文六の鼓の師匠である宮地源右衛門(勘九郎)とふとしたきっかけで関係を結んでしまいます。噂が広く知れ渡ってしまい、お種の妹お藤(壱太郎)が何とかしようと腐心する中、彦九郎の妹おゆら(孝太郎)が証拠の小袖を持って彦九郎に真実を告げます。お種は自ら命を絶ち、彦九郎は愛おしい妻に羽織を着せかけて忍び泣くのでした。


初見でした。
すっごい昼メロみたいな話だな(実際には昼メロってちゃんと観たことないのだけど)と思いながら観ていたのですが、不義はすなわち死に結び付く時代のこと、悲しい結末が待っているのだろうなと思っていたら、その通りになってしまいました。

冒頭からおのろけ全開で彦九郎を心から愛おしく思っているように感じられるお種が、お酒の勢いもあったとはいえ、宮地源右衛門とあんなことになってしまうのは、人間の心の複雑さを見る思いでした。その前にやってきた磯部床右衛門(亀鶴)には毅然とした態度をとっていたところを見ると、源右衛門には最初から好感は持っていたとも思えますが。


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2022年07月20日

七月大歌舞伎 昼の部


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松竹座の七月大歌舞伎。
コロナ禍以降、2年ぶりに昨年は7月3日から18日までと短い期間の上演でしたが、今年は7月3から24日までと1週間長くなりました。
船乗り込みも再開されて、少しずつではありますが大阪の夏が戻りつつあります。


関西・歌舞伎を愛する会 第三十回
七月大歌舞伎 昼の部
2022年7月9日(土) 12:00pm 松竹座 3階1列下手



一、八重桐廓噺 嫗山姥
作:近松門左衛門
出演:片岡孝太郎  中村壱太郎  中村虎之介  
片岡千之助  中村亀鶴  松本幸四郎 ほか
(上演時間: 55分)



物語:かつては人気傾城で今は傾城の恋文の代筆をして歩く荻野屋八重桐(孝太郎)は、通りがかった館の前でかつての夫・坂田蔵人時行の歌を耳にし、腰元お歌(亀鶴)に取り入って中に入れてもらいます。そこには煙草売りに身をやつした時行(幸四郎)がいました。親の敵討ちのために家を出たのだと明かす時行に、八重桐はその敵は時行の妹・白菊(壱太郎)が討ったと伝えます。これを恥じた時行が切腹すると、その魂が八重桐の体内に宿り、大力無双の身体となって、沢瀉姫を奪いに来た太田十郎(虎之介)たちを蹴散らすのでした。


「初めて観る演目だ」と思いながら観ていて、「仇討ちは白菊さんが既に討っている」と揶揄されて、いきなり切腹する幸四郎さん坂田蔵人時行の両側で「しぇ~っ」と驚く八重桐、白菊とともに私も座席で「ひょえ~っ」と驚きながら、「あれ?前にもこんなふうに驚いたことある」と思い当たりました。
帰宅してから自分のブログ検索してみたら、2012年御園座の中村勘九郎襲名披露興行で観ていました(こちら)。
10年前かぁ。いや~、ブログ書いておくものですね(^^ゞ


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