2022年04月08日

100年のハッピーエンディングストーリー 「カムカムエヴリバディ」


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本日最終回でした。
終わっちゃったね~


カムカムエヴリバディ



1925年(大正4)。
日本でラジオ放送が始まった年に、岡山の和菓子屋さんに生まれた安子(上白石萌音)、その娘るい(深津絵里)、るいの娘ひなた(川栄李奈)。
岡山、大阪、京都と場所を移して、三代の女性が紡ぐ100年のファミリーストーリー。

とてもおもしろくて、たくさん笑って泣いて、ここ数年の朝ドラの中でダントツに好きでした。
ヒロイン3人というのは初めてのことだそうですが、安子、るい、ひなた それぞれの物語がちゃんと繋がっていて、安子とるいを隔てた "I hate you." という言葉が、最後に "I love you." となって完結する、愛に溢れた物語。

物語がおもしろいのはもとより、安子の時代のあの人がひなたの時にはこの人になって・・・というキャストの使い回し(←言い方)も楽しく、細かいエピソードまできちんと回収される藤本有紀さんの脚本のすばらしさ。

クライマックスのクリスマス・ジャズ・フェスティバル。
ジョーがるいのために竹村クリーニング店の和子さんを招待していて、るいが散々泣いた後、そのジョーのためにトミーが Night and Day の木暮さんを連れてくるという展開は何回観ても泣いてしまいました(何回も観たのか)。

最後の1週間は怒涛の駆け足展開でしたが、城田優さん演じるウィリアム・ローレンスは、ひなたの初恋のビリーではないか、2000年代の和菓子の「たちばな」の店主は、あの”おはぎの少年”ではないか、というSNSでのうわさがまんま当たっていたり、桃太郎くんがとてもわかりやすい一目ぼれをして、何年も前の勇おじさんのアドバイス通りすぐ告白したり・・・ほんと、最後まで楽しかったな。

ビリーの伏線回収のところ、あの出会いと同じ京映映画村で、同じようにキーホルダー落とすって、「そう来たか」と思いました。

目黒祐樹さん演じる初老の勇ちゃんがどことなく村上虹郎くんの面影もありつつ、いかにもまんま年取った趣きで、るいたちが大阪に帰ると言った時のがっかりする様子や、安子に会うのが待ちきれずにDippermouse Blues に手を振りながら入ってくるところとか、とてもかわいいおじいちゃんで、息子さんご一家とは疎遠な感じ?(子供のころからかわいくなかったよね)ですが、桃太郎が実の孫のようになついて雉真繊維の野球部にも入って本当によかったねと申しあげたいです。


どの物語もとても楽しく観ましたが、中でもるい編が一番好きでした。
大阪が舞台ということもあり、当時のファッションも可愛くて、華やかなジャズに彩られているのもよかったです。
もちろん切ないところはたくさんあったけれども。

少し前に「カムカムの登場人物の中で誰が一番好きか」というアンケートをやっていて、投票はしていませんが、私なら文句なしにトミー北沢です。
早乙女太一くんが好きというのはもちろんありますが、「お育ちがよくて高ビーな天才」にヨワイ不肖スキップ。トミー北沢が理想的すぎる。
傍若無人な感じなのに誰よりも人の痛みや苦しみをわかっているところも。
るいちゃんと初対面の時も、るいちゃんの子どもたちに初めて会った時も「はじめまして。トミー北沢です」ときちんと挨拶するところも。

ラストのクリスマス
「今夜のライブは特別なものになるからな」と一人つぶやくトミー。
「ジョーさんにトランペットを吹かせてあげたかった」というるいの願いを、本人が「言うても詮ないこと」とあきらめているのに、決して聞き流さず、あんな形で叶えてあげるのすばらしすぎる。
録音テープのキューを出す時の目線、たまりませんね!

ジョーの病気を知った時、片手でウィスキー飲みながら、ステージでまるで泣いているようにトランペット吹く姿が目に焼き付いて離れません。

は、いかん。トミー北沢語りになってしまいました💦


2025年。
100歳になって穏やかに暮らす安子、Dippermouse Blues を引き継いで岡山で仲良く過ごするいと錠一郎、日本とアメリカを行き来してイキイキと活躍するひなた。
幸せな100年のハッピーエンディングストーリーでした。




ハッピーエンドはうれしいけれど来週からもうみんなに会えないのはとても寂しい のごくらく地獄度 (total 2286 vs 2286 )



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2021年05月31日

尽未来際と申したではないか 「青天を衝け」


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大河ドラマ好きの不肖スキップではありますが、「青天を衝け」はとても熱心に観ているというほどではなく、見逃す回も時折あります。
が、今回。


大河ドラマ 「青天を衝け」
第16回「恩人暗殺」
2021年5月30日(日) 8:00pm NHK総合



篤太夫こと栄一(吉沢亮)と従兄弟の成一郎(高良健吾)が平岡円四郎(堤真一)に命じられて一橋家の兵と家臣を募るべく関東に出向く中、京都では新選組による池田屋襲撃事件が起こり、攘夷派志士の怒りは、禁裏御守衛総督である一橋慶喜(草彅剛)と側近の円四郎に向かっていく・・・というストーリー。


堤真一さん演じるべらんめぇ口調で飄々とした平岡円四郎が大好きなのですが、今回のタイトルが「恩人暗殺」であることや、円四郎が志半ばにして暗殺されたことは逃れられない史実でもありますので覚悟はしていました。
それでも、思っていたより遥かに悲しくて切なくて涙ナミダ。

まず、慶喜と円四郎の穏やかなやり取りにヤラレます。

「あなたさまに惚れて惚れて女房にだってやっかまれたぐれぇなんですから」と慶喜に言う円四郎
「私は輝きが過ぎるのだ。でも本来そんなものはない」と慶喜が言えば、
「いやぁ、おかしい。他の誰にも言えない色男のような台詞でございます」と円四郎

「殿は東照大権現様の生まれ変わり。
 殿のつくられる新しい世を心待ちにしているのでございます」と言う円四郎に
「似ておらぬ。ただ、権現様に恥ずかしくない世にせねばとはようやく思う」
と慶喜が応じると
「その心意気でございましょう。この平岡円四郎が尽未来際 どこまでもお供仕ります」
と慶喜の前に正座し手をつき平伏する円四郎
その姿を見てふっと表情をやわらげ
「まったく、そなたにはかなわぬ」と笑顔を見せる慶喜

二人の信頼関係がとても愛おしい。
そういえば2回前くらいに、慶喜が平四郎と出会った頃を回顧するシーンで、慶喜のお膳の世話をする円四郎がお椀からはみ出るくらいギュウギュウにごはんをよそってたの、おかしかったな。
この笑顔の後にどれほどの哀しみが待ち受けているかと思うと、ここですでに涙ナミダ。


命の灯が消えようとしているその刹那
「俺ぁ まだ死ねるか・・・まだ見てぇもんが山ほど・・・死にたくねぇなぁ」
血まみれの右手を天にのばし
「殿 あなたはまだこれから・・・やす・・・」
慶喜と妻、愛する二人に思いを残して息絶える円四郎。

激しい雨に濡れるのをもろともせず、運ばれてきた円四郎の亡骸に
「円四郎よ 尽未来際と 申したではないか」
「尽未来際ともに・・・どうして どうして」
と慟哭する慶喜。


堤真一さんはもちろん、草彅剛さんの名演技もあって、もう号泣です。
昨日は宝塚大劇場で月組「桜嵐記」を観て散々泣いて、帰宅してこの番組の録画を観てまた号泣するという・・・なんていう日だ。
桜田門外の変の前の井伊直弼(岸谷五朗)と徳川家茂(磯村勇斗)にも同様の場面がありましたが、切なさはその比ではなかったです。


歴史上の事象はその一辺だけを見て語るべきではないことは重々承知していますが、やはり「暗殺」という方法で理不尽に命を奪われるのは辛く憤りも感じます。


ちなみに、平四郎が口にした「尽未来際」(じんみらいさい)という言葉
流れから、未来永劫という意味だということはわかるのですが、そういう言い回しもあるんだと思って調べたところ
未来の辺際をつくすという意の仏語で、未来永遠 永遠の未来 未来永劫 また、副詞的に用いて「永久に」の意を表わすのだとか。
夏目漱石の「吾輩は猫である」にも、浄瑠璃の「平家女護島」にも出てくるということですが、どちらも読んだり観たり聴いたりしているのに残っていない私ってば。



来週から円四郎が出ないと思うと・・・早くも円四郎ロス の地獄度 (total 2255 vs 2256 )


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2017年11月16日

きっと人生なんて、うまくいかないことばっかりだ 「わろてんか」


warotenka.jpg朝 家を出る時間が早いのでこれまで「朝ドラ」とは無縁の生活だったのですが、今期の「わろてんか」は録画して毎日見ています。
大阪が舞台で、吉本せいさんがモデルだということもあって、大阪市内の地下鉄いろんな駅にこのポスターが掲出されているのも影響しているかしら。
大阪弁ビミョーな役者さんもいて、「あのイントネーションはないわな」とツッコミ入れながらも、明るく笑いにあふれたドラマを楽しく拝見。

登場人物の一人 高橋一生さん演じる伊能栞さん。
佇まいも人となりも立ち位置も、いささかカッコよすぎる感はありますが、その栞さんが今日のオンエアで言った言葉
「きっと人生なんて、うまくいかないことばっかりだ」

藤吉さん(松坂桃李)の、「お金持ちのご子息で帝大出。栞くんは思い通りにならないことなんかない思てた」という言葉に応えてのものですが、「そうだよなぁ。思い通りにならないことに折り合いつけて、それでも生きていかなきゃならないのが人生だよなぁ」といたく共感。

この後、「でもたった一つだけでいいから、これだけはやり遂げたぞっていう生きた証が欲しいよな」と、いかにも朝ドラらしい希望に満ちた言葉が続くのですが、そのあたりはまぁ、どうでもよろし(笑)。


個人的にはてんの京都の実家の藤岡家の人々がとても好きでしたので(てんの子供時代を演じた新井美羽根ちゃんも大好き)、舞台が大阪に移ってあまり出番がなくなったのがさびしいですが、風鳥亭を開業したてんちゃんと藤吉さん、これからの展開も楽しみです。



とはいえ、毎日見るのは結構大変 のごくらく地獄度 (total 1838 vs 1841 )
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2016年04月27日

SWITCHインタビュー 達人達 「柚希礼音×上野水香」


NHK Eテレの「SWITCHインタビュー 達人達」
異なる分野で活躍する2人の“達人”が出会い、語り合い、番組の前半と後半でゲストとインタビュアーを「スイッチ」しながら、それぞれの「仕事の極意」について語り合い、発見し合うクロス×インタビューです。
私はこの番組が好きでよく見ていて、以前にもこのブログで「藤原竜也 × 長谷川穂積」の回をご紹介したことがあります。

今回は柚希礼音さんと上野水香さんということで、さらに楽しみにしていて、録画はもちろんのこと、ちゃんと間に合うように帰宅してリアルタイムでも視聴しました。


SWITCHインタビュー 達人達
「柚希礼音×上野水香」

出演: 柚希礼音  上野水香  柄本弾/語り: 吉田羊  六角精児
2016年4月23日(土) 10:00pm NHK Eテレ


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元宝塚トップスター柚希礼音と世界的バレエダンサー上野水香
「宝塚のレジェンドとバレエ界の宝石のぶっちゃけ女子トーク!?」
とサブタイトルがつけられた番組

女子トークというにはあまりにもアーティスティックなお二人でしたが、同世代であり、柚希さんもかつては将来を嘱望されたバレエダンサーだったこともあって、初対面とは思えないほど意気投合した自然体のトークはとても聴き応えがあり、1時間テレビの前に釘づけ。折々に挟まれる映像も楽しくて、録画は「永久保存決定!」となった充実の内容でした。

上野水香さんが柚希さんを指名する形で実現した企画。
柚希さんは、バレリーナとしてコンクールに出ていたころ、いつも上野さんが上位入賞していらしたそうで、「そんな上野さんが私を認識してくださっていたなんて」と感激のご様子でした。

前半は、「REON JACK」の稽古場を上野さんが訪ねて柚希さんにインタビュー。
ちょうど「REON JACK」で新しい柚希さんに出会った後でしたので、あの公演に臨むにあたり、そんなことを感じていたんだ、そんなふうに考えていたんだという率直な言葉を聴くことができて、とても興味深かったです。

続きがあります
posted by スキップ at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | TV | 更新情報をチェックする

2016年02月21日

古田新太・いのうえひでのりが語る劇団☆新感線の裏側


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ABC朝日放送で2月18日深夜にオンエアされた特番(多分関西ローカル)。
録画していたものを本日観ました。

基本「乱鶯」の番宣(おかげで今回大阪公演はABC協賛ということを知った)で、約20分のトークなので、裏側というほど深い内容はなかったですが、焼酎?片手にご機嫌で話すいのうえさん、古田さんを見ているだけで楽しかったです。


古田新太・いのうえひでのりが語る劇団☆新感線の裏側」
出演: 古田新太 いのうえひでのり
MC: 上田剛彦  喜多ゆかり(ABCアナウンサー)



ロケ場所は新感線の役者さんたちがよく行くことで知られる居酒屋やえがき
「え!あそこで?」と驚いちゃった。
久しぶりに行きたくなったな。
古田さんは「ここでにごり酒飲んでよく吐いた」とおっしゃっていました(笑)。

新感線の稽古場があった扇町ミュージアムスクエアからも近かったし、「その下の劇場に東京の劇団が公演に来ていて一緒に飲みに行ったりしてた」と古田さん。
「あそこ行こ」「あの店で」というのは今でも東京より大阪のお店の方が多いそう。
「あの頃は、新感線の、というより関西の劇団の青春期だったね」といのうえさん。

古田さんは今はいつも下北か三茶で飲んでるそうで、そこでは「古田ゲーム」なるものが。
小栗旬くんとか松本潤くんとか、若い役者が古田さんのいる店を見つけたら「ビンゴ!」というゲーム(笑)。
ある日古田さんが三茶で飲んでたらガラッと戸が開いて「ビンゴ!」と聞えたので「誰だよ」と思ってみたら木梨さんだった、と。

「30年位前は(地方出身者ばかりだったので)標準語しかしゃべらないから
『あいつら東京にかぶれやがって』と大阪の劇団から嫌われていた」
「東京に進出した時は『大阪からバカがやってきた』と言われた」
こぐれさんが卒業する前つかこうへいさんの「熱海殺人事件」をやるためだけにつくった劇団で
全員山陽新幹線で帰省していたから「新幹線」→「新感線」といのうえさんが命名した
・・・と知っている話も多かったですが、

「あの頃(最初の公演をやったころ)の自分に何か言うとしたら」といういのうえさんへの
質問には、「意外にめんどくさいことになるぜ」と古田さん(笑)。


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posted by スキップ at 20:53| Comment(2) | TrackBack(0) | TV | 更新情報をチェックする

2015年07月12日

阿弖流為への道 「クロスロード」

crossroad.jpg様々な分野で活躍する一人の“挑戦し続ける人”を紹介し、新たなる挑戦に取り組む今の姿を追う、というドキュメンタリー番組「クロスロード」(←人生の重大な岐路 という意味らしい)。
7月11日は市川染五郎さんの登場でした。


クロスロード
7月11日(土) 10:30pm TV東京(関西はTV大阪)
出演: 市川染五郎



伝統を重んじる歌舞伎界で、古典に留まらず復活狂言、さらには小劇場系劇団とのコラボに挑戦するなど常に新しいものを求めてきた市川染五郎が、さらに進化した歌舞伎がやりたいと一世一代の勝負に出る。
歌舞伎であって歌舞伎じゃない新しいジャンルの演劇、その名も「歌舞伎NEXT」。
高校時代に出会い、いつか歌舞伎にしたいと温めてきた平安時代初期の蝦夷の軍事指導者・阿弖流為の伝説を歌舞伎化・・・染五郎の決意から動き出したプロジェクトは、中村勘九郎・七之助兄弟を共演に迎え、「劇団☆新感線」から作家と演出家を招き、歌舞伎と現代劇を違和感なく融合させた舞台を目指す。
梨園のプリンスが挑む「歌舞伎NEXT」という、新しい歴史が誕生する瞬間を追った。


30分の放送時間が「もっと見せて!」と思えるくらいでした。
録画していたのですが2回続けて再生して見ちゃいました。

家族と過ごす父の顔あり、お稽古場面あり、「隈取」へのこだわりあり、そして先日観たばかりの「阿弖流為」初日映像まで。13年前の懐かしい「アテルイ」の映像もチラリと。
染五郎さんの夢が現実のものとなって形をつくっていく様を目撃できる幸せ。
どの場面も充実の内容で、この録画は永久保存版決定です。続きを読む
posted by スキップ at 22:27| Comment(2) | TrackBack(0) | TV | 更新情報をチェックする