
南北の戯曲の中でも『盟三五大切』は大好きな一つで、AプロBプロある中、できれば勘九郎さん初役の源五兵衛を観たいと思っていたのですが、行けるのは土曜日の夜だけ・・・でしたがうまくAプロの日でした。
六月大歌舞伎 夜の部
2026年6月20日(土) 4:30pm 歌舞伎座 1階7列センター

一、華舞於河賑(はながまうおがわのにぎわい)
出演:中村歌六 中村萬壽 中村又五郎 中村錦之助 中村獅童
中村時蔵 中村歌昇 中村萬太郎 中村種之助 中村米吉 中村隼人
中村梅枝 中村種太郎 中村秀乃介 中村陽喜 中村夏幹 小川加奈絵
尾上辰之助 尾上松緑 中村梅玉
(上演時間: 23分
旧暦の8月に芸者や太鼓持ちが仮装をし、評判の歌舞伎舞踊などを真似ながら練り歩いた「俄(仁和賀)」という吉原の行事にちなんだ、鳶頭や芸者連中が舞う粋でいなせな長唄舞踊。
“おがわのにぎわい”と外題にある通り、梅玉さんと松緑さん、辰之助さんを除けば出演者ほぼ小川家。
お子たちも勢揃いで華やか壮観。
時蔵さんの芸者が立ち姿からちょっと首を傾ける所作からとても綺麗で艶っぽくて、見とれました。
その時蔵さんと松緑さん鳶頭の連れ舞がすばらしくて、もっと長く観ていたかったです。
辰之助さんの芸者も綺麗でした。
先月の襲名披露興行に行けなかったのでこれが my first 辰之助。
改めまして、三代目尾上辰之助ご襲名 おめでとうございます。
私の席の周りには小川家のお子たちのご学友と思しきお子様がちらほら。
みんなお行儀よく楽しそうにご覧になっていましたが、この後の演目どーするのこれ、と余計な心配するなどしました。

二、通し狂言 盟三五大切
序幕 佃沖新地鼻の場 深川大和町の場
二幕目 二軒茶屋の場 五人切の場
大詰 四谷鬼横町の場 愛染院門前の場
作:四世鶴屋南北
補綴・演出:郡司正勝 演出:織田紘二
出演:中村勘九郎 尾上松也 中村七之助
中村歌昇 坂東巳之助 坂東新悟 中村種之助
澤村精四郎 中村吉之丞 澤村宗之助 上村吉弥
坂東亀蔵 坂東彦三郎 河原崎権十郎 中村又五郎 ほか
(上演時間: 3時間25分/幕間 35分)
浪人の薩摩源五兵衛(勘九郎)は、芸者の小万(七之助)に入れ込んでいますが、小万には笹野屋三五郎(松也)という夫がいます。
源五兵衛は実は塩冶家の浪士・不破数右衛門で、伯父・富森助右衛門(又五郎)が討入りのために調達した百両を三五郎の罠により騙し取られてしまいます。自分が騙されたと知った源五兵衛は、その晩、三五郎の仲間5人を惨殺。三五郎と小万はなんとか難を逃れますが・・・。
勘九郎さんと松也さんが、源五兵衛と三五郎を役替わりで演じます。
この日はAプロ。勘九郎さん源五兵衛でした。
両方観た友人に後で聞いたところ、AプロBプロで演出も違っていたのだとか。
冒頭に書いたとおり、『盟三五大切』は好きな演目でこれまで、仁左衛門さん、幸四郎さん、橋之助(現 芝翫)さん<コクーン歌舞伎>と源五兵衛を観てきました。
初日から怖いコワイという声が相次いだ勘九郎さんの源五兵衛。
評判通り、五人切も四谷鬼横町もすっごく怖かったのですが、同時に深い哀しみも感じました・・・哀しみというより絶望かな。
この源五兵衛は、何というか、とても硬質な印象を受けました。
あまり感情の起伏が表面に出ないので、言葉を選ばずに言えば五人切の場面などは狂気というより殺人マシーンのような感じ。
「五大力」だったはずの小万の腕の彫り物が「三五大切」になっていることを知った時の憤怒・・・スイッチが入ってしまった瞬間が見えるようでした。
「四谷鬼横町」は源五兵衛の登場から震えるくらい怖かったです。
小万、逃げて!と叫びたいくらいでした。
小万の手を持って刀身を握らせ、自分の手を重ねてツーッと引くところなんて、まるでワタシ自身の手が切られているように背中に悪寒が走って、きっとすごく顔を歪めて観ていたと思います、ワタシ。
小万の体から迸り出た真っ赤な返り血を浴び、それでも表情を崩さない源五兵衛の顔面の血を本水の雨が流していく様は美しさを通り越して凄絶。
雨の中破れ傘をさして、懐に抱いた小万の首を、まるで大切な宝物のように頬を寄せる源五兵衛。
この時、懐にふっと表情が緩んで、ただ一度”人としての源五兵衛を見た気がしました。
七之助さんの小万はいかにもニンでもう手の内のお役という感じ。
粋で色っぽくて、源五兵衛でなくてもコロリと騙されるというものです。
殺される時に見せる母としての情愛も切ない。
勘九郎さんはもちろん、松也さんとも同世代で共演多数なので三人三様、遠慮なくお芝居している感じがよき。
あと、あの綺麗な海老ぞり含めて、殺され方うまいですよね←
松也さんの三五郎もとてもよかったです。
親の主である不破数右衛門のために女房を餌に人を騙してでも手に入れようとした百両が、源五兵衛実は数右衛門を殺人鬼にしてしまう皮肉。そしてそれを詫びて腹を切る三五郎。
誠実で主思いで、最後まで源五兵衛をかばって自らお縄を受ける歌昇さんの八右衛門が切ない。
沢山の人が死に、その犠牲の上に何食わぬ顔?で主君の仇討ちに加わって“義士”と崇められることへの、あるいは、その忠義という名の仇討ちそのものが、恨みによるものと何ら変わることはない“殺人”であるという、鶴屋南北のシニカルな視線も見え隠れする物語。
鶴屋南北と言えば、去年の今ごろは「世話になったな、南北先生」という出門様の言葉を3日に空けず涙まじりに聴いていたなぁと思い出したり
(そこ?(//∇//))

ポストカードも買ったわぁ

このポスター見てるとやっぱりBプロも観たくなりますよね のごくらく地獄度
