2026年05月24日

ケネディは泣きません 『メアリー・ステュアート』


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スコットランド女王 メアリー・ステュアート
イングランド女王 エリザベス一世
処刑されたメアリーとその執行書に署名したエリザベス
16世紀後半に実在した2人の女王の物語。


パルコ・プロデュース 2026『メアリー・ステュアート』
原作:フリードリッヒ・シラー
翻案:ロバート・アイク   翻訳:小田島則子
演出:栗山民也
美術:松井るみ   音楽:国広和毅   照明:おざわあつし   衣装:十川ヒロコ
出演:宮沢りえ   若村麻由美
橋本淳  木村達成  犬山イヌコ  谷田歩  大場泰正  
宮﨑秋人  釆澤靖起  阿南健治  久保酎吉  段田安則 ほか

2026年5月14日(木) 6:00pm 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール 1階H列センター
(上演時間: 3時間/休憩 20分)



見応え(というより聴き応えかな)ありました。
凄まじい熱量で繰り広げられる会話の応酬。

宮沢りえざん演じるメアリー・ステュアート。
若村麻由美さん演じるエリザベス一世。

カトリックのメアリーとプロテスタントのエリザベス
感情豊かで奔放なメアリーと冷徹で知的なエリザベス
三度結婚したメアリーと生涯独身を貫いたエリザベス
それぞれの立場とプライドが相容れることを許さなかった2人

その2人が対峙する場面の研ぎ澄まされたような緊迫感。

メアリーの生殺与奪権を握るエリザベスの立場が圧倒的優位に思えますが、エリザベス自身も正統でない出自に負い目を抱えていて、国民の声に怯え、決断ができないでいます。
「国王とは国王という身分の奴隷に過ぎない」という言葉が彼女の苦悩を象徴するかのようです。

エリザベスは、メアリー処刑後も「自分は(執行書)に署名しただけで、それをバーリー(谷田歩)に渡せとは言っていない」と、最後まで自分が決断したのではないという立場を貫こうとしますが、そこに彼女の弱さも苦渋もにじみ出ているようでした。
・・・それを思うと現米国大統領の精神的タフさは驚異だなと改めて感じ入りました。


メアリーは、許しを請うことに失敗したのちは、自分の運命と死を凛と受け容れます。
侍女たちに形見の品を渡して別れを告げ、真紅のドレスを纏って(これは史実らしい)処刑台への向かうメアリー。
ただ一つ彼女が望んだことは「乳母のケネディに手をとってもらいたい」ということ。
「女は泣くからダメだ」というバーリーに、「ケネディは泣きません」と毅然と言い放つメアリー。
その言葉どおり、それまでの泣き顔がうそのように静かな表情でメアリーの手をとるケネディ。
長く共に過ごしたふたりの絆の強さと信頼関係が見えて、目がしらが熱くなりました。

一方、メアリーの死後、寵臣レスター(橋本淳)を自ら遠ざけ、モーティマー(木村達成)は命を絶ち、重臣タルボット(段田安則)も去って、ひとり宮廷に残るエリザベス。
死をもって自由を手にしたメアリーと、孤独の淵に取り残されたエリザベス。
二人の結末もまた対照的でした。


ショートカットで素化粧に近いメイクの宮沢りえさんメアリー。
よく見る肖像画のような髪型とつくり込んだメイクの若村麻由美さんエリザベス。
二人の対照も印象的でした。
対決があまりにもバチバチだったのでカーテンコールで手を繋いで互いに顔見合わせて微笑むお二人に何だかほっとしました。
それにしてもりえちゃん 黒や真紅のシンプルなロングドレスの映えること。

天井高を活かしたモノトーンで無機質な舞台装着。
その床に差し込む光と影の陰影がそこに立つ人物の心象を表すような照明もステキでした。


ずいぶん前(2015年だった👀)に中谷美紀さんと神野三鈴さんの二人芝居で観たことがありますが、同じシラーの原作でも翻案や演出が違うとこんなに印象が変わるという、演劇ならではの醍醐味を味わいました。

そういえば、ロバート・アイクさんのロンドン初演時(2016年)は、主演俳優二人による舞台上でのコイントスで毎公演どちらの女王を演じるかを決めるという斬新な演出だったとか。
役者さんたちの負荷いかばかりかと思いますが、ちょっと観てみたいかも。



力量ある役者さん揃いの舞台は3時間でも少しも長く感じません のごくらく度 (total 2532 vs 2537 )



posted by スキップ at 18:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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