
©宝塚歌劇団
花組「蒼月抄」-平家終焉の契り-は熊倉飛鳥先生の大劇場デビュー作。
おめでとうございます。
歌舞伎の「義経千本桜」では「碇知盛」が一番好きなワタクシですからとても楽しみにしていました。
宝塚歌劇 花組
グランド・ラメント 「蒼月抄」-平家終焉の契り-
作・演出:熊倉飛鳥
作曲・編曲:太田 健 多田里紗良 音楽指揮:佐々田愛一郎
振付:御織ゆみ乃 尾上菊之丞 森 優貴 殺陣:清家一斗
装置:木戸真梨乃 衣装:薄井香菜 映像:石田 肇
出演:永久輝せあ 星空美咲 聖乃あすか 極美 慎
美風舞良 紫門ゆりや 紅羽真希 峰果とわ 一之瀬航季
侑輝大弥 朝葉ことの 希波らいと 天城れいん 美羽 愛
美空真瑠 夏希真斗 鏡 星珠 七彩はづき 彩葉ゆめ/英真なおき ほか
2026年2月18日(水) 3:30pm 宝塚大劇場 1階27列上手/
3月22日(日) 3:30pm 1階11列センター/3月26日(木) 3:30pm 2階8列センター/
3月29日(日) 1:00pm 1階11列下手
(上演時間: 1時間35分)

©宝塚歌劇団
物語の舞台は平安時代末期。
平家一門は棟梁の平清盛(英真なおき)を中心に京の都で栄華を極めていました。
"相国最愛の子”として清盛の信頼を一身に集めていた四男の知盛(永久輝あすか)が、清盛の死後、一族を率い、平家を守り抜こうと源氏と戦い、壇ノ浦で一族もろとも散るまでを、妻 明子(星空美咲)との愛、弟 重衡(聖乃あすか)や従弟 教経(極美慎)の生き様とともに描いています。
滅びた側を描いていること
生き残った二人(後高倉天皇と四条局)の回想で始まり終わること
三兄弟(+従弟の教経)の物語であること
大詰めの立ち廻りで紅い鎧をつけた主役(知盛)がホリゾントから登場すること
などナド
「桜嵐記」(2021年月組/作・演出:上田久美子)に似てるな、けれども楽曲や歌詞、台詞の言葉選び含めて作品としては「桜嵐記」の方が数倍上(というか私が好き)、というのが最初の印象でした。
とはいうものの、脚本が史実を追うことに目一杯で知盛の心情や覚悟などが見えにくいかなという印象もありつつ、瀕死の重傷を負った教経が重衡の最期の言葉を持ち帰るところでまんまと泣きました。
そして、永久輝せああん・星空美咲さんのトークイベントや聖乃あすかさんのお茶会で公演のいろいろなお話を伺い、さらには永久輝せあさんおススメの『茜唄』を読み込んだこともあって(「兄者」という文字が出てくるたびに極美慎さんの声に脳内変換されたのでした)解像度も上がって、4回観るうちに泣くポイントもどんどん増えていったのでした。
知章(美空真瑠)が教経に剣術の稽古をつけてもらっている何気ない場面でも、後のことを思ってウルウルしますし、重衡の最期の言葉はもちろん、それを聴いた平家の面々が「命などもはやどうでもよい。我らは平家の誇りのために戦うのだ」というところでも大泣き。
その前に瀕死の教経が帰って来た時、それまで(多分教経が死んだと絶望して)ぐでんぐでんの酔っぱだった峰果とわさん教経パパ教盛が「のりつね〜っ」と誰よりも先に駆け寄るところでもナミダ。
峰果とわさん 教盛の拵えすると小澤征悦さんに似てますよね←
脚本としては敵方の源氏側を源義経(希波らいと)に集約して頼朝を登場させなかったのはまだしも、後白河法皇はたとえば声だけにしても存在があった方がよかったのではないかなと思いました。
平家に手のひら返して源氏に摺り寄って、あいつ、ほんとに食えない奴(暴言)。
「三種の神器」という言葉も出てきますし、源平が争うことになる根源かとも思います・・・後々、頼朝 vs 義経の禍根をつくった人物でもあり。
衣装は美しいし、映像の使い方も効果的。
最初満月だった大きな月が平家の衰退とともに徐々に欠けていくあたりや、平家 vs 源氏の戦闘を群舞で表したり、大階段を使った一ノ谷・鵯越の場面や壇ノ浦で大きな船が盆で回るスペクタクルな演出もよかったです。
永久輝せあさん知盛
聖乃あすかさん重衡
極美慎さん教経
並び立つ平家の3人が超絶美しいのはもちろん、それぞれの人物の個性がきちんと際立っていてよき。
永久輝せあさんの知盛。
ポスターになっている青い装束をはじめ衣裳がどれもとてもよく似合って品よく、悲劇の武将がぴったりでした。
歌唱も殺陣も難なくクリア。
知盛が知将で戦略にも秀でて一族を率いていたことをもう少し出してもいいかなと思いましたが、それは永久輝さんの演技云々というより脚本の問題かと。
聖乃あすかさん重衡。
静かで穏やかな佇まいの中、南都焼き討ちの苦悩、そして一の谷で見せる武士としての芯の強さ。
極美慎さん教経。
”平家一の強弓”で、自他ともに認める武芸者。重衡の柔に対して剛という役どころ。
これが花組本公演デビューの極美くん、とてもよかったです。
殺陣などの豪快な面はもちろん、「三種の神器を返す?なぜです?」と言った時の真っ直ぐな目、忘れられません。
ちなみに、プロローグの後高倉天皇と四条局が乗る舟の船頭が極美くんで、「これ、確か教経の亡霊だよね・・・ずい分前にお能で観たなぁ」と思っていたのですが、熊倉先生がタカラヅカニュースの中でそのことをおっしゃっていて(「碇潜」いかりかづき という能らしい)、やっぱりと思うとともに、脚本家の先生って本当にいろんな資料を調べられるのね、と感心した次第です。
知盛といいい教経といい、平家の皆さま、亡霊になりがち。
星空美咲さんの明子。
凛とした佇まいの強気な女性ですが、知盛の人柄と彼が語る夢に惹かれ、公家から平家に嫁いで武家の女として生きていく姿が自然でした。
歌も相変わらず上手い。
壇ノ浦の前、和布刈神社での知盛との別れの場面で毎回大粒の涙を流していたのが印象的でした。
希波らいとさんの”狂気と紙一重の天才”義経像も好きでした。
あの迫力の三白眼がねー。
三白眼といえば永久輝せあさんもそうだし、梶原景時の侑希大弥さんも、と花組 イケメン三白眼多し。
清盛亡き後の惣領・宗盛の一之瀬航季さんが、いかにも気弱で優しくて、「茜唄」に出てくる宗盛そのものでした。
そして知章の美空真瑠さんが父 知盛をかばって死ぬという健気な役で涙を誘われました。
娘役さんは明子以外にあまり目立った役がないのですが、徳子の美羽愛さんがさすがの華やかさ。
重衡の妻・輔子の七彩はづき さんが可憐で、七彩さん、やっとお顔を識別できるようになったかも←
禿髪の詩希すみれさんと初音夢さん。可愛らしいお顔なのに悪い顔して目を見開いて狂喜を帯びていてコワかったです。
和布刈神社の知盛と明子の場面で美しいカゲソロを聴かせてくれた湖春ひめ花さん。この公演で退団、本当に惜しい。
そして期待の大型新人娘役 彩葉ゆめさんが守貞親王でさすがいい役充てられていましたね。

ショー「EL DESEO」につづく →
