
開演前の諸注意アナウンスは子どもたちの声。
キーンコーンカーンコーン♪と学校のチャイムで始まる舞台。
「いのこりぐみ」
作・演出:三谷幸喜
美術:堀尾幸男 照明:服部 基 衣装:前田文子
出演:小栗 旬 菊地凛子 平岩 紙 相島一之
2026年3月13日(金) 6:00pm 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール 1階D列上手
(上演時間: 1時間45分)
物語の舞台はとある小学校の放課後の教室。話の流れから5年B組と思われます。
この学校の教頭(相島一之)と若い教師(小栗旬)がいわゆるモンスターペアレント(菊地凛子)との面談のために残っています。
若い教師はかつてこの小学校の生徒で教頭の教え子だったことが二人の会話からわかります。
やってきた母親は「担任が特定の生徒をえこひいきして息子が嫌われ、登校を嫌がるので担任を変えてほしい」と主張します。
教頭はもちろんそれを受け容れるつもりはなく、担任教師(平岩紙)もまじえて論戦が続く中、若い男性教師がふと違和感を覚え・・・。
お気楽にアハハと笑って観ていたら何やら謎解きの様相を呈してきて「あれ?これってシチュエーションコメディではなく、ミステリー?・・・というか社会派ドラマなの?」となりました。
4人の会話だけで展開する会話劇で、その会話の中で
ジムを予約していて早く帰りたいと言っていた今ドキの教師が自分の疑問をきちんと提示したり
常識派の教頭が実は自分が定年までの保身しか考えていなかったり
モンスターと思われていた母親は感情が先走って説明が下手だけの情が深い人物だったり
熱心で理想的な教師と見られている担任教師が教育方針に異様なこだわりを持っていたり
・・・といったこ輪郭が少しずつ浮き上がってきます。
謎解きの段階で小栗旬くん先生がちょっとスーパー探偵過ぎるキライはあるものの、細かく散りばめられた伏線が一つひとつ明らかになっていく過程が小気味よく、ストーリーにさして関係ないと思えたTikTokエピもきちんと回収して、三谷幸喜さんさすがの作劇です。
キリンの絵にそんなトラップが仕掛けられていたなんてね。
役者さん4人皆よかったけれど、特に女性陣絶妙でした。
平岩紙さんの担任教師はいかにもあんな先生いるよねーという感じでありながら、いつも冷静で礼儀正しく“生徒から愛される理想の先生”という顔の奥に潜む得体の知れない空気感が何とも不気味でした。
菊地凛子さんモンスターは感情が先走ってちょっとウザいけれどいつも全力で、どこか憎めずチャーミング。
客席が「厄介な親だな」と思って観ていたのが、徐々に「がんばれ!」と見守る雰囲気になるのも感じました。
この2人の陰と陽、静と動の対比が鮮やかでキャスティングの妙を感じました。
凛子さん これが初舞台だそうですが、エネルギッシュで華やか。これからもたくさん舞台で拝見したいです。
もちろん、要領良く立ち回る今ドキ教師でありながら、クレバーで鋭い観察眼と正義感を持ち合わせる小栗旬くんも素敵でした。
彼もこの経験を経て、きっともっと良い教師になりますよね。
相島一之さんは、かつては熱血漢だったでしょうに、キャリアを経て事なかれ主義へと転じた教頭先生をペーソスたっぷりと。
仕事帰りに西宮までお芝居観に行っても9時に帰宅できるってすばらしい のごくらく度
