2026年02月12日

神様のトラップ 「クワイエットルームにようこそ The Musical」


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松尾スズキさんがご自身の小説を原作にミュージカル化。
ソロ歌唱はもちろん、群舞もコーラスもふんだんに盛り込まれて、思った以上に”ちゃんとミュージカル “でした。


COCOON PRODUCTION 2026
「クワイエットルームにようこそ The Musical」
作・演出:松尾スズキ
音楽:宮川彬良 
振付:スズキ拓朗 
音楽監督:吉田 能  美術:二村周作  照明:大島祐夫 
音響:藤森直樹  映像:上田大樹  大鹿奈穂  衣裳:西原梨恵 
出演:咲妃みゆ  松下優也  昆夏美  皆川猿時  桜井玲香
池津祥子  宍戸美和公  近藤公園  笠松はる  りょう  秋山菜津子 ほか
ミュージシャン:吉田 能 熊谷太輔 中條日菜子 福岡丈明 藤野“デジ”俊雄 山下綾香

2026年2月11日(水) 1:00pm ロームシアター京都メインホール 1階11列下手
(上演時間: 3時間10分/休憩 20分)



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物語:28歳のフリーライターの佐倉明日香(咲妃みゆ)はパートナーでバラエティ番組の放送作家・焼畑鉄雄(松下優也)と同居中ですが、ストレスから睡眠薬を過剰摂取して倒れ、病院に運ばれます。目覚めるとそこは「クワイエットルーム」と呼ばれる白い部屋。女性専用精神病院の閉鎖病棟でした。明日香はここで、厳格な看護師・江口(りょう)、新人看護師の山岸(桜井玲香)、入院初日に出会った少女・ミキ(昆夏美)、元AV女優の西野(秋山菜津子)といった個性的な人々と接し、閉鎖病棟に馴染みつつ、自身とその人生、鉄雄との関係も見つめ直し始めます。 退院まで奇妙な仲間たちと過ごす14日間の物語。


原作は2005年に発表された小説。
2007年には松尾さん自身の監督で映画化(明日香:内田有紀/鉄雄:宮藤官九郎)もされていますが、どちらも未読、未見。

「重いテーマをいかにショーアップして見せられるか」が今回のミュージカルの課題だそうです。
「音楽と物語の一体感を特に重視して台詞と歌をつなぐ演出に工夫を凝らした」と松尾さん。
「歌を使って物語を動かすのではなく、物語が自然に歌の導入になるように、作品全体を一つの音楽として完成させる」ことが目標だったそうです。


重くシリアスなテーマを笑いで包んでファンタジーふりかけたような舞台。
時折グサリと胸刺す台詞がいかにも松尾さんです。

「オズの魔法使い」をはじめいろんなミュージカルへのオマージュや小ネタも効いて楽しかったです。
♪恋のフーガ なんて昭和歌謡もみんなで歌い踊って。
2000年代初頭の時代設定で、PHSやテレフォンカードといったものたちも懐かしく、患者さんたちが喫煙所でタバコスパスパ吸うのも時代だなと思いました。
明日香が好きな「マイルドセブンメンソール」なんて今ありませんものね。

物語の冒頭、明日香がインタビューする大物芸人の皆川猿時さんと事務所社長の秋山菜津子さんのが、皆川さんのスキャンダルを受けて
♪詰んだーー と歌うところで不覚にも爆笑してしまいました。
メロディまんま I Will Always Love You の ♪エンダァァ〜だし🤣
二幕冒頭の松下優也さんのさだまさし(風)にもヤラレましたね。


拒食症の少女、自分で自分の髪を燃やす人、嘘と窃盗を重ねる人、過去に患者からひどい仕打ちを受けたトラウマを持つ冷徹な看護師・・・明日香以外にもこの物語に出てくる人たちはそれぞれに心に抱えきれないものを持っています。
「1000ピースのジグソーパズルが完成したらごはんを食べる」と決めた少女が、みんなの協力で完成してついに流動食を食べるという”希望”を描く一方で、明るく退院した女性が終盤また救急車で運び込まれてくるという”絶望”も併せ持っていて、「人間が再起する難しさ」が容赦ない。
元夫とのあれこれや彼の自死、鉄雄とのなれそめや二人の暮らしなど、明日香の "自分語り”にもどこか切なさがつきまといます。


宝塚時代から歌にもお芝居にも定評があった咲妃みゆさん。
声も口跡もよくて台詞も歌の歌詞もとても聴き取りやすい。
他のトップ娘役OGとは違った道を歩んでいる印象ですが、松尾さんやケラさんといった劇作家に起用されて堂々ゼロ番に立つのすばらしい。

歌える役者さん揃いの中、硬軟自在の歌唱の松下優也さん ヘタレキャラとのギャップすごいし、昆夏美さん やっぱり上手いなぁ・・・ジュリエットで初めて観てからもう15年だなんて(遠い目)。


明日香が退院する時に患者の仲間たちに言うことばでカーテンコールで歌われる「オダイジニ」。

誰だって神様のトラップ
それを踏むときがある
そしてスリップして
落とし穴にドロップ
誰かに頼ってでも
なるべくおもしろく這い上がれ 
それが人生


「誰かに頼ってでも這い上がれ」・・・生きることの難しさを抱える私たちへの、本当に松尾さんらしいエールだなと思いました。



神様のトラップ 結構踏みがちな人生・・・かもしれない のごくらく地獄度 (total 2516 vs 2516 )



posted by スキップ at 16:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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