2024年05月04日
コンパクトだけどお芝居もショーも💮 雪組 「39 Steps」
©宝塚歌劇団
雪組別箱は3チームに分かれての公演。
バウホールでは、専科の凪七瑠海さん主演で、殺人事件の謎解きサスペンスのお芝居と、物語に出てくるミュージックホール「アリアドネ」でのショーという二部構成。
バウ公演ではめずらしくナマバンド演奏つきです。
宝塚歌劇 雪組公演
バウ・ヴォードヴィル 「39 Steps」
原作:ジョン・バカン「三十九階段」
脚本・演出:田渕大輔
作曲・編曲:青木朝子 植田浩徳 多田里紗
振付:御織ゆみ乃 若央りさ AYAKO 桜木涼介 三井聡
装置:川崎真奈 衣裳:薄井香奈 映像:九頭竜ちあき
出演:凪七瑠海 奏乃はると 久城あす 妃華ゆきの 叶ゆうり
野々花ひまり 壮海はるま 莉奈くるみ 紗蘭令愛 紀城ゆりや ほか
2024年5月3日(金) 2:30pm 宝塚バウホール 15列下手
(上演時間: 2時間5分/休憩 25分)
©宝塚歌劇団
物語の舞台は1914年のイギリス・ロンドン。
第一次世界大戦前夜で、ドイツによる侵略など様々なうわさが飛び交っていました。
南アフリカで鉱山技師として働いていたリチャード(凪七瑠海)はダイヤモンドの採掘で一山当て、ロンドンに戻って退屈な日々を過ごしていたある日、暇つぶしに覗いたミュージックホール「アリアドネ」で踊り子のアリス (野々花ひまり)と出会います。
その夜アパートに戻ると、上の階に住む男(和奏樹)が背中にナイフが刺さったまま訪ねてきて黒い手帳を渡し「39 Steps」という謎の言葉を残して息絶えます。大家(莉奈くるみ)に犯人と間違われたリチャードはとっさに逃げ出し、謎の男たちに追われながらも殺人事件の真相を解き明かそうとして・・・。
ジョン・バカンの「三十九階段」が原作で、ヒッチコックにより映画化され、近年はウェストエンドでも舞台化されたサスペンス。
原作未読、映画ももちろん舞台も未見です。
殺人事件の黒幕らしき”頬に傷のある牧師”’(叶ゆうり)はともかく、その手下たち(壮海はるま・蒼波黎也)がかなりのポンコツで、ミステリーというよりコメディ寄りな印象でしたが、明るくわかりやすく、勧善懲悪のハッピーエンドで楽しく拝見。
39 ”階段” という言葉にとらわれるあまり、ロンドン中の階段のある場所を探す中で、Steps が階段ではなく、ダンスのステップであることがわかり、そこから一気に謎が解けていく過程が洒落ていて、「アリアドネ」の乱闘の中、最初の場面に出てきた常連の酔っぱらいおやじ(奏乃はると)が現れた時には、「やっぱりあいつかー」とは思ったのですが、その正体がオドロキの大物だったのはヤラレタ!と思いました。
さすが組長、最後にいいとこ持っていきますよね。
39段の階段を探して大英博物館やバッキンガム宮殿などロンドンの名所を巡るツアー、映像だけど楽しかったな。
20年以上前に行ったきりのロンドン。また訪ねてみたくなりました。
スレンダーばボディのどんな衣裳もピタリと着こなして(中国人の占い師に変装した姿は「蒼穹の昴」思い出したり)、タバコに火をつけたりネクタイをゆるめたり、さりげない一つひとつの仕草が洗練されていて美しくキマる凪七さん。
雪組の若い男役さんたちはとてもよい学びとなっているのではないかしら。
アリスの野々花ひまりさんは、ミュージックホールの花形スターという大輪の花のような華やかさにはやや欠けるものの、歌にダンスにお芝居にさすがの実力を発揮。
要所要所で歌うアリアドネの歌手兼演出家?のピーター 久城あすさんが手堅く、バーテンダーのジャック 紀城ゆりやさんはキュート。
妃華ゆきのさんのダイナを筆頭に踊り子さんたちはべっぴんさん揃いで華やか。
彼女たち、頬に傷のある牧師さんの教会では修道女に扮していましたが、あのセクシーな修道女の衣裳はその方面から怒られないのか少し心配になりました・・・まぁ、多分牧師さんもニセ牧師でしょうから修道女も偽物ということで許されるのかな。
その頬に傷のある牧師は叶ゆうりさん。凄味ありました。
その手下の壮海はるまさん、蒼波黎也さんは前述したようにポンコツなのですが、二人とも長身イケメンでカッコよくて、そんな二人が振り切っている姿は頼もしかったです。
刑事の紗蘭令愛さんは今回初めて認識。丸顔で少年っぽいビジュアルですが、長身でスタイルよくて、もっと出てきてもよい人と思いました。
©宝塚歌劇団
二幕は物語の舞台となったミュージックホール「アリアドネ」でのショータイム。
イギリスが舞台のスパイもの、ということから、007に始まって、マタ・ハリ、ミッションインポッシブルと続きます。
007もMLもオリジナルの楽曲そのまま使われいてアガル。
凪七さんはオープニングで007のジェームズ・ボンドばりに「ゴールドフィンガー」を歌い、マタ・ハリに扮して妖艶なドレスで踊り、Mr.カチャでは初舞台ロケットはじめこれまでに演じた役の数々を映像で振り返り、フィナーレでは「ダイヤモンドは永遠に」で再び007とさながらワンマンショーの趣き。
振り返り映像を見ながら「え?カチャ まさか?」と少し不安が胸をよぎりましたが、まだまだご活躍いただきたいです。
マタ・ハリの場面は、久城あすさんの歌に乗って、ターゲットの叶ゆうりさんと若い将校(恋人?)の壮海はるまさんがマタを取り合う→将校とマタが手を取り合って逃げるという流れで、「これ、絶対マタ撃たれるよね、撃たれるよね」と思っていたらその通りになりました。
既視感(「SUPER VOYAGER!」にあったよね・・・というか宝塚のショーでよくあるよね)。
客席降りは清見ひかりさんがすぐ横に。
109期生ながらとても積極的に後ろまで行ってハイタッチしてくれていました。
カーテンコールでは劇中の台詞にちなんで「最近ワクワクしたこと」を毎回二人ずつ話すコーナーがあって、この日は壮海はるまさんと莉奈くるみさんでした。
壮海さんは「プリンセスが大好きでプリンセスの動画を見るとワクワクします」。
「白雪姫がいちごのパイをつくるところで小鳥さんが端を持ってこんなふうに(とアクション)するところが好きで、このシーンの話をしても大体伝わらないんですけど、共感してくれた方が二人いて、紗蘭とここにはいないんですけど縣千さんで、三人で盛り上がりました」
凪七さんは「ギャップが~」と言いつつ「もともと娘役志望だったんだよね」と。
「はい。初めて宝塚を観た時はこんなに大きくなかったんですけど、中学3年間でどんどん大きくなっちゃって」だそうです。
莉奈くるみさんのワクワクはお家で飼っている二匹の猫ちゃん。
帰宅すると玄関で待っていてくれたり、「寝るよ」というとベッドにぴょんと飛び乗ってきたり、”気まぐれ”というイメージとは違った人懐こい猫ちゃんたちにメロメロだそうです。
公演そのものが楽しいばかりか若い人たちにとってたくさんの経験の場となっている公演。
凪七さんの人柄もあってか、みんなのびのび楽しそうで、この公演が発表された当初は「え~っ 3分割もしないといけないのぉ」と思いましたが、よい公演になって本当によかったです。
「え~っ💦」と言ったあの日のワタシを許して のごくらく地獄度 (total 2263 vs 2266 )
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