2024年02月10日

今宵はあなたと我らのもの 星組 「VIOLETOPIA」


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                               ©宝塚歌劇団


星組公演 ショーは指田珠子先生の宝塚大劇場デビュー作。  
宝塚歌劇の象徴の一つと言える「Violette(スミレ)」と、「場所・郷」を表す言葉「TOPIA(トピア)」を合わせた「VIOLETOPIA」。
何かに魅了された者たちが集う場所-劇場。
喝采、憧憬、熱狂、孤独、そして希望・・・時代や国を超え、劇場の光と闇を描くレビュー作品です。


宝塚歌劇 星組公演
レビュー・シンドローム 「VIOLETOPIA」
作・演出:指田珠子
作曲・編曲:青木朝子  玉麻尚一  多田里紗   音楽指揮:佐々田愛一郎
振付:御織ゆみ乃  長谷川達也  KAORIalive  港ゆりか
装置:二村周作   衣裳:有村淳


出演者は「RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~」と同じこちら

2024年1月7日(日) 11:00am 宝塚大劇場 2階3列センター/3:30pm 1階14列下手/
1月12日(金) 1:00pm 2階14列センター/1月16日(火) 3:30pm 1階3列上手/
1月21日(日) 3:30pm 1階21列センター/1月25日(木) 1:00pm 1階23列センター/
1月28日(日) 11:00am 2階14列センター/2月2日(金) 1:00pm 1階21列上手/
2月4日(日) 1:00pm TOHOシネマズ梅田 スクリーン2(ライブ中継)
(上演時間: 55分)



劇場通いを日常と一つとしている者として、「劇場」がテーマのレビューと聞くたけでテンション上がります。
が、イメージするような明るく楽しいものではなく、全編を通じてダークなトーンで、退廃感やディストピア感漂う、何ともワンダーランドなショーでした。
これがかなり中毒性あって、クセになるのよ。

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森の中の廃墟に一人の青年(礼真琴)がたどり着き、すみれの花に触れると歌声が聞こえ、廃墟の中から劇場、そしてそこに棲みつく記憶が蘇るというオープニング。
まるでこのショー全体が、青年の見た夢のようでもあり、彼の心の奥底に沈められた記憶のようにも思えます。
「ああ、そうだ。指田先生は『龍の宮物語』や『冬霞の巴里』を書いた人だったな」と今さらながら思い出しました。


☆追憶の劇場
プロローグで現れた追憶の美女や男たちが歌い踊り、華やかなレヴューの幕開け。
最後に先ほども青年も”レヴューの青年”として加わります。

ここで歌われる主題歌

 花びら 月震わせ
 雪舞い上がり 星纏う
 つま先かき混ぜる 天空
 今宵はあなたと我らのもの
 夢燻らす劇場 VIOLETOPIA

の歌詞がとても好き。
今宵はあなたと我らのものー劇場で観るものは夢のように儚く一夜限りのものだけど、その瞬間は舞台に立つ人と観客のものだから。
”夢燻らす”という素敵な表現、指田先生 詩人だな。

総踊りで盛り上がった後、雨が降り始めて皆が去って行く中、銀橋に青年(礼真琴)と美女(舞空瞳)が残って穴の開いた傘を差しながら仲良くデュエット。
ここの曲、♪ルーラガドゥ~という歌詞がかわいくて、もちろん礼さん舞空さんもとってもキュートでお気に入りの場面。
原曲はこれらしい。
ちなみに、Blu-ray収録日はここはフランス語で歌われたのだとか。
♪気まぐれ雨つぶぅ ♪君のほほ濡らす~ というカワイイやり取りも劇場だけのお楽しみです。


☆バックステージは虚構
劇場で裏方の仕事をしている青年(暁千星)がヒロインのダンサー(詩ちづる)に憧れて、相手役として踊ることを夢見るストーリー。
ちょっとバックステージものの趣きがあって楽しい。
暁さんの衣裳はもう少し何とかならないかとも思いますが(裏方感を出しているのか(^_^;)、あまり肩肘張ってなくて等身大っぽいありちゃんよき。
ヒロインの夫役の天華えまさんも恋人役の天飛華音さんもダンサーーですが、暁さん含めて三人三様、ダンスのタイプが違うのも観ていて楽しいです。


☆サーカス小屋の宿命
砂漠の中の村にやってきた座長(極美慎)率いるサーカス一座と、村人たち、村の娘(舞空瞳)、そしてヘビ(礼真琴)の物語。

この場面はまず、平沢進さんの「パレード」(こちら)が使われるということで、始まる前からかなり話題になりました。「平沢の曲が使われるなら観てみたい」というファンの方も。
私は不見識で平沢さんもこの曲も全く存じ上げませんでしたが、妖しげなサーカスの行進とこの曲の雰囲気がぴったりハマっていました。

極美慎さんの座長が村人たちを惑わし、一座のすべてを掌握して君臨していて、「かりんちゃん立派になって・・・」と感慨深かったです。

そして礼さんのヘビですよ。
設定何も知らずに観てもきっとヘビだとわかるし、娘に対して最初は威嚇して近づかなかったのに、徐々に心を開いて。お互いに気持ちを通じ合わせる様がちゃんと感じられました。ダンスだけで。
何ともエキゾチックで中性的なメイクや髪型が何とも魅力的で、礼さんまた新しい一面を見せてくれました。
爬虫類 大の苦手の不肖スキップではありますが、あんなヘビなら飼ってみたい←

すべてが夢が幻だったかのように一瞬で消え去るサーカス一座。
砂漠の向こうに次の土地を目指して歩く一座の一番後ろから、思い出の花を持ってうつむいて、とぼとぼついて行くヘビのシルエットが切なくて、毎回泣きそうになりました。


☆宮廷と役者と青春
天飛華音・瑠璃花夏・詩ちづる 3人の銀橋渡りから始まる中詰です。
♪狙うのは大当たり という景気のいい歌ですが、この曲もBlu-ray収録ではフランス語で歌われた模様。


そして、暁千星さんのハイトーンシャウトで始まるDeep Purpleの「Highway Star」
ここの男役さんたち、暁さんのピンクをはじめ、色とりどりのベレー帽です。
全員で盛り上がって歌い踊る中、下手せり上がりで紫のベレー帽の礼さん登場。
少しトーンの違う孤独感ある曲を歌い、脚を2回も180度上げて見せて(上げる時より下におろす時の方がスピードダウンするのどうなってるの?勢いだけで上げていないということですよね。どんな体幹!?)

からの「リストマニア」の曲に乗って怒涛の客席降りです。
礼さん、舞空さん、暁さんの3人は一緒に下手階段から降りて21列・22列の間の通路を上手まで走り、舞台近くまで戻って上手通路で止まって少し歌って舞台へ、というパターン。
1月16日に観た時、3列68番で、そのあたりに礼さんたちが止まることを知っていましたので、券面観た時一瞬思考が止まりました。
果たして、礼さんが私に向かって目を見て♪リストマニアのしーっをやってくださいまして。それまでの記憶がすべて飛ぶ事態に(≧▽≦)

後日、この舞台写真が発売されまして(こちら)、「わーん、これ、私があの時目の前で観たことちゃんだ!」と即買い。四つ切も買って、フレームに入れて寝室に飾っていますが何か?

ちなみにこの日、「RRR」では水乃ゆりちゃん WATERRR が目の前でエッタラジェンダしてくれました。

今回の客席降りは他の人たちもローテーションして3回くらい移動していろんな人がやってくるし、下手後方の席で観た時は天華えまさんとハイタッチできたし、礼さんからは両手ハートいただいたし、my 楽となった2月2日には、なんとなんとー客席駆け抜けて行く礼さんとハイタッチしていただけて、極美慎さんにはウィンクつきでハイタッチというハッピーもあり、本当に楽しい思い出ばかりです。ありがとうございました。


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こんな席だったの


☆楽屋、燻る憧憬
ある女性歌手の楽屋に集まる若い男性ファンたちの歌とダンス。
楽屋のほんとにあんな人たち入って来てたらコワイけれど(笑)、極美さん、天飛さん中心の若手男役たちの場面はイキイキ楽しい。


☆狂乱の酒・観客・酒
キャバレーで狂乱の宴を繰り広げる人々とそこに迷い込んだ演出家の青年。

黒燕尾にハットの舞空瞳さんのダンスと歌から始まりますが、これがとんでもなくカッコいい。
さすがダンサーなこちゃん、一つひとつのポーズがピタリと決まって、劇場中の視線を独り占めです。
もう一人、暁千星さんのシャンパン。
ベイビーフェイスのありちゃんですが、妖艶かつ強さしなやかさのある見事な女っぷりにホレボレ。

「リストマニア」が表現する何かを生み出すことの喜びやすばらしさを表しているとすれば、「キャバレー」はその生み出したものが狂乱の中に埋没していく恐ろしさを描いているのかな、とも思います。
このキャバレーに迷い込んだ青年だけが普通の感覚で、周りの客たちはただ狂乱に溺れていて、そこから次の「孤独」の場面へと繋がる凄み。


☆孤独
狂乱の中、何のために歌い、踊るのかわからなくなって青年の孤独。そこに現れる劇場の影法師たち。

青年の孤独の厳しさに観ていて辛くなります。
夢や記憶は人によって形が違うと同時に、自分自身の中でも時の流れとともに姿を変えていくものだと、今 目の前にある光景や過ごしたこの時は二度と戻らないと、だからこそナマの舞台だと、わかっているつもりのことをもう一度突きつけられて、その厳しさに言葉をなくす思いでした。

とはいえ、稀代のダンサーでありシンガーである礼真琴さんの真骨頂のようなシーン。
毎回見惚れるし聴き惚れます。


☆エントランス・ノスタルジー
天華えまさんがトレンチコート着て銀橋で「As Time Goes By」を歌い、他3人の退団者(大輝真琴・彩園ひな・侑蘭粋)がステージで踊る場面。
退団者が千穐楽にコサージュつけと踊る場面にハナハダヨワイ不肖スキップ、せり上がってきた天華さんが左胸ポケットに白い花をつけていて、それがカサブランカとわかったらもうダメでした
「As Time Goes By」は映画「カサブランカ」のテーマ曲。ぴーちゃん


☆音符に翻弄され
ロケットですが、男役4人(碧音斗和・御剣海・稀惺かずと・大希颯)が指揮者のコスチュームで加わるという変形パターン。
それぞれのチームでのピックアップもあって、楽しいロケットになっていました。


☆大階段・継承
男役群舞からの娘役も加わっての群舞。
全員サングラスをかけて登場です。
ちなみに、ここは”未来の劇場”を表現しているのだとか。

冒頭、礼さんが大階段でElton John の「The King Must Die」を歌いますが、死ぬほどカッコいいよね。
というか、この曲、礼さんの曲だった?という感じです。ごめんよ、エルトン・ジョン(^_^;)
ずい分前に「REON!!」で歌った「Feeling Good」と似たテイストの曲ですが、本当にこんな曲歌わせたら右に出る者いませんね、礼さん。永遠に聴いていたいくらいです。


☆大階段・デュエット
デュエットダンスは、舞空さんが大階段、礼さんは舞台上手から登場。
大階段で礼さんが差し出した手に舞空さんがちょんと触れてじらす→礼さんやれやれといった表情 というドラマ的な振りもあって、多幸感に満ちた美しいデュエダンでした。BGMは「白い恋人たち」
ラスト銀橋に出てきてキスからのバッグハグ💕


パレード:
エトワール 天華えま
小桜ほのか  天飛華音
極美慎
暁千星
舞空瞳
礼真琴


ありちゃん 二番手羽根おめでとー🎊




ということで、長々と書いてきましたが私の星組「RRR/VIOLETOPIA」 これにて一旦幕でございます。え?一旦?? のごくらく地獄度 (total 2442 vs 2443 )


  
posted by スキップ at 18:58| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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