2024年01月08日

片方の手では守り、片方の手では奪う 星組 「RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~」


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              ©宝塚歌劇団


2024年エンタメはじめ&宝塚はじめ。
本当は元旦から3が日、毎日観る予定だったのですが、初日が1月5日に変更となったため、やっと昨日が my 初日となりました。
いきなりマチソワです(≧▽≦)
まずはお芝居の感想を。


宝塚歌劇 星組公演
「RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~」
(アールアールアール バイ タカラヅカ ~ルートビーム~)
Based on SS Rajamouli’s ‘RRR’
脚本・演出:谷 貴矢  
作曲・編曲:太田 健  高橋 恵   音楽指揮:佐々田愛一郎
オリジナル振付:Prem Rakshith
振付:御織ゆみ乃  若央りさ  KAORIalive
殺陣:清家三彦   装置:國包洋子
衣裳:加藤真美   照明:笠原俊幸
出演:礼 真琴  舞空 瞳  暁 千星  美稀千種  白妙なつ
大輝真琴  輝咲玲央  ひろ香 祐  紫りら  朝水りょう
天華えま  夕渚りょう  小桜ほのか  希沙 薫  極美 慎
碧海さりお  天飛 華音  奏碧タケル  鳳真斗愛  水乃ゆり
瑠璃花夏  碧音斗和  詩ちづる  稀惺かずと  大希 颯 ほか

2024年1月7日(日) 11:00am 宝塚大劇場 2階3列センター/
1月7日(日) 3:30pm 宝塚大劇場 1階14列下手
(上演時間: 1時間35分)



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                           ©宝塚歌劇団


2022年に公開された大ヒットインド映画「RRR」をベースに、ビーム視点で物語を再構築・新展開した作品。
昨年観た映画「RRR」の感想はこちら


1920年、イギリス植民地時代のインドが舞台。
ゴーンド族の守護者とされるビーム(礼真琴)は、圧政を敷くインド総督スコットとその妻(輝咲玲央・小桜ほのか)によって連れ去られた幼い少女マッリ(瑠璃花夏)を救うため、素性を隠しアクタルと名乗ってデリーへ潜入します。ビームは、川で火災に巻き込まれたアルジュン(碧音斗和)をともに助けたことでラーマ(暁千星)と知り合いますが、ラーマはインド人でありながらビームを捕らえスコットへ引き渡そうと目論む警察官で、その胸にどうしても成し遂げなければならない大儀を秘めていました。互いの素性を知らずに熱い友情を育み、ラーマを”兄貴”と慕うビーム。そんな中、ビームは、偶然見かけてその優しさと美しさに恋心を抱いていたスコット総督の姪・ジェニー(舞空瞳)と、ラーマの協力で親しく話すこととなり、総督府のパーティに招待されます・・・。


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                           ©宝塚歌劇団
左のRの下ぐらいに虎がゆったり歩いているの、見えます?



まずは、映画を再現する舞台化ではなく「宝塚化」したいと考えたという谷貴矢先生に大拍手👏👏
3時間の映画を、物語の重要ポイントはしっかり押さえつつ、ラーマにまつわるあれこれは思い切りよくカット、映画のメインテーマの一つである帝国の支配に屈することのないインドの民族の闘いというところはあっさり目で、ビームとラーマの命を賭した友情というという部分に全振りした脚本。1時間35分にギュッと濃縮されています。
アクションや戦闘シーンをダンスで表現するのは宝塚に限らず舞台では常套手段ですが、まさに”舞闘”ともいえる大胆なアレンジ。
SINGERRR・WATERRR・FIRRRE が、キャスティングされている各2名ばかりでなく、コーラスや群舞のコロス含めて使い方が絶妙で、まさに天才の所業では?

ストーリー上で映画との主な違いは
・冒頭のラーマ vs 10万人?、ラーマ少年期の大部分がカット
・ビーム拷問から一気にラーマ処刑、救出へと怒涛の展開
・ジェニーがただの令嬢ではなく、しっかり自分の意志を持った女性
・ジェニーがシータと出会う。そこでラーマの処刑を知り、ビームに知らせる
・ジェイクがジェニーの婚約者。憎まれ役ながらまさかの・・・
・最後に総督を撃つのがビームではなくラーマ

という感じでしょうか。


冒頭のマッリの歌をはじめ、ドスティやエッタラジェンダ、そしてもちろんナートゥも、映画の音楽がふんだんい取り込まれ、そこに Jaago!をはじめとする宝塚版オリジナルの楽曲が違和感なく溶け込んでいます。

川で少年を助けた時、ビームとラーマが手をガシッと握り合う、映画のポスターにもなったシーン。
スポットライトの使い方も秀逸で、思わず拍手が巻き起こりました。

映画でビームとラーマが互いの立場を知らず友情を深めていく映像が走馬灯のように流れるシーン。
二人が敵同士の立場と知って観るのでつい涙ぐんでしまったのですが、「ドスティ Dosti(運命)」がコーラスで歌われる中、舞台なのに映画と同じように場面が展開して、また涙。
盆で舞台を回して、人々がどんどん入れ替わってシームレスに場面が展開。間にはビームとラーマがそれぞれ互いには見せていない部分もきちんと入れ込み、舞台が回ることで時間の経過も表すという、舞台ならではの演出。
ここに重なるSINGERRR 美稀千種さん、都優奈さんの迫力ある歌唱、そして重層的なコーラスが本当にすばらしい。
曲そのままで谷貴矢先生の訳詞がついているのですが、「片方の手では守り、片方の手では奪う さだめを知らずに生きていけるのか」って、泣ける。

「ナートゥ」は文句なく楽しい。
オリジナル振付をベースにした御織ゆみ乃先生の振付がまさに「ナートゥ」で、それをセンターで踊るのが礼真琴さん、暁千星さんとくればよくない訳がないという感じですが、よくぞあそこまで、と思いました。
ペッダイヤやジャングも、イギリス人の紳士もレディもみんな踊って、舞台から左右の花道にまで人が広がって踊る華やかさは宝塚ならでは。客席もノリノリの手拍子でした。
かなりハードなダンスで、どうか東京の千穐楽まで、膝や腰を痛めたり、お怪我などありませんようにと祈っています。

映画を観た時、「あの『鞭打ちの歌』(言い方(≧▽≦))を礼真琴の歌声で聴けるなんて!」と思った「コムラム・ビームよ」(Komuram Bheemudo)
映画の自分自身と民衆を鼓舞するような力強い歌唱とはまた違うのですが、大地から湧き上がって、劇場中、世界中を包み込むような礼真琴ビームの歌唱。2回観て2回とも涙があふれました。

鳥が自由に飛び回るように
草木が寄り添い天を目指すように
水が必ず溢れ出すように
魂の炎は消せはしない

この拷問場面の鞭打たれ方がまた礼真琴さん上手くて。
音だけなのに、ピクッと反応して体のどこに当たったかわかるし、いかにも痛く苦しそう。

映画とはここからが違って、ラーマが覚醒してビームを逃がし、ラーマの逮捕・処刑→ビームがラーマを救出→森の中での戦闘と怒涛の展開。
戦闘場面のラーマが放つ弓矢は電飾が使われていて、「おおーっ!」となりました。
そしてラストは「エッタラジェンダ」で華々しく花火が打ち上がり、1階はもとより2階にもイギリスチームの皆さま笑顔で客席降りと、景気よく明るい大団円となりました。


礼真琴さんビーム
「俺は森で生まれ、無知だった」に象徴される、素朴で純粋な人物。
静かで控えめながら強い意志と人を引き付けるカリスマ性を持ったビーム。
あんなに強いのに、ちょっと猫背だったり、ジェニーの前でおどおどしたりする仕草がとんでもなくかわいい。
前述した「ナートゥ」はじめ卓越したダンス、「コムラム・ビームよ」の歌唱のすばらしさや鞭の打たれ方の上手さはもとより、あの長い槍をまるで自分の体の一部のように自在にしかも美しく操る身体能力の高さにも改めてひれ伏す思いです。
そういった目立つ部分のみならず、たとえばシータにラーマからの手紙を見せられる場面。
字が読めないビームは眉間に皺を寄せて、一生懸命手紙の文字を手でなぞっています。本当に悲しそうな表情をして。
映画にはない場面ですが、「俺は森で生まれ無知だった」にも、ラストの「まず読み書きを教えて」にも繋がる、繊細に人物像を構築する演技。ほんと礼真琴、惚れるゼ←

暁千星さんラーマ
野性的なビームに対し、大儀を胸に秘め、思慮深く落ち着きもあるラーマ。
ビームから”兄貴”と慕われるのがいかにも似合う大人の男。どちらかといえば弟キャラだったありちゃんですが、ラーマ渋みも色気も加わってとてもセクシー。ますます素敵な男役となりました。
そしてやっぱり脚ながーい。華があるのはもちろん、歌もダンスもすばらしい。


舞空瞳さんジェニー
美しさはそのままに、ただのお嬢様ではなく、リベラルな視線を持ち、自分の意志で行動できる芯の強い女性として描かれていて、それが舞空さんの持ち味にもハマッて素敵なジェニー像になっています。
パーティの場面のピンクのドレスの似合いっぷり。ビームとラーマに促す「Go!」のかわいらしさ。女性たちを率いてセンターで踊る華やかさ。


極美慎さんジェイク
映画より役をふくらませて、ジェニーの婚約者という設定。
インド人に対して侮蔑的な態度や「ナートゥ」でビームたちに対抗心を燃やすところはそのままに、最後はジェニーに協力するという人の好いところも見せて、「え?お前、来たんか」的な笑いが客席から起こっていました(もちろん私も笑った)。
かりんちゃんも脚長すぎ。スーツ似合いすぎです。

ビームの仲間たち 天華えまさんペッダイヤ・天飛華音さんジャング(天飛華音)・稀惺かずとさんラッチュ
何かと問題起こしがちですがそれぞれ懸命にビームをサポート。ペッダイヤとジャングはボーイに扮してパーティに紛れ込み、ナートゥも踊っていました。
中では、ラーマに見つかって拷問され、逆にラーマを毒蛇に噛ませるというラッチュの稀惺かずとさんがもうけ役。3人の中で最下級生ながらお芝居も達者です。


瑠璃花夏さんマッリ・詩ちづるさんシータ
ともに美しいう歌声を響かせる二人。サリーもお似合い。
シータの「彼を信じて待つ。それが私の戦いよ」という強さが印象的でした。


輝咲玲央さんスコット総督・小桜ほのかさん妻キャサリン・碧海さりおさんエドワード
スコット夫妻の悪辣ぶりは映画より控えめで、その分エドワードが一身に引き受けている感じです。碧海さりおさん、このところ悪役が続いていますが、さすがに上手い。
小桜ほのかさんはパーティで美声を響かせていました。ラストの客席降りでイギリスチームが2階に登場したのですが、ほのかちゃんだけ王室の人みたいに白手袋の右手を挙げて笑顔でずっと振っていたの、かわいかったです。

碧音斗和さんの少年アルジュンと、ラーマの少年時代を演じた乙華菜乃さんも印象に残りました。
ジェンヌさんは皆さん子役お上手ですが、碧音斗和さん、普段はあんな低いいい声(「1789」で最初に台詞発するのは碧音くん)なのに、あんな少年の声で「助けて~」って出せるなんて。
乙華菜乃さんも娘役ながらちゃんと「少年」になっていて、いずれこの子があのラーマになるという強さも感じさせてよかったです。
今回新人公演で初ヒロイン。宝塚大劇場の新人公演なくなっちゃって残念ですが、東京でがんばっていただきたいです。



映画の大ファンで宝塚を初めてご覧になった方の感想もすでにX にいくつかポストされていますが、皆さんとても楽しまれ満足されているご様子でうれしい限りです。
本当に楽しい作品で宝塚ファンのみならずたくさんの方に観ていただきたいところですが、とんでもなくチケ難でチケット手に入らないのがツライところ💦



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宝塚歌劇110周年イヤーの始まり
ロビーでは礼真琴さんがお出迎え


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大劇場内ではトップ5人お揃いです



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劇場で会ったお友達と公演カクテルであけおめ乾杯🥂
よき2024年観劇スタートとなりました。



「RRR」良すぎてあと100回は観たい(真顔)のごくらく度 (total 2439  vs 2438


posted by スキップ at 16:58| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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