2023年12月06日

ガブを楽しむ 「中之島文楽2023」


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今年はこちらへも久しぶりに。

人形浄瑠璃 文楽 × 講談 × 現代美術プロジェクションマッピング
中之島文楽2023

2023年10月14日(土) 12:30pm 大阪市中央公会堂 大集会室 け列(4列目)センター




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入口では若菜さんと渡辺綱さんがお出迎え


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もちろんミャクミャクも


今年はテーマは「ガブ」。
人形の口が「ガブッ」と割れることから名づけらたもので、どちらの演目にも美しい娘の顔から恐ろしい形相に変わる特殊な首が遣われます。
妖怪変化や怨霊の役に使われ、しかけ糸を引くと、頭から角が出て、目は金色に変わり、口が耳まで裂けるというものです。


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ステキな幕や劇中ふんだんに使われるプロジェクションマッピングなど美術のご担当は画家の後藤靖香さん。


ラジオ大阪の藤川貴央アナウンサーの進行で、第一部、第二部の幕前に技芸員さんのトーク。
まず、「日高川入相花王」の前は、三味線の鶴澤燕三さん。
燕三さん、物静かな印象ありますが、よくお話してくださいました。
三味線の立場からの戯曲のお話は興味深く、清姫が本性を顕すくだりでは、太夫さんのおうにひと節語ってくださるという豪華ご馳走つきでした。

次に、旭堂南海さんがこの場面に至るまでの物語をおもしろおかしく講談で。
日高川はよく知っているお話ですが、それでもこうして流れを聴いてから観るとお話がとても入ってきやすいです。


第一部 「日高川入相花王」 渡し場の段
出演: 太夫   竹本織太夫  竹本碩太夫  竹本織栄太夫
    三味線   鶴澤燕三  鶴澤友之助  鶴澤燕二郎
    人形   桐竹紋臣  吉田玉佳 ほか


ご存じ安珍清姫の物語の終盤。
安珍が恋人のおだ巻姫と館から去って行ったことを知った清姫が二人の後を追って日高川の船着き場までやってきますが、川を渡ることができず、悲嘆に暮れる清姫の嫉妬心が、やがては怨みとなり、姫の口を裂き、角を生やし、ついにはその姿を大きな蛇に姿を変えて・・・。

かなり映像を駆使した演出で、清姫を遣う紋臣さんや船頭の玉佳さんがスクリーンに映し出されたり、日高川も渡し舟も大道具ではなくアートで表現されていました。これは好みの分かれるところでしょうか。

清姫がガブで大蛇に変身する瞬間がスクリーンに映ったのはおもしろかったな。
日高川の水かさが増して、清姫が銀色の蛇体になって、スクリーンの波はゴールドと、華やかで美しい幕切れでした。

燕三さんに事前にお聴きしていたところもしっかりキャッチ。
それにつけても、恋心が高じて蛇体となってしまう清姫の思いの強さが少しうらやましくもあり。


第二部の前のトークは吉田一輔さん。
若菜のかしらを持ってご登場で、普段なら素早くやるガブをゆっくり見せてくださって、その表情の変わり方にほほ~っとなりました。
この演目は毛振りがあるのですが、人形の毛振りは人間が自分でやるより大変💦というお話、興味シンシンでした。

そして、旭堂南海さんの講談。
「安倍晴明の背の高い弟子・・・あべのハルカス」で笑ってしまった自分がちょっと悔しい(^_^;)


第二部 「増補大江山」 戻り橋の段
出演: 太夫   竹本織太夫  竹本碩太夫
    三味線   鶴澤燕三  竹澤團吾/八雲  鶴澤友之助  鶴澤燕二郎
    人形   𠮷田玉男  吉田一輔 ほか


物語: 源頼光四天王の一人 渡辺綱は鬼が現れると聞いて夜の都を警戒する中、一条戻り橋の辺りで美しい女性と出会います。綱は五条に帰るというその女性を送っていく途中、水面に写った彼女の姿が 恐ろしい鬼の姿をしていることに気づきます。女性は扇職人の娘・若菜と名乗りますが、綱の素性を知っており、魔性のものであると確信した綱が若菜に詰め寄ると観念した若菜は恐ろしい鬼に変わり・・・。


若菜の舞では八雲(琴)が演奏されて優雅な雰囲気だったのが一転、若菜が鬼に豹変してからは、空には稲妻が走り、綱と鬼若菜の大立ち回り。
これでもか、という鬼若菜の毛振りに「これか~!」と納得しました。
凄い迫力でした。

織太夫さんはもちろんエエ声すばらしかったですが、お若い碩太夫さんが声に力が漲って、滑舌もよく、織太夫さんの若菜相手に堂々と渡辺綱を語り切っていてうれしいオドロキでした。

そして、渡辺綱を遣う玉男さんが相変わらずお人形と張り合うカッコよさでした💕


二つの演目を通して、プロジェクションマッピングは正直のところ、ちょっぴり邪魔かなと思う場面もありましたが、舞い散る桜花や光る雷鳴など動く背景は楽しかったです。



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カーテンコール 全員のラインナップ




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綺麗な若菜(上)と鬼に豹変後(下)
一輔さんおちゃめ




これで2,000円は超ハイコスパ もっとチケット代取ってくれてもええんやで のごくらく地獄度 (total 2433 vs 2431 )



posted by スキップ at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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