2024年02月13日
ルパンであってルパンでないような・・・「LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~」
2月11日はこちらの公演も大千穐楽を迎えました。
昨年 11月9日の帝国劇場の初日から、名古屋、大阪、福岡、長野とこの状況下で3ヵ月間75公演完走できたこと、本当にすばらしいです👏
モーリス・ルブランの「怪盗ルパン」シリーズを下敷きに小池修一郎先生がドーヴ・アチアさんとタッグを組んで自由な発想で描き出した冒険活劇ロマン。
カリオストロ伯爵夫人役の希礼音さん、真風涼帆さんという宝塚歌劇団新旧トップスターのWキャストも話題になりました。しかも真風さんはこの作品が退団後初舞台。
ミュージカル・ピカレスク
「LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~」
脚本・歌詞・演出:小池修一郎
音楽:ドーヴ・アチア 共同作曲:ロッド・ジャノワ
音楽監督・編曲:太田健
振付:桜木涼介
美術:松井るみ 照明:笠原俊幸 衣裳:生澤美子
出演:出演古川雄大 真彩希帆 黒羽麻璃央/立石俊樹(Wキャスト)
加藤清史郎 勝矢 小西遼生 柚希礼音/真風涼帆(Wキャスト)
宮川 浩 章平 ほか
2023年12月30日(土) 5:00pm 梅田芸術劇場 1階4列目センター/
2024年1月10日(水) 12:00pm 2階1列センター/5:00pm 2階6列下手
(上演時間: 3時間10分/休憩 30分)
柚希さんカリオストロ伯爵夫人を2回、真風さんで1回観ました。
ボーマニャン 黒羽麻璃央は東京公演のみでしたので実質シングルキャストですね。
物語は、テンプル騎士団の燭台にまつわる言い伝え・・・生命の樹メノラーから7本の枝が失われていて、その全てが燭台に戻った時、どんな望みも叶う(騎士団の莫大な隠し財宝の在りかがわかる)と、クラリス(真彩希帆)が歌いあげる場面から始まります。
この7本の枝、つまり財宝をわがものにしようと、怪盗ルパン(古川雄大)、謎の美女 カリオストロ伯爵夫人(柚希礼音/真風涼帆)、テンプル騎士団研究会会長でクラリスの父の借金の肩にクラリスとの結婚を目論むボーマニャン(立石俊樹)が虚々実々の駆け引きを展開。そこへ、ルパンを追うガニマール警部(勝矢)、イギリスからやって来たルパンの永遠のライバルでもある名探偵シャーロック・ホームズ(小西遼生)、さらにはルパンマニアの高校生探偵イジドール(加藤清史郎)たちも入り乱れて、財宝を巡る大騒動が繰り広げられます。
冒頭クラリスが歌う「願いが叶う日」をはじめ、ルパンの生い立ちやカリオストロ伯爵夫人の真実など、怒涛の説明台詞ならぬ説明歌詞の連続にどうなることかと思いましたが、ルブランの「カリオストロ伯爵夫人」も「奇巌城」も読んだことがなく、自分の目で観るまではネタバレをシャットアウトしてきましたので、ストーリーを知らず、展開を楽しく拝見。後半はもはや”ルパンの物語”ですらないなと思いながら(≧▽≦)
男装の女性が出てくるかと思えば、ルパンなので変装はもちろん男性の女装もあって、華やかなカンカンも殺陣もと娯楽性たっぷり。
女性の社会進出への活動や、身分や貧富の差といった階級社会への怒りなど、現代に通じる問題にも触れながら、まぁそこは小池先生ですからそれほど深く掘り下げず、勧善懲悪で悪は滅び、テンプル騎士団が思いを託した財宝は正しい使途となり、ルパンとクラリスはラブラブという絵に描いたようなハッピーエンド。観終わった後、何かよくわからないけど、ま、いっかという気分になります。
楽曲は全体的にキャッチーで耳馴染みがよかったのですが、なぜか、「太陽王」や「ロックオペラ モーツァルト」が何度も頭をよぎって、「あー、そうだ、音楽はドーヴ・アチアさんだった!と思い至った次第です。「1789」ではなく、この2作と曲調が似ていたのかな。
財宝が眠るらしき奇巌城を目指してキャストが歌いつなぐ「北斗七星の先に」よかったな。
古川雄大さんの凛と美しくマント捌きも鮮やかなルパン。
小池先生のあて書きと思われますが、常にすべてを見通して神出鬼没の大怪盗というより、等身大というか、思いがけず出し抜かれたり、好きな女性の前では真摯にもなる”青年ルパン”でした。
女装を含め変装はいずれもキマっていて、いかにも真ん中に立つオーラがあって華やか。
独特の甘い声の歌唱もまた一段とのびやかになった印象です。
カリオストロ伯爵夫人の柚希礼音さん。
グラマスなボディにゴージャスで妖艶で圧倒的な華やかさと存在感。
男装は宝塚時代を思い出しもしましたが、ちゃんと「女性がしている男装」になっていてすばらしい。
ルパンと踊るタンゴの脚さばきはキレッキレ。
最後の高笑いの爽快感。そういえばヅカ時代、「The Lost Glory」のイヴァーノ・リッチの高笑いも大好きだったな。
勝気で茶目っ気もあって、本当に魅力的なカリオストロ伯爵夫人で、そりゃホームズでなくてもハートを盗まれますワ。
もう一人のカリオストロ伯爵夫人・真風涼帆さん。
まだ男役が抜けきっていないかのような硬質な佇まいがどことなく中世的な雰囲気で、ミステリアスなカリオストロ伯爵夫人でした。
もう少し感情の起伏の緩急があってもいいかなとも思いましたが、そういえば宝塚時代の真風さんもそんな持ち味だったな。
皆さんおっしゃっている通り 二人のカリオストロ伯爵夫人がく然違っていて、だからそれを受けるルパンやレオナール、ホームズのお芝居もまた変わって、ナマの舞台の醍醐味だと思いました。
クラリスの真彩希帆さん。
相変わらず天使の歌声すばらしい。
歌詞がしっかり届く美しい歌声と同じくらい綺麗な声で口跡よい台詞もとても耳に心地いいです。
ただ、プリンセス的なヒロインの役まわりを振られることが多い真彩さんですが、彼女の個性はもっと違うところにあるのではないかと思っています。
ボーマニャンの立石俊樹さん。
濃い目のお顔立ちとメイクがいかにも黒い人物といった趣きでよき。
最後の詰めが甘いのはいかがなものかとは思いましたが、悪役フェチの不肖スキップ的には合格の敵役でした←どんな立ち位置?(≧▽≦)
歌もよかったです。
シャーロック・ホームズは小西遼生さん。
「畜生 俺のハートを盗んだな」
「クオリティの差なのか」
「男女交際には順番というものがあるんだ」
小西さんホームズの台詞がやたらツボで、つい笑ってしまいました。大好き。
そのホームズより探偵としては優秀かもしれないイジドールは加藤清史郎くん。
あの子ども店長が・・・と感慨深いですが、いかにも頭の回転が速そうで、動きはキビキビ。歌唱もしっかりで今後の活躍も楽しみです。
ガニマール警部の勝矢さんがいかにもガニマール警部で楽しかったし、台詞も歌も声量豊かだったし、レオナールの章平さんはマッチョな体のワリには敵に対してはヨワヨワだったけれど、カリオストロ伯爵夫人への揺るぎない愛と忠誠が感じられました。
カーテンコール。
12月30日は年内最後の公演で、古川雄大さんの「よいお年を!」と盛大な投げキッスで幕。
1月10日は大阪公演千穐楽で、「それでは・・・」と舞台上に座り込んで、「大阪は小ボケをしないといけないから」と笑いを取ったことに満足して客席に着席促すことを忘れるという非常にかわいい一面を見せていただきました。
一幕ラストのあれはキャベツ畑思い出したり、ラストの屋根の上での決闘含めてあちこちに漂う宙組「カジノ・ロワイヤル」み の地獄度 (total 2242 vs 2245 )
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