2023年11月19日

平成中村座 小倉城公演 昼の部


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北九州市制60周年
平成中村座 小倉城公演 昼の部
2023年11月17日(金) 11:00am 平成中村座 桜席 2階左1列




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入場するといつもあるこれ


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この日は勘三郎さんの”目”がいきなり飛び込んできました。
姫路城公演の時もあったのかもしれませんが、気づかず💦
やっぱり今回、小倉に呼ばれたんだなと思いました。

ということで公演ドリンク(言い方)は「勘三郎カクテル」いただきました(冒頭の画像)。
十八代目襲名の時に勘三郎さんにお作りしたという、アップルブランデー、梅酒、レモンジュースのカクテル。「アルコール強めですが大丈夫ですか?」と言われて「大丈夫です!」ときっぱりお返事しました。他には勘九郎カクテル、七之助カクテル、ノンアルコールの勘太郎エール、長三郎あまおうなども。
マスターが、お店にいらした時の勘三郎さんのお写真見せてくださって(見覚えあるピンクのセーターお召しでした)、ちょっと泣いてしまいました。


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、義経千本桜  渡海屋/大物浦
出演:中村勘九郎  中村七之助  中村橋之助  中村虎之介
中村鶴松  中村歌之助  中村福之助  坂東新悟  片岡亀蔵 ほか
(上演時間: 1時間55分)



「大物の沖にて判官に仇をなせしは知盛が怨霊なりと伝へよや」という台詞はソラで言えるくらい、「義経千本桜」の中でも最も好きな演目の一つである「大物浦」と最も好きな登場人物の中納言知盛。
勘九郎さんが渡海屋銀平実は新中納言知盛を演じるのは、2013年の襲名披露博多座公演以来10年ぶりだそうです。
前年の南座顔見世公演中に勘三郎さんが亡くなって、仁左衛門さんが知盛を教えてくださったとおっしゃっていたこと、今でもよく覚えています。
「渡海屋」で花道から出て来た銀平が傘ではなく碇を担いでいるのを観て、「あぁ、中村屋の型だぁ」とまた泣きそうになりました。


年齢はもとより、経験値も重ねて、勘九郎さんは知盛として”ニン”の器になったのではないかと感じました。
「渡海屋」で身を顕した時の白い拵えの美しさと気品。
血まみれで悲愴感たっぷりの中でも勇壮な「大物浦」。
大きな型と口跡よい台詞。一つひとつキマる所作の美しさ。

碇綱を自らの体に巻きつけ、渾身の力を振り絞って碇を持ち上げて海に投げ入れ、するする海へと流れ落ちて行く綱とともに一顧だにせず背中から海へ飛び込む知盛。
勇壮な武将の誇りも覚悟も、怨みも哀しみも、すべてその一身とともに。

この場面、桜席からどんなふうに見えるのか楽しみにしていましたが、いつも見上げる知盛をほぼ同じ高さで、しかもかなり近くで観るという視点が新鮮でした。
下で受け止めるスタッフさんたちの様子もチラリと見えて。

七之助さんの典侍の局お、天皇の乳人としての矜持と品格があってよかったです。
何と言っても美しいし、声もよき。
安徳帝の子役ちゃんも台詞上手かったな。「波の底にも 都あるとは」の歌はいつ聴いても泣けます。

そういえば、「渡海屋」で寝ているお安ちゃんをまたごうとした弁慶が足が痺れて、安徳帝であることを確信する場面がありませんでしたが、上演時間の関係かな。

最後に切ない法螺の音を響かせる弁慶は亀蔵さん。
相模五郎、入江丹蔵は橋之助くんと虎之介くん、品あって儚げな新悟くんの義経に、四天王は鶴松くん、歌之助くん、福之助くん・・・と観ていって「え!松十郎さん?!」と二度見。
配役詳細把握していなくてこの座組に松十郎がいらっしゃることにオドロキました。


「渡海屋」から「大物浦」への場面転換の大道具さんのテキパキした動きにもホレボレしました。
誰も声をあげず、音もほとんどたてずに大道具、小道具を寸分の狂いもなく回収してみるみる新しい場面になっていきました。
いつもは客席から見ている定式幕の向こうで、あんなにハイスピードの転換が行われているのを知ると、もう「長いな、まだかな」とか考えるのはよそうと思いました(^_^;)


二、風流小倉俄廓彩(ふうりゅうこくらにわかのさとのいろどり)
出演:中村勘九郎  片岡亀蔵  中村橋之助  中村福之助
中村虎之介  中村歌之助  中村鶴松  坂東新悟  中村七之助
(上演時間:20分)


開演前幕内、芸者の拵えをした七之助さん(下手から出ていらしたので後ろ姿でしたがすぐに七之助さんだとわかりました)が、上手に並ぶ長唄さんたちの前できちんと正座して手をついてご挨拶されていたのが印象的でした。

「俄獅子」を基にした舞踊で、今回の小倉城公演にちなんだ演出なのだとか。
20分という短い演目ですが、明るく華やかな舞踊。
七之助さん、新悟くん、鶴松くんの3人が芸者で、他の6人は鳶頭の拵え。
全員で踊ったり、他の人の踊りを舞台奥に並べられた赤い床几に座って見ていたり。

芸者衆だけの踊りや、鳶頭の成駒屋三兄弟だけの踊りがあったり、楽しかったです。
最後の方で全員が縦一列になってダンッダンッと床を踏み鳴らしての踊りがあったのですが、桜席からはそれを横から観る形になって、とても貴重な経験でした。
舞台奥が開いても小倉城は見えなかったけれども(笑)。


終演後にはカーテンコール。
上手、下手、正面と、裏側から観ている人たちにもちゃんと全員並んでご挨拶。
勘九郎さんが、三十軒長屋や五軒長屋のご紹介の時に「バーは今日から中州のBondになりました。父もよく行っていた店です」とおっしゃっていて、それでか!と合点がいきました。
夜の部も楽しいのでぜひ!・・・とはいえありがたいことにチケットはもうない、けれど少しだけ当日券があります、何ならタダでも観られます、とバックヤードの方を指したり、と相変わらずユーモアたっぷりでした。



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小倉城天守閣
お城ってどうしてこんなにテンションあがるんでしょ。



こんなに楽しいのに最初は行くつもりなかった自分を叱りたい の地獄度 (total 2429 vs 2429 )



posted by スキップ at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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