2023年11月06日

ナマの舞台だから届けられるものがある 星組 「My Last Joke-虚構に生きる-」


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              ©宝塚歌劇団

星組のもう一つの別箱は102期の天飛華音さんバウホール初主演。
若き日のエドガー・アラン・ポーの物語です。


宝塚歌劇 星組公演
バウ・ゴシック・ロマンス
「My Last Joke-虚構に生きる-」
作・演出:竹田悠一郎   
作曲・編曲:手島恭子
振付:若央りさ  西川卓
装置:平山正太郎   衣裳:植村麻衣子
出演:天飛華音  詩ちづる  美稀千種  朝水りょう
夕渚りょう  希沙 薫  碧海さりお  夕陽真輝
彩園ひな  紅咲梨乃  鳳真斗愛  瑠璃花夏
稀惺かずと  大希 颯  乙華菜乃 ほか

2023年10月22日(日) 11:30am 宝塚バウホール 6列上手/
10月26日(木) 3:00pm 4列センター
(上演時間: 2時間30分/休憩 25分)



物語の舞台は19世紀前半のアメリカ。
若くして両親を失い、何かとかばってくれた義母も亡くしたエドガー(天飛華音)は、叔母(澪乃桜季)の家に身を寄せ、孤独の中で自室に閉じこもって詩や短編の創作に没頭していました。年の離れた従妹のヴァージニア(詩ちづる)はそんなエドガーとが無邪気に接し、閉ざされた彼の心を解き放っていきます。やがて短編が認められ、創作の傍ら編集者としての道を歩き始めたエドガーは、ヴァージニアが自分の創作に欠かせない存在であることを認識し、二人は結婚します。しかし、ヴァージニアは病魔に侵され、彼女を失ってまた孤独に淵に立たされることを恐れたエドガーは・・・。


「今作は『大鴉』やそのほか彼の詩や小説を読み返し、それぞれの作品を執筆した時のエドガー・アラン・ポーの状況と心情を想像するところから物語を構成していきました」と演出の竹田悠一郎先生がプログラムに書かれているとおり、エドガー・アラン・ポーの史実に基づいた脚本で、台詞や歌詞にその作品の一部が使われてもいます。

エドガー・アラン・ポーの作品は、学生時代にアメリカ文学を専攻していた友人に勧められて何冊か読んだことがありますが(授業でも1作原書を読んだような・・・)、その人となりや「作家 エドガー・アラン・ポー」が世に出たいきさつなどはほぼ知らなかったなぁとこの舞台を観て感じました。
さらに、当時のアメリカの出版業界の状況についても、創作する人(作家)が編集者であるとともに批評も書いたり、パトロン?の存在などわからないことが多く、それらすべて含めて、この物語を理解しきれたとは言い難かったです。


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研ぎ澄まされた世界の中で、ひたひたと迫りくるようなエドガーの孤独が辛く切ない。
開演前から舞台上にあるこのドアが、エドガーの部屋のドアであり、彼の閉ざされた、そしてやがて開放される心の象徴でもあること、そしエドガーの孤独や不安の象徴、死の影として大鴉を具現化して登場させた演出がとても印象的でした。


博多座で「ME AND MY GIRL」を観たばかりでしたので、あの明るさとは真逆の、同じ組、同じ宝塚でこの振り幅の大きさに驚きも感心もしましたが、「そういえばミーマイにいなかったよね」と今さら気づく人たちもたくさん活躍していて、星組若手の層の厚さを頼もしく思いました。


天飛華音さんのエドガー。
フィナーレもなく、お得意のダンスが観られなかったのは残念でしたが、歌もお芝居もクオリティ高く安定。
いきなりブチッと切れて大声を上げるエドガーのエキセントリックなところの切り替えもうまかったです。
涙を流しての熱演にこちらまでもらい泣き。
歌は歌い方なの声なのか、礼さん味を時折感じました。

ヴァージニアは詩ちづるさん。
幼く無邪気な少女からエドガーと結婚する幸せの絶頂期、そして病を得てからの儚さまで、きっちりと演じ分け。
もちろん綺麗な歌声もすばらしかったです。

エドガーを敵視する編集者グリスウォルド・碧海さりおさんのヒールっぷり、ストーリーテラーを兼ねたナサニエル・稀惺かずとさんの口跡のよさと華、「顔がいい」と言われて誰もが納得のロングフェロー・大希颯さんの大物感(歌もうまい)、少ない出番ながら必ず爪痕残してえいくバートン・夕陽真輝さんなどナド。ほんと頼もしいなぁ(2回目)

娘役さんでは女性作家フランシスの瑠璃花夏さんが美しさも歌も芝居の確かさも抜きんでていました。
大人っぽい悪女?が珍しい乙華菜乃さんのエリザベスもお芝居しっかり。
天飛くんと同期の紅咲梨乃さんがエドガーの母エリザベスで綺麗な歌声響かせていたのもバウホール公演ならではだなぁと思いました。

そして、大鴉の鳳真斗愛さん。
笑わないしゃべらないもちろん歌わないけれど、全身から醸し出される妖しさ不気味さ。
そして指先まで足の先まで神経の行き届いたダンスの美しさ。


10/22に観た時のカーテンコール。
「今日は10月22日 尊い夫婦の日です。どうですか、奥さん」といきなり無茶ぶりするかのんくん。
びっくりしてドギマギしながらも「エドガーと夫婦になれて幸せです」と返す詩ちゃん超キュートでした。

ちなみに、ニュースで観た10月29日(千穐楽)には
「皆さまお楽しみの今日は何の日。今日は29日 ふくの日です」
さりおくんなんて「服??」と自分の上着触っていましたが、「すべての皆さまに幸福が訪れるよう願っております」と続けて客席からどよめきと拍手が起こるとかのんくん、ちょっとドヤ顔でした。

この千穐楽の涙まじりのご挨拶がすばらしかったのでここに残しておきたいと思います。

「皆さま 本日は星組宝塚バウホール公演「My Last Joke-虚構に生きる-」を最後までご観劇くださいましてありがとうございました。星組の天飛華音でございます。
まずは本日、こうして無事に千穐楽を迎えられましたこと、11日間全員で元気に舞台をお届けできましたこと、この舞台に携わってくださいましたすべての方々に心から感謝申しあげます。
今回は、主演という形で舞台に携わらせていただき、いつもよりは作品をゼロからつくる現場を近くで拝見し、それぞれの道のプロフェッショナルな方々の愛とこだわりが詰まった、ここは本当に唯一無二の世界だなと感じています。よりよい舞台を届けたい、その思いが強ければ強いほど、その思いは共鳴する時もありますが、衝突する時もあります。でもそれだけ、ここにはその本気、本物が詰まっている場所だなと私は思います。その思いは不確かなもので、でも本気で思いを投げたら、その思いを誰かが受け止めてくださる。それをこのバウホールという、いつもよりはお客様が近くにいらっしゃる、この環境で私はこの公演期間を経て実感しました。ここでしか届けられないもの、ナマの舞台だから届けられるものがあると私は信じています。これからも、待ってくださるお客様がいる限り、この私の真心を舞台を通して精いっぱいお届けしたいです。本日は本当にありがとうございました。」


この後、「礼真琴様から『やってしまいなさい』とお言葉をいただいたので、星組パッションを大変僭越ながらさせていただきたい・・・とここで噛んで「噛みました」の(*‘∀‘)

気をとりなおして
「この地を揺らしましょう!魂を込めて届けます!」と指を差し出してポーズキメて、大きな声で星組パッション!! サイコーでした。



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やっと捕獲したフォトフレーム
最初にここで若手の舞台を応援していただきました。




でもやっぱりかのんくん主演デビューは明るくガンガン踊る役で観たかったかも の地獄度 (total 2425 vs 2425 )



posted by スキップ at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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