2023年11月02日
いつでも 歩く ランベス・ウォーク♪ 星組 「ME AND MY GIRL」
©宝塚歌劇団
1937年にロンドンで初演され、1646回のロングランを記録した大ヒットミュージカル。
宝塚歌劇でも1987年に月組の剣幸さん、こだま愛さんの主演コンビで大ヒットして以来、再演を重ねてきた人気作品です。
今回は、2016年の花組(明日海りお、花乃まりあ主演)以来、7年ぶりの上演となりました。
専科の水美舞斗さんと星組の暁千星さんが、ビルとジョン卿を役替りで演じるのも話題です。
宝塚歌劇 星組公演
ミュージカル 「ME AND MY GIRL」
作詞・脚本:L・アーサー・ローズ&ダグラス・ファーバー
作曲:ノエル・ゲイ
改訂:スティーブン・フライ 改訂協力:マイク・オクレント
脚色:小原弘稔
脚色・演出:三木章雄
翻訳:清水俊二 訳詞:岩谷時子
音楽監督:𠮷﨑憲治
振付:山田 卓 麻咲梨乃 若央りさ 藤井真梨子 KENJI
装置:石濱日出雄 関谷敏昭 木戸真梨乃
衣裳:任田幾英 加藤真美
出演:水美舞斗 暁 千星 舞空 瞳 白妙なつ 大輝真琴
輝咲玲央 ひろ香 祐 紫りら 天華えま 天 ほまれ
小桜ほのか 蒼舞咲歩 二條 華 極美 慎 都 優奈
水乃ゆり 紘希柚葉 綾音美蘭 碧音斗和 ほか
2023年10月17日(火) 11:00am 博多座 2階H列センター/
3:30pm 1階K列下手/10月29日(日) 3:30pm 配信視聴
(上演時間: 3時間10分/休憩 30分)
物語の舞台は1930年代のイギリス。
下町のランベスで育った青年 ビル(水美舞斗/暁千星)は、ロンドンの名門貴族 ヘアフォード家の御曹司ということがわかり、その屋敷に引き取られ、当主となるべく教育を受けて一人前の紳士となっていっく姿を、恋人=My Girl のサリー(舞空瞳)との恋や周りの貴族たちとの人間模様をからめて描いたロマンチックコメディ。男性版「マイフェアレディ」とも言われている作品です。
♪ミー アン マイガ~ル 離れられない~ や ♪いつだってランベス・スタイル 昼でも夜でも~
一緒に歌えるくらいキャッチーな楽曲の数々。
これまで何度も観てストーリーもよく知っていますが、やっぱりとびきり楽しくて、多幸感にあふれたハッピーミュージカル。
クラシカルな衣装や髪型、いかにもイギリスの古きよき時代を思わせる作品で、立場の違いはあっても、悪人は一人も出て来なくて、笑いもたくさん、ちょっとしんみりしながら明るいハッピーエンド。ほんとによくできたミュージカルだなぁと思います。
一幕終わりの「ランベスウォーク」では客席降りも復活して大盛り上がりでした。
©宝塚歌劇団
7年前の花組大劇場公演はいろんな役替りがありましたが、今回はビルとジョン卿のダブルキャストのみ。
劇場で暁千星さんビルをマチソワ2回観て、水美舞斗さんビルは配信で観ました。
やんちゃで粗野だけど愛嬌たっぷりな可愛さと、凛と立つノーブルさのバランスが絶妙な暁さんビル。
一方の水美さんビルはもう少し男っぽく、分別もある大人に見えました。
しいて言うなら、この後、水美さんビルはいろいろ苦労しながらもヘアフォード家を守って生きていき、暁さんビルはサリーと一緒にやっぱりランベスで暮らす道を選びそうな感じ。
同じ役を同じ演出で演じていても受け取る印象が違うのは、やっぱりお芝居はおもしろいです。
そして何より、どんなに立場が違っても、教育を受けて言葉遣いが変わっても、サリーへの思いが1ミリもブレないビルが、この物語の肝だなと改めて思いました。
暁さん、10/17 マチネカーテンコールでは♪ランベス・ウォークの振付を客席みんなに教えてくれました。
が、結構グダグダになってしまったところを天華さんが助け船出して優しくフォロー。
最後は舞台客席一緒になって、♪粋だぜ~ 誰もランベス・ウォーク
楽しかったです、
この2人のもう一方のダブルキャスト ジョン卿。
マリア公爵夫人とともに遺言の執行人であり、サリーが行方不明となる鍵を握る人物でもあります。
ゆったりした大人の余裕と包容力のある水美さんジョン卿に対して、少年の心を持ちつつ大人になったような暁さんジョン卿。
暁さんはジョン卿の時はちょっと無理して声をつくっているかなという印象でしたが、カッコよくて色気もあるジョン卿、よかったです。
ヒロイン サリーは舞空瞳さん。
明るくて勝気でガサツだけど人の心の機微をちゃんと感じ取ることのできる優しい女の子。
ビジュアルもとてもキュートでまさしくビルの "my girl".
そんなサリーが大きく脚を広げてテーブルに座ったり、「ヨロシクゥ!」とガテンな感じで言ったり、巻き舌だったり。ジャッキーとキャットファイトする時の「~おっしゃってくだしゃる?」のかわいらしさよ・・・舞空さん新境地ではないでしょうか。とてもイキイキ魅力的なサリーだったのはもちろん、水美さん、暁さんそれぞれのビルに対するサリーになっていたのも凄かったな。
そして、水美さん、暁さん、舞空さん 3人とも宝塚歌劇団指折りのダンサーなので、劇中、フィナーレのダンスもタップもシンクロぶり含めて本当にすばらしかったです👏
小桜ほのかさんのマリア公爵夫人も今回のミーマイ成功の大きな要因の一つ。
ヘアフォード家の前当主(ビルのお父上)の妹で、いかにも貴族の夫人らしい気位の高さがありながら、伯爵家の血が流れるビルのことを信じて立派な跡継ぎにすべく紳士教育を施すマリア公爵夫人。
品のある落ち着いた雰囲気の中に華やかさとまだ少女っぽさを残したような可憐な佇まい。厳格さも傲慢さもあってサリーにも厳しいことを言うけれどそればすべてヘアフォード家とビルを思ってのことと感じられます。
代々路線の男役がキャスティングされてきたジャッキーは予想通り極美慎さん。
誰よりも背が高く(笑)、華やかな美貌が際立っていました。
ジェラルドからあっさりビルに乗り換えてビルを誘惑するところも(脚なっがっ!)、サリーにぶんすかするところも、ワガママ放題に思える言動も、少しも嫌味に聞こえないのは、いかにも生まれながら貴族として育った品と天春爛漫さの賜物。
バウホール主演から「1789」のロベスピエールを経て、歌唱も長足の進歩です。
そんなジャッキーをひたすら愛するジェラルドは天華えまさん。
こちらもいかにも人がよく頼りなげなぼんぼん育ちで「働くって、この僕が?」という言葉がぴったりの佇まい。
天華さんの毎回きっちりその人物をつくり上げてくる役づくり、いつもながらすばらしい。
”お屋敷の弁護士”で口跡のよさと朗々とした歌声を如何なく発揮したパーチェスターのひろ香祐さん。
いかにも名家の執事といった重厚感ある佇まいの中に色気も滲む執事のヘザーセットの輝咲玲央さん。
そして忘れちゃならなないジャスパー卿の蒼舞咲歩さん。
配役発表された時、「え?ジャスパー卿さきっぽなの?!それ絶対おもしろいよね!」とみんなが予想したとおり、飄々として特にオーバーアクションでもなくやり過ぎないのに何だかおもしろいジャスパーおじいさん、大好きでした。
フィナーレの黒燕尾では、茶髪でカッコいい姿を見せてくれるさきっぽですが、本日(11/2)千穐楽カーテンコールのご当地出身者紹介では、そのカッコいい姿のまま腰を曲げてヨロヨロと前に出て、ジャスパーおじいさんの声で「生まれは福岡 育ちは佐賀県佐賀市・・・」とおっしゃったのだとか。さすがです~👏
★フィナーレ
天華えまさん・小桜ほのかさんで♪ミーアンドマイガール
↓
水美舞斗さん/暁千星さんと極美慎さんのデュエットダンス
2人とも白のパンツスーツにハット。
極美ジャッキーはブロンドのボブだったり赤毛の外はねだったり、相手によってウィッグ変えていました。
↓
舞空瞳さんダルマ衣裳で♪顎で受けなさい からの娘役ロケット
舞空さんのバービー人形のような超人的スタイルよ👀
↓
水美舞斗さん、暁千星さん中心に黒燕尾男役群舞
↓
舞空瞳さんソロダンス
↓
水美舞斗さん/暁千星さんが加わって、舞空さんとデュエットダンス
水美さんとは淡いピンク、暁さんとは薄いブルーのどちらも夢見るように綺麗な衣裳でした。
パレードはエトワールが白妙なつさん
あとは歌はなく、順に降りてくるという形。
天華・小桜
極美
舞空
水美/暁 (ビルをやった方が後)
という順番だったでしょうか。
実は1回目の最初にビルとサリーが並んだところを観た時は「ここにことちゃんがいたかも・・・」と詮ないことが胸をよぎってちょっと泣いてしまったのですが、水美さんと星組の皆さんの熱演と明るく楽しい舞台に引き込まれ、とてもハッピーな時間を過ごすことができました。
心穏やかでないことが続く宝塚歌劇ですが、このハッピーミュージカルを今、星組で、観ることができて本当によかったです。
そして、博多座やっぱり大好きだー
想像以上のチケ難でチケ取り大苦戦したのがうれしいような悲しいような のごくらく地獄度 (total 2424 vs 2422 )
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