2023年10月09日

ナマの人間が見せてくれる奇跡 「ハリー・ポッターと呪いの子」


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「ハリー・ポッター」シリーズの原作者・J.K.ローリングが自ら脚本家のジャック・ソーン、演出家のジョン・ティファニーとともに創作したオリジナル・ストーリー。シリーズとしては8番目の物語となります。
2016年にロンドンで初演以降、ニューヨーク、サンフランシスコ、メルボルン、ハンブルク、トロントと上演されてきて東京公演が世界で7番目、アジアでは初の上演となるそうです。

赤坂ACTシアターが大規模改修工事を経て「ハリー・ポッターと呪いの子」専用劇場としてリニューアルオープンしたのが昨年6月16日。
特に「ハリー・ポッター」フリークという訳ではありませんが、ハリー役の豪華役替りもあって話題沸騰、興味シンシン。ただし観るならハリーは藤原竜也くん一択・・・と第1期のチケットにチャレンジしましたが、行きたい日に間違えてSプラス席(6歳~15歳)取ってしまったこともあってあえなく敗退。「もう竜也くんのハリーは観られないなぁ」と思っていたらまさかの再登板で、今度こそと張り切ってチケット取りまして、1年3ヵ月遅れの my 初日でした(そして多分千穐楽でもある)。


「ハリー・ポッターと呪いの子」
オリジナルストーリー:J.K.ローリング
脚本・オリジナルストーリー:ジャック・ソーン
演出・オリジナルストーリー:ジョン・ティファニー
振付・ステージング:スティーヴン・ホゲット
美術:クリスティーン・ジョーンズ   衣裳:カトリーナ・リンゼイ
音楽&編曲:イモージェン・ヒープ   照明:ニール・オースティン
イリュージョン&マジック:ジェイミー・ハリソン
出演:藤原竜也  笹本玲奈  迫田孝也  松田慎也  馬渕英里何  
福山康平  門田宗大  佐竹桃華  橋本菜摘  鈴木結里
木場允視  間宮啓行  高橋ひとみ/声の出演:吉田鋼太郎 ほか

2023年9月21日(木) 12:15pm 赤坂ACTシアター 1階C列センター
(上演時間: 3時間40分/休憩 20分)



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地下鉄の駅を降りて劇場へ向かうところからハリー・ポッターの世界。
もちろん劇場の中はカーペットも張り替えてハリー・ポッター一色。
始まる前からワクワクが止まりません。



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本棚の本がキャストボードになっているのも洒落ています。


物語の舞台は、ハリー、ロン、ハーマイオニーが魔法界を救ったヴォルデモートとの戦いから19年後、2017年の魔法界。
魔法省で働くハリー・ポッター(藤原竜也)ジニー(馬渕英里何)夫妻たちがホグワーツ魔法学校に入学する次男アルバス(福山康平)をキングス・クロス駅で見送るところから始まります(「ハリー・ポッターと死の秘宝」のラストシーンだそうです)。
アルバスは、英雄と言われる父の子として生まれた自分の運命に抗うように父親に反抗的な態度を取るり、幼い頃に両親を亡くしたハリーは父親としてうまくふるまえず、関係を修復できずにいました。
アルバスが汽車で中でドラコ・マルフォイ(松田慎也)の息子・スコーピウス(門田宗大)と出会って意気投合し、友情を育んでいきます。
ある日、ハリーがエイモス・ディゴリー(間宮啓行)と揉めているのを目撃したアルバスは、エイモスの息子セドリック死の責任はハリーにあると考え、エイモスの姪のデルフィーニ(鈴木結里)、スコーピウスとと共に魔法省に保管されたタイムターナーを盗み出し、ハリーに代わって過去に戻り、セドリックを救おうとしますが・・・。


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会場に入ったら舞台上はキングス・クロス駅


舞台では、美術、衣裳、音楽、次々飛び出す魔法やイリュージョン・・・世界のエンターテイメントを牽引する一流スタッフが知恵と技術を結集してつくり上げたという「ハリー・ポッター」の世界観にどっぷり浸ることができます。

ワイヤーアクションで人(魔法使いだけども)が飛ぶのはもちろん、急に現れたり消えたり、バーッと火が飛んだり(熱かった)、映像ではなくナマの舞台であんなこともこんなこともできるなんて!とオドロキの連続でした。

中でも特に印象的だったのが、アルバスたちが薬を飲んでハリーやハーマイオニーに変身する場面。
後ろから急に手が出て来たと思ったら本当に魔法のようにその本人と入れ替わって「どうなってるの?!」と驚きましたが、その演出以上に驚いたのが藤原竜也くん、笹本玲奈ちゃんの瞬時の演じ分けです。
子どもたちが変身したハリーやハーマイオニーが扉の向こうに消えたと思った途端に上手から”本人”の2人が出てきて、もちろん同じ人が演じていて見た目は全く同じなのに、話し方も佇まいも所作も明らかに別人で、観ていてちょっと震えました。

そして私はやっぱり、イリュージョンや派手な仕掛けより、こうして「ナマの人間が見せてくれる奇跡」が大好きで、私が舞台に通う理由もそこにあると改めて実感した次第です。

それはストーリーにも言えて、魔法やタイムターナーといったファンタジー要素の強い物語ですが、父と息子の確執や葛藤という人間ドラマに帰結するのもよかったです。
「普通は親を見てあんな父親になりたいとか、あんな風にはなりたくないとか思うだろ?でも両親が早く死んだからお手本がなくてわからないんだ」とハリーがアルバスに語る言葉にウルウルしました。


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「ハリー・ポッター」の映画は1本観たか観ていないか(観たと思うけれどあまり記憶がないという情けなさ💦)のニワカどころか全くのビギナーですが、一つの作品としてとても楽しく観ることができました。もちろん状況や言葉一つにしてもいろいろ知っている方がより楽しめたとは思いますが。
それぞれの役に先入観がないのはかえってよかったかもしれません。

「子持ちの役をやるようになったか」と感慨深い藤原竜也くんのハリー。
父親としての苦悩を抱えつつも、魔法省の要職に就くデキる男感もあり、どこかまだ夢を見てるような、少年っぽさも残すハリー、とてもよかったです。長身で脚が長くて、今の細身のシルエットのスーツがとてもよくお似合い。
絶叫しない竜也くん、新鮮でした(笑)。

魔法大臣としていかにもキャリアウーマンといった趣きの笹本玲奈ちゃんのハーマイオニーも好きだったな。
2人とも口跡よくて言葉がよく届くので、馴染みのないシチュエーションでも入って来やすいのもとてもよき。

軽妙な雰囲気のロン・迫田孝也さんも、開演前に赤坂サカスの「 VIVANT」 モニュメントでサインを見たばかりでしたので、あまりの違いに「役者さんの振り幅おそるべし!」と思いました。
1場面だけの出演でしたが鮮やかな印象を残した嘆きのマートルの佐竹桃華さん。
”エイモスの姪”から身バレした後のデルフィーニの落差がすばらしかった鈴木結里さんなどナド。
知らない役者さんも多数出演されていましたが、皆さん確かな実力をお持ちの方ばかりで、さすがオーディションを勝ち抜かれた方々だと納得。


タイトルの「呪いの子」とは誰のことか?
は観る者に委ねられているようです。

私は観た直後は「デルフィーニでしょ」と思いましたが、少し時間を置くとアルバスだなと考えを改めました。
この物語はハリーの父親としての成長物語であるとともに、アルバスの成長物語であり、アルバスが”英雄で有名人の父親の子”という呪縛から解き放たれる物語でもあるのだから。



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それにつけても他の役者さんたちのハリーも観たくなってコマル のごくらく地獄度 (total 2421 vs 2416 )



posted by スキップ at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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