2023年10月04日

星組 「1789 -バスティーユの恋人たち-」 キャスト&フィナーレ編


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本編の感想アップしてからまたまた時間が経ってしまいましたが、星組 「1789 -バスティーユの恋人たち-」キャストとフィナーレについても書いておきたいと思います。


宝塚歌劇 星組公演
三井住友VISAカード シアター
スペクタクル・ミュージカル
「1789 -バスティーユの恋人たち-」
Le Spectacle Musical ≪1789 - Les Amants de la Bastille≫
Produced by NTCA PRODUCTIONS, Dove Attia and Albert Cohen
脚本: Dove Attia and François Chouquet
潤色・演出:小池修一郎
音楽監督・編曲:太田 健   編曲:青木朝子
(スタッフ、出演者、観劇日時は本編感想と同じ)



本編感想はこちら
東京千穐楽レポはこちら


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ロナン:礼真琴
本編の感想にも書きましたが、今宝塚で「1789」を上演するなら星組以上にハマる組はないと思っていましたが、それはとりもなおさず、ロナン=礼真琴が大前提にあります。
際立った歌唱力とダンス、繊細な演技、実力も人気も揺るぎないトップスターの礼真琴さんですが、少年っぽさを残す雰囲気がロナンにぴったりだと思っていたとおり、いや、想像以上のロナンがそこにいました。

「1789」はロナンの成長物語でもあります。
純朴な農村の青年が理不尽に父を殺され、パリに出てデムーランやロベスピエールやたくさんの人々と出会い、「自由と平等」という希望を見出し、また彼らとの育ちの違いに葛藤し、自分と芯のところで同じものを持つオランプに惹かれ、やがて真の革命に目覚めていく・・・そんなロナンを細やかに丁寧に見せてくれて、だからこそ観ている私たちは一層この物語に寄り添うことができます。
台詞の口跡や滑舌がよくて、どんなに叫んでも、小声で囁いてもきちんと届く言葉たち。
劇場空間を支配するような歌唱のすばらしさは言わずもがな。
あのリズム取る姿のカッコよさ。
私の中で「今まで聴いていた楽曲がすべてことちゃんの声で塗り替えられる」という”礼真琴”の法則があるのですが、今回まさにそれで、これまで宝塚版、東宝版含めて繰り返し聴いていた「1789」の楽曲、すべて礼真琴の歌声に変換されましたよね←

物語とは別の話になりますが、タカラヅカスカイステージの番組(「ステージドア」だったかな?)でバスティーユ牢獄でオランプと父のデユ・ビュジェ中尉がロナンを助け出す場面のお稽古風景がオンエアされて、ロナンがオランプに「さわるな!」と言ってオランプが驚いて帽子が飛ぶところで「少し声がほしい」と礼さんが舞空さんに言って、多分前にいらっしゃるであろう演出の先生に向かって、「声で女だと気づきたいんです」と言っていたのがとても印象的でしった。
確かに牢獄は暗いし、当時は男性でも髪は長い人もいる(アルトワ伯のように)ので帽子が飛んだぐらいでは女性だとはわからないかもしれないといたく納得。本当に論理的に細やかに役や状況を考え、理解して組み立てているんだなぁと感心したのでした。


オランプ:舞空瞳
配役が発表される前、舞空さんはオランプかアントワネットと議論がありましたが、私は最初からトップ娘役はオランプ派。
やっぱりトップスターの相手役であるヒロインはトップ娘役でなければ。
アントワネットを敬愛し、自分の立場もきちんと自覚しているオランプ。勝気でロナンを口で言い負かせてしまうオランプ。ロナンに抱き寄せられて「やめて」と小さな声でしか抵抗できないオランプ。
舞空さんのオランプのぴったりぶりが、この作品をロナンとオランプを”バスティーユの恋人たち”として描くのにぴったりでした。
作品ごとに歌唱も向上していて、オリジナル通りオランプのナンバーとなった「許されぬ愛」も切なく聴かせてくれました。


アルトワ伯:瀬央ゆりあ
怜悧で美しい容姿にいかにも切れ者で策略家といった雰囲気満々のアルトワ伯。
兄である国王ルイ十六世とネッケルとの会話を冷ややかに眺めていたかと思えば、意図的に革命を煽るように仕向け、結果として国王を失脚させて自分が王になることを企んだり。ラマールたちに印刷所を「摘発しろ」という言葉の何だかうれしさをかみ殺したような言い方。
赤い髪も貴族のコスチュームもことのほかお似合いでしかも色っぽい。媚薬なくても女性がほっておかないのでは?


デムーラン:暁千星
何と言っても「武器をとれ」のカリスマ性です。
あの民衆を扇動して中心にすっくと立って緑の葉を掲げて歌う「武器をとれ」の力強さすばらしさ。あんな場面、本当に気持ちいいだろうなぁと思うと同時に、「あのありちゃんがここまで・・・」と胸熱にもなりました。
ロナンが「俺たちは飢えていた」と言った時に「かわいそうに。同情しているよ」とてらいもなく言う無意識の上から目線が絶妙にうまいとほめられていましたが、デムーランのこれがあってこそロナンの屈折もより強く実感することができます。
お得意のダンスはもちろん、表情もますますシャープになって、ほんと「かわいいありちゃんはもうどこにもいない」。
ありちゃん渾身の代役ロナンも観たかったです。


ロベスピエール:極美慎
デムーランと2人で民衆の中に登場する最初のシーンがとても美しく、いかにも裕福に育った坊ちゃんたちで身なりもよく、ツインタワーのように背が高く堂々としていて、ボロを纏い、ちょっと背中を曲げて暗い眼をしたロナンととても好対照。
美しいばかりでなく、ロベスピエールの知的で論理的、そして少し冷たい面も垣間見える役づくり。
台詞の口跡の甘さや歌唱もすごく克服していて、センターで歌い踊る「誰のために踊らされているのか」は大劇用の後半、喉が苦しそうな場面もあったようですが、最後まで歌い切ったのすばらしいです。
極美くんは「ベアタ・ベアトリクス」でバウ主演した経験がやはりすごく大きくて、グンと階段5段ぐらい上った印象です。


マリー・アントワネット:有沙瞳
これが退団公演となった有沙瞳さん、華やかで美しく気品もあるすばらしいアントワネットでした。
元より歌唱には定評のある有沙さんですが、本編の感想にも書いたとおり、「全てをかけて」の冒頭とリプライズの歌い分けには度肝を抜かれました。その後の「神様の裁き」では私の周りでも泣く人続出。
ドレスの着こなしはもちろん、髪型やアクセサリーなど細部にまでこだわった役づくりに娘役としての矜持を見た思い。


ダントン:天華えま
宝塚の初日に観た時「ぴーちゃん、めっちゃダントンやん!」と思いました。
ダントンはこの時代が描かれたどの作品を通しても豪放磊落なイメージで、天華さんの持ち味とは少し違っているかなと思っていたのですが、さすがの芝居力で見事に描出してくれました。ロナンやデムーランたちより少しお兄ちゃんな感じもよき。
歌はやはり上手くて、「パレ・ロワイヤル」は聴きごたえ見ごたえたっぷり。
代役公演では全く別人のデムーランを見せてくれたとか。こちfらも観たかったです。


ソレーヌ:小桜ほのか
ロナンの妹でパリに出て生きるために夜の女となりデムーランの恋人になるソレーヌ。
「夜のプリンセス」の迫力の地声歌唱が大喝采でした。
清純な役もこんな役も思いのままの小桜さん。強めのメイクですが、ギリギリのところで下品にならないのはさすが。


フェルゼン伯爵:天飛華音
言わずと知れたマリー・アントワネットの思い人です。
月組版や東宝版からカットされて歌がなくなったのは残念でしたが、マント捌きも鮮やかな美しい立ち居振る舞いや、まっすぐにアントワネットも見つめる強い目にフェルゼンの人となりがよく出ていました。
パレ・ロワイヤルでロナンのやり合う場面は、フェルゼンがちゃんと剣術を心得た剣さばきで、ロナンが腕っぷしだけで暴れる、というのがよく表れていて、さすが身体能力高い2人と感心することしきり。


ルイ十六世:ひろ香祐
地味ながらひろ香さんのこのルイ十六世がすばらしい。
心優しく気弱で、自分で決断できずつい弟のアルトワに引きずられてしまう哀しさ。
アントワネットに「君はオーストリアに帰るかい?」と聞いて「わたくしは陛下とともに」と言われた時のほっとしたようなうれしそうな表情。
ひろ香さん フィナーレの男役群舞では鬱憤はらすかのように弾けて爆踊りしていましたね。


ペイロール伯爵:輝月ゆうま
ビジュアルから迫力満点でコワイ(笑)。いかにも民衆の前に立ちはだかる大きな壁といった印象。
ロック調で少し巻き舌まじえた歌唱も効果的でした。
バスティーユのあのロナンを蹴るシーンはねぇ・・・何回巻き戻して観ても(巻き戻したんかい!)本当に蹴っているとしか見えませんでした。


ラマール・ロワゼル・トゥルヌマン:碧海さりお・稀惺かずと・大希颯
常に3人一緒に登場する秘密警察の3人。
さりおくんのラマールのちょっとおじさんの役づくりが何気にツボでした。
ロワゼルとトゥルヌマンは稀惺かずとくん、大希颯くんの同期コンビで(そういえば月組版も朝美絢・輝月ゆうまの同期コンビでした)息もぴったり。たまにラマール vs ロワトゥルになることがあっておもしろかったです。


ジャック・ミシェル・イヴ・ジュリアン:夕渚りょう・天希ほまれ・蒼舞咲歩・希沙薫
ロナンの印刷工の仲間たち。こちらも大体いつも4人一緒に登場します。
ロナンに温かい眼差しを向ける彼らがいたからロナンも馴染んで働けたのだろうなと感じさせます。
ダンサー揃いで彼らがロナンと一緒に歌い踊る「自由と平等」は本当に大好きな場面。


リュシル:詩ちづる
デムーランの婚約者でよき理解者。
デムーランとラブラブぶりが微笑ましく、ロナンの怒りにも理解を示す温かさが感じられるリュシルでした。
暁さんとの並びもお似合いでしたが、詩ちゃんは先にどこかのトップ娘役になっちゃうかな?


シャルロット:瑠璃花夏
子どもと大人の中間ぐらいの役づくりでしたが、溌剌と元気で可愛かったです。


と、一人ずつ挙げていたらまだまだ書ききれませんが、ここにピックアップした人たちばかりでなく、名もなき民衆の、王宮の、人々が織りなす群像劇。それを舞台の隅々に立つ全員でつくり上げた、渾身の作品です。



フィナーレ
ピンクのキラキラ衣裳の瀬央ゆりあさん「二度と消せない」銀橋ソロ→ロケット→大階段からの礼真琴+娘役陣群舞→礼真琴+男役群舞(鮮やかなピンクのスーツにインナーは黒)→礼さん抜けて男役群舞(瀬央・暁のツートップ)→礼真琴・舞空瞳 とデュエットダンス
という流れでした。

娘役との群舞で視線もバシバシにキメた男っぽく色っぽい礼さん眼福。
男役群舞ももちろんとてもカッコよくて、礼さん抜けた後のシャープなナンバーは小チームに分かれてのダンスもあったり、とても目が足りません(振付:御織ゆみ乃)。

デュエダンは少しスローな曲で、まるでオランプを思うように切なく舞空さんを見つめる礼さんの表情が印象的。
それにつけても、アップテンポでもスローな曲でも、ことなこの振りのシンクロぶりがいつもながらすばらしい👏


パレード:
エトワール 詩ちづる
碧海さりお・小桜ほのか・天飛華音
天華えま・有沙瞳
極美慎
暁千星
舞空瞳
礼真琴



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95期のこの並びも、これが最後だなぁとしんみり



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こちらは東京宝塚劇場で観た時のお約束




切ないこともたくさんあったけれど、大千穐楽の星組のみんなの笑顔がすべて のごくらく度 (total 2418 vs 2414 )


posted by スキップ at 13:39| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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