2023年07月08日
想像の100倍おもしろかった! 「RRR」
「バーフバリ」のS・S・ラージャマウリ監督の新作(といっても昨年10月公開)。
とても評判がいいのは知っていて、アカデミー賞授賞式の「ナートゥ」のパフォーマンスも動画で見ました。
しかしながらインド映画やマサラ上映に1ミリも興味のない不肖スキップ、完全スルーしていました。
が、2024年1月の宝塚大劇場星組公演にこの作品が発表されて「観ねば」と。
今月末からは吹替版の上映も始まるということですが、洋画の吹替が甚だ苦手なため、観るなら今でしょということで行ってきました。
「RRR」
監督・脚本:S・S・ラージャマウリ
英語版脚本:サーイ・マーダヴ・ブッラー
原案 :K・V・ヴィジャエーンドラ・プラサード
音楽 :M・M・キーラヴァーニ
出演:N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア ラーム・チャラン アジャイ・デーヴガン
アーリヤー・バット シュリヤ・サラン サムドラカニ レイ・スティーヴンソン
アリソン・ドゥーディ オリヴィア・モリス ほか
2023年7月7日(金) 7:45pm なんばパークスシネマ シアター9
(上映時間:3時間)
舞台は1920年代のインド。
当時インドは大英帝国の植民地であり、現地の人々は白人の権力者から差別的な扱いを受けていました。
ゴーンド族のビーム(N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア)は、インド総督のバクストン(レイ・スティーヴンソン)に連れ去られた少女・マッリを救うため、大英帝国の本拠地・デリーに潜入しますが、総督公邸は警備が固く、安易に侵入できずにいました。
一方、大英帝国に忠誠を誓うインド人の警察官・ラーマ(ラーム・チャラン)はビームを追う任務を負っていましたが、ある列車事故で少年を協力して助けたことでビームとラーマは互いの素性を知らずに友情を育んでいきます。
ビームは偶然見かけたスコットの姪・ジェニー(オリヴィア・モリス)の美しさに心奪われ、近づくうちに総督府に招待され・・・。
すっごくおもしろかったです。
金曜日の仕事終わりで、前夜かなり寝不足で「寝てしまうかな」という不安もあったのですが、おもしろすぎてピクリとも眠くなりませんでした。
インターバルなしの3時間もあっという間。
♪ナートゥナトゥナトゥナトゥナトゥ というダンス場面や派手なアクションシーンばかりが話題先行しがちな印象ですが、メインテーマは帝国の支配に屈することのないインドの民族の闘いと、ビームとラーマの命を賭した友情という骨太の物語。
虐げられる民族の悲惨さや悲しみ、流血の拷問など思わず目をそむけたくなるようなシーンもたくさんあります。
アクションシーンについては、「いやそれ、あり得ないでしょ」の連続で、鉄橋のロープの救出劇、虎や狼はじめ野生の動物たちと一緒に乗り込む総督邸、ビームがラーマを肩車しての脱獄など、どの場面もハラハラドキドキで観ていてめちゃ喉乾きました(^^ゞ
占領者として大英帝国、その象徴ともいえる総督バクストンとその夫人のヒールっぷりがこれでもかというくらい悪辣で、弱い立場からそれに立ち向かって倒す勧善懲悪ストーリーなのですが、ラーマが実は”悪”側である、そしてそれをビームは知らないという陰影がとても効いています。
火を象徴するラーマと水を象徴するビーム。
物語のそこここに織り込まれるラーマの少年時代から警察に入るに至るエピソードがとても心に残り、ラーマという人物を形づくる上で大変理解を深められるものとなっています。
ラーマが最後に弓を持って現れるところ、牢獄生活で髪が伸びたことも相まって、リアル鬼神でした。
それに対して、ビームをつくったものの描写がないのは少し残念。
宝塚歌劇星組公演では、√Bheem として「ビーム視点で再構築・新展開」ということですので、このあたりがどうなるかも含めて楽しみです。
二人が敵同士の立場と知っている私たち観客は、音楽とともに流れる、何も知らずに友情を深めていく二人のシーンですでにウルウル。
ビームを鞭打つラーマが顔に飛んだ血をぬぐうふりをして涙をぬぐう表情のアップとか、ビームがマッリを連れて逃げる時、その向こうにいるイギリス兵を撃ったラーマを自分たちを狙ったと勘違いして殴ろうとする時に一瞬手を止めるビームとか、泣かせるポイント散りばめられていてほんとヤラレます。
ラーマとビームは1900年代前半にイギリスの植民地支配に反旗を翻した実在した革命家ですが、二人が実際に出会ったという記録は残っていないそうです。
この作品で描かれる友情や戦いはすべてフィクションで「ラーマとビームが出会っていたら」という盛大な if というのも映画らしい萌えポイント。
そしてもちろん「ナートゥ・ナートゥ」。
ゴールデングローブ賞とアカデミー賞で歌曲賞を受賞した楽曲は、銀のトレイがコロコロと転がって行ってシンバルなるところから、まるでミュージカルのワンシーンを観るような楽しさ。
もちろん楽しさばかりでなく、支配階級の白人対して、ビームとラーマが暴力を一切使わず「音楽」と「ダンス」というインド文化で一矢報いるという、その後の二人の闘いを象徴するシーンにもなっています。
にしても、あの♪ナートゥナトゥナトゥナトゥはクセになります(≧▽≦)
ビームはことちゃん(礼真琴)として、ラーマはありちゃん(暁千星)だよねーと、激しいダンスも二人ならめちゃカッコよく踊ってくれると確信。
あの「鞭打ちの歌」(言い方(≧▽≦))を礼真琴の歌声で聴けるなんて!
その他お配役も妄想が膨らみます。
想像していたより100倍くらいおもしろかった「RRR」。
宝塚歌劇でやることにならなかったら観ていなかったはず。
その意味でもタカラヅカありがとう(結局そこ?)
インド映画 お見それいたしましたっ のごくらく度 (total 2405 vs 2404 )
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