2023年05月30日

講談に乗せて立ち廻り 「南座 歌舞伎鑑賞教室」


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昨年、7年ぶりに復活した南座の歌舞伎鑑賞教室。
「来年もやります」とおっしゃっていたとおり今年も無事開催されて、楽しみに行ってまいりました。

南座 歌舞伎鑑賞教室
2023年5月21日(日) 2:00pm 南座 1階1列センター


一、歌舞伎の講釈
出演:旭堂南龍
   片岡千太郎  片岡佑次郎  片岡富史弥  片岡愛治郎
  (上演時間: 45分)



はじめは旭堂南龍さんの解説から。
旭堂南龍さんは初めて・・・というか、これまでに講談で聴いたことがあるのは松之丞時代の神田伯山さん一度きりですが。
まずは講談から始まって、「講釈師 見て来たような嘘を言い」というよく聞くフレーズをおっしゃっていましたが、これが最後までよく効いていて、頭のいい人だなという印象でした。
「講談は続きを聴きたい!と思うところで大体持ち時間が終わる」ともおっしゃっていて、これが後に・・・。

出雲阿国から始まった歌舞伎の歴史や、片岡富史弥さん、片岡千太郎さんとともに舞台機構や赤、青、黒の隈取、歌舞伎の演出などについてユーモアをまじえつつ解説。
富史弥さんが赤隈の写真を出すと後ろの席の外国人の方が「Oh!」とおっしゃっていました。
海外の方にとって、あの赤い隈取はやっぱり歌舞伎のアイコン的存在なのかな。

片岡千太郎さんが「17歳です」と自己紹介すると客席からどよめきと拍手が起こったのですが、「年齢言っただけで拍手もらえるのは若さの特権ですね」と南龍さん。

そして、南龍さんの講談「忠臣蔵」に乗って、佑次郎さん小林平八郎 vs 愛治郎さん堀部安兵衛の立ち廻り。
とても贅沢で見応えありました。

最後に次の演目「妹背山婦女庭訓」の解説。
上演される「願絲縁苧環」の場に至るまでの状況や登場人物の説明をわかりやすく。
知っているストーリーですがお話がとてもお上手で惹き込まれて「それからどうなるの?」というところで「続きはこの後」と幕。
最初におっしゃっていた「続きを聴きたい!と思うところで持ち時間が終わる」を思い出して「ヤラレタ!」と思いました(^^ゞ


二、妹背山婦女庭訓 願絲縁苧環(ねがいのいとえにしのおだまき)
出演:上村吉太朗  片岡りき彌  片岡千次郎
  (上演時間: 30分)



大化の改新の藤原鎌足による蘇我入鹿討伐をもとにした「妹背山婦女庭訓」の四段目の前半部分。
七夕の夜更け、大和・春日大社の杜が舞台。蘇我入鹿の妹橘姫(りき彌)を追って烏帽子折の求女実は藤原鎌足の息子淡海(千次郎)がやって来ます。お互いの素性を知らぬまま恋仲となった二人が逢瀬を楽しんでいるところに、求女を恋慕う杉酒屋の娘お三輪(吉太朗)がやって来ます。求女と夫婦の約束をしているお三輪は橘姫を咎めますが、橘姫も負けじと反論し、求女を巡って言い争います・・・。


求女を巡るお三輪ちゃん vs 橘姫の恋のさや当ての後、お三輪ちゃんに降りかかるあまりにも理不尽な運命(今回は上演されていませんが)にいつも救われない気分になる、些か苦手な演目です。

前に文楽で観た桐竹勘十郎さんの遣うお三輪ちゃんは情熱的で強気で橘姫をバシバシ叩いていて、ちょっと笑ってしまった記憶があるのですが(こちら)、吉太朗くんのお三輪ちゃんはあっかんべーしてもとてもキュートでいじらしい。
クドキのところで、「主ある人に断りなしに惚れるとは」とお三輪ちゃんに責められて、「恋はした者勝ち」みたいなことを言い返す橘姫に、「そーゆーとこよ!」と言いたくなりました。
ま、一番悪いのは求女ですけれども。

三人での総踊りの場面では、姫と田舎娘の所作の違いが鮮明ですばらしなと思いました。
二人の女性に翻弄されがちな求女に「しっかりせい!」とここでも(≧▽≦)

立ち去ろうとする橘姫の振袖に苧環の赤い糸を結び付けて後を追う求女。
その求女に白い糸を結びつけて後を追おうとするお三輪。
白い糸が切れてしまったことに気づいて一度は落胆しながらもめげずに前を向き、苧環で方角を占いながら求女を追っていく吉太朗くんお三輪ちゃんの花道の引っ込みの気迫がすばらしく、ぐっと惹き込まれ、「お三輪ちゃんがんばれ!」と目一杯の拍手で送り出しました。
吉太朗くん、舞台観るたびに成長しているのをヒシヒシと感じます。



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この日は千穐楽。
来開催のアナウンスはありませんでしたが、ぜひ続けていただきたいなぁ のごくらく地獄度 (total 2398 vs 2396 )


posted by スキップ at 22:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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