2023年03月07日
平成世代が彩る仮名手本忠臣蔵 「三月花形歌舞伎」
”平成生まれ”の歌舞伎役者さんたちによる南座の「三月花形歌舞伎」も今年で3年目。
今年は、通しで上演すると1日がかりとなる「仮名手本忠臣蔵」を3時間強にぎゅっと凝縮。
しかも、Aプロ、Bプロで上方と江戸、型の違う五段目・六段目を楽しめるという趣向です。
初日のAプロだけチケットを取っていたのですが、某所で一等席半額で販売されていて、それならばとBプロ買って通し観劇となりました。
三月花形歌舞伎
2023年3月4日(土) 午前の部(Aプロ) 11:00am 南座 3階1列センター/
午後の部(Bプロ) 3:30pm 1階6列下手
プログラムは三部構成で、まず「解説」で「仮名手本忠臣蔵」の大序から四段目までをスクリーンの上演画像を観ながら説明。
五段目の主人公 早野勘平が今の境遇に至るまでがざくっとわかる仕掛けです。
次に五段目・六段目を上演。
役替りでAプロは中村壱太郎さん主演の上方型、Bプロは尾上右近さん主演の江戸型です。
そして最後の「忠臣いろは絵姿」は今回の公演のためにつくられた新作で、七段目から十一段目の討入りまでの名場面を舞踊と立廻りで上演するというものでした。
解説 仮名手本忠臣蔵のいろは
大序より四段目まで
出演:Aプロ 尾上右近/Bプロ 中村壱太郎
(上演時間:15分)
最初にスクリーンにAプロは壱太郎さん、Bプロは右近さんが映し出されてご挨拶。
このお二人+千之助さん、鷹之資さん、莟玉さんの5人が日替りで登場されるようです。
壱太郎さんは南座客席で、右近さんは屋上で撮影されたようでした。あとの3人はどこだったのかな。
そして解説はご本人登場。
上方、江戸それぞれの上演画像を織り交ぜながら。
四段目の判官が菊五郎さん、由良之助が吉右衛門さんで、午前午後2回観て2回とも泣くという事態に
右近さんは上方と江戸の違いにも触れられ、「熱い上方に対して、江戸は男の粋。皆さまAプロをお楽しみになった後はぜひ私のBプロもご覧ください」とおっしゃっていました。
「成駒家っ!」という大向うに迎えられた壱太郎さんは「嬉しいですね。今月から大向うが復活しました。もう一度聞かせてください」とおかわりリクエストされていました。
みなみーなが持ってきたファンからの質問は「初日前夜、当日はどんな気持ちですか」というもので、「私は興奮しいなので、昨日はほとんど眠れず、朝5時ぐらいに起きてハイテンションのまま先ほどAプロの勘平を終えました」とおっしゃっていました。「興奮しい」ってww
このコーナーの終わりにはみなみーなも加わって恒例の撮影タイム。
「皆さん写真撮って #南座で歌舞伎 つけてたくさんSNSにあげてくださいね」ですって。
Aプロは3階からでしたので、右近さん遠い~💦
Bプロは6列目な上に花横で壱太郎さんもみなみーなもすぐそば。
一、仮名手本忠臣蔵
五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
同 二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
出演 Aプロ Bプロ
早野勘平: 中村壱太郎 尾上右近
女房おかる: 片岡千之助 中村莟玉
千崎弥五郎: 中村莟玉 中村鷹之資
原郷右衛門/不破数右衛門: 中村吉之丞 中村吉之丞
母おかや: 片岡千次郎 尾上菊三呂
判人源六: 中村翫政 市川荒五郎
百姓与市兵衛: 中村寿治郎 中村寿治郎
斧定九郎: 中村鷹之資 中村吉之丞
一文字屋お才: 尾上右近 中村壱太郎 ほか
(上演時間: Aプロ 1時間45分/Bプロ 1時間55分)
江戸型の方が圧倒的に多いものの、上方の型のものも観たことがあるはずなのに、こうしてAプロBプロ続けて観るとその違いがより鮮明で、「こんなに違っていたのか」と驚くやら感心するやらでとても興味深かったです。
勘平が着替える着物や切腹のやり方が違っているのはよく言われることですが、運ばれてきた与市兵衛の亡骸を安置する場所も違っていたのにはオドロキ。Aプロの原郷右衛門がBプロでは不破数右衛門になっていたり、大道具小道具もよく見ると違いがあれこれ・・・2種類つくったのね。
上演時間もBプロの方が10分長いし。
中村壱太郎さんの勘平。
立役自体観るのが珍しくて、女形であんなにた艶やかな声を出す壱太郎さんがこんな声も出るんだとまずは驚き。
上方式の勘平は感情の起伏が激しくて、右近さんが解説でもおっしゃっていたとおり”熱い男”。
時折、お祖父様の坂田十郎さんを思わせるところもあって、新鮮な勘平でした。
一方の尾上右近さんの勘平は江戸式の音羽屋型。
いかにもビジュアル含めてすっきりしたカッコいい勘平で、だからこそ終盤の悲劇が一層際立ちます。「色に耽ったばっかりに・・・」の独白が悲痛でした。
このお二人は勘平ではない方のプログラムでそれぞれ一文字屋お才を演じるのですが、これもどちらもよかったな。
壱太郎さんのはすでに本役だし(笑)、右近さんのお才は粋でいかにも一癖ありそうなべっぴんさん。
ワタシ、この演目を最初に観たのがン十年前の仁左衛門さん勘平で、それが”親六段目”なのですが、ずっと仁左衛門さんだから上方式だと思っていたのが江戸式だとわかったことも今回の収穫です(今さら(≧▽≦))
Aプロで、おかやが熱演でうまいけれどあまり見慣れない女形さんだなぁとオペラあげたら千次郎さん!
千次郎さんってば、本当に何でもできるのね。
楽しみにしていた鷹之資さんの斧定九郎も期待以上によかったです。
踊りの素養と体幹があるから歌舞伎の様式美にあふれた定九郎の動きがピタリと決まり、「ごじゅうりょう~」のあの野太い声。
鷹之資さん 23歳。いつの間にあんな色っぽい目つきができるようになったんだ。おそろしい子!
大向うがかかる歌舞伎 やっぱりいいな。
幕間のおやつはつるやさんの利休饅頭いただきました。
すごい勢いで売れていて、瞬く間に完売。Bプロの時は売っていませんでした(^^;)
二、忠臣いろは絵姿
上の巻 花の山科/下の巻 雪の討入
出演:中村壱太郎 中村鷹之資 中村莟玉 片岡千之助 尾上右近 ほか
(上演時間:45分)
AプロBプロ 同じ演目同じ配役です。
まず最初に口上人形が登場して「仮名手本忠臣蔵」の世界へ誘います。
こちらはロビーに飾られている口上人形。
舞台で口上述べていた人形によると自分は太郎でロビーにいるのは次郎なのだとか。
「上の巻」の舞台は桜満開の山科・大石神社。
お花見を楽しみ人々のところへ、芸者春虹(壱太郎)と幇間栄壽(右近)が花道からやってきて、茶屋娘おせん(千之助)とともに七段目からの十段目の名場面をかわるがわる舞踊で披露します。
七段目は幇間栄壽の由良之助に芸者春虹のおかる、おせんが茶屋娘の姿のまま平右衛門を演じたり。
八段目の道行は芸者春虹が戸無瀬、おせんが小浪でともに人形振り。
十段目は幇間栄壽が5つの面を使って踊り分け。
そして最後は華やかな総踊り。
明るく楽しい幕でした。
どれも楽しかったですが、素人目にも踊り込みの差があるなぁとは感じました(ま、初日だしね💦)。
「下の巻」は打って変わって大雪の中の討ち入り。
幕外で力強い大薩摩の演奏に始まり、浅葱幕が振り落とされると一面雪景色の中、赤穂浪士と高師直方の侍たちとの立廻りが繰り広げられます。
泉水の立廻りは鷹之資さん小林平八郎 vs 莟玉さん竹森喜多八。
ここはこれまで数々の名対決観てきましたので、今ひとつキレと盛り上がりが欲しいところだったかなぁ(ま、初日だしね💦再び)。
とはいうものの、鷹之資さん小林平八郎を4人がかり(壱太郎、右近、千之助、莟玉)で取り囲むのですが、風格といい殺陣の迫力といい、断然平八郎が強そうでした(≧▽≦)
最後は5人が舞台に正座して「昼の部はこれぎり~」
若さとパワーあふれる「仮名手本忠臣蔵」、大いに楽しませていただきました。
入場時にランダムで配布されるステッカーはこの2種類でした。
歌舞伎座でもまた「仮名手本忠臣蔵」の通し上演観たいなぁ のごくらく地獄度 (total 2379 vs 2379 )
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