
”日本の文化に親しむ”という趣旨で司馬遼太郎さんが提唱された公演。
40回目となる今回がファイナルだそうです。
1月 歌舞伎座の「初春大歌舞伎」を観に行きませんでしたので、これが2023年幸四郎さんはじめ。
あけましておめでとうございます (^^;)
日本の文化に親しむ 「花の集い」
構成・振付:藤間勘十郎
2023年2月8日(水) 2:00pm 国立文楽劇場 6列上手

定式幕が引かれた文楽劇場。
最初に紋付袴姿の尾上右近くんが登場して、この公演の概要や今回がファイナル公演であることをご説明。
右近くん自身は、当初出演の予定ではなかったものの、急遽飛び入りで出演することになり「大変うれしい」とおっしゃっていました。
ハキハキと口跡よく要領もよいご挨拶。最後には忘れずに南座三月花形歌舞伎のPRも。
一、手打「七福神と花づくし」
出演:京都 祇園甲部芸妓 まめ鶴 小萬 その美 フク愛 豆千鶴
唄:小桃 恵美乃 三味線:恵美二 だん佑 福奈美
笛:まめ鈴 太鼓:里美 カゲ太鼓:真咲 ほか
(上演時間: 15分)
「手打」は慶事のためのもので、普段お座敷でも観ることのできない貴重なものだそうです。
舞台上には、黒紋付の芸妓さんの正装に身を包み、畳んだ手ぬぐいを頭にのせた三味線や笛、太鼓の方々が並んでいます。
花道揚幕からかけ声がかかり、紫檀の拍子木を打ちながら、これも黒紋付で頭に手ぬぐいを乗せた芸妓さんが一人また一人と現れます。
全部で10人。一番後ろの芸妓さんだけが違うリズムを刻み(木頭と呼ばれているのだそう)、他の9人は同じ調子で木を打っていました。
ゆったりとしたテンポで花道を進み、舞台上に揃ったところで、木頭さんの音頭にあわせて何人かに分かれて踊りを披露。
厳かな中にも華やかな雰囲気。
後で調べたところ、頭に乗せたてぬぐいは笹りんどうの紋で手打の決まりごとなのだそうです。
いや~、よいものを見せていただきました。
二、長唄囃子連中「高坏」
出演:松本幸四郎 中村歌之助 中村かなめ 市川九團次
(上演時間: 32分)
幸四郎さんの次郎冠者、歌之助くんの高足売、かなめさんの太郎冠者、九團次さんの大名という布陣。
酔っ払いの次郎冠者。かわいらしさ爆発からの下駄タップ。
幸四郎さんの「高坏」を初めて観たころから比べるとずいぶん恰幅よくなられましたが(笑)、軽快な下駄さばきは健在。
いつまでも観ていたい舞でした。
九團次さんがあんな老け役を?と驚き、かなめさん安定の太郎冠者に、歌之助くんの高足売が意外にも(と言っては失礼ながら)奮闘していて感心したりも。
三、極付 歌舞伎絵巻
口上 市川九團次
「高坏」での老大名とは打って変わって、キリリとした紋付袴で登場の九團次さん。
これから上演される3演目についての簡単な解説をされた後、花道まで移動して「~乞い願い上げたてまつります~」とおっしゃってスッポンから消えていかれました。なぜにスッポン?(≧▽≦)
三番叟
出演:渡邊愛子 藤間勘十郎
(上演時間: 13分)
中村富十郎さんのお嬢さんで鷹之資くんの妹さんの渡邊愛子さんの三番叟とご宗家の千歳。素踊りでした。
ご宗家のご出演はここだけという贅沢さ。
女性の「三番叟」を観たのは初めてですが、凛として力強い三番叟でした。
ご宗家の所作版を踏み鳴らす音がとても力強くよく響いて、以前、野村萬斎さんが「三番叟は舞うのではなく踏むもの」とおっしゃっていた言葉を実感した三番叟でした。
阿国歌舞伎
出演:坂東はつ花 若柳杏子 藤間勘知恵 藤間勘松音 泉葵三照 花柳凛
(上演時間: 9分)
舞で綴る阿国と山三の物語。
綺麗な踊り手さんばかりで華やか。
あの人があの芸妓さん、あの人は・・・と手打の芸妓さんと照らし合わせて観ていたところ、後でフライヤー見たら全く別人だとわかって、どうなってるのワタシの眼力⤵
雪
出演:山村光
(上演時間: 16分)
上方舞の山村光さんの一人踊り。
しんしんと降りしきる雪が見えるような踊りだわ・・・と思っていたらいつの間にか記憶が←
ごめんなさ~い💦
蜘蛛の糸
出演:松本幸四郎 尾上右近 中村虎之介 中村歌之助
若柳杏子 藤間勘知恵 泉葵三照 藤間勘松音
(上演時間: 27分)
狂言師右近で登場の幸四郎さん。
キレッキレの三つ面高速踊り分け。
お面をつけかえると瞬時に体型まで違って見えるの本当に凄いです。
後ろでお面を受け渡しする後見さんの所作も鮮やかで息ぴったり。「誰⁈」と思って見たらたら千次郎さんで驚いて二度見👀
お家も違う千次郎さんへの、幸四郎さんの信頼を感じる座組です。
早替りは舞台上で、前で頼光や貞光があれこれしている間に、後見さんが掲げる打掛(「蜘蛛絲梓弦」の薄雲太夫のだった!)の陰で顔をして、拵えもして、隈取も妖艶な蜘蛛の精に。
そこからシャーッと蜘蛛の糸を盛大に撒く、撒く。
蜘蛛の化身たちも後ろから撒くから舞台一面蜘蛛の糸で真っ白になるくらいでした。
花道に移動しても撒く撒く(^^ゞ
昨今の状況から糸を撒きっぱなしにしない配慮がされていたのだと拝察しますが、バーッと撒かれた糸を虎之介くん頼光や歌之助くん貞光が刀で巻き取るので、刀に巻き付いた糸がすごいことになっていました→それを後見さんが取り払う形。
蜘蛛の化身を女性が演じるのもこの公演ならでは。
4人揃っての見事な海老ぞりも見せてくださいました。
そして、ラスボス感たっぷりに登場した尾上右近くん。
とてもつくり込んだ拵えで、飛び入り参加とは思えぬ威風堂々とした姿より声よしの押し戻し。
お決まりの「高麗屋の幸四郎兄ぃによく似た・・・」も出て拍手喝采。
大盛り上がりのうちに幕となりました。
右近くん、後でフライヤー見たらどこにも名前載っていなかったので、本当に飛び入りだったのね。

高麗屋ご贔屓のお仲間にもたくさんお目にかかれて
マスクしたくいだおれ太郎氏にもご挨拶できました。
せっかく文楽劇場に花道できていたのにお席が上手側だったのだけが残念だったなー のごくらく地獄度



