
半人半獣のJAGUARを主人公に、その生命と愛を軸に展開するストーリー仕立てのショー。
名もない星のジャングルで生まれたJAGUAR(礼真琴)は、美しいCRYSTAL BIRD(舞空瞳)に恋をし、彼女に誘われて未知なる世界への旅に出ます・・・。
宝塚歌劇 星組公演
メガファンタジー 「JAGUAR BEAT-ジャガービート-」
作・演出:齋藤吉正
作曲・編曲:手島恭子 青木朝子 長谷川雅人 多田里紗
音楽指揮:西野淳
振付:御織ゆみ乃 AYAKO 港ゆりか 百花沙里 松本稽古
装置:川崎真奈 衣装:大津美香 映像:川上哲一
(上演時間: 55分)
出演者、観劇日時は「ディミトリ」と同じ(こちら)
宝塚大劇場の初日に観た時の第一印象は
「いかにもザ・ヨシマサ・ワールド。音と色彩の洪水甚だしく、ちょっと消化しきれず。やっぱりヨシマサ先生とは相性よろしくないかも」
というものでした。
この印象はしばらく続いて、「『Gran Cantante!!』がよかった」とか「モアダン観たい」と思ったものです。
緩急というものなく、ずっと”急”というか、プロローグ・中詰・中詰・中詰・フィナーレみたいな感じでハイテンションの同じような場面と音楽、衣装が続いて、とにかく長く感じました。
ロケット(センターは綾音美蘭さんと詩ちづるさん)がプロローグにあったり、デュエットダンスが終わって大階段も出ているのでパレードと思いきや、極美慎くんが下手からせり上がってきてジャガーメドレーが始まって、変形黒燕尾や2回目のデュエダン?などもう一盛上がりも二盛り上がりもある構成。
初日観終わった後はヘトヘトでした💦
”ストーリー仕立てのショー”といえば、古くは鴨川清作先生の名作「ノバ・ボサ・ノバ」、最近では上田久美子先生の「BADDY」が思い浮かびます。汀夏子さんトップ時代の雪組「Non, Non, Non」(作:草野旦)も大好きでした(古すぎて誰も知りません)。
が、この「JAGUAR BEAT は、観ていてもどんなストーリーなのかさっぱりわかりません。
ところが
慣れというのはおそろしいもので、あのギラギラチカチカにも目は慣れてくるし、曲も入ってくるようになると、ちゃんとストーリーも見えてきました。
その転換になったのは、12月2日 礼真琴さんのバースディ公演を観た時から。
みんなが「ジャガー Happy Birthday!」と呼びかけて、ジャガーが「Thank you!」と応える多幸感に満ちた空間が広がり、私の中で JAGUAR=礼真琴 がピタリと一致して、JAGUARがとても愛おしく思えてきたのでした。
最初は「ビッ ビッ ビッ」としか聞こえなかった主題歌も中毒性があって、この頃には帰り道歩きながら ♪Show me Show you 夢一夜~ と口ずさむまでになりましたよね。
冒頭、舞空瞳クリスタ→礼真琴ジャガーの大画面映像から始まって、「ヨシマサ、またかよ」と思ったのですが、人物の映像はここだけで、あとはイメージ映像的なものばかりでしたので2階席からでも見づらいということもなく、終演後には "See you again" という礼真琴さんのステキなおまけ画像サービスもついていて、今回はなかなかよろしい(どんな上から)。
礼さんの開演アナウンスに重なるように幕が上がると舞台では黒いマントに黒いコスチューム、黒い仮面をつけたブラックパピヨンたちが、超アップテンポの「G線上のアリア」に乗って踊っています。彼らが銀橋に出て来て一列に並び、外側から順に仮面をはずしていって最後に外して顔を見せるセンターが暁千星さんだとわかる演出。滑り出し上々です。
この暁千星さんが猛獣使いのマーリンで、プロローグでクリスタの羽根を奪う張本人。
クリスタにひと目ぼれしたジャガーが、クリスタが羽根を探していることを知って「僕が探してあげる」と羽根探しの旅に出ていろいろな世界に遭遇する形でショーが展開します。
衣装はゴージャスなのですが全体的にギラギラの同じトーンで、色なり形なりもう少しスッキリした方がいいと思いましたが、舞空瞳さんの衣装はどれもとても素敵でした。
オープニングの羽根をつけた白いクリスタルバードはリアル天使でしたし、クラブの場面のアリスのようなシルエットの青いドレス、中詰めのダルマに編み上げブーツ、ゴージャスな羽根を背負ったドレス、デュエットダンスのふわりとした羽根の白いドレス、Riding High のシンプルなシルエットの金のドレス・・・どてもヘアスタイル含めてよく着こなしていてお似合いでした。
場面でダントツに好きなのはフィナーレの Riding High
男役群舞から、礼真琴、瀬央ゆりあ、暁千星の3人が残り、大階段で舞空瞳さんが歌う Riding High の曲で爆踊り。
動きが速い上に暁さんにはフェッテがあったり、3人揃って踊る時と個々で振りが違うところがあって、ほんと目が足りません。
礼さんが Now on Stage でおっしゃっていた、客席に背を向けて2人の方を向く時に「行くよ!」と目を合わせるというところも、瀬央さん見たり暁さん見たり忙しい。
さらには、瀬央さん、暁さんがはけた後、今度は礼さんが銀橋で高らかにRiding Highを歌い、舞空さんと踊ります。
群舞から続いてずっとあんなに爆踊りした後、あんな突き抜けるような歌声が出るなんて、礼さんってばほんと超人。
この場面のラスト、礼さんの差し出した手に舞空さんがツンとして、「やれやれ、この娘は」といった感じで礼さんがにやりと笑ってからの舞空さんの顎をクイッと触るの、色っぽくカッコよすぎて、終わった後毎回「はぁ~

それにつけても、礼真琴さんの歌声は別次元。
あののびやかで力強く艶のある歌声を世界中の人に聴いていただきたいくらいです。
柚希礼音さんが星組観劇後、「いつまでも聴いていたい歌声」とInstagramに投稿されていて、「本当にそのとおり!!」といいね💗100回ぐらい連打したい気分でした。
暁千星さんの加入もとてもよい相乗効果をもたらしていると思います。
礼さんも暁さんも、ともにショースターで劇団屈指のダンサーですが、踊りのタイプが違うので観ていて本当に楽しいし眼福。
「MACHINE GIRL」で2人で踊るシーンがありますが、バチバチ対決しているのに動きがシンクロしていてとても綺麗。「ことちゃんと踊るありちゃん」なんてめちゃ観たかったやつや~ん!とここはヨシマサ先生に感謝。
この場面、天華えまさんの女豹もしなやかでセクシーでコケティッシュでとても目を惹きつけられました。
暁さんは、「NARKISSOS」で極美慎さんとボーイズラブの場面もあって、これも新鮮なペアでした。
ショー全体を通じて暁さんはオラオラ全開でワイルド。バブ味と言われた月組時代のありちゃんはどこへ?という感じで、星組のショーととても親和性が高く、組替えが正解だったことを実証した形。
中詰(なのか?)で、たくさんの人が銀橋を渡って歌ったラストにピンクの衣装の天華さんが銀橋からの上手で♪マジ マジ マジック~ とソロ歌った後、満を持して、という感じでジャーンジャジャーンという感じの音楽で(←語彙💦)舞台の大幕が振り落とされるとポーズ決めた礼さんが現れるシーン、胸が高鳴ります。
天華さんが銀橋渡っている時だったかな。舞台上で男役、娘役が逆三角形のフォーメーションで、その頂点に立って踊るひろ香祐さんがキレッキレで本当にカッコいいダンスでした。ひろ香さん、ますます男らしさに磨きがかかっています。
クリスタがバファローが放った銃弾からジャガーをかばって倒れ、初めて悲しみを知って涙を流したジャガーが翼そのものになって天国でクリスタに再会するというストーリーのデュエットダンス。
いつものキレッキレの”カミソリデュエット”とはまた違うゆるやかな動きが切ないまでに美しいダンスでした。ここでは冒頭の「G線上のアリア」の別アレンジが使われていました。
このデュエダン前の場面が9秒の早替り。
最初に観た時、まだ混乱中でしたので「あれ?今ことちゃん引っ込んだと思ったけどもう出てきたよ。さっきのは別の人だったの??」と思いました。9秒と知った後に観た時に心の中でカウントしたらきっちり9秒で衣装替えて登場していました。
ジャガー(礼)、クリスタ(舞空)、バファロー(瀬央)、マーリン(暁)の他に小桜ほのかさんがクピドという通し役(天使かな?)で美しい歌声を響かせていました。
詩ちづるさんも「MACHINE GIRL」で礼さんジャガーと踊ったり、でデュエダンのカゲソロなど、活躍が目立っていました。
こんな喧噪の中でも退団者3名(遥斗勇帆さん、瑛美花れなさん、光莉あんさん)には礼さんと絡む場面が用意され、特に遥斗くんはお得意の歌でソロが2回もあるなど、よく言われているように齋藤先生は宝塚が好きで生徒さんたちにもやさしいなと感じました。
とはいうものの、私は星組が、礼真琴が大好きなのでこのショーが楽しめるようになったと感じています。
もしこれが他の組のショーだったら、何回も観たくはなかったかもしれませんワ。
パレード:
エトワール 都優奈
小桜ほのか・天飛華音
綺城ひか理・天華えま
極美慎・有沙瞳
暁千星
瀬央ゆりあ
舞空瞳
礼真琴
結論としてやっぱりヨシマサ先生は苦手 の地獄度


