

星組「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」は新人公演も観劇することができました。
宝塚公演は大劇場でナマで、東京公演は配信で視聴しました。
東京公演が休演となってしまった時はどうなることかと思いましたが、この状況下、東西両公演できて本当によかったです。
宝塚歌劇 星組公演
浪漫楽劇 「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」 新人公演
─並木陽作「斜陽の国のルスダン」より─
脚本・演出:生田大和
新人公演担当:熊倉飛鳥
出演:天飛華音 藍羽ひより 大希 颯 稀惺かずと 鳳真斗愛
水乃ゆり 世晴あさ 御剣 海 碧音斗和 瑠璃花夏 紘希柚葉
紅咲梨乃 奏碧タケル 綾音美蘭 詩 ちづる 美玲ひな ほか
2022年11月29日(火) 6:00pm 宝塚大劇場 2階6列センター/
2023年1月19日(木) 6:30pm 東京宝塚劇場 (配信視聴)
(上演時間: 1時間45分)
本公演の感想はこちら
本公演の完成度がとても高く、原作ものではありますが、一人ひとりの役があて書きかと思うほどハマっていますので、新人公演もハードルが上がったと思いますが、若いチカラ一丸となって熱気あふれる舞台。
大劇場でもすばらしかったですが、特に東京公演は、このまま本公演できるのでは?と思うほどクオリティの高い舞台を見せてくれました。
天飛華音 (ディミトリ/本役・礼真琴)
102期生の天飛さんはこれが最後の新人公演。
今回を含めて3度目の新人公演主演ですが、主演として礼真琴さんの役を2度、礼さん二番手時代の「Another World」でも礼さんの役を勤めています。このあたり、柚希礼音さんトップ時代の礼さんと軌跡が重なります。
すばらしいディミトリでした。
華があり、真ん中に立つ求心力もあって、新公の舞台ではやはり頭一つも二つも抜きん出ている印象。
お得意のダンスはもちろん、歌、芝居、どれをとっても穴がありません。
元々礼さんが歌うためにつくられた楽曲は難易度が高く、宝塚大劇場で観た時は「完コピ」と言われるほど声まで礼さんに寄せていましたが、東京では自分らしさも加えて、余裕すら感じました。
ジョージアンダンスの戦闘場面は多少苦戦している下級生も見当たりましたが、さすが本公演でも同じ場面に出ている天飛さんはキレッキレのダンスで周りを牽引していました。
藍羽ひより (ルスダン/舞空瞳)
107期生の藍羽さん。
可愛らしい容姿で注目の娘役さんで、まだ研2ながら本公演でディミトリとルスダンの娘・タマラ王女を演じています。これもかなりの抜擢だと思いますが、新公ヒロインが発表された時は「だいじょうぶか?早すぎないか?」と心配の声があがったものです。
そんな心配は全く杞憂で、宝塚大劇場の新人公演終演した瞬間から「新ヒロイン爆誕」と大評判になりました。
無邪気な少女だったルスダンが女王となり母となり、一国を背負う責任と威厳を持つまでになる姿を的確に表現。若い娘役さんにありがちな、台詞の声がキンキンしていないのもとてもよかったです。品のある可愛いらしい容姿で歌もお上手。課題はダンスのようですが、これからのがんばりに期待するとしましょう。
大希颯 (ジャラルッディーン/瀬央ゆりあ)
長身で端正なお顔立ち、あの緑の装束もよく似合い、銀橋での登場シーンから威風堂々として、ジャラルッディーンという人物の大きさを十分に表現していました。
力強い台詞も歌もすばらしく、間違いなくこれからの星組を担う若手の1人です。学年は若い(105期)けれど大人のオトコの雰囲気を持つ人で、ますます活躍の場が広がりそうです。
稀惺かずと (アヴァク/暁千星)碧音斗和 (ギオルギ/綺城ひか理)
104期首席ながらこれまでさほど目立った活躍がなかった碧音さん(一つ前の公演「めぐり会いは再び」は途中休演で新人公演も休演だったし)。
ですが、ギオルギ王では実力を発揮。しっかりした台詞と歌で存在感を示してくれました。王の孤独を湛えたような少し寂しげなビジュアルも素敵でした。
瑠璃花夏 (バテシバ/有沙瞳)
本役の有沙さんより少しやわらかで儚げ、たおやかなバテシバ。小柄でかわいい印象がありましたが、こんな大人の女性役もお見事です。
有沙さんほど力強さはありませんが、歌もとてもよく響いて美声。
奏碧タケル (ミヘイル/極美慎)
美しい、美しいよタケルくん(何でタケルくんだけファーストネーム呼び?(≧▽≦))
美しいばかりでなく、何でもできる人なので、蒼舞咲歩さんなどとともにもっと用いられるいいと思うのですが。
鳳真斗愛 (物乞い/美稀千種)
コワイ、コワイよ鳳真くん。
本役の美稀千種さんも外部のストプレのようなかなり凝ったメイクですが、鳳真さんはさらに上を行く拵えで、物乞いの不気味さを存分に描出。元より声𠮷歌代氏の人なので、語り部としてばかりでなく、大きな存在感を発揮していました。
紘希柚葉 (ナサウィー/天華えま)
本公演の感想にも書いたとおり、私は天華えまさんのつくり出すナサウィーが大好きなのですが、紘希柚葉さんもとてもよかったです。
大希颯さんのジャラルッディーンとのバランスからか、少し大人のナサウィーに感じられましたが、これもアリだなと。歌も安定していて、星組の若い人たち、ほんとみんな地力あるよねーと心強い限りです。


今回の新公の長であり主演でもある天飛華音さんのご挨拶が宝塚大劇場、東京宝塚劇場ともにすばらしかったのでここに保存しておきたいと思います。
天飛華音さんご挨拶
<宝塚大劇場>
皆さま 本日は星組新人公演「ディミトリ 曙光に散る紫の花」を最後までご観劇くださりありがとうございました。星組の天飛華音です。
まずは、こうして宝塚大劇場の舞台で無事に新人公演をさせていただけたこと、心より感謝申しあげます。厳しい状況の中でたくさんの方々に支えていただきながら今日の舞台を目標にお稽古に励んでまいりました。先生方をはじめスタッフの皆さま、そして温かい気持ちを寄せてくださるお客様 本当にありがとうございます。
私たちが挑戦させていただいたこの作品、立ちはだかる壁は高く、自分たちの未熟さを痛感しながらでしたが、上級生の皆さまの背中を見て学び、私たちがこの新人公演でお客様にお届けできるものは何か、奮闘する日々でした。このディミトリという役は運命に翻弄されながらも一人の女性を愛しぬく役ですが、この役を通して私も、愛する宝塚の舞台に、そしてお客様に、これからも変わらぬ一途な愛をお届けしたいと強く思いました。この新人公演で学ばせていただいたことを胸に、ここにいるメンバー全員が、明後日からの本公演に活かしていけるよう精進してまいります。本日は本当にありがとうございました。
この舞台を通して経験させていただいたことを、各々がしっかりとその課題を克服して東京の新人公演ではさらに成長した姿をお見せできるように、この命をかけて、精進してまいります。本日は本当にありがとうございました。
*「『命をかけてがんばれ!』と礼さんが書いてくれたメッセージを早替り室の壁に貼ってずっと見ながら演じた」と終演後のインタビューで語っていた天飛くん。「この命をかけて」にはそんな思いが込められていたのですね。
<東京宝塚劇場>
本日は星組新人公演「ディミトリ 曙光に散る紫の花」を最後までご観劇くださりありがとうございました。星組の天飛華音です。
まずは、こうして本日、無事に新人公演をさせていただけたましたこと、心より感謝申しあげます。
人の思いは目に見えない不安定なもので、ディミトリとルスダンのように強い思いがあればあるほど、ぶつかり合い、時にすれ違うものだと思いますが、不安定なものだからこそ、人と思いが通じ合った時の喜びはひとしおで、本日に至るまで7年間、私はその喜びを幾度となく経験させていただき、この新人公演という場で芸事はもちろん、たくさんの人の強い思いに触れて、本当に多くのことを学ばせていただきました。
未熟な下級生だけで責任ある立場をいただき、自ら考え、試行錯誤しながら、大切な仲間とともに汗を流し、涙を流し、お稽古に励んだかけがえのない時間。時には失敗しながらも、諸先生方、上級生の皆さまに導いていただき、人としても成長するこのような機会を与えていただきましたこと、言葉では言い尽くせないほどの感謝の気持ちでいっぱいです。
今のご時世、ソーシャルディスタンスという言葉もありますが、何だか人と人の心の距離ができやすくなったような気が個人的にしておりますが、そんな虚しさも超えていける志と愛がこの宝塚の舞台にはたくさん詰まっているなと改めて感じております。この空間が当たり前ではないことを知っている私たちだからこそ、これからもお客様の心を震わし温めることができるような舞台をお届けしたいです。そのためにも、自分自身と向き合い、己れを高めていけるように、明日からの本公演も精一杯がんばります。本日は本当にありがとうございました。
私の座右の銘は "No day, but today." という、「RENT」という作品の中に出てくる「今日は今日しかない。今を精一杯生きよう」というメッセージが込められた言葉が、私は自分の座右の銘として掲げているのですが、新人公演を卒業させていただく今、二度と戻らなないこの時を、本当に大切に生きたいなと強く感じております。
そして、尊敬する礼さん、礼さん率いる星組の舞台に立たせていただいている今、本当に幸せです。
ここにおります新人公演メンバー48名、そして今公演は休演となってしまいましたが、大切なもう1人の仲間と、これからも星組の戦力となり、お客様の心に響く舞台をお届けできるように精進してまいりますので、今後とも温かいご声援のほど、よろしくお願い申しあげます。心からの愛と感謝を込めまして、本日は本当にありがとうございました。
*体ごと客席の礼真琴さんの方を向いて真っ直ぐな目で「尊敬する礼さん」と呼びかける天飛くんの姿に泣いてしまいました。
ことちゃん、あの言葉をどんな思いで受け止めていたでしょう。
8年前、最後の新人公演「黒豹の如く」のご挨拶で舞台上から客席の柚希礼音さんへの思いを述べた礼真琴さんとここでも重なります。
すばらしい新人公演に拍手喝采👏 のごくらく度


