2022年09月23日

希望とはあきらめないこと 星組 「モンテ・クリスト伯」


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9月1日から9月21日まで、大阪を皮切りに全国(といっても主に東日本ですが)を回る予定の星組全国ツアー公演。
大阪で2回観て、9月17日のライブ中継を観てから感想をアップするつもりだったのですが、9月13日から18日まで公演中止。ライブ中継も中止となってしまいました。

うぉ~ん💦と思っていたら、9月19日から公演は再開・・・はとてもうれしいけれど、7人も休演💦
複雑な思いを抱えつつ、それでも前へ進もうとする星組の皆さんに胸いっぱいですでに半泣き。
9月21日の千秋楽がライブ中継されることにもなって、万難排して(つまり仕事休むってことですが)観に行くというものです。


宝塚歌劇星組 全国ツアー公演
ミュージカル・プレイ 「モンテ・クリスト伯」
原作:アレクサンドル=デュマ・ペール
脚本・演出:石田 昌也
作曲・編曲:手島恭子
振付:御織ゆみ乃   擬闘:清家三彦
装置:稲生英介   衣装:大津美希
出演:礼 真琴  舞空 瞳  美稀千種  白妙なつ  大輝真琴  輝咲玲央
紫りら  瀬央ゆりあ  音咲いつき  綺城ひか理  暁 千星  天華えま
夕渚りょう  天希ほまれ  遥斗勇帆  蒼舞咲歩  二條華  夕陽真輝
都 優奈  鳳真斗愛  紘希柚葉  詩ちづる  稀惺かずと ほか

2022年9月1日(木) 3:00pm 梅田芸術劇場メインホール 2階7列センター/
9月3日(土) 11:30pm 1階17列下手/
9月21日(水) 1:00pm TOHOシネマズなんば スクリーン6 (ライブ中継)
(上演時間: 1時間35分)



物語の舞台は19世紀初頭のフランス。
マルセイユの若き航海士エドモン・ダンテス(礼真琴)は、船長への昇進と船会社の社長令嬢メルセデス(舞空瞳)との結婚も決まって幸せの絶頂でしたが、彼に嫉妬する貴族のフェルナン(瀬央ゆりあ)、会計士のダングラール(輝咲玲央)そして自らの保身に走る検事のヴィルフォール(綺城ひか理/夕陽真輝)の陰謀によって身に覚えのない罪を着せられ、孤島の監獄シャトー・ディフに投獄されます。獄内で出会ったファリア司祭(美稀千種)から様々なことを教わり導かれ、神父が亡くなった後脱獄して神父が言い遺したモンテ・クリスト島の財宝を手に入れ、モンテ・クリスト伯爵と名乗って、自分を陥れた3人と、フェルナンの妻となったメルセデスに復讐を誓います・・・。


デュマの「巌窟王」をもとにして2013年に凰稀かなめさん主演で宙組大劇場公演として上演された作品。

その公演は観ていて、♪俺はダンテス許さない 罠に 罠にはめてやる~ という3悪人の歌が強烈に印象に残ったことと、説明台詞や”石田節”と言われるダジャレや失言系の台詞が散見されたこと、そして、あの演劇部の先生と学生たち、いらなくない?という感想でした。
それにも増して、ラストの改変が宝塚らしいハッピーエンドといえばそうなのですが、いくら何でもそれはなくない?と驚いたものです。

その時の感想を、と自分のブログ検索していたら、完璧に忘れていましたが、2014年に石丸幹二さん主演でも観ていました。
しかも、音楽はワイルドホーン氏だし、メルセデスは花總まりさんだし、ヴァンパは女海賊という設定で濱
田めぐみさんだし、ファリア司祭は村井國夫さんだし、岡本健一さんも出てるし、と超豪華キャスト・・・忘れるって←


「モンテ・クリスト伯」(2013年 宙組版)
「モンテ・クリスト伯」(2014年 石丸幹二版)


今回の公演はもちろん2013年宝塚版なのですが、一番大きな変更は演劇部の先生と生徒が出て来ないこと。
7月29日(集合日)にキャストが発表された時、演劇部にあたる名前が見当たらず、「演劇部廃部」とか「ハイスクールなくなる」とTwitterのタイムラインがにぎわっていて笑っちゃいました。


演劇部の代わりに、海賊のベルツッチオ(暁千星)とルイジ・ヴァンパ(天華えま/蒼舞咲歩)がストーリーテラーの役回り。
時にはそのまま物語の中に入って行ったりして自然な流れになり、これはよき改変でした。
気になる台詞もいく分改められていました。「マッチポンプ」とか唐突に出てきたりもしていたけれども。

あまり好きな作品ではないと思っていたのですが、礼真琴さんはじめ皆さんの熱演もあって集中して物語の中に入り込むことができて、とてもおもしろく観ることができました。

ベルツッチオに復讐をやめるよう諭されて、「私が楽しんで復讐していると思うのか?」と応じるダンテスの、悲しみと怒りが綯い交ぜになった表情。
「俺はただの航海士のエドモン・ダンテスで十分幸せだったんだ」という言葉の悲痛。
そこからの ♪私から憎しみを奪うな の歌唱の迫力。

陥れられる前、シャトー・ディフで典獄に「君は神を信じるかね?」と聞かれて「はい」と即答していたダンテスが、

  私から憎しみを奪うな
  憎しみはたったひとつの 私の生きる証し
  神も言葉も忘れてしまった
 「神に飼い慣らされた人間などクソくらえだ!!」

と言うほどに変貌するまでに、どれほどの怒りと絶望があったことか。

そんなダンテスが人の心を取り戻す、クライマックスのメルセデスがダンテスに剣を向けて対峙する場面では思わず落涙。
いや~、こんなに心に響く物語でしたっけ?!


ここまでは梅田で観た時に感じたこと。

9月21日に千秋楽ライブ中継を観た時は、7人も欠けて代役を立てながら無事千秋楽が迎えられたことでおかしなテンションになっていて、シャトー・ディフのダンテスとファリア神父との会話あたりからすでにウルウル。
ファリア司祭が歌う ♪希望とはあきらめないこと がまんまこの公演の星組に重なって、滂沱のナミダ。
美稀千種さんの声がまた包み込むように温かくて。

だから、「司祭さま あなたは正しかった」と、憑き物が落ちたような穏やかな表情で言うダンテスに心からよかったと思えます。
魂の救済という言葉が胸に響いてまたウルウル。


初日に観た時、モンテ・クリスト伯邸のパーティで
ダングラールが「串カツは二度づけ禁止らしいな」とフェルナンに言っていて「!!」となって、ここはご当地ネタのアドリブになるんだろうなと思ったのですが、その通りアドリブ祭りになっていた様子で(笑)。
9月3日に観た時は、ダ「たこ焼き、イカ焼き、ねぎ焼き どれが好き? フ「たこ焼きやなぁ」でした。←吐息まじで無駄に色っぽい。

この後、いろいろなご当地グルメで笑わせてくれたようです。
そしてその後「モンテ・クリスト伯は顔が広い」と何食わぬ顔で次の台詞に入るヴィルフォール強し。


密輸船ジュヌ・アメリー号の愉快な海賊 ムハンマド(蒼舞咲歩)・ハッサン(夕陽真輝)・アリ(鳳真斗愛)のシーンも日ネタだったようで、初日は気づかなかったのですが、9月3日は3人でラインダンスのように手をつないで横ならびではけながら ♪ふーんふんふー ふふふーふんふんふん と「めぐり会いは再び」の ♪なーがーい モラトリアム をハミングしていて、ヴァンパに「モラトリアムすなっ!」とツッコまれていました。

千秋楽は3人のうち2人代役(蒼舞→御剣海/夕陽→樹澄せいや/アリはそのまま)でしたが、何だか知らない歌(後で聞いたところによると横浜市歌だったらしい)を歌いながらはけて行って、ヴァンパ((蒼舞咲歩)は「俺たちにも教えといてくれよ~」と言ってました。カワイイ。



エドモン・ダンテスの礼真琴さん。
礼真琴さんはかわいいお顔立ちで男役としては少し小柄なので少年ぽい役(その代表がロミオ)が似合うと思われがちですが、男っぽくて翳りのある役がとてもハマリます。
「アルジェの男」も「エル・アルコン」も「柳生忍法帖」も「王家に捧ぐ歌」も、「ええ~っ、ことちゃんにその役?」と思うのですが、実際に観ると見事にその役になり切っていて、しかもとても魅力的な人物像になってます。

今回のエドモン・ダンテスもそう。
幸福の絶頂にあった若きエドモンから、絶望と怨念で人の心も表情もなくしたモンテ・クリスト伯の振り幅の凄まじさ。
歌声はもちろん、台詞の声も別人のようです。
さらには、モンテ・クリストが変装したウィルモア卿、ブゾーニ神父と、表情も声もいくつあるの?という感じです。
最後に明るい表情が取り戻せて、本当によかったよ、ダンテス。
礼真琴さんが演じる役にいつも心を寄せて好きになるのは、とりもなおさず、その演技力と人物造形のすばらしさと、礼真琴自身の魅力です(結局そこか(≧▽≦))


メルセデスの舞空瞳さんもとてもよかったです。
難しい役かと思いますが、ダンテスと再会した時に、きちんと20年の経年を感じさせましたし、わが子を守りたいという母の強さも、ダンテスを思い続けている切なさも。
舞空さんは公演ごとに歌が上手くなっていて、日ごろからとても努力しているのだろうなと思います。

どうしようもないクズ男ならがビジュアル抜群、冷たい顔で容赦なく繰り出すビンタがまた似合うフェルナンの瀬央ゆりあさん、ワルなのにどこか色っぽいダングラールの輝咲玲央さん、実は真面目な官吏で、ダンテスが預かったナポレオンの手紙が父のノワルティエ宛でなかったら道を踏み外さなかったかもしれないヴィルフォールの綺城ひか理さん。
の3悪人は、3人3様、それぞれにお見事でした。
♪罠に 罠にはめてやる~ も迫力のコーラス。

綺城ひか理さんの代役で3日間ヴィルフォールを演じた夕陽真輝さん。
綺城さんより人間味が見え隠れするヴィルフォールでしたが、台詞も歌もある大役、見事にやり切りました。

この公演は星組デビューの暁千星さんはベルツッチオ。
海賊からモンテ・クリスト伯ことダンテスの家令となって、復讐に執念を燃やすダンテスを心から心配するベルツッチオはすごくいいヤツ。海賊船で仲間のレモンをくすねようとしたなんてとても信じられません(笑)。
「神様はいると思う」発言に代表されるように、モンテ・クリスト伯となったダンテスが陰なら、ベルツッチオはそれを明るい方へ引き上げようとする陽キャラで、口では「お節介だ」と言いながら、ダンテスもずいぶん救われたのではないかな。
そんなベルツッチオのキャラクターにありちゃんの明るさがぴったり合っていました。
初日はお芝居、ショーともに緊張が見えたありちゃんですが、どんどん星組に馴染んでいったようでよかったです。

天華えまさんのルイジ・ヴァンパはジャック・スパロウと見紛うばかりの男っぽく色っぽい海賊さん。
所作や口調がいかにも荒々しい海の男で感心。どんな役をやっても本当に上手いなぁ。

そのヴァンパの代役は蒼舞咲歩さん。
代役初日には「えーっと」と場面もあったようですが、千秋楽はもう余裕で役になり切っていて、巻き舌気味の台詞とか「え?本役?!」と思いました。たった2-3日の稽古でこのアウトプット。蓄えた力量を如何なく発揮できたと思います。

遥斗勇帆さんは、大輝真琴さんのノワルティエも風車信号手も代役されている上に、海賊船にもいたり、遥斗くん何人いるの~?という感じでした。

相模大野の代役にばかり目が行きがちですが、ここで有沙瞳さんが復帰するまで、ヴィルフォールの妻エロイーズを代役でずっと勤めたのは都優奈さん。
優奈ちゃんも初日は少し台詞噛んだりしていましたが、堂々たる悪女っぷりでした。
もちろん復帰した有沙瞳さんも華やかな悪女っぷり。

ヴィルフォールの娘ヴァランティーヌは二條華さんから代役は綾音美蘭さん。
美蘭ちゃんはショーのニンジン娘の場面でも有沙瞳さんのポジションに代わりに入っていて、堂々のセンターでした。

ダンテスがハーレムから救ったエデ姫。
ソロで歌ありダンスあり、ダンテスとのお芝居ありといい役ですが、詩ちづるさん、さすがの可愛らしさと歌のうまさ。
メルセデスの息子アルベール の稀惺かずとさんも重要な役、がんばっていました。
このお二人は前作「めぐり会いは再び」でも目立つ双子の役で、さすがに注目の若手ですね。



礼真琴さんが「宙組さんの舞台を観て号泣した」とおっしゃっていたのを聞いて「へ?どこで?」と思っていたのですが、まんまとハマって涙なしには観られない作品となりました。
星組ありがとう・・・というか宙組ゴメン(≧▽≦)



→ ショー「Gran Cantante!!」につづく


posted by スキップ at 19:27| Comment(0) | TrackBack(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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