2022年06月01日

”音楽はおくりもの”を実感 「やのとあがつま Japan Tour 2022」


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矢野顕子さんと上妻宏光さんのユニット やのとあがつま。
2015年に「二重奏」というプレミアライブ(当時は「やのつま」と名乗っていらっしゃいました→こちら)を聴いて以来大好き。

2020年3月、正式に「やのとあがつま」としてファーストアルバム「Asteroid and Butterfly」がリリースされて、5月にライブツアーが予定されていましたが、コロナ禍の中、会場を変更して8月に延期されましたが結局矢野さんが来日できず中止。
「今年こそは」と意気込んだ2021年は秋田と大阪が中止になってしまい、東京公演をライブ視聴(こちら)。

今年やっと、3年越しで念願のステージをナマで楽しむことができました。


やのとあがつま Japan Tour 2022 - Asteroid and Butterfly -
出演: ピアノ・キーボード・ヴォーカル:矢野顕子
三味線・ヴォーカル:上妻宏光
シンセサイザー:深澤秀行

2022年5月17日(火) 7:00pm 住友生命いずみホール 1階H列センター
(演奏時間: 1時間45分) 



住友生命いずみホールは久しぶりでしたが、正面上にパイプオルガンのあるクラシック主体のとても音響がよいホールで、特に上妻さんの三味線との親和性がすばらしく、「これまでて最高!」というくらい聴き惚れました。
もちろん矢野さんのピアノもよく響き、ピアノと三味線の絶妙な融合、そしてすばらしいヴォーカルを体ごと浴びた感じです。


セットリスト
1.おてもやん
2.弥三郎節 
3.いけるかも
4.こきりこ節
5.(新曲)紅花・・・(?)
6.ROSE GARDEN
7.(新曲)犬は鳴く猫は引っかく(?)
8.津軽じょんがら節 ★
9.淡海節 ★ 
10.音楽はおくりもの
11.???(奄美の民謡)
12.津軽じょんがら節 (やのとあがつまバージョン)
13.斎太郎節
Encore
14.おはら節 
15.ふなまち唄 PART Ⅲ


★ 上妻宏光ソロ



新曲(またアルバム出すのかな?)のタイトルがわからなかったのと、オープニングの3曲、ラストの「斎太郎節」、そしてアンコール2曲以外はかなり曲順があやふやなセトリです💦


今年は「おてもやん」から始まりました。
言わずと知れた熊本民謡ですが、一番はオリジナルの歌詞、二番は英語で歌うやのとあがつまバージョン。
ま、この曲に限らず、次の「弥三郎節」も「こきりこ節」も「斎太な郎節」も「おはら節」もみんなやのとあがつまバージョンなのですが。
緻密で大胆で自在な上妻さんの三味線と矢野さんのピアノ、そして艶やかでのびやかなヴォーカルで聴いていると、耳慣れた民謡も「あぁ、民謡ってこんなにも表情豊かなんだな」といつも思います。

矢野さんが「基本、嫁いびりの歌です」(笑)とおっしゃっていた「弥三郎節」のような厳しい内容の歌詞も中にはありますが、民謡は基本的に生活感と祝祭感、そしてエネルギーに満ち、私たち日本人のDNAに深く刻み込まれていて、それをこんなふうに大胆かつ斬新なアレンジと演奏で聴くことができて、耳も心も喜んでいる感じです。


この日の my best は「ROSE GARDEN」
昨年の配信でも聴きましたが、この曲のピアノ、ヴォーカルと三味線の融合は震えるくらいカッコいい。
これまで矢野さんのライブで聴くたびに超絶ピアノテクとアレンジに聴き惚れていた曲ですが、上妻さんが「まるで最初からこのユニットのためにつくられた曲みたい」とおっしゃっていた通り、力強い中に哀愁を帯びた三味線の音色が加わったとてもスリリングな圧巻のセッション。ずっと聴いていたいと思いました。

上妻さんがソロも含めてたくさん歌っていらした印象。
出会ったころ、矢野さんが「いい声だからもっと歌ったらいいよ」と勧めたそうです。
「それで調子に乗って」とご本人は照れていらっしゃいましたが、本当に包み込むような温かい声で大好きです。
お気に入りの「田原坂」が聴けなかったのが残念。
演奏もよく見えて、バチを使うのはもちろん、ギターみたいに弦を直接弾いて演奏も「すごーい!」と惹き込まれました。

今回、音響がよかったせいもあってか、深澤秀行さんのシンセサイザーのいろんな音がよく耳に入ってきました。
樹々のざわめきだったり風が吹くような音だったり、浮遊感のある不思議な音たち。
ピアノ、三味線という”人の奏でる音”に硬質な彩りを加えて印象的でした。


そして、もちろんあっこちゃん。
矢野顕子さんの声と民謡の親和性を改めて感じ入りました。
何というか、五線譜におさまり切れないような矢野さんの歌い方や、時に激しく時に切ない声が民謡の持つ強さや郷愁にとてもよくハマっていました。
民謡ではないけれど、アンコールの「ふなまち唄 PART Ⅲ」がその集大成のような圧巻の演奏と歌唱。
直近のアルバムの中で大好きな曲「音楽はおくりもの」が聴けたのもとてもうれしかったです。


ピアノと三味線とシンセサイザー。
ホールに広がる音と歌声の迫力と優しさを浴びて、”音楽はおくりもの”を実感した夜でした。



何だか三味線習いたくなりました のごくらく度 (total 2307 vs 2310 )



posted by スキップ at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | music | 更新情報をチェックする
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