
市川猿之助さんと藤間勘十郎による花形舞踊公演。
2020年10月に開催された第一弾が好評につき第二弾が開催される運びとなりました。
前回スケジュールが合わず観に行けませんでしたので、今度こそは!と心してチケット取りました。
大学開学30周年記念 劇場開場20周年記念公演
京都芸術劇場 春秋座 芸術監督プログラム
市川猿之助 藤間勘十郎 春秋座花形舞踊公演
2022年2月20日(日) 11:00am 春秋座 1階1列下手
一、乗合船恵方万歳
出演:市川猿之助 市川段一郎 中村蝶三郎 中村翫政
市川翔乃亮 市川笑猿 藤間勘十郎
(上演時間: 30分)
隅田川の渡し場に居合わせた江戸の庶民を七福神に見立てて様々な生業を踊りで見せる華やかな一幕。
猿之助さん、勘十郎さんに澤瀉屋、播磨屋、成駒屋の5人のお弟子さんたちが加わった構成です。
猿之助さんの船頭と勘十郎さんの通人が幕開きでひとしきり踊った後、5人のお弟子さんたちが登場。
お弟子さんたちが踊っている間、お二人は後ろでそれを見物している設定でじっとご覧になっていました。
素踊りで拵えもされていないのですが、踊りについては全く素人目の私にも男女の踊り分けはもちろん、それそれのお役が見えるようで、すばらしいなと思いました。
勘十郎さんの手の表情が相変わらず美しくしなやかで見惚れました。
二、猿翁十種の内 小鍛冶
出演:中村歌昇 中村種之助 中村壱太郎
(上演時間: 40分)
名刀「小狐丸」誕生の奇譚を描く舞踊劇。
当代随一の刀匠 三條小鍛冶宗近(種之助)のもとへ、帝からの勅使 橘道成(壱太郎)が訪れ、御剣を献上するように命じます。宗近は、神仏のご加護を得ようと氏神の稲荷明神に祈りを捧げるところへ、忽然と童子(歌昇)が現れ、宗近を励まし、自らが剣の相槌を務めると約束して山に消えていきました。宗近がいよいよ鍛冶場に入り刀を打つ準備を始めると、狐の姿をした稲荷明神の御神体が現れます。「相槌を務める」と約束した童子は実はご神体の仮の姿だったのでした・・・。
こちらも素踊りですが、昨年4月に歌舞伎座で猿之助さんと中車さんの「小鍛冶」を観ていましたので(こちら)、問題なく理解できました。
配役を把握していなかったのですが、観始めて種之助さんが宗近、歌昇さんが童子・稲荷明神とわかって、「配役逆じゃない?」と思ったのですが、いやいやいや、歌昇さん、すばらしかったです。
特に終盤の花道での踊りは、所作版踏み鳴らす音も力強く、跳んだり跳ねたり回ったり、指先まで神経の行き届いたキレッキレの気迫あふれる舞で身体能力の高さを如何なく発揮。元々端正なイケメンさんなので素化粧も麗しい。惚れ直しました。
ぜひ本興行で、フル拵えで観てみたいです。
三、扇売高尾
出演:市川猿之助 中村壱太郎 藤間勘十郎
(上演時間: 55分)
吉原に近い土手で庵を結ぶ僧道哲(猿之助)は亡き高尾の菩提を弔っています。そこへうちわ売りの庄兵衛(勘十郎)と高尾にそっくりの扇売のおしづ(壱太郎)が現われ・・・。
三代目猿之助さん(現二代目猿翁)と初世藤間紫さんが、32年前に演じた一時間にも及ぶ大作の復活上演だそうです。
ストーリー性のある舞踊で、素踊りでもあり、ザクッとあらすじ(↑)を読んでいないとわかりにくかったかなー(もちろん私は事前に読んでいない💦)。
ご宗家 勘十郎さんはもちろん、猿之助さん、壱太郎さんと踊り巧者の舞踊はとても見応えがあり、このお三方が並んで踊る姿は豪華で、それほど多く観る機会がある訳ではない貴重なもので、とてもありがたいものを見せていただいている気分になりました。
そうそう、豪華といえば義太夫が葵太夫さんなのもゴージャスでした。
なのに、舞踊に対する理解が及ばない残念な不肖スキップ。
衣装やお化粧などの拵えをされていたらもう少し印象が違ったかなとも思いますが。

ロビーに飾られていた画家 山本太郎さんの「赤い狐忠信」
歌昇さんの二人のおぼっちゃまが幕間にとても熱心にご覧になっていました。
やはり舞踊は演目の知識によって理解にかなり差が出ます の地獄度


