
御園座界隈のお店は至るところに「王家に捧ぐ歌」のポスターが掲示されていてうれしくなっちゃったのですが、マチソワの間に食事に出て、御園座通りを歩いていたらからくり時計の下にも。
「ここにもことちゃんなこちゃんいる~」と写真撮っていたら急に「白浪五人男」始まってびっくり。
このポスターの上、隈取の画像が回転しているのわかるでしょうか。


このからくり時計は旧御園座時代から何度も前を通ったことありますが、これに遭遇したのは初めてかもしれません。
ラッキーでした。
さて、星組「王家に捧ぐ歌」 キャストについて。
(本編の感想はこちら)
礼真琴さんのラダメス。
「またことちゃんの歌声で塗り替えられた作品がひとつ増えた」というのが第一の感想。
これからは「世界に求む」も「月の満ちるころ」も、私の脳内では礼真琴の唄声で再生されることでしょう。
礼真琴さんの歌がうまいのは周知の事実ですが(本当にうまいっ)、歌の表現力のふり幅が大きい上に感情の乗せ方が際立っていて、だから、歌が、歌詞がストレートに心に響く感がハンパない。
台詞と歌の落差が少ないのも特徴で、それが今回のように全編歌で紡がれる物語にはいかんなく力量を発揮。
「歌劇」2月号の鼎談で、「歌で物語が繋がっていくので、ずっと音楽が流れていく中で、そこに感情を乗せて話していくという感覚が難しくて」という礼さんに対して木村信司先生が「得意技じゃん」と返していらっしゃいましたが、本当にそのとおり。
豊かな声量、のびやかな声、時には甘く、ときには激しく、硬軟も緩急も自在の歌唱にただ聴き惚れます。
もちろん演技もすばらしくて、武将としての誇りであったり晴れがましさだったり苦悩だったり、迷い、畏れ、細やかなに表情の変化を見せてくれました。
そしてアイーダを一途に愛する心。
♪あなたはそんな男を愛したのか からの、両手を広げて ♪愛してる アイーダー に逆らえるアイーダがこの世にいるでしょうか(いやいない)。
身体能力高く、キレッキレの殺陣も見せてくれて、ほんと、パーフェクトじゃない?(絶賛)見ようによってはダメ男にもなりかねないラダメスをここまで魅力的に演じた礼真琴さんに大拍手です。
地下牢の場面でアイーダを抱きしめながらすごく泣いていたのも印象的。
礼さん、泣き虫と言いながらこれまであまり演技中に涙を流すイメージがありませんでしたので。
対する舞空瞳さんのアイーダ。
スラリとスレンダーな身体に褐色の肌。
いかにものびやかなアフリカの大地に生きる情熱的な女性という雰囲気。
あの髪型も衣装もよく似合って強い瞳を持つ誇り高いエチオピアの王女。
礼さん、有沙さんの間で歌はさすがに苦しいと感じる面もありましたが、すばらしいアイーダだったと思います。
「三番目の銅鑼」の場面で、ただ一人「もうすぐ愛する人が私のところへ来る」「早く来て」と歌う強さと一途な愛が象徴的なアイーダでした。
有沙瞳さんのアムネリスがまたすばらしかったです。
美しさも、エジプトの王女としての矜持も誇りも、傲慢さも、そしてラダメスを愛する女心も。
♪それは ファラオの娘だから~ も歴代アムネリスで一番聴かせてくれました。
本編の感想にも書いた「たった今からわたくしがファラオとなりエジプトを治めます」からの「さあ、エチオピアを滅ぼしに行きましょう!」は毎回トリハダものでした。
アイーダとアムネリスは国こそ違ってもそれぞれ王女という立場。
アイーダは国も親も捨て、愛する人と二人で生きる道を選び、アムネリスは亡き父に代わって祖国を背負って生きる・・・対照的な生き方を辿ることになる、これは二人の王女の物語でもあると改めて思いました。
その二人の王女の父 エジプト王 ファラオは悠真倫さん、エチオピア王 アモナスロは輝咲玲央さん。
悠真倫さんがまさにエジプトの父を体現したような大きさと包容力、温かみのあるファラオでとてもよかったです。
前2作でファラオを演じていた箙かおるさんがかなり神格化されたイメージだったのに対して、神の子としての威厳はあるけれどもより人間的な雰囲気。
あんなファラオが治めるエジプトの民は幸せだっただろうなと感じさせる魅力にあふれたファラオでした。
対するアモナスロはこの作品では自分勝手で卑小な人物として描かれていますが、輝咲玲央さん、存在感を放っていました。
ラスプーチン(神々の土地)を思い起させるビジュアルで不気味さと不穏さを感じさせ、何だか色気もあって現役感(笑)。
狂気を装っているところから一転、正体を見せる声と表情の切り替えも見事でした。
ラダメスの友人であり戦士仲間のケペルとメレルカは天華えまさんと天飛華音さん。
「ロミオとジュリエット」のベンヴォーリオ、マーキューシオを思わせるような仲のよい3人の心が離れてしまうのが切ない。
最後にラダメスを地下牢へと入れるこの2人。天華さんケペルはラダメスから離れた後、客席には背中を向けているのですが、顔を見なくてもどんな表情をしているのかわかるくらいその背中が泣いていて、その姿にもらい泣き。
天華さんは「凱旋」の場面でセンターで踊るダンスも素敵でした。
一方のエチオピア勢は、アイーダの兄(今回は双子という設定らしい)ウバルドが極美慎さん、その仲間たちカマンテがひろ香祐さん、サウフェは碧海さりおさんという布陣。
エジプトへの、ファラオへの憎しみが満ち満ちているようなワイルドな極美慎さん。珍しい黒い役ですが、台詞の口跡の甘さはまだ残るもののビジュアルは抜群、ワイルドでいつも何かに苛立っている感じはよく出ていました。
娘役さんたちは、アムネリスの女官とエチオピアの囚人に分かれていて、スタイルとビジュアルの女官に対してファトマ 白妙なつさんはじめ音咲いつきさん、都優奈さんと囚人チームは歌える人を集めた感じでした。
女官の中では瑠璃花夏さんがソロ歌唱でも目立っていて、二幕の美女選びの場面で「小倉トースト めっちゃ好きだがね」とアドリブ放っていました。
囚人たちはエチオピアの戦士のバイトもしていました(笑)。
フィナーレもフルコースで
ハワイアンな(?)衣装のひろ香・天華・極美・碧海・天飛の歌とダンス → 黒燕尾の礼真琴ソロ → 黒燕尾男役群舞 → ロケット → 舞空瞳+娘役のすごつよソング → 男役総踊り → 白いトレンチコートの礼真琴ソロ → 礼真琴+娘役 → 礼・舞空デュエットダンス
という流れでした。
デュエダンでは高速リフト 10回ぐらい回転してたな。
パレード:
エトワール 都優奈
碧海さりお・有沙瞳・天飛華音
極美慎
天華えま
舞空瞳
礼真琴

プログラムのほかにマスコットのラダメスベアと公演バッグを購入
ラダメスくん超かわいくて今も自宅のデスクの上に飾っています。

御園座レッドに映えるポスター
礼さんが千穐楽のご挨拶でおっしゃっていたとおり、御園座と宝塚歌劇のご縁がこれからも続きますように
コーラスも迫力ありました。40人でこれなら大劇場公演だとどんなだったでしょう のごくらく度


