2022年02月06日

夢や希望を抱くことを忘れない 月組 「今夜、ロマンス劇場で」新人公演



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宝塚歌劇月組公演「今夜、ロマンス劇場で」は新人公演も観ることができました。
月組期待の101期生 礼華はるさん 前作「桜嵐記」に続いて2作連続新人公演主演です。
初主演予定だった「ピガール狂騒曲」新人公演が中止となってしまいましたが、珠城りょうさんのラスト公演と月城かなとさんのトップお披露目公演の2作品に主演するあたり、持ってますね。


宝塚歌劇月組 「今夜、ロマンス劇場で」 新人公演
原作:映画「今夜、ロマンス劇場で」(2018年 武内英樹監督作品)
脚本・演出:小柳奈穂子
新人公演担当: 平松結有
出演: 礼華はる  花妃舞音  天紫珠李  彩音星凪  結愛かれん  
蘭世恵翔  柊木絢斗  一星慧  大楠てら  白河りり  瑠皇りあ
羽音みか  真弘蓮  七城雅  天つ風朱李  一輝翔琉 ほか

2022年1月25日(火) 6:00pm 宝塚大劇場 1階27列センター
(上演時間: 1時間45分)



本公演の感想はこちら

ヒロインが映画の中から抜け出してくるストーリーなので映像もポイントになりますが、今回は新人公演用にきちんと撮り直したようです。さらには、ロマンス劇場の前に掲げられた俊藤龍之介のハンサム・ガイのポスターもちゃんと新公バージョンになっていて、演出家のこだわりを感じます。

ストーリー展開や演出自体は本公演そのままでしたが、それぞれがもちろん本役さんをお手本にしながら随所に自分なりの工夫を加えているのが印象的でした。

たとえば警官の槙照斗さんは、銀橋で美雪に殴られて気絶した時「あれ?夢だったのかな」と言っていたり。
鳩三郎の天つ風朱李さんは「台詞が鳴き声だけの鳩三郎よりましだ」と言われた時、横を向いてすねて石を蹴る仕草をしながらしょんぼり「クルックー」と言っていてかわいいことこの上ない。

さらに客席を沸せたのは、健司の部屋に大蛇丸とともに現れた雨霧・狭霧。
狭霧(一輝翔琉)にシャーッとされて目を押えて前に手をのばす雨霧(蘭世恵翔)に「見えてないのか!見えないのになぜついてきた~」とバスティーユでのオスカル・アンドレの台詞。これには客席大うけで拍手起こっていました(これベルばらネタとほぼ全員わかる客席もすごいよね)。

天つ風さんも一輝さんも107期生で研1。その舞台度胸おそるべし。


礼華はる (牧野健司/本役・月城かなと)
映画監督を夢見る青年・健司は、本役の月城かなとさんよりむしろ礼華さんの方が等身大に近いように感じます。
ただ、これは他の役にも言えることですが、前作の「桜嵐記」のように台詞も型もつくり込む役づくりではなく、平凡な日本人の今の青年という自然体の役は、新公学年にはかなりハードルが高いように感じました。
決して礼華さんが下手ということではなく、健司の誠実で温かくピュアな雰囲気は十分出ていて、あまりにも等身大で自然すぎて埋もれてしまうように見えることがあったのです。その点、普通の青年っぽくしながら主役の輝きも放つ月城さんのトップとしてのさすがの存在感を改めて知った思いでした。
終盤、病院の場面で年老いた健司が美雪に「泣かないで」とかける声が本当に年老いた声になっていてすばらしかったです(ここ、本役の月城さんもとてもよい)。
長身で華やかなビジュアル、明るい笑顔、台詞も歌も安定している礼華さん。
これで新公卒業となりますが、本公演でのこれからますますの活躍も楽しみです。


花妃真音 (美雪/海乃美月)
配役発表された時、誰もが驚いた106期の超新星。
序盤は緊張のためかいささか固さが感じられましたが、すぐに落ち着いて、研2とは思えない安定したヒロインぶりでした。
かわいくて品もあり、お芝居も歌も高得点で「ヒロイン爆誕」とTwitterでも話題になったほど。
健司の部屋を出た後、一人銀橋で歌うソロはとても美しい声を響かせて素敵でした。


彩音星凪 (俊藤龍之介/鳳月杏)
本役の鳳月さんがハマリにハマッていますので、この役は今回の新公イチ高いハードルだったのではないでしょうか。
彩音さん、派手な立ち居振る舞いで「大きく見せよう」という必死な感じが散見されたものの、果敢に喰らいついて力強く演じる姿勢は好感。
彩音さんもこれが最後の新人公演ですが、ビジュアル満点ですので、歌やお芝居のもうひと踏ん張りを期待したいところです。


七城雅 (大蛇丸/暁千星)
ワタシ的に全くノーマークの男役さんでしたが、大蛇丸、とてもよかったです。
新人公演は基本的に本役さんの髪形やメイクを真似ていると思いますが、これがとてもよく似合っていました。暁さん大蛇丸より髪色は少し薄目の色合いの銀髪で編み込みもしていたり、工夫が見られました。
声もよく出ていて、これから本公演でも要注目です。


結愛かれん (成瀬塔子/彩みちる)
こちらもこのまま本役でもいけるのでは?と思うくらいよかったです。
結愛かれんちゃん、ダンスは抜群ですが、細やかなお芝居も上手いなぁ。かわいいし。
本役のセブンカラーズでも、インタビュー受ける俊藤さんの後ろでアピールするような小芝居していたり、目が離せませんが、もっと大きな役に起用されてしかるべき娘役さんだと思います。


”芝居の月組”と言われるだけあって下級生に至るまでお芝居上手い人が多いのですが、今回特に上手いと感じたのは
真弘蓮さん(山中伸太郎/風間柚乃)と柊木絢斗さん(本多正/光月るう)。
この2人の安定感ハンパなかったです。
真弘さんは歌も上手いし、柊木さんなんて、るうさん出てるかと思ったくらい台詞の口調や声がそっくりで、すごく研究したのだろうなぁと思いました(本役クルックーしか聞いていませんし(^^ゞ)

京映の中にスーツ着たエラいイケメンがいる!と思ったら瑠皇りあさん(清水大輔/夢奈瑠音)だったり、背が高くてちょっと遊び人っぽい成瀬社長(千海華蘭)の一星慧さんや、新人公演より先に本公演の代役で大きな狸吉(蓮つかさ)を演じた大楠てらさん(電話ボックスから帰る時詰まって、後ろから虎衛門(和真あさ乃)に「早くしろ!」って蹴られてたw)とか、きよら羽龍さん休演のため、妖怪の歌姫を本公演代役して新人公演もそのまま演じ、さらにはきよらさんが新公で演じる予定だった萩京子(白雪さち花)までと大活躍の白河りりさんとか、前述した研1の2人とか、月組は本当に人材豊富です。

本公演でもすでに主要なポジションを担っている天紫珠李さんは新人公演 長の期として、月の精霊ディアナ(晴音アキ)は華やかでさすがの存在感でした。



天紫珠李さん(新人公演長学年)ご挨拶:
皆さま 本日は月組「今夜、ロマンス劇場で」新人公演を最後までご観劇いただき、誠にありがとうございました。
まずは、宝塚での新人公演を無事に上演させていただけましたこと、心から感謝申しあげます。
一期一会でいただいた大切なお役を通し、この作品と向き合う中でいろいろな壁にぶつかることもありました。ですが、自分自身を信じ、仲間を信じ、そしてたくさんの方の支えをいただき、本日舞台に立つことができました。まだまだ未熟なわたくしたちではございますが、今日この場に立つことができなかった新人公演メンバーも含めまして月組の戦力になれるよう、これからも精進してまいりたいと思います。


礼華はるさんご挨拶:
皆さま 本日は月組新人公演「今夜、ロマンス劇場で」を最後までご観劇くださり誠にありがとうございました。
不安な状況が続く中、劇場に足をお運びくださり、そして本日無事に新人公演が迎えられましたこと、心から感謝の気持ちでいっぱいでございます。
新人公演を無事に迎えられるよう、ひたすらに願いながらお稽古に励んできた日々ですが、作品の中にある台詞の言葉や歌の歌詞に背中を押していただきながら自分自身の今目の前にある課題と向き合い、役と向き合い、月組の上級生の方々の背中を見て学ばせていただきながらお稽古に励んでまいりました。健司を演じさせていただき、現実に起きていることだけにとらわれずに、夢や希望や願望を抱くことが、一度しかない人生の中でとても大切なものだと感じ、そして何よりも、今日新人公演の舞台をこんなにもたくさんのお客様に観ていただくことができ、とても幸せで感謝の気持ちでいっぱいです。本日は誠にありがとうございました。

本日、全員揃って新人公演の舞台を迎えることができなかったのですが、東京に向けて今日見つけた課題と向き合いながら、千秋楽の日まで、そしてこれからも、月組の新人公演メンバー全員気を引き締めて進んでまいりたいと思います。本日は誠にありがとうございました。


「月組の新人公演メンバー全員気を引き締めて」のところで笑顔を浮かべながらも声を一段と強くして決意を語ったぱるくんが印象的でした、



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客席にも立見席にもぱるくんがいました



うまくいってもいかなくても、夢と希望を抱いてひた走る若者はいつもすばらしい のごくらく度 (total 2265 vs 2262 )



posted by スキップ at 15:51| Comment(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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