
雪組 101期生の縣千くん バウホール初主演。
もちろん101期生の中でもトップを切っての主演です。
宝塚歌劇 雪組公演
バウ・ミュージカル・プレイ 「Sweet Little Rock 'n' Roll」
脚本・演出:中村 暁
作曲・編曲:手島恭子
振付:AYAKO 百花沙里
装置:齋藤万希子 衣装:薄井香菜
出演:縣 千 夢白あや 奏乃はると 真那春人 愛すみれ
天月翼 妃華ゆきの 眞ノ宮るい 麻斗海伶 彩海せら
一禾あお 壮海はるま 音彩唯 華純沙那 ほか
2022年1月16日(日)3:00pm 宝塚バウホール 2列(最前列)下手/
1月20日(木) 11:00am 17列センター
(上演時間: 2時間30分/幕間 25分)
物語の舞台は1950年代のアメリカ リールハイスクール。
田舎町から転向してきたハンサムなビリー(縣千)は女の子たちの人気を集めますが、クラスのマドンナ的存在で才色兼備のシンディー(夢白あや)はことあるごとにビリーにつっかかってきます。一方、二人のクラスメイト ロバート(彩海せら)が優等生のメアリー(音彩唯)に恋していることを知ったフットボール部のコーチ フレディ(真那春人)は一計を案じて二人を結び付けます。今度はビリーとシンディもくっつけようと、教務主任のマクリーン(愛すみれ)や他の生徒たちも巻き込んで・・・。
シェイクスピアの「から騒ぎ」をベースに、舞台を1950年代のアメリカに移してハイスクールに通う若者たちの恋模様を描いています。
中村暁先生のデビュー作で、1985年に涼風真世さん主演の月組で上演された作品。
音楽をすべて手島恭子先生作曲のオリジナルに、振付も大幅に刷新してのリメイク上演です。
いかにも若手中心の舞台にピッタリの群像劇で、場面も音楽も明るく楽しく、バーガー・プリンセスやハイスクールのダンスパーティなどダンスシーンもたっぷり。若さと躍動感にあふれています。
30名の出演者全員に役名があってセリフもあって、娘役さんたちの衣装もポップでカラフルでかわいい。
ストーリーは他愛ない若者たちの恋物語。
ロバートとメアリーはデート中に仕込んだ不良たちが襲ってきたところをロバートが勇敢に立ち向かってメアリーを守る(はずがホンモノのチンピラたちが先にやってきた)、ビリーとシンディ―には、互いに相手が恋焦がれていることを、噂話として本人にそれとなく聞かせる・・・といういずれも古典的な方法で、「そんなにあっさり乗せられるなって」と思うくらい簡単に2カップル誕生します。
ここまでが1幕で、「ビリーとシンディーまでうまくいっちゃったら2幕どうするの?」と思っていたら、ロッキー(眞ノ宮るい)とミリー(華純沙那)という3組目のカップルのエピソードが。
という訳で、ビリーは主役ではありますが、ずっと物語を牽引しているというのではなく、すごくしどころのある役のようにも感じられませんが、縣千さんはとにかく華やかで、お得意のダンスは躍動感にあふれていて主役のオーラ全開。
背伸びしてカッコつけているけれど根はピュアで素直ないい子ということが感じられる可愛らしい高校生を体現していてお見事でした。
舞台に登場するだけでパッと明るくなる華があって、間違いなく将来の雪組を背負って立つと目されているスターの一人ですが、そのためにも歌はもうひと踏ん張りを期待したいところです。
声は悪くないし声量もない訳ではないので、ほんとがんばってほしい。
シンディーの夢白あやさん。
「FLYING SAPA」のイエレナのような硬質な役も「CITY HUNTER」のアルマ王女のような可憐な役も、振り幅広くこなす実力と華やかな美貌を兼ね備えた娘役さんですが、頭がよくて気が強くて理想も高いシンディーもよくハマっていました。まくし立てるような台詞も口跡よく聞かせてくれますし、歌もダンスも穴がなく、トップ娘役いつでもスタンバイOKといった感じです。
フィナーレの娘役引き連れて頂点に立った群舞も、夢見るようなピンクのお姫様ドレスのデュエットダンスもとても素敵でした。
ロバートは急な異動発表でこれが雪組生として最後の舞台となる彩海せらさん。
アイドル系のビジュアルで、歌ってよし踊ってよしお芝居よしのあみちゃんですが、小柄で少年っぽいイメージがあって、優等生で少し引っ込み思案の高校生役がぴったりでした。シンディーの真似をするところ茶目っ気たっぷりに見せてくれたり、歌のうまさも際立っていました。
月組での活躍も楽しみです。
メアリーは音彩唯さん。
綺麗な声の歌もイケるし、少し硬さが残るお芝居も、おとなしい優等生のメアリーにはよく合っていました。
105期の首席で抜擢も続いていますが、「通し役をやるのは初めて」とNow on Stageでおっしゃっていたくらいで、娘役としてはまだ未知数ながらかわいい容姿も相まって、これからが楽しみな娘役さんです。
3組目のカップルは眞ノ宮るいさんのロッキーと華純沙那さんのミリー、そしてミリーに横恋慕する天月翼さんのぐいぐいジョー。
金髪リーゼントがキマっているロッキーは、言動は乱暴だけどとってもいいヤツ。そして単純(笑)。このあたり、眞ノ宮るいさんさすがに上手かったです。
ミリーは「CITY HUNTER」新人公演でアルマ王女に抜擢されて話題となった106期の華純沙那さん。
かわいいミリーでしたが、髪型とか服装とか何となく野暮ったくて、あれはわざとそういう役づくりなのか、それとも・・・と思ってしまいました。とはいえまだ研2ですから、娘役として一層のブラッシュアップを期待したいです。
30名の出演者中、27名が高校生で大人はグッドマン校長の奏乃はるとさん、フレディーコーチの真那春人さん、ミズマクリーンの愛すみれさんの3名のみですが、さすがの力量と存在感でした。
愛すみれさんマクリーンは最初の登場シーンで、1/16「何かすると思ったでしょ?何もしないのよ~」 1/20「引かないで~。ずっとこんな感じなのよ」と見事な出オチを披露してくれました。


フィナーレは
縣千+男役 2PM「Heartbeat](ラップあり)
彩海せら ソロ
夢白あや+娘役 群舞
男役黒燕尾
縣・夢白 デュエットダンス
という流れ
縣さんがラップはともかく(笑)、黒燕尾もデュエダンもすばらしくて、端正で正統派の男役さんだなと改めて感じました。
デュエットダンスのリフトの高さと回転の速さ、回数の多さにうっとり。
カーテンコールでは、縣さんのご挨拶のほかに毎回2名ずつひとことのコーナーがあって、皆さんそれぞれ楽しくてお話上手で感心。
劇中でのんびりゆっくり話すケイト役の琴羽りりさんなんて「普段の私はそうじゃない」と見事な早口言葉を披露してくださいました。
もう一方の「ODYSSEY」が全公演中止となって、ただでさえ初主演のプレッシャーがある中、コロナ禍で細心の注意を払い、さらにはODYSSEYチームの思いも背負ってどれほどの重圧だっただろう縣千さんはじめ30名の出演者の皆さま。
昨日無事全公演を全員揃って完走。本当におめでとうございました。
舞台以外のことに心煩わせることなく公演できる日々が早く戻ってきますように のごくらく地獄度



