2022年01月23日

「壽初春大歌舞伎」 第二部


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続いて第二部。
こちらは最初から観る予定に組み込んでいました。

後援会でチケットをお願いしたのですが、1列ど真ん中。
コロナ禍による公演中止からの再開以降、歌舞伎座はずっと1列目は空席の配席で、この初春大歌舞伎から1列目が再開しました。
「歌舞伎座の1列ってこんなに舞台近かったんだ」と改めて感じました。


「壽初春大歌舞伎」 第二部
2022年1月18日(火) 2:30pm 歌舞伎座 1階1列センター


一、春の寿  三番叟/萬歳
出演:〈三番叟〉 中村梅玉  中村芝翫  中村魁春
   〈萬歳〉  中村又五郎  中村鴈治郎
   (上演時間: 28分)



新年を寿ぐ祝祭的で華やかな舞踊二題。

梅玉さんの翁、魁春さんの千歳、芝翫さんの三番叟という顔合せの「三番叟」。
凛として格調高く、観ているこちらも背筋が伸びるよう。
特に梅玉さんの翁はせり上がりの登場から端正で気品があって、新年にあたって何だかとてもありがたいものを見せていただいている気持ちになりました。
魁春さんをこんなに近くで観るのは多分初めてで、千歳なさる時もやっぱり目のまわりは赤いのね、と妙な感心したり(^^ゞ
芝翫さんの三番叟も風格があって大きくゆったり。
五穀豊穣もだけど特に天下泰平お願いしまっせ、と心の中で唱えながら拝見しました。


又五郎さんの萬歳と鴈治郎さんの才造で「萬歳」
こちらは人々に福を招く舞踊だとか。
キレのいい舞踊を楽しませていただきましたが、又五郎さんがとても痩せていらしたのに驚いて、そういえば去年、そんなツイートをいくつも見かけたことを思い出しました。あれから数ヵ月経ちますのでご体調とかではなさそうなのは何よりです。



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1月の歌舞伎座はお正月飾りも華やか


二、新玉の笑いで寿ぐ 艪清の夢(ろせいのゆめ)
邯鄲枕物語
作:三世桜田治助
演出:山田庄一
出演:松本幸四郎  中村錦之助  片岡孝太郎  中村壱太郎
大谷廣太郎  中村吉之丞  澤村宗之助  中村松江  
市川高麗蔵  大谷友右衛門  中村歌六 ほか
(上演時間: 1時間21分)



物語:艪屋の清吉(幸四郎)とおちょう(孝太郎)夫婦は、借金を抱えて上野池の端へ引っ越してきます。事情を聞いた家主の六右衛門(歌六)が、女房を使って侍から金を巻き上げることを企み、そこへやって来た横島伴蔵(錦之助)をまんまと騙します。伴蔵が残していった荷物を枕にひと眠りした清吉は夢の中で・・・。


澤村宗十郎さんが1993年の「宗十郎の会」で上演されたものを幸四郎さんがご覧になって「こういう芝居がやりたい」と2014年に明治座で本興行としては1905(明治38)年以来110年ぶりの復活上演だったそうです。
私はその公演を観ていなくて今回初見でした。

夢の中のお話なので、物語としては荒唐無稽というかファンタジーというか。

良いことも悪いことも一瞬 という中国の故事「邯鄲(かんたん)の枕」。
栄華を極める夢から覚め、人生のはかなさを悟る中国の故事をベースにしているそうです。
現実世界では借金取りに追われてお金に窮している清吉が、夢の世界では、豪商 鶴の池善右衛門(歌六)から一万両のお金を使い切るよう言われて「そんなこと容易い」と安請け合いしたものの、現実とあべこべに皆お金を置いていくような世界で、お金を使うのに苦労するという展開。どうにもお金を使えなくて道端に置いていこうとすると「捨金番」に取り締まられたりします。

その中で次々繰り出される歌舞伎作品のパロディ。
「仮名手本忠臣蔵」から「ごじゅうりょう~」の斧定九郎ならぬ盗賊唯九郎(錦之助)、「法界坊」や「鈴ヶ森」が出てきたり、壱太郎さんお臼と廣太郎さん杵造の「団子売」は清吉まじえて3人でビロ~ンと口にくわえたお餅を伸ばす餅屋だったり。

壱太郎さんが出てきた時、舞台が一瞬でぱっと華やいだのを感じて、「さすが壱くんやで。やっぱ華あるな」と声に出さずつぶやいた次第。
台詞も声よくはっきりくっきり。短い出番ながら鮮やかな印象を残していました。

極めつけは「廓文章」から「吉田屋」。
「吉田屋」と大きく書かれた表もそのままなら、花道から登場した清吉は編笠に紙衣。傾城梅ヶ枝(孝太郎)の華やかな拵えは夕霧そのもの。
幸四郎さんの「吉田屋」また観たくなりました。

アドリブも多々あった様子で、清吉が捨金番(吉之丞)との会話の中で「明日は休みか」なんて言ってました(翌日は歌舞伎座休演日)。

追い剥ぎではなく「追い剥がれ」の唯九郎の錦之助さんは花道の引っ込みは褌一丁の姿になってひげダンスやってらっしゃいました。これは錦之助さんご自身のアイデアだと幸四郎さんがブログで紹介されていました。下座音楽もちゃんとひげダンスで楽しい。


最後は夢から醒めた清吉が、枕にしていたものが、仕える主人のために探し求めていた聖徳太子の一軸だということがわかり、めでたしめでたしで幕。
舞台の上も笑顔、客席も皆笑顔で明るく打ち出されました。


「お客様には、このお芝居をお正月の歌舞伎座でやる勇気を買っていただきたいと思います!」とおっしゃっていた幸四郎さん。
はい。その勇気、買わせていただきました。



第一部で休演されていた役者さんたちも無事復帰されたようで、1月27日の千穐楽までつつがなく上演できることをお祈りしています のごくらく地獄度 (total 2258 vs 2257 )



posted by スキップ at 21:00| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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