KERA・MAPやケムリ研究室など、ケラさんの演出作品は間隔あけることなく観ているような気がしていましたが、劇団の本公演としては「睾丸」以来3年ぶりだとか。
私は「睾丸」は観ることができませんでしたので、その前の作品「百年の秘密」(2018年)以来、3年半ぶりでした。
ナイロン100℃ 47th SESSION 「イモンドの勝負」
作・演出: ケラリーノ・サンドロヴィッチ
美術: BOKETA 照明: 関口裕二
音響: 水越佳一 音楽: 鈴木光介
映像: 上田大樹・大鹿奈穂 衣裳:前田文子 振付:HIDALI
出演」 大倉孝二 みのすけ 犬山イヌコ 三宅弘城 峯村リエ
松永玲子 長田奈麻 廣川三憲 喜安浩平 吉増裕士 猪俣三四郎
赤堀雅秋 山内圭哉 池谷のぶえ
2021年12月19日(日) 1:00pm 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール 1階D列下手
(上演時間: 3時間20分/休憩 15分)
国際的な競技大会が近々予定されている町に住むスズキタモツ(大倉孝二)38歳は、保険金目当ての母(峯村リエ)とその愛人(赤堀雅秋)に殺されそうになりますが、難を逃れてエリザベス(犬山イヌコ)とユゲ(池谷のぶえ)が院長・副院長を勤める孤児院へ。
一方、良い探偵(山内圭哉)は、政府高官のイシダイラ(吉増裕士)をひたすら尾行しています。そんな町に巨大円盤がやってきて、有力な選手たちが拉致される事件が発生し・・・。
といった言葉ではとても語り切れないストーリー。
前記事の唐十郎作品とはまた別の意味であらすじ書くの至難(^^ゞ
ズレたり、かみ合わない会話だったり、いかにもなギャグにあっはっはと声出して笑ったり、クスッとしのび笑いだったり、笑いを散りばめながら、ケラさんらしいシニカルな目線や風刺が効いたシュールなナンセンスコメディ(とばかりは言えないけれども)。
不条理も、ちょっぴりグロもあります。
人々があまり関心もなく、「近々よ」とだけ口々に言う”国際大会”
保険金目当ての殺人
助成金目的の施設
怪しげな薬を処方する病院
格差社会
・・・
笑いの影に見え隠れする現代社会の投影。
ケラさん、さすがです。
オリンピックを思わせるような様々な競技ユニフォームの選手たちと歓声で始まるオープニング。
そういう話なのかな?と思っていると、選手たちは実にあっさり素にもどって(ここ、めちゃ笑ってしまいました)はけて行きます。
主人公のスズキタモツはいろいろピンチに陥りながらも一貫して「勝負」には負けません。
じゃんけん強いw
会長(三宅弘城)と延々じゃんけんで勝負するシーンがあって、手の部分が映像でも映し出されるのですが、常にタモツが勝たないといけないので、大倉さんも三宅さんもグー・チョキ・パーのどれを出すか完璧に覚えてるんだなぁと妙なところで感心したり。

これ、フライヤーの別バージョンですが、このピンクのフラミンゴみたいな鳥が後半やたら活躍します。
孤児院の地下室で大量に生きていた人食い鳥が一羽だけ生き残って、良い探偵と仲良くなって・・・と書いても観ていないときっと何のことやらですね(笑)。
濃いグレーの格子状の二階建て装置。
上段は道路になったり部屋になったり。
オープニングのキャスト紹介はじめ映像は相変わらずシャープでスタイリッシュ。
主演の大倉孝二さんはじめ、とにかく「この人も」「あ、この人も」という感じで次々劇団員の役者さんたちが出てきて、「劇団の本公演だぁ」と実感しました。
そこに違和感なく溶け込む赤堀雅秋さん、山内圭哉さん、池谷のぶえさんの客演陣がまたすばらしくて、観ていて本当に楽しい。
どんな作品に出ていても際立った印象を残す池谷のぶえさんですが、今回のイヌコさんとのコンビ、本当に最強で、何ならこの2人でスピンオフ観てみたいと思いました。
この日は兵庫公演千穐楽(2日間3公演だけど)でカーテンコールにはケラさんも登場されました。

公演時間表
ちゃんと作品のロゴ入りで作成されていて、ケラさんのこだわりを感じます。
結構前の席だったので上の方少し見にくかったのが残念だったなぁ のごくらく地獄度



