2021年12月08日

吉例顔見世興行 第二部


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初日直前に伝えられた吉右衛門さんのご訃報に言葉もなくす思いでしたが、今年もこうして南座の顔見世で1年の歌舞伎を締めくくることができるありがたさを噛みしめつつ、観てまいりました。


京の年中行事 當る寅歳
吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎 第二部


2021年12月5日(日) 2:30pm 南座 3階2列センター



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第一、三人吉三巴白浪 大川端庚申塚の場
作: 河竹黙阿弥
出演: 片岡孝太郎  中村隼人  片岡りき彌(名題昇進) 中村芝翫 ほか
(上演時間: 30分)



お嬢吉三(孝太郎)がおとせ(りき彌)から奪い取った百両を巡ってお坊吉三(隼人)と斬り合いになりますが、そこへ和尚吉三(芝翫)が仲裁に入り、同じ”吉三”の名をもつ三人の盗賊が義兄弟の契りを交わすおなじみ「大川端庚申塚の場」。

これまで幾度となく観ていますが、いかにも「東西合同大歌舞伎」といったこの座組で観るのは初めてで新鮮・・・というか、孝太郎さんのお嬢吉三を観るのが初めてでした。
お嬢吉三の妖しい美しさはさておき(コラッ!)急に男声に変わるところなど台詞はやはり安定、「月も朧に白魚の・・・」の名台詞も聴かせてくれました。

隼人くんは以前浅草歌舞伎でお嬢吉三を初役で演じた時は手に汗握ったものでしたが(調べたら2016年でした→こちら)、役が違うとはいえ見違えるような安定ぶり。11月歌舞伎座の「花競忠臣顔見勢」もよかったし、9月の「盛綱陣屋」、6月「日蓮」でも印象に残っていて、この5年間の精進ぶりが伺えます。

お嬢とお坊の立ち廻り観ながら、「和尚だれ?和尚だれ?」と心の中で考えていたのですが(「三人吉三」で配役把握していないと大体こうなりがち)、現れたのは芝翫さん。
芝翫さんは上背もあってガタイがいいので、二人の争いに割って入って止めるのも説得力あります。
にしても、芝翫さんは次の「身替座禅」で奥方玉の井を演じることは知っていましたので、「何気に中村芝翫奮闘公演じゃん」とびっくり。

おとせに抜擢されたりき彌さんの懸命さも印象的でした。
お師匠さんの秀太郎さん、南座のどこかでご覧になって喜んでいらっしゃったかな。


第二、新古演劇十種の内 身替座禅
作: 岡村柿紅
出演: 片岡仁左衛門  中村隼人  片岡千之助  中村莟玉  中村芝翫
(上演時間: 55分)



恐妻家で妻の玉の井(芝翫)に頭が上がらない右京(仁左衛門)は、太郎冠者(隼人)に自分の身替り座禅を組ませて恋人の花子との逢瀬に出かけます。ほろ酔いで帰ってきた右京は浮気の一部始終を太郎冠者に語って聞かせますが、そこにいたのは太郎冠者ではなく・・・。


仁左衛門さんが山蔭右京を勤められるのは今回で11回目ですが、南座では初めてなのだとか。
南座で「身替座禅」が上演されるのは17年ぶりで、その時は奥方玉の井を演じていらしたそうです・・・そうそう、それ、市川海老蔵さんの襲名披露興行で、右京は菊五郎さんだったよねーと懐かしく思い出しました。

仁左衛門さんの山蔭右京は何度も観ていますが、あのかわいらしさは本当に宝物。
特に笑わせようとしたり、大げさなジェスチャーをする訳ではなく自然体なのに、可愛くておかしくて、何度も声をあげて笑ってしまいました。千枝と小枝に「お家で行を」と言われた時の顔(≧▽≦)
どんなにデレていても困った顔しても奥方に怯えていても、いつもふわりと品よく色気もあって、あの右京を観ているととても幸せな気分いなれます。

芝翫さんの玉の井は迫力あってコワかったw
けれども悔し泣きするところとか、あのコワさも旦那様を愛しすぎるがゆえということが感じられる玉の井でした。
芝翫さんの女形観るの初めてだったかもしれません。

太郎冠者は隼人くん。こちらも奮闘公演でしたね。
このお役もよかったです。凛として綺麗な太郎冠者ですが、旦那様にも奥方様にも頭が上がらず言いなりになるところが何とも(笑)。
隼人くんは台詞本当によくなったと思います。床に頭を擦り付けんばかりにするお辞儀の姿の美しさにも目を奪われました。
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千之助くんの千枝、莟玉くんの小枝も可愛く見目麗しく眼福。


ちょっぴり凹むことがあった週末でしたが、あっはっはと笑って明るく打ち出されて元気でました。



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チケ取りの時間違ってサイト閉じてしまって、一旦つかまえて1列目逃がしたことだけが無念 のごくらく地獄度 (total 2238 vs 2239 )


posted by スキップ at 19:18| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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