
12月26日東京宝塚劇場公演千穐楽をもって退団する愛月ひかるさんのディナーショー。
幸運にもチケットを手に入れることができて、宝塚ホテルで幸せな時間を過ごしました。
愛月ひかるディナーショー 「All for LOVE」
構成・演出: 田淵大輔
音楽: 青木朝子 振付: 御織ゆみ乃
美術: 稲生英介 衣装: 薄井香菜
出演」 愛月ひかる/ひろ香祐 音咲いつき 小桜ほのか 蒼舞咲歩
2021年11月8日(月) 18:30-19:45 ディナー 19:45-20:55 ショー
宝塚ホテル 1階 宝寿の間
少女のころから宝塚が大好きな愛月さん。
愛ちゃんの宝塚のここが好き、この曲を歌いたいという宝塚愛、そして、ファンの方にこれをお見せしたい、ファンの方はこれを観たいだろうというファンへの愛に満ちあふれたステージでした。
宝塚大劇場公演千穐楽(11/1)の2日後にはもう東京のディナーショー開幕。
東京と宝塚でディナーショーを終えたと思ったらすぐ東京公演のお稽古で11月20日 東京公演初日と超ハードスケジュールですが、宝塚生活のラストを飾って、「男役 愛月ひかる」として、見せたいもの、残したい姿を存分に表現できる場所を用意してもらえるのは、愛ちゃんにとっては幸せなことだし、もちろんファンにとってもこの上ない喜びでした。

ディナー始まる前にいただいたカクテル "All for LOVE"
カクテルもステージもテーブル装花も紫
セットリスト
オープニング
望もうと望むまいと (不滅の棘)
1st Love 宙組メドレー
Passion 愛の旅 (Passion 愛の旅)
NICE GUY!! (NICE GUY!!)
HOT EYES!! (HOT EYES!!)
銀河の覇者 (銀河英雄伝説)
ダンシング・フォー・ユー (ダンシング・フォー・ユー)
エジプトは領地を広げている (王家に捧ぐ歌) 愛月さん以外の4名
2nd Love 主題歌
幸せの鐘の鳴る日 (誰がために鐘は鳴る)
美しき人生 (美しき生涯) with 音咲いつき
華やかなりし日々 (華やかなりし日々)
手をのばせば (モンテ・クリスト伯) with 小桜ほのか
SUNCTUARY (SUNCTUARY)
フリーダ (不滅の棘)
3rd Love My Favorite
桜木の歌 (花の業平) 愛月さん以外の4名
忍の乱れ (花の業平)
残り香 (花の業平)
4th Love 愛を込めて
愛と死の輪舞曲 (エリザベート) with ひろ香祐・蒼舞咲歩(ダンス)
いつか (ロミオとジュリエット) with 小桜ほのか
さよならは夕映えの中で (風と共に去りぬ)
朝日の昇る前に (華麗なるギャツビー)
5th Love 星組ショーメドレー
ネオ・エゴイスト (誘惑Ⅱ)
美麗猫 (美麗猫)
夢は世界を翔けめぐる (夢は世界を翔けめぐる) 愛月さん以外の4名
6th Love フィナーレ
愛! with ひろ香祐・蒼舞咲歩 (男役群舞)
この愛よ永遠に -TAKARAZUKA FOREVER- with 小桜ほのか(歌:音咲いつき)
愛の旅立ち
Encore
熱愛のボレロ (ラ・カンタータ!)
オープニングは全員白の衣装。
愛月さんはボアのついた真っ白いロングコートで、「不滅の棘」の大スターエロール降臨。
サヨナラショーでも着ていらっしゃいましたが、このタイプの白の長い衣装着せたら愛ちゃんの右に出るものはいないのでは?
この衣装に限らず、今回どの衣装もとても素敵でした・・・というか、愛ちゃん本当に男役衣装の着こなし、身のこなしすばらしくて、どの衣装もとてもよく映えます。
1曲終わったところでメンバーの自己紹介。
この日は特技を紹介する回で、
蒼舞咲歩: 人混みの中でもスイスイ歩ける
音咲いつき: 口笛
小桜ほのか: 百人一首
ひろ香祐: (得意じゃなくて苦手なもの)サメ
みんなトーク達者で楽しい。
「霧深きエルベのほとり」で紅ゆずるさんのカールが後ろを向いて吹く口笛は実は音咲いつきさんだったということで、「やってみて」と愛ちゃんに言われて吹いてみるもののかすれた音した出ず、「本番にヨワイそんないーちゃんが好き」と愛ちゃんにツッコまれ、「口笛オーディションで勝ち取ったんですよ」とひろ香さんにフォローされていました。
そのひろ香さんはサメが大の苦手なのに上級生と行ったUSJでそれと気づかず「JAWS」のアトラクションに乗って気絶したお話。
「大体あのジョーズ(USJにつり下がっているアレ)に気づかず入るなんて」とここでも愛ちゃんのツッコミが。
「そうなんですよ。皆さんのテンションあげていこうとこうやって」と自分は上級生の方向いて後ずさりで入っていく姿の再現に爆笑。
宙組メドレーは懐かしい曲が並びました。
「NICE GUY!!」は、大空祐飛さん主演のショーで「その男、Yの法則」とサブタイトルがついていたのですが、歌詞の♪優しい微笑みとYYY 優雅な蓑こなしYYY のところが♪アイアイアイ~になっていて、さすが細かいと感心(愛ちゃんのイニシャルはIではないけれども(^^ゞ)
続く主題歌コーナーも宙組時代の公演から。
「誰がために鐘は鳴る」の「幸せの鐘の鳴る日」はサヨナラショーの最初にも歌っていた曲。
やはり新人公演初主演作品で思い入れも強いのかな。
「美しき生涯」の「美しき人生」は何だかとても久しぶりに聴く曲で、今聴くと「三成、すごく茶々さまを思ってるよね」と改めていい曲だなぁと思いました。愛月さんのドラマティックな歌唱がそう思わせたのかもしれません。
「不滅の棘」の「フリーダ」も、瞬時に役が乗り移ったようでした。
愛月さんは歌唱力という点でいえば”上手い歌手”ではないかもしれませんが、物語世界をつくり上げ、見せてくれるという意味ではすばらしい歌い手だと思います。
後に出てくる「愛と死の輪舞曲」と「いつか」なんて、続けて歌ったのに声の表情がまるで別人が歌っているように聞こえました。
「花の業平」は私は観たことがない公演なのですが、愛月さんは大好きで、このMy Favoriteのコーナー3曲全部「花の業平」。
薄衣のようなシフォンのような長い着物?をふわりと纏う愛月さん。
主役の業平より敵役である藤原基経が大好きで、本当は「権力」という曲を歌いたかったけれども「愛」がテーマのディナーショーでそれはどうかと自粛したそうです。ひろ香さんも「愛月さんの『権力』、いつか聴きたいです」とおっしゃっていました。
「『ロミオとジュリエット』の死をやった時、トートを観たいという声をたくさんいただいたので・・・」という「愛と死の輪舞曲」から始まる「愛を込めて」は、ファンのために、ファンの夢を叶えてくれるコーナーでした。
「愛と死の輪舞」はイントロが流れる中、後ろ姿から振り返った刹那から人外のもの感ハンパなかったです。
愛ちゃんのトートもレット・バトラーもギャツビーも、ほんと観たかったと、ちょっと泣きそうになりました。
代役だったロミオ。同じくジュリエットの代役だった小桜ほのかさんと一緒に歌った「いつか」もここで聴くことができて、とてもうれしかったです。
星組ショーメドレーは愛月さんがまだ星組にいない時代のショーの懐かしい曲ばかりでしたが、好きだったのかな。
そして
黒燕尾をピシリと着こなし、赤い薔薇を1輪持って踊る愛月さんの厳粛なまでの神々しさ。
「フィナーレ」という名前のとおり、ショーのフィナーレ仕立てになっていて、男役群舞、デュエットダンス、愛月さんソロと続きます。
デュエットダンスがまた夢見るように素敵でした。
ゆったりとしたメロディから入って途中アップテンポでジャジーなアレンジにもなる「TAKARAZUKA FOREVER」を、高音低音自在に操って歌う音咲いつきさんがまたすばらしかったです。
MCの「このショーで愛月さんの好きなところ」を挙げていく中、蒼舞咲歩さんがおっしゃっていた”ツンデレ”の振りも、あ、ここだ!としっかりキャッチ。
そしてラストは「愛の旅立ち」を歌い上げる愛月さん。
愛月さんさんが外部出演した「ロマンチック・コンサート」で紫苑ゆうさんが歌っていらしたこの曲がとても素敵で、果たして自分の歌唱力で歌えるのかと不安でもあったけれど歌わせてくださいとお願いしたら、「そんな生徒がいるのはうれしい」と快諾してくださったとお話してくださいました。
このロマンチック・コンサートは錚々たる先輩がたが出演されていて、愛ちゃんは出演者でありながら観るのが楽しくてうれしくて、自分の出番以外はずっと舞台袖で用意された椅子に座って観ていたそうです。ほんと、宝塚大好きなのね。
アンコールの「熱愛のボレロ」も紫苑ゆうさんがサヨナラ公演で歌った曲。
愛月さん、思いのたけを込めたような熱唱でした。
共演した4人が愛月さんをとても尊敬し、慕っているのが言葉の端々に感じられ、愛ちゃんの後輩に向ける眼差しがやさしくて、観ていてとても幸せな空間でした。
MCもいろいろおもしろくて大笑いしました。
「アルジェの男」の全国ツアーでバスの移動の時、牛タンゲームやったけれど、とんでもなくテンポがゆっくりで愛ちゃんは「あんな牛タンゲームぜんっぜんおもしろくない!」と思っていたのに、後ろからほのかちゃんが「すっごく楽しかったぁ」と言っていて、逆にこの子に興味がわいたそう。
そのほのかちゃんはおさるのジョージのぬいぐるみを周りがひくくらいいつも持っていて、一度隠してみたらどうなるかとやってみたら半泣きになってみんな反省したと。
その全ツの時、愛月さんは秋田犬マサルのぬいぐるみのパペットタイプのを持っていて、みんなで津軽三味線を聴きながら夕食を食べるというレストランに行った時、津軽三味線に合わせて全力でマサルを躍らせて、次の日は腱鞘炎気味だったとか・・・「愛月、何ごとも力抜かない」だそうです(笑)。
お稽古場のリフレッシュコーナーでいつも何か食べてる、という話もおもしろかったな。
蒼舞さんが休憩中にそこにいくといつも愛ちゃんがいて何か食べているのだそう。
「スターさんって休憩中は先生に質問したり忙しそうなのに」とポロリという蒼舞さんに「何それdisってんの?」と笑顔でツッコむ愛ちゃん。
そこには退団した桃堂さんとか、いつも同じメンバーがいたらしいです。
「だって私、宙組時代のあだ名『食いしん坊』だよ。お稽古場から休憩室まっすぐに見えて、『いつも愛が何か食べてる』ってすっしーさんに言われてた」そうです(笑)。
11月8日は蒼舞咲歩さんのお誕生日。
ラストの紹介のところで、「そうだ、ディナー言うの忘れてたじゃん!」と愛月さんがさきっぽくんのお誕生日を紹介。客席みんなで拍手でお祝いしました。
さきっぽくんは「こんなに濃い(誕生日の)1日は初めてで絶対忘れません」とおっしゃっていました。
またこの日は宝塚ホテル 3日間のディナーショーの中日で、「明日で終わってしまうのが寂しい」と愛月さんもメンバーも繰り返しおっしゃっていました。
宝塚歌劇が大好きで、大劇場千穐楽のご挨拶でも「宝塚を知ってから宝塚が私のすべてでした」と言い切った愛月さん。
何よりも大好きで大切にしてきたものと別れるという決断をするに至るまでにどれほどの葛藤があったのか知る由もありませんが、穏やかな笑顔を浮かべて語り、男役・愛月ひかるとしての最高のパフォーマンスを見せてくれる愛ちゃんに私たちができることは、目一杯の拍手で贈り出すこと。
そう信じて最後のその日まで、愛月ひかるという稀代の男役を見届けたいと思います。

→ 食事編につづく