2021年11月05日

観るたびに好きになる 星組 「モアー・ダンディズム!」


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「モアー・ダンディズム!」は岡田敬二先生の代表的なショー ロマンチック・レビューの中でも代表作とされているものの一つ。
真矢みきさん主演「ダンディズム!」(1995年)、湖月わたるさん主演「ネオ・ダンディズム!」(2006年)に続く第三弾です。
安蘭けいさん主演の「ネオ・ダンディズムⅡ・Ⅲ」(2007・2008年)もありましたが、いずれも観ておらず今回初見。

が、このダンディズムシリーズのいくつかの曲や場面は、タカラヅカスペシャルや他のショーでも観たこと聴いたことがありますし、昨年の凪七瑠海さんのコンサート「パッション・ダムール」(こちら)にたくさん出てきたのも記憶に新しいところ・・・岡田敬二先生のロマンチック・レビューの中から“男役の美学”を表現したシーンを選んで構成したというコンサートでしたから。


宝塚歌劇 星組公演
ロマンチック・レビュー 「モアー・ダンディズム!」
作・演出: 岡田敬二   
作曲・編曲: 𠮷﨑憲治  甲斐正人  高橋恵  小澤時史  植田浩徳
音楽指揮: 西野淳
振付: 羽山紀代美  御織ゆみ乃  謝珠栄  若央りさ  百花沙里
衣装監修: 任田幾英   衣装: 加藤真美


出演者は「柳生忍法帖」と同じ(こちら

観劇日時は「柳生忍法帖」の記事アップ時に書いたものプラス

2021年10月28日(木) 3:30pm 宝塚大劇場 2階1列センター/
10月31日(日) 3:30pm 2階6列下手
(上演時間: 55分)




初日に観た時は正直なところ、いささかインパクトに欠けるかなという印象でした。
何曲かの新曲以外はどこかで聴いた曲、いつか観たダンス、という感じ。
宙組「Délicieux!」 雪組「Fire Fever!」と結構インパクト強めのショーが続いていたせいもあったかもしれません。
ところが2回、3回と観るうちに、ギラギラし過ぎず品よく楽しく、場面ごとに色合いは違っているにもかかわらず統一感があって、どれひとつとっても退屈な場面はない、もちろん礼真琴さんのすばらしい歌声もダンスも堪能できる・・・と回数重ねて観るたびに好きになったレビューでした。


プロローグ
朱色、紺、緑、オレンジのスーツに身を包んだ男役、娘役が舞台から大階段のてっぺんまで、色ごとに縦1列に並んで踊る群舞。
皆ハットをかぶっていて顔が見えないのですが、初日に観た瞬間「あれが愛ちゃんだ!」とわかりました。
ハットのかぶり方の深さ、角度、スーツの着こなし、所作、完璧です。
列ごとに横に移動しながら入れ替わる振付も楽しい。

礼真琴さんは赤のスーツでゴンドラに乗って登場。高いところ苦手なのに(^^ゞ
響き渡る歌声もダンスも、やはり別格感際立ちます。
続いて舞空瞳さんがピンクのスーツで愛月さん、瀬央さんを伴って、綺麗な歌声を響かせていました。

礼・愛月・瀬央 3人の場面、両手で拳握る振りのところ、舞台写真になっていましたが、一瞬を切り取ったとはいえ、センターの礼さんのポーズのキマリ方、美しさが際立っていました。


間奏曲
ほぼ白に近い薄紫の衣装の愛月さんが、花道に登場して銀橋わたりながら「おもい出は薄紫のとばりの向こう」を歌います。
小椋佳さん作曲のゆったりした曲に♪わすれな草やリアトリス すみれ 露草 風鈴草・・・と紫色の花が並ぶ歌詞、宙組で育った愛月さんへのオマージュのよう。


ミッション
ストーリー性のある新しい場面。
戦争に身を投じるミハイル(礼真琴)と恋人ナターシャ(舞空瞳)の切ない悲恋をダンスで描いています。
謝珠栄先生がジョージアンダンスからインスピレーションを得たというシャープでスピーディなダンスが、戦闘下で「ミッション」を受け継いでいく緊迫感を高めて一瞬たりとも目が離せません。
礼真琴さん、舞空瞳さんはもちろん、ここの星組生のダンス、本当にすばらしい。
逆三角形の頂点に礼さん、左右にひろ香祐さん、瀬央ゆりあさんの同期3人が並んで踊るシーンは滾りました。
初めて観た時はラストの衝撃に驚きましたが、観ているうちにイントロ聞こえてきただけで鼻の奥がツーンとなって涙が滲んでくる事態に。


ビューティフル・ラブ
有沙瞳さん、小桜ほのかさんを中心に娘役ばかり8人の歌唱。
「ミッション」の緊張感からほぐれて少しほっとする感じ。
ボンネットの帽子ときれい色のドレスもかわいい。


キャリオカ
黒燕尾の礼真琴さんが舞台中央の階段で歌うキャリオカ。
キャリオカは宝塚ではよく出てくる曲なので私も知っています・・・何なら歌えます(覚えているのは今回とは違い歌詞だったけれど)。
礼さん、舞台に降りる時、最後の3段くらいびょんと跳ぶのですが、これはこれまでの「ダンディズム」を踏襲したものなのだとか。
6人口(天寿・綺城・天華・極美・碧海・天飛)がホリゾントから出てきて、礼さんは下手にはけながら場面を渡すのですが、この時、髪をなでつけたり、どうぞ、という感じで6人の方に左手を出したり、毎回違うことやっていました。

男役は黒燕尾、娘役は音波みのりさんと有沙瞳さんがペパーミントグリーンで他は皆淡いピンク。
研1生まで総登場の中詰です。
礼さんはキラキラデコられた(言い方)黒燕尾に着替えて、舞空さんと腕を組んで再登場。
舞台いっぱいをつかった夢のように美しい場面でした。


ゴールデン・デイズ
白軍服の愛月さんが士官が♪ゴールデンデイズ 光輝く朝 と過ぎ去り日を歌う場面。
「私が『おとめ』のやりたい役に『うたかたの恋のルドルフ』とずっと書いていたのを岡田先生が知っていてくださって、白い軍服の場面をつくってくださった」と愛月さんがおっしゃっていたように、「間奏曲」と並んで愛月さんのための場面です。
愛ちゃん、本当に軍服よくお似合いです。
ルドルフがやりたいという夢も「サヨナラショー」で叶えられて、本当によかったです。


ハード・ボイルド
「ダンディズム」といえばこれ!な場面。
あの「PARADISO」は何度聴いてもテンション上がります。

ストライプのスーツを着た瀬央ゆりあさん、綺城ひか理さん 男役同士のタンゴから始まって「来たきたキタ~」と思いました。
礼さんの声がまた「PARADISO」にとても合っていて、♪戻りなよ~ 俺を振って 日の当たる場所へと~ というところなんて切なくて毎回泣きそうに。歌詞の合間に「イェッ!」とか言うハスキーボイスもとても素敵。
表情が別人のようにクールなのもシビレるところ。芝居心がある人なので、ショーでも場面ごとにきっちりキャラクターを表現して、声はもちろん歌い方まで合わせてくるの、見事としか言いようがありません。
スタイリッシュなダンスももちろんキレッキレでカッコいいのですが、ここ、周りの男役さんたち(前列:漣・瀬央・綺城・碧海)のダンスもセクシーすぎて、目が忙しい。


ザ・ロケット
赤いダービーハットに黒いリボン、黒燕尾風達磨衣装にゴールドのジャケットというエッジの効いた衣装のロケット。
星組は全員揃っての公演がコロナ禍以降で初めてなので、大人数のロケットも久しぶり。迫力ありました。


テンプテーション
全員真っ赤な衣装で歌い踊るテンプテーション。ラテンロックアレンジなのだとか。
礼さん、舞空さんの情熱的なデュエットダンスはもちろん、礼さんと愛月さん二人だけで踊る場面もあって、眼福でした。


ラ・パッション
瀬央ゆりかさん ソロで銀橋わたり。
歌は決してうまいとはいえないのですが、何とも元気がいいというか、威勢がよくてクセになる♪ラ・パッションでした。


アシナヨ
韓流に全く疎い私は全然知らなかったのですが、K-POP 韓国のバラード「アシナヨ」。
「ネオ・ダンディズム」でも使われていた曲だそうです。

♪アシナヨ 感じているかい どれほど愛しているか
アシナヨ わかっているかい 君が僕を変えたこと 

というやさしい歌詞を礼真琴さんが歌い、舞空瞳さん、愛月ひかるさんと踊り、後半は愛月さんが歌って、礼・舞空の美しいデュエットダンス。
途中、愛月さんの背中を礼さんがそっと押す場面もあって、涙・・・。
3人の衣装もふわりと風になびくようなシフォンのブルーの濃淡で統一感があってとてもよかったです。
礼さん舞空さんは、「カミソリデュエット」と愛月さんが命名した「ロミオとジュリエット」の超高速デュエダンもすばらしかったですが、こんなゆったりたっぷりした振りも本当に美しくて絶品。
最後のご挨拶も3人並んで、という愛月さんへの惜別の美しい場面でした。


初日のご挨拶で礼真琴さんは「愛さんはじめ7名の仲間がこの公演で退団します。今しか観られない星組を目に焼きつけてください」とおっしゃっていましたが、本当に今しか観られない、今最高の星組。目に心に焼きつけました。




10月31日はハロウィン ショーの各所でアドリブが。
まずはプロローグ
礼真琴さん 大階段で
「Happy Halloween!」と盛大によい声を響かせる。

ハードボイルド ラストの礼さん
「Trick or Treat!」と吐息まじりのイケボ

テンプテーションでは礼さん、愛月さん2人の場面で
礼: お菓子くれなきゃ
愛月:いたずらするぞ!

ラ・パッション間奏 瀬央さん 
「パンプキンパンプキンパンプキン大好き!


いや~、楽しかった
これまでも貸切でいろいろアドリブやっていたみたいですが、(ぴあ貸切の時の礼・愛月「チケット買うなら」「ぴあだろ」サイコー)集大成という感じでした。
東京公演 前楽はクリスマスなのだけど、どうなっちゃうのかしら。



パレード:
エトワール 有沙瞳
小桜ほのか・極美慎
綺城ひか理・天華えま
瀬央ゆりあ
愛月ひかる
舞空瞳
礼真琴


礼真琴さんのフィナーレの大羽根、ナイアガラがついていないパターンでしたが、正面だとわからないけれど横向いたら羽根が何層にもなっていて、お辞儀するとふわっふわもっこもこでとてもかわいかったです。




良質なショーに実力ある歌い手&ダンサーが揃えば何度観ても楽しい のごくらく度 (total 2323 vs 2323 )


posted by スキップ at 23:28| Comment(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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