2021年08月19日

”心の広場”としての劇場に集う喜び 佐渡裕プロデュースオペラ 「メリー・ウィドウ」


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毎年楽しみにしている佐渡裕さんプロデュースオペラ。
昨年は中止でしたので、2年ぶりの開催です。
佐渡さんオペラといえば・・・な開演前の泡がないのは残念でしたが、とても楽しく贅沢な時間を過ごしました。


佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2021
喜歌劇 「メリー・ウィドウ」

指揮: 佐渡 裕
音楽:フランツ・レハール
台本:ヴィクトル・レオン/レオ・シュタイン
演出・日本語台本: 広渡 勲
装置: サイモン・リマ・ホルズワース
衣裳: スティーヴ・アルメリーギ
出演: 並河寿美  片桐直樹  市原 愛  大山大輔  樋口達哉  
香寿たつき  桂 文枝  鳥居かほり  吉岡美佳  佐藤洋介 ほか
合唱: ひょうごプロデュースオペラ合唱団
管弦楽: 兵庫芸術文化センター管弦楽団

2021年7月22日(木) 2:00pm 兵庫県立芸術文化センター
KOBELCO 大ホール 1階LC列
(上演時間: 3時間20分/休憩 25分)



舞台は20世紀初頭のパリ。
じゃがいもだけが特産品という小国ポンテヴェロ公国の公使館では、公使のツェータ男爵(片桐直樹)が未亡人ハンナ(並河寿美)が相続した莫大な遺産の国外流出を防ぐため、彼女を自国の男性と結婚させようと画策し、部下で書記官のダニロ伯爵(大山大輔)に白羽の矢を立てます。実は二人は若い頃、恋人同士だったのですが、再会しても意地を張り合い、素直になれません。
一方、ツェータ男爵の妻 ヴァランシエンヌ(市原愛)は年下のカミーユ(樋口達哉)と密会を重ねていました。情報を聞きつけたツェータ男爵が密会場所に踏み込む直前、機転を効かせたハンナがヴァランシエンヌと入れ替わり、その成り行きで、ハンナはカミーユとの婚約を発表し・・・。


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少し前にロビーの展示室に飾られていた舞台模型。
オーケストラボックスと客席との間には、宝塚のように銀橋がありました。


グランドピアノをモチーフにした装置。
スタイリッシュで華やかな衣装。
佐渡さん指揮のオーケストラが奏でるフランツ・レハールの美しい旋律。
ホールに響く歌声。
それらが醸し出す上質な空間に身を委ねた心地よい時間。


序曲の演奏が終わると、燕尾服にシルクハットの男性が銀橋に現れ、「今日も暑いですなぁ」と客席に語りかけます・・・桂文枝さん 書記官ニエグシュ役です。
二幕では、オーケストラボックスの佐渡さんと楽しいやり取りも繰り広げてくださいました。

ニエグシュといえば、宝塚でこの作品やった時 ーTHE MERRY WIDOW」(2013年)ー 当時まだ研2だったありちゃん(暁千星さん)がやった役だよなぁと懐かしく思い出しました。

そして宝塚といえば、香寿たつきさんがシルヴィアーヌ役で出演されていたのですが、一幕では♪愛 それは~ とベルサイユのばらの曲、二幕では、白いキラキラスーツの男役の拵えで「すみれの花咲く頃」を歌ってくださいました。
オペラ観に来てまさか宝塚の曲が聴けるなんてね。
いや~、それにしても、香寿さん、相変わらずの美声です。

歌も台詞も日本語による上演ですが、歌詞は日本語字幕も出ていてより一層わかりやすくなっていました。

主要な役はダブルキャストになっているのですが、この日のハンナな日本を代表するソプラノの並河寿美さん。
美しくも迫力あるソプラノが劇場中に響き渡る快感。
低音ヴォイス響く大山大輔さんダニロとの掛け合いの歌唱も聴き惚れます。

個々のソリストの歌がすばらしいのはもちろん、マキシムの夜会で大勢のキャストで歌い上げる「女・女・女のマーチ」がとても楽しかったです。弾むような心浮き立つメロディとともに、これでもかと次々繰り出される華やかなフレンチカンカン。
目も耳も忙しい至福の時間でした。

大団円のハッピーエンドで拍手喝采のなか幕が下りた・・・と思ったら、これまた宝塚のような華やかなグランド・フィナーレがついていました。
本格的なバレエやダンス、歌と、これだけでちょっとしたショーのようなボリューム。

観客を目一杯楽しませようという佐渡さんの思いが詰まったような、華やかで明るく楽しく、そしてゴージャスな「メリー・ウィドウ」。
無料配布されたプログラムに掲載された佐渡裕さんのご挨拶が心に染みます。


「・・・昨年からコロナ禍により、芸術文化は大きな影響を受けました。しかしその中で、安全は最優先にしつつ、可能性を最大限に考えて公演を公演を重ねてきました。そのたびに以前にも増して温かい拍手をいただき、”心の広場”としての劇場に集う喜びを新たにしています。『メリー・ウィドウ』の上演はコロナ禍以前より準備していましたが、くしくも今、このようなとびきり明るい作品を上演できることに大きな意味を感じます。皆様、どうぞご一緒にお楽しみください。」


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劇場へのプロムナードにずらりとはためくフラッグにも心躍ります。



いつもは開演前にシャンパン飲んで綺麗な音楽聴いていい気持ちになって途中で夢見心地になるのだけれど、今回シャンパン飲んでないのに途中で意識なくなったのはどーなの? のごくらく地獄度 (total 2287 vs 2288 )



posted by スキップ at 22:00| Comment(0) | 演劇・ミュージカル | 更新情報をチェックする
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