2021年07月01日

六月大歌舞伎 第三部


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歌舞伎座 六月大歌舞伎 第三部は、染五郎くんが初めて女形を演じるこちらから。


六月大歌舞伎 第三部 
2021年6月15日(火) 6:00pm 歌舞伎座 1階6列下手


一、銘作左小刀 「京人形」
出演: 松本白鸚  市川染五郎  大谷廣太郎  
中村玉太郎  松本錦吾  市川高麗蔵 ほか
(上演時間: 32分)



左甚五郎(白鸚)は廓で見初めた小車太夫のことが忘れらず、太夫に生き写しの人形を彫って家の中に飾っています。ある日、人形相手に酒宴を始めると、不思議なことに人形(染五郎)が動き出します。ところが、精魂込めた甚五郎の魂が宿っているため、仕草は男性そのもの。そこで甚五郎が廓で拾った太夫の鏡を人形の懐に入れてみると、たちまち女性らしい仕草となり、喜んだ甚五郎は人形を相手に踊り出します・・・。


この演目はわりとよく観ていて、京人形の精は最近だと菊之助くん、七之助くん、壱太郎くんなど若い綺麗どころがやる役ことが多い印象。
若かりし頃の染五郎くんのお父様も踊っていらっしゃいましたね・・・と思って後で筋書読んだら、白鸚さんが左甚五郎を勤めるのは平成4年の四国こんぴら歌舞伎以来29年ぶり三度目で、その時の京人形の精が幸四郎(当時染五郎)さんだったそうです。29年前って・・・(遠い目)。

人形が出来上がった喜びに浮かれているのが言葉や態度の端々に表れているような甚五郎がまずかわいい。
人形と一杯やりたいからと女房おとく(高麗蔵)に今日は仲居になってくれと頼んでお大尽様のように人形と酒宴を始めます。
そんなわがままもはいはいと聞いて、ちゃんと仲居さんのように振る舞うおとくさん、何ていい奥さんなのでしょう。

人形とのやわらかな連れ舞いも、大工たち相手の大工道具を使っての立ち回りも、緩急自在に見せてくれるところ、さすが白鸚さんです。


京人形の染五郎くんは、綺麗だろうなとは思っていましたが、箱が開いた時、そこここで「わぁ!」という声にならない声が聞こえてくるような、周りの空気が明らかに変わったのを感じました。
小顔で脚長さんの京人形でしたが、ちょっとAIのような雰囲気もあり、表情を変えないクールビューティっぷりが人形にぴったり。男っぽい仕草の人形が胸元に鏡を入れただけで急に艶やかになる踊りの変化も鮮やか。

開演前に歌舞伎座のロビーでたまたまお母様をお見かけしたのですが、染五郎くん、こんなメイクするとお母様にそっくりだなと改めて思いました。
いつかお父様とこの演目をやる日がくるかしら。



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二、日蓮聖人降誕八百年記念 「日蓮 ─愛を知るひと─」
構成・脚本・演出: 横内謙介
演出: 市川猿之助
音楽: 玉麻尚一   振付: 尾上菊之丞
出演: 市川猿之助  中村隼人  市川右近  市川弘太郎  市川寿猿  
市川笑三郎  市川笑也  市川猿弥  市川門之助 ほか
(上演時間: 1時間4分)



戦乱や地震や津波といった天災が続き、飢餓や疫病が流行り、世相が混乱を極めた鎌倉時代に、「今の比叡山は堕落している」と批判し、周りの修行僧たちから反発を受けながらも「法華経こそが唯一無二の経典である」悟りを開くまでの、まだ蓮長と名乗っていたころの若き日の日蓮(猿之助)の葛藤と苦悩を描きます。


昨今の状況を鑑み、大掛かりな仕掛けや宙乗りなどのケレンを排した1時間の台詞劇。
かなり台詞づくしで、ちゃんと聴いていないと置いていかれる感アリアリですが、歌舞伎座の客席は静まり返って聴き入っていました。
そんな中、猿弥さん阿修羅が急に「カマキリ先生」とか言うものだから、「あっはっは」と声あげて笑ってしまったではありませんか(周り誰も笑ってなかった・・・何で?)

日蓮が猿之助さんか猿之助さんが日蓮かというくらい、確固たる信念を持って説く強い言葉にはとても説得力がありました。
法華経の教えにはあまり詳しくないのですが、「念仏はあの世で幸せになるために唱えるのではなく、この世に生きる全ての人が現世でこそ幸せになるべき」という考えにはとても共感できます。これが「現世利益」と言葉だけ知っている日蓮の教えなのかと勉強にもなりました。

周りの僧たちから総スカン状態の中、唯一理解を示し、最後にはともに名前を改めて一緒の道を行こうとする成弁後に日昭の隼人くんが、台詞も芝居も一段上がったように見えて頼もしかったです。

賤女おどろの笑三郎さんは相変わらず上手いし、猿弥さん阿修羅はおかしいし、右近くん善日丸はかわいいし、弘太郎さん麒麟坊はご活躍だし、寿猿さん道善房はちらりと出て、トドメに門之助さんの伝教大師最澄だし、澤瀉屋オールスターズのお芝居堪能いたしました。

ただ、この作品、こんな状況下でなければもっと違った表現になっていたのかなと、そちらも観てみたかったなと思います。



歌舞伎座で半日楽しく観劇してごくらくぢゃと思っていたら帰りにとんでもない地獄が待ってたよね のごくらく地獄度 (total 2270 vs 2269 )


posted by スキップ at 21:00| Comment(0) | 歌舞伎・伝統芸能 | 更新情報をチェックする
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