GWのタカラヅカ配信祭りラストはこちら。
絶賛東京公演中の星組「ロミオとジュリエット」ですが、緊急事態宣言の発出で4月26日から5月11日までの公演が中止。
その間上演されるはずだったB日程千秋楽とA日程初日の2回、急遽決まった無観客上演による配信です。
宝塚大劇場で9回、東京宝塚劇場でも1回観ましたが、今できる応援はこれなので、もちろん2回とも視聴しました。
宝塚歌劇 星組公演
三井住友VISAカード ミュージカル 「ロミオとジュリエット」
Roméo & Juliette
Le spectacle musical de GÉRARD PRESGURVIC
D’après l’œuvre de WILLIAM SHAKESPEARE
原作:ウィリアム・シェイクスピア
作: ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出: 小池修一郎 演出: 稲葉太地
出演: 礼 真琴 舞空 瞳 愛月ひかる 美稀千種 白妙なつ 天寿光希
音波みのり 輝咲玲央 夢妃杏瑠 瀬央ゆりあ 綺城ひか理 有沙 瞳
天華えま 遥斗勇帆 極美 慎 希沙 薫 碧海さりお/英真なおき ほか
2021年5月2日(日) 6:30pm(B)/5月9日(日) 6:30pm(A) 配信視聴
(配信時間: 3時間10分/休憩 35分)
感想はこれまでに散々書いてきましたので、今回配信で改めて感じたこと、気づいたことなどを手短かに(ほんとに短いのか?w)
B日程、A日程を1週間のスパンで観たことで、両パターンの違いがより鮮明に感じられました。
宝塚で上演された「ロミオとジュリエット」は、2010年の星組初演を除いて、これまでいずれかの役がすべて役替り、2013年の星組版は今回同様複数の役替りのある2パターンでの上演でしたが、今回ほど2つのバージョンの印象が異なるロミジュリは初めてではないでしょうか。
若さと愛と青春の王道A、若さの中の悲劇性と狂気のB といった印象。
劇団的にはトップスターがロミオ、二番手:ティボルト、三番手:ベンヴォーリオという配役のAが正統派という位置づけだと思います。宝塚大劇場の初日も千秋楽もAでしたし、舞台映像を納めたBDが当初A日程のものだけしか販売される予定ではなかったことからもそれが伺えます。
Aはロミオ(礼)・ベンヴォーリオ(瀬央)・マーキューシオ(極美)の”幼馴染の仲良し“感が強く、それだけにティボルト(愛月)の孤独と屈折した負のエネルギーが一層強調されるよう。
一方Bはベンヴォーリオ(綺城)が大人で、ロミオやマーキューシオ(天華)を見守っている感が強く、ゆえにロミオがより少年性を増し、マーキューシオは狂気性を増した印象です。
どちらのパターンもそれぞれに魅力的で、何なら両方の配役をミックスした混合パターンも観てみたいくらい(笑)。
配信で改めて感じたことは、礼真琴さんのすばらしさです。
お得意のダンスは言わずもがな、ことちゃんの歌がうまいことはこれまでにも何度も書いてきましたが、うまいというか、凄まじいくらい。
「僕は怖い」は、漠然とした不安に怯える最初に歌った時と、マーキューシオとティボルトの死という怖れたことが実際起こってしまって(しかもティボルトは自分が殺して)から歌うのとでは同じ絶唱でも声の表情が全く違っています。
よく響く綺麗な歌声が、場面、感情によって全く異なる“声の演じ分け”のすばらしさ。
ミュージカル界にも宝塚にも、歌のうまい人はたくさんいますが、歌い上げ、聴かせる術はすばらしくても役としてここまで歌い分けられる人は稀有な存在だと思います。
5月2日の配信一幕ラスト 礼拝堂の結婚式の場面で、エメのイントロが流れる中、祭壇の前で待つロミオのもとへジュリエットが一歩また一歩と近づく時、そのジュリエットを見つめて迎えなら、この上なく愛おしそうに優しく微笑んでいたロミオが一瞬深い哀しみが混じったような切ない表情を見せて、「え!?今の何?」となった瞬間涙がこぼれました。あんな表情するなんて・・・。
5月9日にも凝視しましたが、そこまでの表情はしなかった。あれは何だったのかな。
B日程は何かと話題の“愛ちゃんの死”がそれこそアップで観られたのもよかったです。
カメラさんもそこのところはご承知でよく死の表情を抜いてくださっていましたね。霊廟で両家が嘆き悲しんでいる時に上手の壁にもたれておかしくてたまらないというように口おさえて笑っている“愛ちゃんの死”とか。
その愛月さんのティボルト。
・決闘の場面でマーキューシオ相手に何か叫んでた・・・公演再開してからのレポで「来い!こらぁ~」と言っているらしきことを読みました
・マーキューシオを刺した後、右手を高々とあげて「やってやったゼ!」みたいに周りのキャピュレットの仲間たちにアピールしていた
これ、多分宝塚大劇場の時にはやっていなかったんじゃないかな。
孤独から狂気へ、その果ての悲劇へと、自分で自分を追い詰めているようなティボルトがひと際印象的でした。
5月2日 終演後のご挨拶では少し涙声になっていた礼真琴さん。
「こうして皆様に観ていただけるとは思っていなかった」という言葉に、本当に急遽決まった配信だったことが伺えます。
劇団の迅速な決断と行動、そして、無観客であっても満員の客席に向かうのと変わらない、いやもしかしたらそれ以上の熱量とパワーで全身全霊のすばらしい舞台を見せてくれた星組の皆さまに心からの感謝と賛辞を贈ります。
あと4日間6公演。どうか最後まで無事に駆け抜けられますように のごくらく度


