2021年02月06日

君の最後を俺が奪おう 雪組 「シルクロード」


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「シルクロード」は望海風斗さんと“同期”の生田大和先生が初めて手がけたショー作品。
生田-望海コンビのショーはこれが最初で最後ということになりますね。
作曲家の菅野よう子さんが楽曲提供されたことでも話題となりました。
シルクロードを舞台に繰り広げられるエキゾチックなムードたっぷりのショーです。


宝塚歌劇 雪組公演
かんぽ生命 ドリームシアター
レビュー・アラベスク 「シルクロード~盗賊と宝石~」
作・演出: 生田大和
作曲・編曲: 太田健  高橋恵  菅野よう子
振付: 羽山紀代美  御織ゆみ乃  川崎悦子  桜気涼介  百花沙里
装置: 二村周作  衣装: 有村淳


出演者(一樹千尋さん以外)、観劇日は「fff フォルティッシッシモ-歓喜に歌え!-」と同じ(こちら


盗賊(望海風斗)が一粒の青いダイヤモンドを手に入れますが、それはインドの女神シータの失われた片目といわれる呪われた宝石ホープ・ダイヤモンド(真彩希帆)でした。遙か古より持ち主を変えて彷徨ってきた宝石の記憶を辿って、中東からインド、上海へと時空を超えてシルクロードを旅する物語仕立てのショー。

お芝居の演出家さんがショーを初演出、そのショーはストーリー仕立て、というと上田久美子先生の「BADDY」(2018年 月組)が記憶に新しいところですが、生田先生の作品は、あれほど挑戦的でもなければすごく目新しいこともなくて、宝塚のオーソドックスなショーという印象でした。
ただ、望海さん・・・もっと言うなら望海さん真彩さんのコンビ・・・への愛とリスペクトに満ちていることは、特に組ファンという訳ではない私の目にもよくわかります。


◆キャラバン
冒頭の画像の巨大な砂時計のようなセットに彩凪翔さん率いるキャラバンたちが登場。
♪涯てなく続く 砂 砂 砂 はじめは何があったのか
と歌って物語世界へと誘います。
このキャラバン隊が、彩凪翔さん筆頭に、煌羽レオさん、真地佑果さん、ゆめ真音さんで、「全員退団者じゃん!」といきなり泣きそうになりました。


◆千夜一夜物語
黒いターバンに黒服の盗賊(望海風斗)が仲間たち(諏訪さき・彩海せら)とともにバザールに現れ、スリを働き宝石を盗んだところでキャラバン男(彩凪翔)に捕えられ、鎖に繋がれて宮殿の王 シャフリヤール(朝美絢)のもとへと連行されます。

この鎖に繋がれて下手袖にはけるまでの短い時間がアドリブの場面になっていて、1月10日に観た時は、礼真琴さん、舞空瞳さんはじめ星組生がたくさん観劇されていたのですが、望海さん、連れて行かれながら
「ロミオ!どうしてあなたはロミオなのっ」とおっしゃっていました。
1月21日のローチケ貸切では、
望海: 次の雪組公演のローソンチケット2枚あるんだけど
彩: じゃあ、一緒に行こう!
望: 行こう!行こう!   だったり(^^ゞ

朝美さんシャフリヤールに足蹴にされたり、縣千くんの宝石男に殴られたりする望海さんもここで見ることができます。


◆神々の饗宴
舞台はインド。
スーリヤ(綾凰華)・ターラーー(夢白あや)、チャンドラ(縣千)・・ウシャス(星南のぞみ)という2組の歌とダンスから始まる場面です。
ちょっと「オーム・シャンティ・オーム」思い出す振付や衣装でした。
縣くんとか夢白さんとか見ていると、この人たちがこれからの雪組を背負っていくんだなぁと思います。

ヴィシュヌとして太陽神のように登場する望海さん。
オケピの方へ一歩出て叫ぶところもアドリブになっていて、2月2日のe+貸切では
望海さん: A〜B(イケボ)
みんな:  C〜D
望海さん: イープラスッ!
みんな:  イープラスッ(笑顔)

1/21のローチケ貸切では「ローソン」「チケット!」ってやってたし、もはや原型わからなくなってきました(笑)。

この後の銀橋渡りでは、望海さんも真彩さんも彩凪さんも、もちろん朝美さんも(何がもちろんなのかw)ウィング飛ばしていました。


◆ダスカ
上海の街を彩るナイトクラブ大世界(ダスカ)。
ある意味のこのショーのメインイベント的な場面です。
ロングチャイナ衣装の望海さん、彩風さんが男役娘役引き連れて踊る向こうの一段高くなったステージで歌う真彩希帆さん。
この真彩さんのヴォーカルやラップがすばらしすぎていつも聴き惚れます。
いわゆる宝塚的歌唱の域を超えていて、いや~、もう外の舞台で歌声響かせている姿が目に浮かぶようです。
群舞もとてもカッコよかったです(振付: 桜木良助)。
この場面の望海さんの役名 劉衛強は、望海さんが花組時代の2010年に出演したバウホール公演「BUND/NEON上海」の役。作・演出はもちろん生田大和先生。ファンの人にはたまらない仕掛けです。

この場面の締めくくりは、望海風斗、真彩希帆、彩風咲奈 3人のタンゴ。
望海・真彩はもとより、彩風・真彩、さらには望海・彩風が組んで踊るという、どんなご馳走でしょうか。


◆君の最後を僕が奪おう
望海さんと真彩さんが歌うフィナーレ前の場面。
ここの歌詞に初日から雪担の皆さまざわめきました。

共に歩んだ旅路の果てで
最後にもう一度
君の最後を
僕が奪おう
誰にも渡さない

菅野よう子さんの壮大なメロディとともに印象的な歌詞。
これ、皆さんおっしゃっているように、望海さんが真彩さんに向けての思いを歌う歌と取れるのはもちろん、生田先生の望海さんに対する思いがこもった歌詞・・・って、まさにそうですよね!


◆黒燕尾
望海さんは銀橋から登場。手には青い薔薇を持っています。
青いドレスを着た娘役さんたちと踊り、大階段のセンターに望海さんだけが残って、娘役さんたちはV字型に2列で上って行き、それと入れ替わりに両サイドを黒燕尾の男役さんたちが降りてくるという演出。フォーメーションが綺麗。
この時の望海さんの、客席に背を向けて一輪の青い薔薇を背中にあてるポーズは、望海さんが初舞台を踏んだ公演「シニョール・ドン・ファン」(2003年 月組)で当時のトップスター 紫吹淳さんがフィナーレナンバーでやったのと同じポーズなのだとか。
端正な黒燕尾がとてもよく似合う望海さん。
望海さんセンター踊った後、彩風さんにこの薔薇を渡して去っていく・・・という演出はいかにも泣かせにかかってるという感じもしますが(そして案の定泣いた)、このバトンタッチした後に群舞が「彩風さんの黒燕尾」に切り替わるのが凄いところ。
彩風さんはショーの各場面、次期トップ娘役の朝月希和さんと組んでいて、いつもながらトップコンビのサヨナラ公演は次期トップコンビのプレお披露目でもあるのだなぁと思いました。


◆時には昔の話を
黒燕尾ラストに白いドレスの真彩希帆さんが上手袖から銀橋に登場し、彩風、彩凪、朝美の3人が舞台に残ってそれぞれ少しずつ真彩さんと絡んで踊るの、よかったな。ラストの彩風さんとは綺麗なリフトも見せてくれました。

大階段から望海さんが降りて来てのデュエットダンス。
BGMが加藤登紀子さんの「時には昔の話を」で、何でこんな古い曲?と思ったのですが、菅野よう子さんが編曲されたバージョンが「紅の豚」のエンディング・テーマだったのだとか。

歌詞は流れませんが、「嵐のように毎日が燃えていた 息が切れるまで走った そうだね」という歌詞を2人に重ね合わせる人も多いのでは?



雪組宝塚大劇場公演 千穐楽まで残すところあと3公演となりました。
どうか最後まで無事に駆け抜けられませうように。
そして2月26日からの東京公演も、退団する方々とファンの皆さまにとって、幸せな時となりますように。



何度でも観たいチケットさえ取れれば のごくらく地獄度 (total 2210 vs 2213 )





posted by スキップ at 17:25| Comment(0) | TAKARAZUKA | 更新情報をチェックする
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